「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成21年(2009年)2月19日(木曜日)
通巻第2500号 ((2500号記念特大号))
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ニューヨークタイムズの大株主=カルロス・スリムって誰?
メキシコの通信王が、なぜアメリカの活字媒体に将来性を見るのか
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カルロス・スリム・ヘルーはメキシコの通信王にして、億万長者(推定資産440億ドル)。
そのスリムが先頃、経営不振、赤字を抱えて悲鳴をあげるNYタイムズに、ポンと2億6000万ドルを貸し付けたから世界のマスコミ業界は驚いた。
その度胸に? いや、その高利に、である。年率14%もの利息をNYタイムズは「配当」としてスリムが所有することになる転換社債のために支払う。
▲旧来のセンスでマスコミをみていないか?
スリムはメキシコ最大財閥にして、中南米での影響力は、メキシコだけにとどまらずエル・サルバドルで彼を批判する記事を載せたスペイン語の媒体には翌日から広告が激減した。背後にスリムの差し金があったと言われている。
かれの通信企業はメキシコの固定電話市場で70%、携帯電話市場で90%のシェアを誇る。
スリムはマスコミを経営しながら、マスコミに露呈することをいやがり、NYタイムズ筆頭株主におさまった(17%弱)。しかしなぜ「新聞や雑誌への三行広告(求人広告など)が激減し、これからiポッドやiフォンなどの電子出版にビジネスが流れようという時代なのに」(英誌『エコノミスト』、2月14日号)、カルロス・スリムはなぜ、ペーパー媒体にこだわるのだろう。
げんに世界最大のマスコミ王といわれるルパート・マードック経営の「ニューズ社」は2008年第四四半期に64億1700万ドルの最終赤字に転落。主因はFOXテレビの広告減収とダウ・ジョーンズなど新聞媒体の大幅な減収による。
マードックは2007年にウォール・ストリートジャーナルを発行するダウ・ジョーンズを56億ドルで買収し、タブロイド版に切り替え、編集方針に反対するエディターをばっさり首にしていた。
スリムは「2007年までの成功者」=マードックにあやかろうと計算違いをしたのか。
かれはNYタイムズが1300名の社員を抱えることを知らなかった。そのうえ、「スリムはメキシコ政府から独占禁止法で訴えられている」(IHI,2月17日付け)ほど、悪名も又高い。
メキシコにおけるビジネスの闇と関係があるのか、ないのか。
おりしも米国ではカジノ経営のドナルド・トランプが三回目の会社更生法。ラスベガスは閑古鳥で、どの国際会議場も人影がまばら。ヘッジ・ファンドもカジノ経営者も、マスコミ・ビジネスは「破綻したビジネスモデル」として捉えている。
▲ニュースの卸売業=通信社もお先真っ暗
「ニュースの商人」=ロイターが持てはやされた時代は終わった。ニュースの卸売りだって、小売りのラジオ、テレビ、新聞が不景気になれば売り上げが激減するに決まってますからね。
第一は既存のメディアが不況のため、通信社からの配信ニュースを買わない、買えない社が出てきた。
全米に2000あるローカル紙の統合、整理、倒産、廃刊が急ピッチで進んでいる。そのうち1300社は独自のウェッブサイトでニュースを配信している。
第二にCNNやダウ・ジョーンズなどが反対に、自分たちの支局を駆使してロイターやAP並みに通信社業務に殴り込んできた。
これは中東産油国、インドなどで収益をあげているという。
第三にこれまでは金融の世界、とくに銀行と証券に特化された経済ニュースを売り込んできた、収益の高いブルームバーグとて、顧客が倒産、廃業、被合併、縮小、支店整理など金融危機による大不況に遭遇した。
ブルームバーグとロイターは情報の卸売業と平行して情報の小売り業務も始めることにした。ウェブにニュースを掲載して読者とのアクセスを直結すれば、広告料がたくさん取れると読んでのことである。
実際に、両社のウェッブには無料で繋がる。
さらに小売りをiポッドにも流通させ、行動料金を取る新ビジネス。
「着メロにカネを支払う人が多い世の中、どうしてニュース配信を希望する個人が、情報は重要であり、カネを支払わないことがあろうか」というわけで強気の近未来をよむ業界アナリストもいるという。
世界のマスコミ、地殻変動中。日本の大手マスコミも、いつまで胡座をかいて居られるだろうか?
