イランでは、石打ちの刑がまだあるもよう。
夫殺しの女への投石刑の判決、最高裁で支持
2008年11月29日付 E'temad-e Melli紙
アフサーネという名のシーラーズの女に対して、ファールス州刑事裁判所第5法廷で下された第一審での投石刑の判決が、国の最高裁判所第27法廷でも支持された。
本紙の報告によると、アフサーネは夫を殺害した容疑で逮捕されていた。この女はレザーという男と関係をもった後、夫の殺害を決意、レザーを共犯として夫を銃殺した。
こうして87年ファルヴァルディーン月21日〔2008年4月9日〕、ファールス州刑事裁判所第5法廷はアフサーネに対して、キサース刑ならびに投石刑を言い渡していた。
判決文の一部には次のようにある。「本件に関する数々の証拠、ならびに被告人らの供述から、アフサーネ・R女史によって故意に殺人が行われたことは確実であり、被告人にキサース刑〔同害報復刑、ここでは死刑〕を言い渡し、不義密通の罪については、裁判所は自らの良識により、アフサーネに投石刑を言い渡す。またレザーについては、故意による殺人を幇助した罪で禁錮15年、(レザーは既婚者ではなかったことから)姦通を犯した罪で鞭打ち100回を言い渡す」。
最高裁判所はこの判決に対する見直し請求を却下、同第27法廷の裁判官は87年モルダード月14日〔2008年8月4日〕、第一審の判決を支持する判断を下した。
このことに関し、ファールス州弁護士協会人権委員会の委員長はこの女性への投石刑の判決について、次のように指摘している。「アフサーネ女史の投石刑に関して出された判決は、《裁判官の良識》に基づいて出されたもので、姦通罪の証明要件としてイスラーム刑法が定めるところのものと矛盾しており、議論の余地がある。というのも、一般裁判所の裁判官5名は〔イスラーム刑法が定める〕4回の告白と4名の証人〔という要件〕をきちんと考慮していないからだ」。
「投石刑の執行停止に関して出された〔司法権長からの〕通達も、法〔の執行〕を阻止することはできない。裁判所もまたこの通達に注意を払っていない。この通達は司法システムの外にある〔=法的根拠がない〕からだ」。
ゴラームホセイン・ライースィー委員長はこのことについて、立法は姦通罪に対するハッド刑〔※コーランやハディースに言及された固定的な身体刑〕の執行について、二つの要件、つまり本人の告白と証人の証言のみを認めていると説明する。それゆえ、現行のイスラーム刑法第99条に基づけば、ハッド刑の証明・執行にあたっては《裁判官の良識》が入る余地は認められていないのだ。
同氏は次のように言う。「アフサーネに対する投石刑の判決が違法である可能性は高い。われわれはこの判決が執行されないことを願っている。私は投石刑の執行に強く反対しているからだ」。
関連記事(いまだ続く投石刑の執行)
いまだ続く投石刑の執行
2008年07月21日付 E'temad-e Melli紙
第6期国会のある国会議員がイラン・EU間の人権協議の終了を明らかにし、それを受ける形で、司法権長により投石刑執行停止命令が発出されたとの報道がなされてから6年が経った。しかし、その4年後にマシュハドの墓地で投石刑が執行されようとは、誰が予想しただろうか。
当初この報道は司法当局者により否定されていたが、事実はこれらの否定をすべて覆すものだった。最終的に報道は肯定され、国内での投石刑の復活に対する懸念が沸き起こったのである。(‥‥)
司法権長がガズヴィーン州司法総長に対して、ジャッファル・キヤーニー〔男〕とモキャッラメ・エブラーヒーミー〔女〕に対する投石刑の執行停止を明確に求める書簡を発出したにもかかわらず、その後、昨年のホルダード月27日(2007年6月17日)朝、ターケスターン検察支部の決定により、いとも簡単にガズヴィーン州ターケスターン市においてジャッファル・キヤーニーに対する投石刑が執行されたことで、この懸念はさらに強まった。
刑の執行から2日後、司法権報道官のアリーレザー・ジャムシーディーは、刑執行を担当した裁判官とターケスターン市の司法当局者が司法違反の容疑で立件される見通しを明らかにしたが、時すでに遅し、ターケスターン州にて2人の被告のうち1人が投石刑に処されてしまった後のことだった。
今日に至るまで、上述の違反容疑に関する調査の進捗状況については、何ら新しい情報は明かされていない。しかしこのことをきっかけに、女性の権利保護を求める活動家や本件の担当弁護士らが、残り1人の被告の(投石刑執行の)恩赦を命じる直接的かつ明快な通達の発出を司法権長に早急に求める結果となったことも事実だ。
そして本件の担当弁護士であるシャーディー・サドルやサイード・エグバーリーらによる継続的な活動の末、ついにこの請願は1386年末〔2008年3月中旬頃〕に実を結んだ。ハーシェミー=シャーフルーディー司法権長がモキャッラメ・エブラーヒーミーの恩赦を求める請願書に同意し、同被告は8年ぶりに刑務所から釈放されたのである。
法律家や女性の権利保護を求める活動家の当時の喜びは、しかし1387年の年明け〔2008年3月22日~〕とともに最高潮に達するどころか、あっという間に終わりを告げてしまった。というのも、再び気がかりなニュースが飛び込んできたからである。(‥‥)
恩赦審査委員会、被告の恩赦を認めず
昨日(7月20日)、「ボランティアで活動を行う弁護士ネットワーク」は、8人の女性と1人の男性に対する投石刑が執行される可能性があると発表した。(‥‥)
