決して「愛国」と「反米」は一体にならないようにうまくコントロールしているのではないか? | 日本のお姉さん

決して「愛国」と「反米」は一体にならないようにうまくコントロールしているのではないか?

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成20年(2008年)11月10日(月曜日)
         通巻第2379号 

 日本海で事故をおこして死者20名
  ロシア原潜事故と明日の日本海汚染
********************

 事故の原潜はすでにウラジオストークに帰航した。
 艦内の消化器システムが故障したため呼吸困難などで死者が二十名という前代未聞の初歩的な事故を、このまま信じて良いのか。
しかも外務省は東京のロシア大使館を通じて「情報の開示」を求めているが、ということは日本独自の調査情報がないということ?

 事故現場は沿海州、ウラジオストークはむしろ北朝鮮に近い。かつて日本は「浦塩」と呼んだ町であり、伊藤博文を暗殺する安重根は、このウラジオを拠点として反日ゲリラ活動に挺身した。

 その町にも放射能汚染がやってきた? 汚染される海水は海流を流れ流れて日本領にもやってくる。
    
   ♪
(読者の声1)田母神論文について、実は、読まないでも分る内容だろうと思って未読でした。貴誌にホームページの紹介がありましたので、拝読いたしました。
まさに正論。コンパクトによく整理されています。
これは東京裁判史観の洗脳を解く、文書によるクーデターです。自衛官なら確実にクビでしょう。
「彼ら」からすれば内容を議論させてはならず、問答無用で叩き潰さねばなりません。
「我々」としてはこれを大々的に利用すべき。田母神氏の国会での論戦,諸氏の応援を期待しております。またパンフレットなどにして全国で無償配布などできないものでしょうか。
応援のうねりを何かの形でまとめていただければ微力ながら応援したいし、そう思っている人も多いはず。なんとか形になりませんか。
(神戸・H生)


(宮崎正弘のコメント)田母神さんを支援する国民集会のようなイベントが良いですね。小生のほうは現在、11月25日の「憂国忌」を控えて、ちょっと動きにくいのですが、関係者に打診することにします。



   ♪
(読者の声2)<付け焼刃の帝国主義>
かつての日本は、やはり「侵略国家」だったのではないでしょうか。「侵略国家」というコトバの定義にもよりますが。
田母神空幕長は、書いておられる。
「日本は19世紀の後半以降、朝鮮半島や中国大陸に軍を進めることになるが相手国の了承を得ないで一方的に軍を進めたことはない。現在の中国政府から「日本の侵略」を執拗に追求されるが、我が国は日清戦争、日露戦争などによって国際法上合法的に中国大陸に権益を得て、これを守るために条約等に基づいて軍を配置したのである。これに対し、圧力をかけて条約を無理矢理締結させたのだから条約そのものが無効だという人もいるが、昔も今も多少の圧力を伴わない条約など存在したことがない。」

上に見られるのは、ひとつは、我が方の論理のみを繋いだ論法であること、そして、日露戦争以前と以後の日本を、質的に区別しておられないことです。
 また、マスコミの見出しにも採られた部分、「日本軍の軍紀が他国に比較して如何に厳正であったか多くの外国人の証言もある。我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣である。」
もこれだけ取れば論理の弱い部分で、「軍規の厳正」は「侵略」でないことの、証明にはなりません。

満州事変以降の叙述など、空幕長の凱切な歴史認識を疑うものではないのですが、表現は簡略で、隙があります。
旧軍には正義と名誉もありましたが、大きな失態もありました。これらをあわせて認めていくことこそが、犠牲に報いる道であり、また日本のガンであり当面最大の課題でもある、左まき反日病を克服するために唯一の道と信じます。
戦後日本の対立軸は、“もう誤りは繰り返しません”の内因派と、“こんどはうまくやろう”の外因派の対立だ、ともいいますが、戦後の時間の経過とともに、事実の認識がおぼろになり、主張のための主張、塹壕にこもった打ち合いの傾向が増しているのではないのでしょうか。
空幕長が魯迅なら、「村山談話」を持ち上げながら事実の肉付けをして換骨奪胎し、結果としてその反対を云ってやろう、と考えたはず。

