鳥取県かにかご漁業組合所属のカニかご漁船「第38吉丸」(122トン)が日本海でロシア当局に拿捕(だほ)された事件で、政府は28日、ロシア政府に対し、外交ルートを通じて事実関係の確認を急ぐ一方、乗組員の解放と船体の返還を求めた。
外務省と同船を所有する日吉水産(鳥取県境港市)は、同国ナホトカに連行されている安藤正史船長(43)ら乗組員10人の無事を確認した。鳥取県は同日午前、庁内連絡会議を開き、対策を協議。全員の早期解放に向け、外務、農林水産両省に働き掛けていくことを決めた。
同社関係者によると、午前5時ごろ、同船漁労長の船越信弘さん(64)と船舶電話で話し、乗組員全員の無事を確認した。日本とロシアの排他的経済水域(EEZ)の接する付近で停泊していたところ、ロシア側の領海に流されたようだと話しているという。
河村建夫官房長官は28日の定例会見で、日本側の照会に対し、ロシア側は同船がロシアのEEZで違法操業していた疑いで拿捕したと回答してきたことを明らかにした。
乗組員はナホトカに連行中で、29日朝に到着の予定だが、電波状況が悪く、連絡は取りにくくなっているという。(2009/01/28-12:08)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200901/2009012800230&rel=y&g=soc
~~~~~~
出入国カード要求のロシアを批判=北方4島支援事業で官房長官
河村建夫官房長官は28日午前の記者会見で、北方4島住民への支援物資を搬入する日本外務省職員らにロシア側が出入国カードの提出を求めている問題について「支援物資の供与は、領土問題に関する日ロの法的立場を害さないよう、身分証明書などによって(手続きを)行う約束で、それ以外は受け入れられない」と述べ、ロシア側の対応を批判した。
河村長官は、「ロシア側は、物資搬入の直前に、一方的に出入国カードの提出を求めてきた」などと説明した。(了)
(2009/01/28-12:30)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200901/2009012800369&rel=j&g=soc
~~~~
政府、北方4島への支援中止=ロ側が出入国カード要求-ビザなし交流に影響
北方4島住民に人道支援物資を届けようとした外務省職員らに対し、ロシア側が出入国カードの提出を求めていた問題で、政府は28日、物資提供を取りやめ、職員らが乗ったチャーター船を引き返させることを決めた。日ロ両政府は、解決に向けて話し合いを続けることで一致したが、ロシア側の対応次第では、「ビザなし交流」が中止に追い込まれる可能性も出てきた。
チャーター船は27日未明、注射器やガーゼ、血圧測定器などの医療用品(総額1280万円相当)を積み、北海道の根室港を出発。国後島沖合に停泊中に、両政府間で交渉したがまとまらず、物資提供を断念した。同船は29日に現地を離れ、根室港に引き返す。
ビザなし交流は、日本人と4島のロシア人住民が旅券や査証(ビザ)なしで相互訪問する枠組みで、1992年にスタートした。これまで日本人は身分証明書だけで上陸でき、出入国カードの提出を求められたことはなかった。
しかし、ロシア側は今月23日、「法改正により出入国カードが必要になった」と通告。4島の実効支配をアピールする狙いとみられるが、日本側は「北方4島はわが国固有の領土であり応じられない」と反論。流氷が近づいてきたため、調整がつかないままチャーター船を出港させた。
外務省の武藤顕ロシア課長は28日午後、ロシア大使館の担当者を同省に呼び、「遺憾の意」を伝達。ただ、事態打開を目指して協議を続けることは確認した。兒玉和夫外務報道官は同日の記者会見で、「カード提出を一方的に要求してきたため、中止せざるを得なかった。ロシア側の対応は理解に苦しむ」と批判。同時に「北方領土問題の解決を含む平和条約交渉に影響を及ぼすことがあってはならない」と述べた。(了)
(2009/01/28-20:30)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009012800739&j1
~~~~