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(読者の声1)南モンゴルにおける中共の政策による砂漠化の実態をgoogle地図で確認できます。
http://maps.google.co.jp/maps?hl=ja&ie=UTF8&ll=44.494546,116.370621&spn=0.254203,0.439453&t=h&z=11
古墳のように方形に見えるのは、全部、土地を囲んだ柵だそうです。中共による牧民(モンゴル人)への土地の分配政策の結果です。
土地を与えられた牧民は自分の土地を柵で囲み、飼っている動物はその中の草を根こそぎ食べてしまう。そうするとその土地はたちまちのうちに砂漠化してしまう。
それをとってつけたかのように、南モンゴルの砂漠化は牧民の責任と言って生態移民と禁牧に持ち込むのです。
中共の政策はこんな衛星写真でも確認できてしまうのです。
場所はシリンゴル盟シリンホト市北部です。酪農学園大学 星野仏方(ブホーオーツル:内モンゴル自治区出身、日本に帰化)先生にご教示いただきました。
星野先生は酪農学園大学で実地調査と人工衛星を使用した研究をされており、南モンゴル砂漠化の原因が中共の政策であることを証明され、自然の遊牧に戻すべきと主張されています。
酪農学園大学 環境リモートセンシング研究室HP
http://www.rakuno.ac.jp/dep06/staff/hoshino/index.html
(PN生)
(宮崎正弘のコメント)南モンゴル、中国の行政区分でいう「内蒙古自治区」のフフホトへ行ったおり、星々が輝き、手に取るような近さ、空気が澄んでいて、市内からちょっと離れると多くのゲル(テント住宅=中国語はパオ)がありました。
漢族が夥しく移住してきて、自然環境は破壊されました。
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(読者の声2)貴誌2498号「読者の声1」へのコメントとして司馬遼太郎を批判されながら、「胡散臭い、「乱世史観」の持ち主。乃木大将を犬死にと言った歪曲と思慮不足など。『空海の風景』では精神世界のことがまったく分からない作家を露呈しました」
とありました。
乃木さん、正当に評価される日が来ると思います。乃木さんのことは、家族に、物心ついてからずーと聴かされてきて、ある日、突然違う評価を聴かされた時は凄く哀しかったけれど、宮崎先生が「それは間違い」と指摘されて、嬉しかった。
空海さんも、映画を見て司馬作品に違和感。少しづつでも、しかし一日も速く司馬さんの歴史観を払拭してください。
(TF子、小平)
(宮崎正弘のコメント)司馬さんの作品は世俗的な通説に従った初期の作品(『太閤記』など)や、忍者作家と言われていた頃の『梟の城』とか『国盗り物語』あたりまでは浪漫があって、面白いのですが、勝手な講釈が入る後期の小説(たとえば『覇王の家』とか)はじつにつまらない。
それよりもなによりも「日清・日露戦争までは良くて、太平洋戦争は悪い」という、個人的私怨に基づく史観が胡散臭いのです。あの「大東亜戦争」をGHQの洗脳にそまって「太平洋戦争」と呼び替えるのも左翼の流れですしね。
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(読者の声3)貴誌で展開されている「政府紙幣」発行論と丹羽先生/高橋洋一氏の関係ですが、高橋氏は丹羽理論を勉強して、それに賛同して、今回打ち出したというものではない(特許侵害とか剽窃とか横取りと言ったものではないと思います。
その雑感を・・・・・・。
高橋氏ははじめから政府紙幣の理論的可能性になんらの疑いを持っていなかったと思います。
貨幣論、経済学を素直に学べば政府紙幣の理論そのものには疑いを挟む余地がないと信じていたと思われます。プリンストンでのノーベル級学者との日常的付き合いの中で財政・金融理論は滑らかに形成されていったものと思われます。
日本の経済学者たちは、政府紙幣を丹羽理論を異形の理論として生理的に避けてきました。
日本の学界の空気になじみにくい丹羽理論に、学会は距離を置いてきました。
今回の喧騒の前に政府紙幣に触れた学者、エコノミストはきわめて限定されています。
学会の柵(シガラミ)も仲間や組織の空気を読むというような日本的なものへの配慮や思惑はまったくない高橋洋一氏という人物が登場してきました。だから『さらば財務省』を書くことが出来たのでしょう。
高橋氏は東大法学部出身の大蔵キャリヤー官僚たちの数学の素養の不足を批判というより、明らかに蔑視すらしています。
プリンストンでのノーベル級学者との付き合いには高度の数学の素養が必要です。それをこなしてきた自信が 彼の言動にはじみ出ています。
数学と言えば佐藤隆三先生を思い出します。NYで食事をした際に「どうして先生はサミュエルソンなどの高名の学者とこんなに親しくなれたのですか?」ときいたことがあります。
