「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年)11月19日(水曜日)
通巻第2394号
中国の自動車メーカーも政府に支援を要請
中国独自メーカー「奇瑞」の対ロシア向け輸出は40%ダウン
*********************
『デトロイトは米国政府の支援を受ける。それなら我々も』と北京政府に助け船を求めているのは中国の自動車メーカーだ。
トヨタ、日産など中国における自動車生産は殆どが合弁事業だが、まれな純粋国産メーカーが奇瑞(ジールイ=GEELY(英語名))。
ロシアとか、アンゴラ、ジンバブエに輸出している。ウクライナ、露西亜、ベトナムに組み立て工場がある。いずこも経営難に陥った。
GM倒産が秒読みに入り、中国も資金欠乏に見舞われている。自動車ショーは突如、がら空きとなり、売れ行きはばったり止まった。突然死に似ている。
不動産暴落、株価暴落、インフレ、消費急縮、銀行の経営難、大量の失業を抱える中国経済に、もう一つ難題が降りかかる。
◆
~~~~~~~~~~~~~~~~
(読者の声1)宮崎正弘さんの著作は、『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』、『中国がたくらむ台湾沖縄侵攻と日本支配』、『出身地でわかる中国人』を購入しております。
とても参考になります。絶対通常のマスメディアには載らない情報ですから。
さて昨日付け貴誌に紹介された岩田温(拓殖大学日本文化研究所客員研究員)氏の論文「真実の歴史の復活を求めて―検閲と東京裁判史観―」に関しての感想ですが、書かれている事には、日本人として強く同意します。
意見を述べられるほどの学がありませんが、一言だけ。
「これが特攻隊の遺書を読み、その写真を見た人々の感想なのかと疑うほどに酷い内容のものが多かった」。
日本語が書けて、日本語が話せて、かつ”日本名”を持っているのは、必ずしも”大和民族”だけではありません。悲しいかな”成りすまし”が大勢いる国です。
(二村永爾)
(宮崎正弘のコメント)漢字を読めない宰相もおります。
♪
(読者の声2) 11月15日のウイグル勉強会の広報にご協力いただきありがとうございます。当日は、遅い時間にも係らず、参加者45名と多くの方に参加頂きました。
東トルキスタン共和国の独立記念日ということで、日本人には馴染みの無い東トルキスタン共和国の建国と終焉まで、そしてその歴史を見据えて未来について参加者の方々にお伝えする事が出来ました。
簡単ですが勉強会の内容についてレポートいたしました。
http://uyghurhotline.com/081115session.php
いずれ記録した動画もアップしたいと思います。
(白石)
(宮崎正弘のコメント)ご盛会、なによりでした。
また次の会が有りましたら小誌でも紹介させていただきます。
♪
(読者の声3)「対馬だけじゃない、安全保障上の危機。所有者が防衛大臣に連絡」(夕刊フジ平成20年11月19日)。
「神奈川県横須賀市にある海上自衛隊基地や米軍基地が見渡せる高台の土地を、中国やロシアの関係者が購入しようとしていることが18日、分かった。外国関係者の思惑は不明。対馬(長崎県)の自衛隊基地周辺の土地が韓国資本に続々と買収されていることが安全保障上の問題となっているが、同様の危機が全国規模で広がっている可能性がある」。
気をつけましょう。
(T33)
(宮崎正弘のコメント)対馬の銘酒は「山猫」。自衛隊基地の周りには山猫がうようよ、というわけですね。蛇足ですが、対馬の山猫(焼酎)は結構旨いです。
○○ ○ ○○
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
♪
((((( 樋泉克夫のコラム )))))
――無原則という大原則では・・・
『中国=思想と文化』(林語堂 講談社学術文庫 1999年)
20世紀中国を代表する英語の使い手といわれる林語堂(1895年から1976年)は、「長期間にわたる苦しい思索、読書、内省の結果」えられた「自己の観点を披瀝」しようと、1935年にニューヨークで『MY COUNTRY AND MY PEOPLE』を出版した。
尤も、その裏には長編小説の『大地』で20世紀初頭の貧しい中国農民の生きる姿をありのままに描き出したノーベル文学賞受賞女流作家のP・バックの強い勧めがあった。それを邦訳し『中国=思想と文化』と改題したのが、この本だ。
さすがに著者自らが「長期間にわたる苦しい思索、読書、内省の結果」というだけあって、文庫本ながら500頁超の行間には中国の社会と人についての興味深い考察、著者ならではの皮肉やユーモア、ドキッとさせられるような記述が満載されている。だが、その眼目を敢えて挙げろといわれたら・・・
先ず儒教と道教について。
「成功したときに中国人はすべて儒家になり、失敗したときはすべて道家にな」り、「儒家は我々の中にあって建設し、努力する。道家は傍観し、微笑している」と林は説く。
