「4兆元のウラのウラ」
大陸の風-現地メディアに見る中国社会』 第137回
「4兆元のウラのウラ」
□ ふるまいよしこ :北京在住・フリーランスライター
■ 『大陸の風-現地メディアに見る中国社会』 第137回
「4兆元のウラのウラ」
最近読んだ「東西逆転」という本の内容が頭を離れない。夏に日本で山ほど買ってきた、あれやこれやの本の中から読んでいたら、読み始めて間もないうちにリーマン・ブラザーズの破綻のニュース。わたしは日ごろから経済書は手に取らないし、それもアメリカの、さらにはサブプライム問題への関心なんて、はっきり言ってJMM土曜日版の冷泉さんのレポートで読んでいた程度だ。なのに、アメリカ人学者がア
メリカ経済の危機を世界的なメカニズムの変動を視点に入れて語る本を中国で読んでいる最中に、リーマンが本当に「コケた」のだからびっくりした。
しかし、この本は一般経済書のように難しいことを語っているわけではないのだが、それでも日ごろから経済を読む目を養っていなかった身には「さっと読んでぱっと分かる」というものでもなく、読み進めては戻り、さらに読み進めてはまた戻りという、牛のような反すうを繰り返し、結局1ヶ月かけて読み終えた。本を閉じて顔を上げてテレビを見たら、今度は中国政府が、今後2年間に4兆人民元(1人民元=約14円だから約56兆円)を投入して内需拡大を目指す緊急経済策を発表しているところだった。
ふむ、この4兆元は多いのか、少ないのか……一瞬では判断がつかない。
いや、少ないわけがない。中国政府のサイトによると、07年の政府の財政収入合計は4兆9449億元、GDP(国内総生産)は24兆6619億元だった。もちろん、この政策発表後、そのときわたしがいた香港では大騒ぎになったし、中国国内メディアにもトップで「四万億」(4兆という数字を中国ではこう表記する。「兆」という文字がないわけじゃないのに、なぜなんだろう?)という文字が躍っていた……
だから、たぶん4兆元はやはり大きいんでしょう。
政策を発表した温家宝総理は、この4兆元を内需の拡大と経済成長の維持を目指して、1)国民の住宅問題の解決、2)農村のインフラ施設の向上、3)鉄道や道路、空港などの社会インフラ建設、4)医療・文化事業の発展、5)生態環境の向上、6)産業技術の刷新と構造調整、7)地震被災地の再建、8)都市住民の収入増大、9)付加価値税改革、10)商業銀行の融資制限の緩和――の十項目に分けて投
入していくと語った。
わたしがこの4兆元の意味をはっきり理解できないでいるのは、この内容にまったく目新しさがなかったからだ。確かに昨年度のGDPの17%もの資金を投資するという政策は小さなものではない。しかし、上記にあげられた改善、建設、増大策はどれも中国がこれまで手がけてきたもので、それらを「2年間加速させる」という程度としか読めない。逆に言えば、政府としては新たになにかをしかけるよりも、これま
で問題点が目立っていた部分の強化を急ぐことで、経済成長の基盤を固めたいということなのだろう。
ただ、このうちの公共インフラと一般住宅の建設加速、そして銀行融資条件の緩和はなにをもたらすのだろうかと不安もある。というのも、ここ3年ほどオリンピックへの期待に沸く北京のみならず、中国全土で固定資産への投資が急増した結果、今年初めごろから住宅バブルが誰の目にも明らかとなり、株式市場も投資家のほとんどもが期待していた、オリンピックという「開門礼」を待たずして暴落し、低迷を続
けている。さすがに中央政府の経済担当者たちはオリンピックとともに中国経済が急降下するのを懸念して、昨年から銀行融資条件を引き締め、過剰な融資ブームにブレーキをかけたところだった……それをわずか1年ばかりで緩和しようというのである。
次にわたしが気になっているのは、この4兆元がどこから出てくるのか、という点である。
温家宝首相は中央政府を代表して、この4兆元投資策を発表した。しかし、中国では中央政府が発表した政府投資は、中央が1に対して地方と社会(つまり民間)投資が3を負担するのが通例となっている。ということは、今回の経済対策4兆元の内訳は中央が1兆元、地方と民間が3兆元を供出することになるのだが、07年度の財政収入を見ると中央の総収入が1兆7249億元、地方政府は2兆6565億元である。
実際に、「世紀の大工事」と呼ばれた、長江水域利用のための三峡ダム建設大型プロジェクトも地方政府が資金のほか労役などを投入する形で進められた。このような中央の呼びかけた政策に対して地方政府は「ノー」とは言えず、資金、人材、プロジェクトの確保に追われることになる。もちろん、政府だけではなく、各地域の民間企業、あるいはもっと下部の地方政府もそこに借り出され、資金、人材、プロジ
ェクトの供出を迫られる。
それはある意味全民運動みたいなもので、中国が改革開放以降、ゆっくりと消し去ってきた社会主義的な精神が隠れている。特に気がかりなのは、今回のような経済危機に対する経済刺激策において、そのような形をとった場合、どんな結果を生むのだろうかという点である。地方は疲弊せずにやっていけるのだろうか。そうして末端政府に行けばいくほど「勤労奉仕」にも似た姿となるプロジェクトの推進が、本当に内需を生み出せるのか。