答えは「わたしは数学が大好きで 抜群に出来たからだと思う。数学ですよ」ということでした。たいへん印象に残っています(ちなみに佐藤隆三先生は政府紙幣の発行には反対の立場と理解しています。反・丹羽理論です。「政府紙幣」と「無利子国債」の発行提言を「有権者を愚弄する奇策にすぎぬ」とこき下ろしていた。『静岡新聞』)。
佐藤隆三先生と高橋洋一氏を重ね合わせれば、高橋氏にとって東大法学部出身の数学に無知な大蔵官僚などは論外で、こと数学能力に関しては、いわゆる経済学者たちを躊躇・忖度することなく軽視(?)するにふさわしい満々の自信、・・・これは推測に難くありません。
高橋洋一氏は日本の経済学界など眼中にありません。
政府紙幣の推進も丹羽理論の学習からではなく、貨幣論の根幹にふれて、率直にそして天真爛漫に、さらに言えばアッケラカンと政策提言をしたものと思います。
政府紙幣の前にすでに国家財政の細部にまで精通した大蔵官僚としての高橋氏は省のタブーである「埋蔵金」パンドラの蓋に手をつけました。
官僚構造に風穴を開けました。大蔵省は内部秘密を暴露(?)し、省益を損ねるKYな高橋氏を、不倶戴天の省賊として追放しました。もったいない話です。
高橋氏は「暴露」とか「内部告発」などという意識はまったくなかったと思われます。
国家財政の諸相を数学的精緻さで追っていけば自明のもので、隠す、隠さないというような下世話な次元の問題ではないという認識だったと推測されます。
こういう人が突然、政府紙幣25兆円を言い出したのですから、たいへんです。
不況の深まりもあって、メディアも含め、世の中は聞いてみようと言うことになります強烈なインパクトです。25兆円程度ならインフレ惹起の心配はないと精緻な数学に基づく提言したのですから迫力も抜群です。
丹羽先生は長年持論を展開してきたものの新しい時代の情報空間においては一般性、普遍性を持つ説得力にはなりえていませんでした。
丹羽理論の支持者は熱狂的でありましたが、きわめて限定的であったのみならず、心の中で賛同しても、その意思を表明するリスクをおかす経済学者は ほとんど見当たりませんでした。そこへ突然出てきた高橋洋一氏が関心を集めることになったというのですから、学士院会員の丹羽先生が複雑な感情を持ったとしても不思議ではありません。同情したいくらいです。
高橋氏は提言に当たって嘗ての上司・竹中平蔵氏に相談などしていないと思われます。
丹羽先生は高橋洋一氏が提言してきたような(25兆円程度の)レベルよりも、はるかにスケールの大きな(たとえば、500~600兆円)高次元の財政政策・経済政策システムを構想し、それを実現すべきだと提言してきたわけだ、と高橋氏を強く批判しています。
それからも分かるように丹羽理論そのものは高橋氏とは異質の考え方です。
丹羽理論は金本位制 ⇒ 管理通貨制度 ⇒ 政府紙幣制度 高次元システム構築
の方向性と道筋を有するものと理解されますが、高橋氏の理論は管理通貨型管理の下に、政府貨幣(コイン)の規模の拡大とコインの紙幣化を図ることで、財政規律を毀損する
ことなく財政出動を容易にするといったものでしょう。
高橋洋一氏は反「官」において、外務省の天木直人氏と類似していますが、天木直人のような屈折感もイデオロギー的な臭気もまったくありません。<数学能力とプリンストン体験>の開放・外延感覚と自信に満ち満ちています。
高橋氏の開放感は爽快でもあります。
政府紙幣については、<そもそも政府紙幣なんて出すこと自体がゆるされるの?><出せたとしてもインフレなどの心配はないの?> そして<具体的に どういう手続きで発行されるの?> の3要素が錯綜し特に素人には「なんとなく・・・」 なじめないものになっています。
また日本銀行とアメリカのFRB(連邦準備銀行)の比較などネット空間には味ある情報が充満していますが、連邦準備銀行の独特にして複雑なイルミナティ的性格からアメリカではなかなか政府紙幣の話は出にくいでしょう。
スティグリツツは政府紙幣には肯定的のようですが、露骨には言えにくい雰囲気があるということのようです。これもFRB のイルミナティ的性格を理解するとことから来ているのかも・・・。
これも邪推ですが、アメリカでも触れられないタブーなのかもしれません。若ければ FRB の研究もしたいところですが、too late です。
マネーの不思議は貧乏人にも尽きない興味を呼び起こします。
高橋洋一氏の発想は丹羽理論の借用ではなく、独自のものであるという独断的推測の論拠を書いてみました。
(TK生、世田谷)
(編集部から)ほかに明治維新政府の『太政官札』と今日の政府紙幣議論との共通性と相違性に関しての質問がありました。いずれ機会をみて。。。。
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(読者の声4) 此の不況はマスゴミが演出した不況であると思います。やたらと不況、不況と「勝った、勝った」のように連呼するマスゴミ上が不気味で違和感がありました。
でも何故か?
