「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 オバマ政権は外交、軍事、財務をほぼ旧体制に丸投げ
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年) 12月2日(火曜日) 貳
通巻第2411号
おめでとうヒラリー、市場は700ドルの暴落で“歓迎”
オバマ政権は外交、軍事、財務をほぼ旧体制に丸投げ
*********************
新鮮味はゼロに近くなった。
とくに新政権の財務金融関係がひどい。クリントン時代の民主党エスタブリッシュメントが出そろったからだ。
背後に控えるポール・ボルカー(元FRB議長)とロバート・ルービン(元財務長官、前ゴールドマンサックス会長、シティグループ最高経営顧問)。パワー・ハラスメントでハーバード学長を追われたローレンス・サマーズ(前財務長官)。その家来筋のガイトナーNY連銀総裁が、新財務長官だ。
日本にタフな圧力をかけるメンバーばかり。この人たちは基本的に通貨、金利、為替における日本の主権を軽視する猛者ばかりだから日本は米国赤字国債をさらに引き受けざるを得ず、それによってドル急落を防ぐ防人(さきもり)、いやドルの番人役をやらされるだろう。
軍事、国家安全保障に関しては急激な路線変更を危険視する側近の意見を聞き入れ、ゲーツ国防長官を留任させ、NATO司令官、海兵隊司令官をつとめた軍人エリートのジム・ジョーンズを大統領安全保障補佐官(キッシンジャーやブレジンスキーらが担った役割)に抜擢した。
新国務長官に予想通りヒラリー・クリントンが指名された。
爾後、アメリカ外交を、このリベラル派の弁護士が牽引する。
中国ロビィ、イスラエル重視、日本軽視の典型。このヒラリーが米国外交を司るのだから、日本は国益がぶつかり激しく衝突する場面が繰り返すだろう。
ワシントンポストは、彼女は有能だがチームワークを軽視して独自路線を突っ走る恐れが高く、オバマの指名は誤りだ、と書いた。
日本外交にとって最大のポテンシャル・エネミーの登場、逆説的に言えばヒラリーの対日スタンスの乱気流によって日米間に緊張感が走り、みながワシントンと北京の薄汚い関係に注目することになる機会ともなるだろう。
1日のウォール街はヒラリー・クリントン国務長官と聞いて失望、700ドルの暴落で答えた(ダウ工業平均の速報値は、679ドル95セント安の8149ドル9セント)
△
♪
(読者の声1)昨日、田母神氏の会見が外人記者クラブでありました。なかなか痛快な講演でした。
日本を侵略国だというなら、英、仏、独、蘭、露こそそうだった。日本がそうだったとしても西欧列強よりマイルドだった。
日本は9帝大のうち2帝大を朝鮮、台湾に設立したこと、士官学校に朝鮮人、中国人も入れたこと、朝鮮李朝の王族を日本の皇族と同等に遇したこと、梨本宮家の姫を配偶者としたことを挙げて、英王室がインドで、蘭王室がネシアで同じことをしましたか?と。
英がビルマ王室にした仕打ち(インドに流して某殺)に言及したらもっとよかったでしょう。
田母神氏は「西尾幹二」氏の名を挙げて、戦後GHQによる7700冊の焚書の暴挙、そして出版放送への検閲統制も指摘していました。
多くの不勉強な外人記者ジャーナリストが初めて聞く西尾幹二という人名と歴史の真実! 冗談でなく、奴らにとっては謀略史観に等しい田母神発言でしょう。良心的なジャーナリストならそれはホント?と調べるでしょう。
「史実を発信する会」あたりに英文ダイジェストを作成してもらい彼らに渡したらよいかなと思います。
(有楽生)
(宮崎正弘のコメント)外国人特派員に良心的な人は少数派。今朝(12月2日付け)のヘラルドトリビューンは、付録のASAHI SHIMBUN23面で「もし日本だけが侵略主義なら、ほかの列強をどう評価するのかと講演した」と短い報道があるのみです。
♪
(読者の声2)殆ど毎日楽しみに貴誌を拝読しています。休刊が続くとがっかりしますが、復刊するとまた異なった分野の解説が聞けたりするので、楽しいです。このところニュース解説がないと思っていたら二日連続で書評でした。それも書店で見かけない書籍ばかりで参考になりました。
ところで質問です。発売された『正論』正月号のグラビアをみたら、石平さんの特集です。宮崎先生も、この正論のグラビアに数年前に登場されました。高校時代の馬術部の写真がでていて驚きました。
今月の石平氏のグラビアに、なぜか、宮崎先生も一緒に撮っているではないですか。しかも石さんが「父のように慕っている」と書いています。お二人はどのようなご関係でしょう?
(WK、茨城)
(宮崎正弘のコメント)小生もあわてて正論のグラビアを見ました。石平さんの四川省の子供時代から北京大学、そして日本留学から天安門事件での日本での抗議集会など、今日までの写真集ですね。小生も初めて見る写真が幾葉かありましたね。
じつは小生、石さんのデビュー作の解説を書いて、それ以来のおつきあいですが、孔子の素養がある珍しい中国人で、しかも哲学思想を、日本語で喋る人ですから、これからの活躍に期待ですね。
というわけで、ついでに宣伝しておきますと来春三月頃、二人の共著を出します。年前にゲラに手を入れる工程です。
◎ △
宮崎正弘の新刊予告
『やはり、ドルは暴落する! 世界と日本はこうなる』(ワック文庫)
(予価933円。12月26日発売予定!)