ならば中国人の体内には儒教と道教が渾然と宿っている。つまり中国人の建設と努力は、いつでも傍観と微笑に変わりうるということになる。
次は「民族としての中国人の偉大さ」について。
林によれば中国人は「勧善懲悪の基本原則に基づき至高の法典を制定する力量を持つと同時に、自己の制定した法律や法廷を信じぬこともでき」る。
「煩雑な礼節を制定する力量があると同時に、これを人生の一大ジョークとみなすこともできる」。「罪悪を糾弾する力量があると同時に、罪悪に対していささかも心を動かさず、何とも思わぬことすらできる」。「革命運動を起こす力量があると同時に、妥協精神に富み、以前反対していた体制に逆戻りすることもできる」。
「官吏にたいする弾劾制度、行政管理制度、交通規則、図書閲覧規定など細則までよく完備した制度を作る力量があると同時に、一切の規則、条例、制度を破壊し、あるいは無視し、ごまかし、弄び、操ることもできる」
――なんとも融通無碍で変幻自在。絶対矛盾の自己同一。手前勝手の超自己チュー。ずばり一言で表現するなら、ナンデモあり。
第3は共産主義について。
国民党による包囲殲滅作戦から逃れ、紅軍が命からがら延安に辿り着いたのが『MY COUNTRY AND MY PEOPLE』の出版された35年の10月。当時の共産党は風前の灯火。毛沢東だって、お先真っ暗に近かったはず。
にもかかわらず林は「共産主義政権が支配するような大激変」を予想したうえで、“その先の中国”を見据え「社会的、没個性、厳格といった外観を持つ共産主義が古い伝統を打ち砕くというよりは、むしろ個性、寛容、中庸、常識といった古い伝統が共産主義を粉砕し、その内実を骨抜きにし共産主義と見分けのつかぬほどまでに変質させてしまうことであろう」と断じている。
最後は反日について。
この本の末尾近くで「中国人はたっぷりある暇とその暇を潰す楽しみを持っている」と語る林は、「蟹を食べ、お茶を飲み、名泉の水を味わい、京劇をうなり、凧を揚げ、蹴羽根で遊び・・・子供を産み、高鼾を立てる」など中国人による暇潰しを60種ほど挙げているが、43番目が「日本人を罵倒」。
当時、満州事変(31年)、満州国建国(32年)、日本軍熱河占領(33年)、満州国帝政実施(34年)と続き、反日機運は高まるばかり。そうか「日本人を罵倒」することは暇潰しの1つだったのか・・・嗚呼。
《QED》
平成20年(2008年)11月19日(水曜日)
通巻第2394号
中国の自動車メーカーも政府に支援を要請
中国独自メーカー「奇瑞」の対ロシア向け輸出は40%ダウン
*********************
『デトロイトは米国政府の支援を受ける。それなら我々も』と北京政府に助け船を求めているのは中国の自動車メーカーだ。
トヨタ、日産など中国における自動車生産は殆どが合弁事業だが、まれな純粋国産メーカーが奇瑞(ジールイ=GEELY(英語名))。
ロシアとか、アンゴラ、ジンバブエに輸出している。ウクライナ、露西亜、ベトナムに組み立て工場がある。いずこも経営難に陥った。
GM倒産が秒読みに入り、中国も資金欠乏に見舞われている。自動車ショーは突如、がら空きとなり、売れ行きはばったり止まった。突然死に似ている。
不動産暴落、株価暴落、インフレ、消費急縮、銀行の経営難、大量の失業を抱える中国経済に、もう一つ難題が降りかかる。
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(読者の声1)宮崎正弘さんの著作は、『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』、『中国がたくらむ台湾沖縄侵攻と日本支配』、『出身地でわかる中国人』を購入しております。
とても参考になります。絶対通常のマスメディアには載らない情報ですから。
さて昨日付け貴誌に紹介された岩田温(拓殖大学日本文化研究所客員研究員)氏の論文「真実の歴史の復活を求めて―検閲と東京裁判史観―」に関しての感想ですが、書かれている事には、日本人として強く同意します。
意見を述べられるほどの学がありませんが、一言だけ。
「これが特攻隊の遺書を読み、その写真を見た人々の感想なのかと疑うほどに酷い内容のものが多かった」。
日本語が書けて、日本語が話せて、かつ”日本名”を持っているのは、必ずしも”大和民族”だけではありません。悲しいかな”成りすまし”が大勢いる国です。
(二村永爾)
(宮崎正弘のコメント)漢字を読めない宰相もおります。
♪
(読者の声2) 11月15日のウイグル勉強会の広報にご協力いただきありがとうございます。当日は、遅い時間にも係らず、参加者45名と多くの方に参加頂きました。
東トルキスタン共和国の独立記念日ということで、日本人には馴染みの無い東トルキスタン共和国の建国と終焉まで、そしてその歴史を見据えて未来について参加者の方々にお伝えする事が出来ました。
