わたしの島
季節がめぐり冬が終わればふきのとうや
つくしが芽を出し春を告げる
梅の花が山を彩りうぐいすが谷間で鳴く
菜の花や水仙が咲く時期が終われば
公園で桜が咲き人々がくりだしてきて
花の下で宴を楽しむ虫も蝶も春を喜ぶ
山々に積もった雪が解け冷たい水が川に流れ出し
一斉にさまざまな花が開いて田んぼに水が満ちる
水の中にはおたまじゃくしがあふれる
海や川には魚が泳ぎ、田んぼの稲は
五月の陽を浴びてすくすくと育つ
梅雨になれば毎日のように雨が降りそそぎ
山も畑も青々と茂ってゆく
人々は恋をしたり結婚したり子供を産んで
育てたりまた老いて亡くなったり
喜んだり悲しんだり時には単調な日々に
飽きたり思わぬ出来事に苦しんだりしながら
それでもこの島で生きていく
つばめが家々の軒に巣を作っても
人々はそっと迎えてヒナの巣立ちを見守る
セミが鳴く蒸し暑い夏がくれば
子供たちはプールや海や川で泳ぎを楽しむ
大人たちはデパートやショッピングモールで
涼みながら買い物を楽しむ
朝顔やひまわりや芙蓉の花を目にしながら
子供たちは短い夏休みを楽しむ
おとなしくて礼儀正しい人々が住む
小さな島には勤勉で優しくて頭のよい人々が
新しい物を丁寧に作っている
新しい芸術や音楽や娯楽もいつも受け入れられ
世の中に広まっていく
昔ながらの物や習慣も消え去らずに細々と
新しい世代に受け継がれていく
夏の夜は川原で花火が打ち上げられ
浴衣を着た若い男女の心に夏の思い出が
刻まれていく
涼しい風が吹く頃は田んぼの稲は黄色に色ずき
たわわに実った穂は頭をさげて収穫の時を迎える
コスモスが咲き終わり彼岸花が道端に咲く
きんもくせいの花が落ち公園や山々の木々が
紅葉しやがて葉を落とす
りんごや柿などの果物がたくさん店に並び
人々はおいしいものをたくさん食べて少し太る
北風が吹くと人々は新しい冬服を買いに出かける
クリスマスのイルミネーションが町に飾られて
雪が降り出すと人々はいつもどおりの冬がきた
ことを感じてほっとする
伝統を重んじる人々はこうじでできた保存食を用意し
おせち料理の予約や正月の用意を考え始める
人々は四つの季節を過ごしながら大人になり老人になる
海から獲れた魚を食べ里でとれた米や野菜を食べ
外国から珍しい食品を取り入れて主食やおかずにしながら
この島で生きてこの島で死んでいく
たとえ火山が火を噴き地が揺れても津波が押し寄せても
外国の陰謀に翻弄されて戦いに敗れても
この島の人々はまるで気にしないで生きていく
苦しみが終わればまるで何事も無かったかのような顔をして
それが
わたしの島
愛すべき人々が住む日の昇る東の国
清らかな水の流れる緑豊かな美しい島
わたしの愛するこの島の名前は日本
この島と島の生き物を悪い人たちから守るのは
わたしの誇りわたしの務め
日本に生きる全ての人の務めです