「『民生建設への投資がかなりの比重を占めていることは良い現象だ。経済発展の問題だけではなく、同時に我われの構造的な問題を解決すれば、ここから中国経済の構造改革を進めることができる』と、湯敏・中国発展研究基金会副事務局長は楽観的だ。しかし、各地に千億単位の受注書が飛び交っていると同時に、地方政府は具体的な資金調達方法を公開していない。今年は土地売買が悲惨なほどに低迷し、土地財政収入が激減している中でいかに今後数年の財政予算を組み、これほどの資金を調
達するのか、が地方政府が直面している難題である」(「地方政府急行軍:『内需けん引』万億大モザイク」21世紀経済報道・11月17日)
アメリカから時空を超えてざざざ~っと押し寄せてくる「金融海嘯(津波)」とそれが引き起こす連鎖反応をどうやって防ぐかに頭を悩ませている中国社会は、一般にこの経済策を歓迎しており、まだ突き詰めてそのあら探しをする論調はあまりない。
しかし、月末に予定されている中央経済工作会議ではさらに国債の発行量を大きく引き上げるなどの政策が決まるとされている。そうなると大げさにいえば、「東西逆転」が指摘していたような、国際通貨である自国通貨を大量印刷して景気支援を行っていたアメリカの二の舞になるのではないか。もちろん、まだ人民元は国際通貨じゃないけれど、中国はEUがアメリカに突きつけている国際通貨のバスケット制導
入に賛成し、そこに人民元が一席を占めることができるよう切に望んでいるのだから。
さらに気になるのはこの4兆元の分配先だ。すでに政府は今月末にはまず、1000億元の投資を始めることを明らかにしたが、これを巡って地方政府の動きが活発になっている。
「各地方政府と企業は4兆元の経済刺激策の具体的実施催促が公布される前に急ぎ北京入りしている。そこにははっきりと、中央経済工作会議が具体的な支出プランを決定する前にその決定に影響を与えたいという意図がある。4兆元という巨額の公共支出に対して、各地方の偏った考えの遊説が一旦成功すれば、計画の経済振興という効力は明らかに削られるし、全体の配置も乱れてしまう…(略)…ある地方政府が遊説を通じて一旦投資を手にすると、過去の経験から見て、有効な監督メカニズムが欠落
した状態において、政治成績を求めて資金は短期的に結果を出せる工事や、メンツ立ての工事に用いられる可能性もあり、1990年代の重複建設や豆腐カス工事が行われる可能性もある」(「『遊説者たち』が4兆元にむらがるのを阻止せよ」南都市報・11月14日)
地方政府にとって中央予算獲得はどこの国でも「一大事」である。特に今回のような過去最大の経済救済策に乗り遅れるのは、全くもって損である。しかし、今年の四川大地震で目にした「豆腐カス(おから)」工事と呼ばれる、見せ掛けだけを見繕った建築物に対する監督、チェック機能は今に至るも十分に強化されたとはいえず、中央の大盤振る舞いが新たな「豆腐カス」や汚職役人たちを生み出すことは想像に難くない。
もう一つ、気になる記事が目に付いた。
それは、すでに昨年から今年にかけて、南の広東省では中小企業の倒産が激化し、その数がすでに5万社を超えているという情報に対して、広東省中小企業局トップがつい先日、「今年1月から9月にかけて広東省で倒産した企業はわずか7148社のみ」とする公式発表をしたことである。おりしも、今回の経済刺激策と同時に、温家宝首相は雇用確保のために中小企業支援を行っていくように各地方政府に呼びかけたところだった。
シンガポール紙「聨合早報」によると、鄭天祥・中山大学香港マカオ珠江三角州研究センター教授は、今年上半期に中小企業6万7000社が倒産したという国の数字のうち、少なくとも3割は工場が集中している広東省の企業だと語っている。
「鄭天祥氏によると、広東省の汪洋・党委員会書記(注・広東省政府のトップ)はこれまでずっと、高汚染、高エネルギー消費の遅れた企業は助ける必要はなく、倒産は当然のことという立場をとってきたという。広東省中小企業局は倒産は深刻ではないことを示したデータを提出することによって、汪洋氏と広東省は倒産企業救済のためのプレッシャーを減らすことができ、これまでどおり産業構造転換政策を推進できるのだ」(「広東省は企業倒産ブームを否定、学者は実情を甘く見ていると指摘」聨合早報・11月18日)
ここ数年、環境改善、そして高エネルギー消費による生産モデルの改善、産業形態のグレードアップは早くから工業化が進められた広東省や沿岸地域の目標であった。
いや、広東省だけではなく、中国全土で「高クリーン産業体制への転換」や「旧式技術を使った工場企業の閉鎖」は各分野で叫ばれてきた。広東省党書記の汪洋氏は、特に声高に積極的に産業転換を図り、確かにそのあおりで広東地区に進出していた香港や台湾企業の倒産、撤退が続き、常に香港、台湾地区のメディアをにぎわしてきたのである。
「鄭天祥元教授によると、このような矛盾は中央政府と広東省政府の間だけではなく、省政府とその傘下にある地方政府にも見られるという。省政府は高汚染、高エネルギー消費企業を追い払いたいが、各市や各地域の政府はそれを嫌がっている。