簡単ですが勉強会の内容についてレポートいたしました。
http://uyghurhotline.com/081115session.php
いずれ記録した動画もアップしたいと思います。
(白石)
(宮崎正弘のコメント)ご盛会、なによりでした。
また次の会が有りましたら小誌でも紹介させていただきます。
♪
(読者の声3)「対馬だけじゃない、安全保障上の危機。所有者が防衛大臣に連絡」(夕刊フジ平成20年11月19日)。
「神奈川県横須賀市にある海上自衛隊基地や米軍基地が見渡せる高台の土地を、中国やロシアの関係者が購入しようとしていることが18日、分かった。外国関係者の思惑は不明。対馬(長崎県)の自衛隊基地周辺の土地が韓国資本に続々と買収されていることが安全保障上の問題となっているが、同様の危機が全国規模で広がっている可能性がある」。
気をつけましょう。
(T33)
(宮崎正弘のコメント)対馬の銘酒は「山猫」。自衛隊基地の周りには山猫がうようよ、というわけですね。蛇足ですが、対馬の山猫(焼酎)は結構旨いです。
○○ ○ ○○
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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((((( 樋泉克夫のコラム )))))
――無原則という大原則では・・・
『中国=思想と文化』(林語堂 講談社学術文庫 1999年)
20世紀中国を代表する英語の使い手といわれる林語堂(1895年から1976年)は、「長期間にわたる苦しい思索、読書、内省の結果」えられた「自己の観点を披瀝」しようと、1935年にニューヨークで『MY COUNTRY AND MY PEOPLE』を出版した。
尤も、その裏には長編小説の『大地』で20世紀初頭の貧しい中国農民の生きる姿をありのままに描き出したノーベル文学賞受賞女流作家のP・バックの強い勧めがあった。それを邦訳し『中国=思想と文化』と改題したのが、この本だ。
さすがに著者自らが「長期間にわたる苦しい思索、読書、内省の結果」というだけあって、文庫本ながら500頁超の行間には中国の社会と人についての興味深い考察、著者ならではの皮肉やユーモア、ドキッとさせられるような記述が満載されている。だが、その眼目を敢えて挙げろといわれたら・・・
先ず儒教と道教について。
「成功したときに中国人はすべて儒家になり、失敗したときはすべて道家にな」り、「儒家は我々の中にあって建設し、努力する。道家は傍観し、微笑している」と林は説く。
ならば中国人の体内には儒教と道教が渾然と宿っている。つまり中国人の建設と努力は、いつでも傍観と微笑に変わりうるということになる。
次は「民族としての中国人の偉大さ」について。
林によれば中国人は「勧善懲悪の基本原則に基づき至高の法典を制定する力量を持つと同時に、自己の制定した法律や法廷を信じぬこともでき」る。
「煩雑な礼節を制定する力量があると同時に、これを人生の一大ジョークとみなすこともできる」。「罪悪を糾弾する力量があると同時に、罪悪に対していささかも心を動かさず、何とも思わぬことすらできる」。「革命運動を起こす力量があると同時に、妥協精神に富み、以前反対していた体制に逆戻りすることもできる」。
「官吏にたいする弾劾制度、行政管理制度、交通規則、図書閲覧規定など細則までよく完備した制度を作る力量があると同時に、一切の規則、条例、制度を破壊し、あるいは無視し、ごまかし、弄び、操ることもできる」
――なんとも融通無碍で変幻自在。絶対矛盾の自己同一。手前勝手の超自己チュー。ずばり一言で表現するなら、ナンデモあり。
第3は共産主義について。
国民党による包囲殲滅作戦から逃れ、紅軍が命からがら延安に辿り着いたのが『MY COUNTRY AND MY PEOPLE』の出版された35年の10月。当時の共産党は風前の灯火。毛沢東だって、お先真っ暗に近かったはず。
にもかかわらず林は「共産主義政権が支配するような大激変」を予想したうえで、“その先の中国”を見据え「社会的、没個性、厳格といった外観を持つ共産主義が古い伝統を打ち砕くというよりは、むしろ個性、寛容、中庸、常識といった古い伝統が共産主義を粉砕し、その内実を骨抜きにし共産主義と見分けのつかぬほどまでに変質させてしまうことであろう」と断じている。
最後は反日について。
この本の末尾近くで「中国人はたっぷりある暇とその暇を潰す楽しみを持っている」と語る林は、「蟹を食べ、お茶を飲み、名泉の水を味わい、京劇をうなり、凧を揚げ、蹴羽根で遊び・・・子供を産み、高鼾を立てる」など中国人による暇潰しを60種ほど挙げているが、43番目が「日本人を罵倒」。
当時、満州事変(31年)、満州国建国(32年)、日本軍熱河占領(33年)、満州国帝政実施(34年)と続き、反日機運は高まるばかり。そうか「日本人を罵倒」することは暇潰しの1つだったのか・・・嗚呼。
《QED》