マスゴミが願い、隣国が願う民主党の政権掌握のためです。
是が非でもある事無い事捏ち上げて麻生政権を徹底的に叩きまくり追い込み、不況は米国のせいなのにいかにも麻生政権のせいだと刷り込み、宣伝して、政府自民党の内部崩壊を惹起し、国民世論を嘘で動かし、選挙を意地でも前倒しさせて今の勢いで民主党に政権与党についてもらいたい為に、です。
碩学で、世界情報、支那情報、政界情報に精通された宮崎様にはもっと様々な情報をお持ちである筈なので、もっと深い、詳細な情報、事情をお知りとは思います。
中川大臣辞任の件も、どうも一服盛られたと言う話が裏でささやかれ、麻生総理の漢字力不足なるどうでも良い事をマスゴミが徹底的に報道して情報ソースの少ない国民に刷り込ませ、それと連動して民主党議員が漢字の読み方で総理を徹底的に貶し、叩き、嘲笑し、貶める・・・。
前にも述べましたが、福田康夫政権の時にこういう酷い政権&総理バッシングがありましたか?
それも非常にあからさまで徹頭徹尾叩きまくる苛めそのもの。日本的ではない首相叩きの情景、風景に正に隣国半島人の影がはっきりと確認できます。
しかも叩かれる人物は決まっています。麻生、中川、鳩山(邦)・・・。
此の国はチャイナの侵略を待たず、最早、在日朝鮮人と朝鮮半島に飲み込まれるのを座して待っているのでしょうか・・・。
(ID生、新潟)
(宮崎正弘のコメント)安倍晋三さんの時も、「盛られた」という前後関係は酷似していますが。下記のような意見も寄せられました。
「都内の或るところで中川大臣の辞任について、気鋭のジャーナリストの方が、もう日本の保守勢力は総崩れぇ、と言っている声が聞こえてきました。某週刊誌は中川大臣が服用したのと同じ薬を自分のところの記者に呑ませ、どんな状態になるか記事にしようとしています。夕刊タブロイド紙は、財務省のハニートラップ陰謀説を報じています。大衆ジャーナリズムの報じている中に、事の真相が存在しているかも知れません。中川大臣がいなくなって誰が一番得するかを考えたら、スキャンダルを仕組んだ犯人が見えてくるものです。財務省なのか?アメリカなのか?」(HN生)。ほか同様な意見がネットで飛び交っていますね。
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(読者の声5) 前号「(読者の声4)自由主義経済の異端児「資本主義市場(至上?)経済」犯人説が渦巻き、計画主義者の靴音が響いています。中谷巌教授が早くも変異し(グルーグマン教授程ではありませんが)
とあります。
経済不況が起きたので管理経済を主張するというのは、お手軽であり、間違いであると思います。人間の経済活動の制御は巨大な需給関係によります。これを「神の手」と呼びました。
この規模は、信用取引などの投機が許されているので、実需の数百倍に上るということでしょう。ですから、今回のようなトラブルを減らすには、投機ビジネスを減らせばよいのであって、実需経済に手をつける必要はありません。
またほかに方法はありません。需給の計画化は出来ません。
やれば巨大な無駄を生むだけであり、ソ連の失敗で実験済みです。
投機を減らすには、高い証拠金制度、あるいは精算期間の短縮などいくらでも知恵はあるでしょう。とにかく需給の情報は市場にしかないのです。これを離れると即無駄と非効率が発生します。
マルクスを持ち出すのは見当違いです。マルクスは革命の扇動のために、資本主義の崩壊が必要なので、それを誤った労働価値説と、未完の資本論で主張しただけです。共産主義社会の将来図には意図的に言及していません。
(不可能だからですが)まして計画経済など主張していません。だから現在の経済学とはまったく関係がありません。研究家によれば、マルクスは労働価値説の誤りと、市場需給原則の正しさを知っており、意図的に隠蔽したという意見もあります。
彼は事実を認めると彼の終末論的革命論が成り立たなくなってしまうことを恐れたのでしょう。マルクスの「経済学」は素人騙しで本末転倒です。
ということで市場経済が混乱したのは、投機をさせすぎたのであって市場経済自体が誤っているわけではありません。
二者択一的な短絡的な主張はいかがなものか、と思います。
(MC生)
(宮崎正弘のコメント)桶谷秀昭先生が「マルクス」を書かれています。いずれ単行本化されるでしょうが、極貧マルクスの生活の面倒を見たのはエンゲルス、マルクスの資本論は最初だけが、実際のマルクスの著作。あとはエンゲルスが補遺をなしたか、或いは弟子筋が書き上げたか、いずれにしても、いまの世の中にいう「マルクス主義」とは縁もゆかりもない学説です。
そもそも「マルクス・レーニン主義」って、いったい何でしょうか? レーニンが都合の良い部分だけ剽窃したのでは?