彼らの収入はそれらの企業からの税金や土地の利用料であり、各地政府は早くからこっそりとこれらの企業に多くの優遇策と利益を与えて彼らの倒産を防いでいる。現在、中央は『中小企業の支援拡大』という立場をとり、最低賃金基準の引き上げを一時的に見送ることを許しており、中央の側に立つのは企業だけではなく、広東省の各地市政府や村政府もいるだろう」(「中小企業の存亡に中央と広東省が力比べ」聨合早報・11月19日)
実際に中央政府の経済刺激策にはここ数年、政府の政策には必ず着いてまわった「科学発展観」も謳われておらず、「協調ある社会」も語られていなかった。雇用が先か、それとも経済構造の改革が先なのか。
4兆元はどこからどこへ向かっていくのだろう。この巨大な数字をはじき出す前に、中国には片付けなければならない問題が多すぎる。
---------------------------------------
ふるまいよしこ
フリーランスライター。北九州大学外国語学部中国学科卒。1987年から香港在住。
近年は香港と北京を往復しつつ、文化、芸術、庶民生活などの角度から浮かび上がる
中国社会の側面をリポートしている。著書に『香港玉手箱』(石風社)。
( http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883440397/jmm05-22
)
個人サイト:( http://wanzee.seesaa.net
)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チュウゴクは、これからも汚れていくのだろう。
あちこちで暴動が起きても、共産党員は、暴動が
起きた原因の追究と解決を図るのではなく、武力で
民衆を静めていくのだろう。そして、チュウゴクは
どんどん軍国主義になっていき、軍部の力を抑える
ものがなくなったら、チュウゴクを動かしているのは
気がつけばチュウゴク軍ということになっていくのだろう。
軍部が共産党幹部よりも賢いとは限らない。
中国軍がアメリカの力を軽く見たとき、
日本と台湾の力を軽く見たとき、中国軍は暴挙に出る
可能性もあるだろう。そうなった時に、アメリカは、日本を
助けるか?アジアの国がお互いに争ってお互いに
貧乏になったら、喜ぶのはどちらにも国債を大量に
買ってもらっている国ですよね。
アジア人もアフリカ人のように戦争ばかりして発展しな
い道を進む気なら、仕方が無い。
アジア人が頭が悪くて性格が悪い民族ばかりなら、
ずっと白人の国に便利に使われるだけで、結局
アジアは、形を変えた植民地のままなのだ。
ひとつだけ分かっていることは、何が起っても日本人は、
また灰の中から立ち上がるということだ。
戦争がなくても、ツナミや地震でやられてしまう場合
もある。
日本人のいいところは、心配性だけど、落ちるところまで
落ちたら前向きになるところかな。
悪い人もいるけれど、大体は、まじめで正直で誠実で
勤勉で、優しい人が多い国なのだ。こういう人間が
たくさんいる国は、きっと大丈夫だと思う。子供の教育
だけはしっかりやっておいて、イザというときに、自分で
自分の事を決めることができる大人に育つようにして
おいてほしい。
戦争に負けてからというもの、アメリカ任せで、日本の
政治家が日本人を守るという基本がなっていないので
いつでも、周りの国に攻め込まれそうな危うい国になって
いるから、ダメな大人が年寄りになって無力になったら、
今の子供たちが、日本をしっかり守れるようになって
ほしいと思う。学校で左翼の先生が日本の子供を
チュウゴクに都合がいい日本人に育てないようにして
もらいたいな。チュウゴクは、自分の国をどんどん
汚しているから、発展するスピードより、チュウゴク人が
公害で毒されていくスピードの方が速いかもしれない。
チュウゴク政府や軍は一般人のことなどどうでもよく、
勝手に月までいくだろうし、空母を作って戦争の準備を
していくだろう。日本は、このままなら、チュウゴクの
軍事力の脅威に押されて、チュウゴクに頭が上がらなく
なって、言いなりになっていくのだろう。
戦わずして負けるのだ。今までだってそうだった。
竹島も、東シナ海のガスも、戦わずして奪われて
外国のすき放題にさせているんだもの。日本人だって、
大勢拉致されちゃって、日本から離され、親や兄弟からも
離されて日本語教師として利用されている。
日本政府は、彼らを取り返す方法が無い。軍事力が無い。
外交もうまくない。アメリカもかまってくれない。
逆に弱くなって貧乏でこっちが助けてあげないといけない
国になっている。没落しかけている。
今までのような、党のことばかり考えて選挙ばかり気にし
ているオヤジは、政治家にしないほうがいい。日本を愛
する日本人をみんなで毎月100円出して支えて政治家
にさせて、日本を変える新しい党を作って、政治を盛り
上げていかないとね。テレビと新聞の言いなりになって
いるオバチャンやおばあさんたちをなんとか教育しないと
いけない。ほっといたら、選挙で変なのばっかり選ぶから。