宮崎正弘の最新刊
『中国がたくらむ台湾沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ)
(全332ページ、写真多数、定価1680円)
『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
◎小誌の購読(無料)登録は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2008 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。
平成20年(2008年) 12月2日(火曜日) 貳
通巻第2411号
おめでとうヒラリー、市場は700ドルの暴落で“歓迎”
オバマ政権は外交、軍事、財務をほぼ旧体制に丸投げ
*********************
新鮮味はゼロに近くなった。
とくに新政権の財務金融関係がひどい。クリントン時代の民主党エスタブリッシュメントが出そろったからだ。
背後に控えるポール・ボルカー(元FRB議長)とロバート・ルービン(元財務長官、前ゴールドマンサックス会長、シティグループ最高経営顧問)。パワー・ハラスメントでハーバード学長を追われたローレンス・サマーズ(前財務長官)。その家来筋のガイトナーNY連銀総裁が、新財務長官だ。
日本にタフな圧力をかけるメンバーばかり。この人たちは基本的に通貨、金利、為替における日本の主権を軽視する猛者ばかりだから日本は米国赤字国債をさらに引き受けざるを得ず、それによってドル急落を防ぐ防人(さきもり)、いやドルの番人役をやらされるだろう。
軍事、国家安全保障に関しては急激な路線変更を危険視する側近の意見を聞き入れ、ゲーツ国防長官を留任させ、NATO司令官、海兵隊司令官をつとめた軍人エリートのジム・ジョーンズを大統領安全保障補佐官(キッシンジャーやブレジンスキーらが担った役割)に抜擢した。
新国務長官に予想通りヒラリー・クリントンが指名された。
爾後、アメリカ外交を、このリベラル派の弁護士が牽引する。
中国ロビィ、イスラエル重視、日本軽視の典型。このヒラリーが米国外交を司るのだから、日本は国益がぶつかり激しく衝突する場面が繰り返すだろう。
ワシントンポストは、彼女は有能だがチームワークを軽視して独自路線を突っ走る恐れが高く、オバマの指名は誤りだ、と書いた。
日本外交にとって最大のポテンシャル・エネミーの登場、逆説的に言えばヒラリーの対日スタンスの乱気流によって日米間に緊張感が走り、みながワシントンと北京の薄汚い関係に注目することになる機会ともなるだろう。
1日のウォール街はヒラリー・クリントン国務長官と聞いて失望、700ドルの暴落で答えた(ダウ工業平均の速報値は、679ドル95セント安の8149ドル9セント)
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(読者の声1)昨日、田母神氏の会見が外人記者クラブでありました。なかなか痛快な講演でした。
日本を侵略国だというなら、英、仏、独、蘭、露こそそうだった。日本がそうだったとしても西欧列強よりマイルドだった。
日本は9帝大のうち2帝大を朝鮮、台湾に設立したこと、士官学校に朝鮮人、中国人も入れたこと、朝鮮李朝の王族を日本の皇族と同等に遇したこと、梨本宮家の姫を配偶者としたことを挙げて、英王室がインドで、蘭王室がネシアで同じことをしましたか?と。
英がビルマ王室にした仕打ち(インドに流して某殺)に言及したらもっとよかったでしょう。
田母神氏は「西尾幹二」氏の名を挙げて、戦後GHQによる7700冊の焚書の暴挙、そして出版放送への検閲統制も指摘していました。
多くの不勉強な外人記者ジャーナリストが初めて聞く西尾幹二という人名と歴史の真実! 冗談でなく、奴らにとっては謀略史観に等しい田母神発言でしょう。良心的なジャーナリストならそれはホント?と調べるでしょう。
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(宮崎正弘のコメント)外国人特派員に良心的な人は少数派。今朝(12月2日付け)のヘラルドトリビューンは、付録のASAHI SHIMBUN23面で「もし日本だけが侵略主義なら、ほかの列強をどう評価するのかと講演した」と短い報道があるのみです。
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ところで質問です。発売された『正論』正月号のグラビアをみたら、石平さんの特集です。宮崎先生も、この正論のグラビアに数年前に登場されました。高校時代の馬術部の写真がでていて驚きました。
今月の石平氏のグラビアに、なぜか、宮崎先生も一緒に撮っているではないですか。しかも石さんが「父のように慕っている」と書いています。お二人はどのようなご関係でしょう?
(WK、茨城)
(宮崎正弘のコメント)小生もあわてて正論のグラビアを見ました。石平さんの四川省の子供時代から北京大学、そして日本留学から天安門事件での日本での抗議集会など、今日までの写真集ですね。小生も初めて見る写真が幾葉かありましたね。
じつは小生、石さんのデビュー作の解説を書いて、それ以来のおつきあいですが、孔子の素養がある珍しい中国人で、しかも哲学思想を、日本語で喋る人ですから、これからの活躍に期待ですね。
というわけで、ついでに宣伝しておきますと来春三月頃、二人の共著を出します。年前にゲラに手を入れる工程です。
◎ △
宮崎正弘の新刊予告
『やはり、ドルは暴落する! 世界と日本はこうなる』(ワック文庫)
(予価933円。12月26日発売予定!)
宮崎正弘の最新刊
『中国がたくらむ台湾沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ)
(全332ページ、写真多数、定価1680円)
『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円)
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
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