日本の場合は意図的に誤訳されたところが多く、『資本論の誤訳』という大著が嘗て広西元信先生がドイツ語の原文にあたって逐一そのいい加減な、あるいはご都合主義的な誤訳を一覧されたこともありました。
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(読者の声6) メルマガ2500号おめでとうございます。
休みなしに働く原動力は、新聞配達時代に鍛えられた精神力(メンタルヘルス)の賜では、と勝手に推測しております。先生が新聞配達をされていた時代には、今のように新聞休刊日が年に何日もなかったのではないでしょうか。
最新ニュースや貴重な分析、そして知性豊かな読者の皆さんとのハイレベルなやり取りを拝読し、毎日大変勉強になっています。
昨日の経済成長率マイナス12.7%のインチキ、私も当日勤務先の朝礼でネタに使わせていただきました。
極端にわかりやすくするために、開幕試合でホームランを2本打ったからといって、その選手がシーズン140試合で280本のホームランを打てる保証はなく、誰もそんな計算もしない。
GDPの報道は、これと同じ単純計算をして、過去3ヶ月間の実績がこのまま持続するという根拠のない仮定の基に、意味のない年率換算を算出しているだけだ、と話したら半分くらいは納得したような顔をしていました。
マスコミ全体がスポーツ新聞化、タブロイド紙化している中、先生の存在は我が国にとってとても重要なものだと思います。真のクオリティー・ペーパーとして、これからも読者を啓蒙し、真実を知らせて戴けることを願っております。
(MA生、中野)
(宮崎正弘のコメント)その「開幕試合でホームランを2本打ったからといって、その選手がシーズン140試合で280本のホームランを打てる保証はなく、誰もそんな計算もしない」というたとえ話、極めつきに分かりやすかった。
逆に講演で使わせていただきます。
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(読者の声7)貴誌2498号の「日本のGDPマイナス12・7%?しかしこの12・7%という数字は08年第四四半期のGDPのマイナス3・3%を通年に直して、こうなるだろうと予測した数字であり、あまりにもおどろおどろしい。英紙ファイナンシャルタイムズはちなみに『日本、GDP3・3%ダウン』と報じているだけで、通年予測の数字を行間に小さくしか用いていない。ウォール・ストリートジャーナルもこれに同じ。日本のマスコミだけが、なぜか意図的にトップの見出しに深刻な数字を用いているように見える。市場はところで、まったく反応せず2月16日の株価は28円下がっただけである。」
(引用止め)。
という先生の御指摘に、「えっ?」という感じでした。これを疑わなければいけないのか!
――いやぁ、宮崎先生の様に疑い深く(注意深く)なるのには道が遠いな(笑)。
(doraQ)
3月1日(日)、黄文雄、宮崎正弘、城仲模氏を講師に台湾2・28時局講演会
●日 時:2009年3月1日(日)18:00~20:30(17:30開場)
●会 場:アルカディア市ヶ谷 5階 穂高
東京都千代田区九段北4-2-25 Tel:03-3261-9921
[交通]JR/地下鉄「市ヶ谷」駅より徒歩3分
http://www.jps.gr.jp/news/20020411map.htm
●参加費:1,000円
講演1 18:00~18:40
テーマ 「台湾が直面する三大危機」
講 師 黄 文雄(拓殖大学日本文化研究所客員教授)
http://kobunyu.jp/
講演2 18:45~19:25
テーマ 「台湾と中国の一中市場は可能なのか」
講 師 宮崎正弘(評論家・作家)
http://miyazaki.xii.jp/
講演3 19:30~20:10
テーマ 「台湾の現在と未来、日本との関係」
講 師 城 仲模(台湾李登輝之友会全国総会総会長)
1938年(昭和13年)、台湾・台南市生まれ。東呉大学卒業後、早稲田大学大学院、東京大学大学院などに留学。法学博士。李登輝総統時代に法務部長(法務大臣)や司法院副院長(最高裁副長官)を歴任。昨年6月、李登輝之友会全国総会の総会長に就任。台湾行政法学会理事長、(財)台湾法治曁政策研究基金会会長。
■主 催:台湾独立建国聯盟日本本部
TWN
『反日記念館』出版記念の集会 ― 中国の抗日記念館から不当写真を撤去せよ!
