消費拡大と日本人の性格(外交と安全をクロフネが考えてみた)面白いよっ! | 日本のお姉さん

消費拡大と日本人の性格(外交と安全をクロフネが考えてみた)面白いよっ!

消費拡大と日本人の性格(外交と安全をクロフネが考えてみた)2008/11/11(火) 00:42:50 http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/blog-entry-689.html

 11月8日づけの産経朝刊に、”日本の未来を考える”と題して東大大学院の先生のお話が載っていた。

参考記事 

内容をかいつまんで言えば、金融不安で世界の需要を一手に引きうけていたアメリカの消費が落ち込み、世界が深刻な不況に陥るかもしれない。

それでは日本は何をすべきかと言えば、日本人でお金を持っているのは高齢者だが、消費にまわさず大金を遺産として残してしまう。

景気浮揚のためには「外需から内需へ」「貯蓄から消費へ」の動きが必要であり、それを阻んでいるのは日本人に年金・医療・教育費など将来への不安があるからだ。

だから政府が消費税を大幅に引き上げてそれをすべて年金・医療・教育・育児サービスなどに回し日本人が持つ将来の不安を解消すれば景気刺激効果が出るだろうというものである。

 結論から言えば、私はこうした考え方は大変疑わしいと思っている。

「日本でなぜ内需が伸びないのか」という問いに、日本人に年金・医療などの社会保障サービスへの不安があるから、消費ではなく貯蓄にお金がまわってしまうのだと答えるエコノミストは多い。

もしこの仮説が正しいのであれば、日本と違って国民皆保険制度がなく自己責任で民間の医療保険に加入しなければならないアメリカ人は、日本人よりもっと貯蓄率が高く消費が少なくてはならない。

だが返済能力を超えるほどの借金をしてまで消費をするというアメリカ人の消費への執念はまさに世界一であり、この先生がおっしゃっている通り世界の需要を一手に引きうけ、ここ3~4年の世界的な景気拡大の原動力になってきた。

よって、日本人の貯蓄がなかなか消費に向かわない理由は、単に社会保障サービスの高低が原因ではない。

 それでは本当の理由はなんなのか?

以前「経済学は純粋な数学だけでなく心理学も含まれる学際的な学問である」といったようなことを書いたが、

日本人が消費より貯金が大好きなのも、

株式投資よりも圧倒的に貯蓄が支持されるのも、

サブプライムローン問題で欧米金融機関が撃沈するなか日本はほぼ無傷だったのも、

下取り価格の有利さや無難さを考えてつい白い車を買ってしまうのも、

石橋を叩いて叩いて渡らないトヨタが日本企業なのも、

自分が乗る飛行機がボーイング747ジャンボではなくたとえ最新型であっても小さな飛行機やプロペラ機だとわかったら不安になるのも、

有名大学を出て大きな会社に入りたがるのも、

ついでに、出る杭になって叩かれるのを嫌うのも、みんなと同じだと何となく安心するのも、和をもって尊しとなすのも、ぜんぶ根は一緒だと思う。

日本人の性格である。

 人間の冒険心の強弱に、ドーパミン受容体D4(DRD4)遺伝子が影響を与えているという説がある。(否定する学者もいる)

DRD4遺伝子の16アミノ酸配列の繰り返し回数に個人差があり、繰り返し回数が多いほど新奇探索傾向(冒険心や好奇心)が強いのだという。

アジア人にはこの繰り返しが2~4回の人で9割を占め、7回繰り返しの人はほとんどいないとされる。
逆に白人や黒人は、5~7回繰り返しの人が多いという。

 また5HTTセロトニントランスポーター遺伝子がL型かS型かによって危険回避傾向(不安感)の強弱に影響があらわれるという。

アジア人は危険回避傾向が強くあらわれるS型が多いのだそうだ。(欧米人は不安や恐怖を感じにくいL型が多いという)

参考

こうした説がどの程度あたっているのかわからない。同じ人種・民族でも性格に個人差があるし、生まれ育った環境によっても違ってくるだろう。

だが政治にしろ経済にしろリスクを嫌うところを見れば、白人・黒人と比べて日本人は新奇探索傾向(冒険心)が弱く、危険回避傾向(安定志向)がすごく強いという印象はぬぐえないものがある。

逆に、サブプライムローンやCDSのようなハイリスク・ハイリターン投資で沈没したのが欧米金融機関ばかりというのも大いにわかる気がする。

 ここで話を元に戻せば、日本人が貯蓄好きでなかなか消費をしない理由は、日本の社会保障制度に不安があるというよりは、日本人にとって、自分で自由に使える現金や貯金が少しでも減ること自体が大変なリスクなのであり恐怖なのではないだろうか。

だから日本国内でなかなか消費が伸びず、投下資金が100%回収できる保証も無い株は好まれない。

 もし政府が消費税を高くして万全の年金保険制度を構築できたとしても、長年マスコミが国民に植えつけてきた「政府は国民の敵であり、常にろくなことをしない」というイメージから、多くの日本人は「政府は信用できない。本当に将来年金が支払われるかわからない」とか「政府が消費税を上げたから、より安いモノを買って貯金が減らないよう節約しなくては」と考えると思う。

だいたい東大大学院の経済学の先生がいう「日本人は将来の年金等に不安があるから消費しない」という説の一番おかしいところは、日本人が将来を心配する必要の無い年金を受け取る年齢になってもまだ消費せず、莫大な遺産を残してしまうところだ。

近ごろ高齢者の万引きが問題になっているが、年金や親族の援助で買えるお金を持っているのに、「自分のお金が減るのが嫌」といって万引きしてしまうケースが案外あるという。

 だから日本人の貯蓄を消費にまわすには、こうした日本人の民族性を考えて対策を立てなければいけない。

「消費拡大のためには将来の不安を解消する必要がある。だから消費税増税を」という説が大変疑わしいというのは以上見てきた通りだ。

むしろ日本人の大変ディフェンシブな性格から、消費することそのものに罰として税をかける消費税の税率をあげれば、ますます消費が落ち込む可能性の方が高いだろう。

 今話題になっている定額給付金も、日本人の性格からして、国民が一定期間内に何かモノやサービスを買ったときにだけ使えるクーポン方式にして給付しないと、ただお金をバラまいたり税金を戻したりしただけではその多くが貯蓄にまわってしまうと思う。

1年以内に使わないと紙くずになってしまう額面1000円のクーポン券を家族数にあわせて配り使ってもらう。たとえば4人家族で6万4000円分。ただしこのクーポン券でお釣りを出すことはできない。つまり100円の物を買うのに1000円のクーポン券を出して現金900円でお釣りをもらうことはできず、クーポン券はそのままパーになってしまうということ。なるべくクーポン券の額面以上の買い物をしてもらうことで定額給付金がそのまま貯蓄にまわるのをできるだけ防ぐ)

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麻生首相にアドバイスしてあげてほしいです。