ローマ法王:火消しに躍起、英司教がガス室否定発言
ローマ法王:火消しに躍起、英司教がガス室否定発言
【ローマ藤原章生、ベルリン小谷守彦】英国の超保守派カトリック司教がナチスによるユダヤ人虐殺を疑問視する発言を行い、ローマ法王ベネディクト16世が4日、発言撤回を求める声明を発表した。法王は和解を進めるユダヤ教との関係悪化を懸念し、火消しに躍起になっている。
発言が問題になっているのは英国のウィリアムソン司教。88年に前法王ヨハネ・パウロ2世の許可なく聖職者に就任したとして破門されたが、今年1月、超保守派との和解を図るベネディクト16世によって破門を解除された。
ところが、同司教が昨年11月、ドイツでスウェーデンのテレビ取材に対し「ヒトラーの政策で600万人のユダヤ人がガス室で殺されたというが、それを否定する歴史的証拠があると思う」などと発言していたことが問題になった。
今月3日にはベネディクト16世の出身国ドイツのメルケル首相が「放っておけない問題だ。法王やバチカンの(問題発言に対する)態度表明は十分ではない」と述べるなど、破門を解除した法王に批判が集まっていた。
ドイツ刑法は、ナチスによる大量虐殺の否定や矮小(わいしょう)化を最長5年の禁固刑と定め、厳しく対処している。
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20090206k0000m030057000c.html?link_id=TT004