「シンポジウム・中国の抗日記念館から不当な写真の撤去せよ!」の記録を活字化し、あらたに中国全土の抗日記念館の一覧などを付した単行本『反日記念館』が、平沼赳夫衆議院議員監修のもと、刊行されました(展転社刊/1000円+税)。
これを記念した集会を開催いたします。各位の積極的なご参加をお待ち申し上げております。
☆日時 3月4日(水)午後6時30分開会
☆会場 文京シビックセンター・小ホール(文京区役所内/電話03-5803-1100)
東京メトロ南北線・丸の内線「後楽園」。都営三田線・大江戸線「春日」
☆会費 2000円(新著進呈)
☆登壇(予定/敬称略)[中国の抗日記念館から不当な写真の撤去を求める国会議員の会]
平沼赳夫・島村宜伸・亀井郁夫・西村真悟・松原仁・稲田朋美ほか多数
[中国の抗日記念館から不当な写真の撤去を求める国民の会]
阿羅健一・宮崎正弘・富岡幸一郎ほか
☆主催 「中国の抗日記念館から不当な写真の撤去を求める国民の会」(会長・阿羅健一)
連絡先 高池法律事務所気付 電話03-3263-6041
3月20日 日本保守主義研究会 講演会
記
日時:3月20日(春分の日) 14~16時
場所:杉並区産業商工会館(中央線「阿佐ヶ谷」駅より徒歩5分)
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/map/detail.asp?home=H04880
講師 宮崎正弘
演題 「激動の世界情勢を読み解く ~中国・アメリカ、そして日本」
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成21年(2009年)2月20日(金曜日)
通巻第2501号 <2500号突破記念増大号>
(速報)
スイス銀行秘密口座ビジネスの終焉か
UBS、米国の圧力に250の秘密口座の開示やむなしと判断
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テロリストの資金源をたどると、必ず最後に闇に包まれるのがスイス。
スイス銀行の大手はUBSとクレディ・スイス、ほかにピクテなど数百のプライベート・バンクがあって、日本でも架空の話「ゴルゴ13」でお馴染み。
さて米国は2007年、スイス政府に対して、犯罪に関係する秘密口座の開示を要求し、水面下の交渉が続けられていた。
スイス銀行の特色は秘密性にあり、世界の億万長者が、この秘密口座を持つ。
米国が追跡できる範囲内で、むろん捜査対象をアメリカ人に限定するとはいえ、テロリストばかりか、かなりの犯罪ならびに脱税、資金洗浄の謎が暴かれることになり、それは顧客との約束を違えることになるため、スイスは拒否し続けた。
だが、その政治力もテロリストの戦争というロジックで米国に押され、スイスは過去三年間、牛歩戦術による時間稼ぎ。この間に顧客らは、さっさと解約するなり、或いはバミューダなどオフショアへ資金を移したとも言われる。
ウォールストリートジャーナル(1月19日付け)によれば、UBS(スイス・ユニオン・バンク)は、遂に米国の圧力に折れて、250口座の情報開示を決めたという。
ほかにマイアミでの脱税捜査の進展などから、IRS(米国歳入庁)は、同行に対して、52000口座の情報開示を求めているという。
スイス銀行秘密口座ビジネスは終焉するのか? いや、次の魔都は上海かも。
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樋泉克夫のコラム
――いつの時代もこう・・・だった
『中国の建設』(亀田東伍 岩波新書 昭和31年)
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武漢市で福華電機と脱脂綿厰を経営する李寅廷は、政府から救急袋と三角巾の製造を請け負った。
「彼は救急袋に入れる脱脂綿の製造に当り、政府から渡された品質のよい綿花のかわりに廃綿をつかった。
この廃綿も、二〇〇疋のガーゼも、ともに漂白も脱脂も行わなかった。
のみならず、廃綿中の一千斤は、クズやから買ったものであり、甚だしきに至っては、小児の死骸についていたものであった。
従ってこの廃綿をうちかえすと、工場の中がくさくなり、一度は綿の中から子供の頭がい骨がでてきたこともあった」。かく暴利を貪った彼は「被服工場・酒場・木工店をひらき、薬品に投資し、一八の銀行に貯金していた」。
中国人民銀行河南省分局では本店視察団を迎えるに当たり、2億5000万元の工作費を捻出し、100人を招待しての大宴会。
そのうえ招待を口実に仲間内での連日のドンチャン騒ぎ。
この程度の“経済犯罪”は昨今の中国では日常茶飯事。
とりたてて騒ぐこともなかろうと思いきや、以上は、この本が紹介する1950年代初頭の話である。
筆者は、「官僚主義の強い所では、汚職・浪費の事件が多く発生した。
なぜなら、官吏が署名や捺印だけで書類をすませ、大衆の生活の実情を知らない場合には、汚職者・浪費者は、えたりかしこしと活動したからである」と、この種の不正の温床を官僚主義に求めている。
じつは汚職・浪費事件の頻発に手を焼いた共産党政権は、51年から52年にかけ国を挙げて「三反五反運動」を展開し、社会の綱紀粛正を目指す。
同時にそれは文化大革命に至る全国民を挙げての過激な政治運動のはじまりでもあった。
三反とは汚職・浪費・官僚主義を「三害」、五反とは贈賄・脱税・国有資産盗用・原料や手間の誤魔化し・国家経済情報のインサイダー行為を「五毒」と名づけ、これらを共に糾弾・根絶すべく全国民を動員する。