マルヤム・キヤーンエルスィー、モハンマド・モスタファーイー、ジャッバール・スーラティー、シャーディー・サドルらは、上述の情報を明らかにする以前から、記者らに次のように指摘していた。「これらの問題は氷山の一角にすぎない。おそらく全国で投石刑を宣告された被告人の数は、同ネットワークと女性の権利保護を求める活動家らにより明らかにされた事例の数を上回るであろう」。
コブラー・N、イーラーン・A、ショマーメ・Q、ゾフレとアーザル・K兄弟、アシュラフ・K、ヘイリーエ・V、レイラーグとアブドッラー・F兄弟。彼ら・彼女らは投石刑を宣告された者たちの名前である。これまでの追跡調査から、各被告らはできるだけ早い時期に投石刑に処される方向で事が進められている模様だ。
13年前からタブリーズ中央刑務所に収監されているコブラーの弁護士、マルヤム・キヤーンエルスィーは、上述の受刑者らの恩赦を求める公式な請願書の公開を前に、次のように述べた。「女性活動家のグループが、ボランティアで活動を行う弁護士らの協力を得て(‥‥)司法権長から被告人らの放免ないし恩赦を命じる判断を得るまでに2年近くを要した。そして、これまでに5人の男性と1人の女性が投石刑の執行を免れている」。
一方で、ボランティアで活動を行う弁護士ネットワークのメンバーであるキヤーンエルスィーによると、上述の活動はイスラーム刑法上定められた投石刑の撤廃に至らなかったばかりか、再び法律の範囲内で同刑の執行が繰り返されることで、被告らが置かれた状況は以前にも増して深刻なものになっているとのことである。キヤーンエルスィーは、「投石刑撤廃に向けた最大限の努力にも関わらず、司法当局者らは数日前に国会の司法委員会で総則が承認された新法案の中で、再び投石刑の内容を盛り込んでいる」と話した。
キヤーンエルスィーは続けて、自らの弁護依頼人であるコブラーが置かれている状況に関して指摘しつつ、「私の弁護依頼人は懲役期間が終了して3年が経つが、依然として刑務所に拘禁されている。これまでに3度恩赦を要求したが、3度とも恩赦審査委員会の委員らにより却下されている。コブラーは危険な状況にあるため、公式に司法権長による恩赦を求める」と語った。
同弁護士は昨日、司法権長の見解を得るため、司法権長に書簡を送ったことを明らかにした。同弁護士は本件の趣旨を簡潔に指摘した上で、「サナンダジュ出身、学歴高卒。43歳のコブラーは、12年間彼女に売春婦として働かせた夫の殺害を幇助した罪で、8年間収監された。刑期を終えて3年が経過した今、コブラーの子供らが父親の母親に対する暴力及び売春の強要を告白しているにも関わらず、恩赦審査委員会の委員らは彼女の恩赦の要求に応じようとしていない」と語った。
〔訳注:投石刑は姦通罪を犯した男女に対するものであり、それゆえ「コブラー」の8年間の禁固刑は夫殺害の幇助に対するもので、投石刑は彼女が「売春」をしたことに対するものであると考えられる〕
ターケスターンで男性に投石刑が執行:司法権長の中止命令にも関わらず
2007年07月09日付 E'temad-e Melli紙
先週の木曜日の朝、ターケスターン市〔テヘランの北西にあるガズヴィーン市から南西にある町〕で投石刑を宣告された2人の被告のうち1人に対する刑執行が、司法権長の停止命令にも関わらず、公衆の面前でなされた。
投石刑を宣告されたこの男性と女性は、11年前からターケスターン刑務所に拘置されていた。彼らへの投石刑は、「裁判官の良識」のみを根拠として、今年の6月21日にターケスターン市の墓地にて、公衆の面前で執行されることになっていた。しかし水曜日の朝(6月20日)、ハーシェミー・シャーフルーディー司法権長の刑執行停止命令の発令によって、この投石刑執行は中止され、本件の再審理が決定されていた。〔国際世論への配慮から投石刑の停止を以前から命じていた〕司法権長の機密通達に反して出された〔今回の〕判決を、ある特別チームが検討することも決められていた。
しかし再審理は行われず、7月5日木曜日の朝、刑執行担当の裁判官は本件の被告男性をターケスターン市の「アーグ・チェコン」村に移送し、投石刑を執行した。村の住人の話によると、この投石刑は役人と付添いの刑執行担当の裁判官だけで行われた。
地域住民、及び同地域選出のある議員の関係筋はいずれも、投石刑が執行された事実を確認し、本件に関して詳細を明らかにしているが、司法当局者の誰一人として、本件に関する説明・回答の用意はなく、この件の説明は後日に先送りされている。
ターケスターン司法支部のある裁判官は、43歳女性と47歳男性の起訴事実・事件調書を審理した後、「裁判官の良識」を以って、11年間刑務所に拘置されていた2人の被告に対し、「公衆の面前での投石刑」を言い渡していた。
他方、6月20日司法権長による投石刑執行停止命令の発令に合わせる形で、ガズヴィーン州司法総長は本件の審理を高等司法機関に移し、本件に関する司法権の明確な見解の表明に期待する旨を、ファールス通信に伝えていた。
また同日(6月20日)、司法権監督調査局総局長も、「〔投石刑の〕判決が下された事実を否定し、流言」であるとしていたが、投石刑の執行はそのような中で行われたことになる。
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日本のお姉さんの意見。↓
投石刑は、普通の死刑よりも絶対に痛いと思う。