この運動が全国的に徹底された結果、「汚職は基本的になくなり、資本家の反国家反人民の傾向が阻止された。根治不能と思われていた社会悪をやめさせることができたので、社会改造の意義を各方面に徹底させることができた。
資本家は中共の指導する社会では、昔のように悪事は栄えないことを知り、また労働者階級の指導なしには、社会の進歩はありえないことを身をもって知った」と著者は絶賛するが、現実は違っていた。
「汚職は基本的になくなり」はせず、やはり「根治不能」だった。
三害と五毒ははびこったまま現在にも続いている。官僚主義の弊害、漢民族の体質・・・永遠の病理ということか。
やはり著者の目は節穴、いやタメにするウソやホラ。
この本を書いた当時の著者は40歳そこそこの働き盛りで、日本平和委員会常務委員兼アジア太平洋地域平和連絡委員会副書記長の肩書き。
加えて北京在住は「いつの間にか三年となった」。どうせ北京御用達の提灯持ち。“アゴ足付き”の貴族生活。
ならば、「一般的にいって、中国共産党、各級人民政府、人民革命軍事委員会系統、大衆団体の幹部は、革命的伝統を守って、廉潔・素朴であり、誠心誠意人民に服務してきた。その、私心のなさ、廉潔さは、実に中国歴史始まって以来のものとして、深く人民の信頼を得ていた」と、バナナの叩き売りのように口から出任せの嘘八百を並べ立て世間を欺こうと商売に励んでいたとしても、なんら不思議ではない。
著者が熱く語る『中国の建設』を現時点で読み返すと、我が国戦後中国認識が出発の時から如何に不真面目・出鱈目・インチキに毒されていたかが実感できるはずだ。
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(読者の声1)「司馬史観」への違和感続編。
乃木大将は、愚将ではなく名将である思います。
それはもし旅順攻略作戦が乃木大将でなく、艱難辛苦の上に多大な部下の犠牲を払った上でやっと降伏させた敵将に武士道に基づく寛大な処置をしたからです。
普通であれば、自分の息子達を含めての多大な犠牲を強いられた戦いのすぐ後であれば、はっきりと勝者と敗者とを分ける処遇に出てもおかしくないし、乃木大将が普通の人だったらそうしたと思います。
しかし、彼は自分たちと同じ祖国のために戦った武人同士と云うことで、礼を持って敵将ステッセルらを丁重に恥をかかせない様にするのです。
もし、ここで乃木大将が普通の精神で敵将を敗者として扱っていたら、当時の国際世論(もちろん欧米列強のことで、アジアははいっていません)は、やっぱり日本はアジアの野蛮人の国だったと思われていたでしょう。それでなくても当時は、黄渦論がヨーロッパで声高に言われていた時代です。
さらに当時のロシアの将軍の多くは貴族階級の出身でその親戚がヨーロッパ中に散らばっていることを考え、また、白人対有色人種との戦いととらえてみれば、乃木将軍の高貴な態度が日本のイメージアップに大きくつながりました。
日本に対しての好感度が増したおかけで、高橋是清や、金子堅太郎の国債販売はスムースにすすみ日本は、どうにか戦争を継続できたのです。
つまり大きな戦局は国際世論をどう味方につけるかが重要だということを司馬史観ではあまり重視せずに、ただ死傷者の多さだけで乃木大将の愚将論を展開しています。
これを読んだ読者は、戦争と国際世論の形成は全く無関係の様に思え、その連動性を考えないようになってきたのではないでしょうか?
今の政局も、国内のことばかりを考え、国際的な地位をなにも考えないマスコミが、中川大臣の失態ばかりを何度もテレビで放映し、国益と叫ぶこと自体、変だ思うのは私だけでしょうか?
日本の国際的地位を自覚し、今日本がどう進路をとることが重要かをもっと我々が見据えることが必要だと思います。そして政治家を選ぶときの基準にしなくてはと思います。
(MI生、福岡)
(宮崎正弘のコメント)「乃木の譽れ」というお酒、「TOGO(東郷平八郎)」というビールあり、水師営の会見場は、中国がでっち上げた観光名所として旅順に施設化されてありますが、ニセのナツメの木も植えられ、♪「庭にひともとナツメの木、弾丸あとも著く」を想起させます。
そういえば数年前、愚息も結婚式は乃木神社で。小生の友人ら十名ほどが乃木大将の歌を合唱してくれました。
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(読者の声2)貴誌の記念すべき2500号に掲載されたTK生さんの「読者の声3」は、元財務官僚・高橋洋一を評して「日本の学会など眼中にない」「迫力抜群」「自信に満ち溢れている」等々最高度の賛辞を尽しておられます。
しかし『さらば財務省!』などと威勢の良い書名を出版したので反官僚、反役所だと誤解されている方も多数いるようですが、今以て高橋は現職の「金融庁顧問」であり、この出版物は「ある壮大な目的」のための巧妙な目くらましであることは事情通の間では常識のようです。
また高橋洋一が政府紙幣の理論の根本の部分で全く理解できていない醜態を曝している事実は、文芸評論家の山崎行太郎氏によって詳しく酷評されていますので、ご参考までにご紹介いたします。
http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/?of=7
(中央区、TF生)
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(読者の声3)貴誌通巻第2500号(読者の声3)でTK氏が書かれた高橋氏の政府紙幣発行論が丹羽氏の理論に基づいたものか独自のものかに関する論考を読ませていただきました。
私自身は、独自か否かには関心はありません。ただ、実効性があるかどうかだけに関心があります。
高橋氏の発行論の実効性に関しては、丹羽氏を含めて諸氏が問題を提起しているのであえて書きません。ただしTK氏が高橋氏の独自性を測るために提示なされた論拠には同意いたしかねます。
1.高橋氏が東京大学数学科卒であるので、東京大学法学部卒業の官僚たちより数学ができる。
(1)今から40年ほど前、ある東京大学教養学部の数学の教官が理科一類(理学部、工学部進学予定者)と文科一類(法学部進学予定者)に対して同じ問題で試験をおこなったところ、文科一類の学生の平均点のほうが高かった。
(2)東京大学数学科卒業で東京大学経済学部教授になった方に宇沢氏や先年日銀政策委員もなされた植田氏がいる。いずれも、単に数学科を卒業しただけでなく、十分数学者としてやっていける数学科同期の中でも俊越した存在であった。
しかしかれらが、さすが数学科卒業者であるといえるように数学を駆使した経済学の分野での業績やあるいは政策委員としての提言で働きをなしたとは寡聞にして聞いたことがない。高橋氏がかれらより数学ができるあるいはできたとはとうてい思えません。
2.「プリンストンでのノーベル級学者との日常的付き合いの中で財政・金融理論は滑らかに形成されていったものと思われます。」こういうノーベル賞コンプレックス丸出しの議論はやめにしないと思考停止に陥ります。
3.「高橋氏は東大法学部出身の大蔵キャリヤー官僚たちの数学の素養の不足を批判というより、明らかに蔑視すらしています。」
他人を蔑視することは、大和魂からはでてきません。また他の人に関して「その人は、他の人を蔑視している」ということは、他人を蔑視することより数等程度の低いことです。
TK氏の真摯な考察・努力は賞賛いたしますが、こういった情緒的かつ無責任な議論は害毒を流します。
(ST生、神奈川)
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(読者の声4)新潟IDさんのご意見と全く同様の感想を持ちました。ここ数年のマスコミはとても暴力的な感じがします。
一度、標的になったら徹底的に叩く。(それが原因で自殺された方への配慮はなし、反省もなし)空恐ろしい感じがして、私も日本的ではない違和感を感じます。
アナウンサーの言葉に違和感を感じる事も(NHKでですよ)近年度々。(日本的でない共産主義国のような独特な表現の時が・・この原稿を書いたのは日本人ではないのでは?)国に大事が起きた時、NHKは大丈夫なのでしょうか?
本当に不安です。不信感、そして不安感を煽られ、日本は何処へ向かって行くのでしょうか。
(YM子)
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(読者の声5)あと2年で、テレビ放送も地上デジタル放送への移行という節目を迎えますが、電子情報の普及により、新聞雑誌等の固定情報誌が危機を迎えそうだという貴誌の予測は、電子情報時代の先行きを見通しているのかもしれません。
すなわち電子情報は、2階部分として一階の従来の固定情報より、はるかに見通しのよい場所に立ち、時代のニーズを満足させる。それゆえ、一階の情報インフラとしての従来の新聞雑誌情報の役割は、見直されざるを得ず、2階部分である主力となった電子情報事業が、自らの情報を手早く総合的に、後からそれを閲覧するための、いわば、自らのサービス事業の一環として、1階の新聞雑誌事業を包摂していく。
つまり主体となった電子情報事業は、その補助機能を担うことになった新聞雑誌事業を自らの内部に組み込んで運営していく、といずれ、そのようなことになるのだろうか、などと想像してしまいます。
そのような未来の情報産業の構図の一つが見えてくるように思いました。
(ともあれ、新聞を手にとって読む、あの手軽さや全体の手っ取り早い見通しのよさは、失われたくないものだと思います。)
これは、一見、マイナーがメジャーを従えるという、主客逆転の面白さのように見えますが、実際は、マイナーがメジャーに取って代わって、メジャーになるだけであり、与野党逆転の構図のように思えば、いささか興ざめです。またしてもマイナーゆえの先鋭な文化が市場経済という金儲けシステムに吸収されると。
ポストモダンの文化的進化論も、所詮、経済万能主義には適わないようです。
ただ、時代の流れには、ある意味で人間はなすすべがないのであり、自分を見失わないように対処するしかないでしょう。
それでもマイナーこそ文化の根源であり、金儲けできなくともその分、メジャーより、奥深い魅力がある、これが本当でしょう。そのような魅力を電子情報事業には保ち続けてもらいながら、片足だけ経済万能主義に付き合ってもらいたい。
そうすれば経済半能主義くらいになって、真のインテリジェンス大国として日本は面目を保てるのではないか。その意味で電子情報産業の一方的な経済的進化は、日本の恥部になりかねません。
それは良心というものなのだろうか。いや、日本の大和魂の問題でしょう。
(W生、武蔵野)
(編集部より)ご質問、ご意見の(2)-(5)に関しましては、いずれ時間のあるときに改めます。なお小誌、22日まで休刊しますので、掲載は23日付けからとなります。予めご了解下さい。
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