ちなみに、昭和25年に、徳富蘇峰は書いています
「要するに日本人は、一から十まで、欧米人を師として、その足跡を追うて行っただけの事である。仔細に吟味すればする程、日本人は欧米人の弟子であることが判かる。たゞその真似が下手であって、烏が鵜の真似をなす通り、自ら溺るるに至ったのは、まことに笑止千万と云わねばならぬ。」
(「勝利者の悲哀」)。

ロシアの凶悪な赤い帝国主義、巧妙な英国帝国主義、big boy米国の本能的な帝国主義、などなどにたいして、日本が、「付け焼刃の帝国主義」をやったことは、まず事実として認めるべきと思うのです。シナ、朝鮮とて正義や信頼の通用する相手ではありません(でした)。

ところで、蘇峰はアメリカを観察して、「必ずしも他国に対して悪意を有せず、ただ自国の主張の前には容易に他を顧みるの余隙を有せざるのみ。これ群衆精神の支配する結果としてあるいはやむ可らさるものあらむ。」と見ています(「時務一家言」1913)。
そしてまた、日米関係悪化の転機は、ポーツマス条約の際にあった、この時、ロシア代表のウィッテ伯が「米国に於ける新聞の力を十二分に認識し、ほとんど両手を広げて」記者サービスにこれ勉めたのにたいし、わが小村寿太郎の「官僚式の、仁義一遍」の対応があり、これも一つの要因になった、と、指摘しています(「勝利者の悲哀」)。
オバマ氏の当選で沸いているアメリカ。いま蘇峰の警告をかみしめるべき時かもしれません。余談に流れました。
  (石川県、三猫匹)

(宮崎正弘のコメント)流れた余談のほうですが、徳富蘇峰は国民新聞によって、鋭い時局評論の傍ら『近世日本国民史』全百巻を仕上げました。その精神をつぐ現在の国民新聞は、三猫匹さんとはちょっとスタンスが違って田母神論文を正面から評価しています。

   ♪
(読者の声3)先日の朝日新聞では、ちょうど同じ日に、「沖縄集団自決裁判の大江勝訴の件」「空自トップが侵略国家否定論文でクビになった件」をウレシソウにトップで報道していたが、このように、日本や日本軍を貶める出版物は内容がウソでも「言論の自由」とやらが保障され、(おまけにノーベル賞とやらのご褒美までもらえるらしい)反対なら議論をしただけで「公職追放」とは。
 これこそ被占領下の国家のあり様ではないか。
 健全なマスコミであれば、この状態が異常であることを指摘する報道をすべきだろう。被支配下のマスコミでは無理か。
 核武装論にも「言論の自由」、「報道の自由」は無い国。サンケイとて核武装論はできないはず。中国の報道統制も笑えないではないか。

●マスコミ論:
上記のような状況を分析して、米軍による占領政策が現在のマスコミをコントロールしているという前提の仮説をたてました。
 占領軍である米軍にとって一番の恐怖、困ることは、日本の愛国主義(民族主義)的な運動が、真の独立(つまり反米闘争)へと向かうこと。つまり「愛国」+「反米」が一番困るはず。
その論調を野放しにして「愛国」と「反米」が一体化しては占領が破たんする。
(憲法9条改正、自衛隊の米軍からの独立、米軍基地からの解放、自前の核による核武装)
しかし実際には、「愛国」も「反米」も自然な感情として発生する。

そこで、「愛国」は「親米」とセットに(代表はサンケイ新聞)、「反米」は「反日」とセットに(代表は朝日新聞)することにより、決して「愛国」と「反米」は一体にならないようにうまくコントロールしているのではないか?
例えば、サンケイでは、「愛国」であっても、「愛国」が反米闘争に向かわないように民族主義的な運動は、反韓国、反中国に向かうようにコントロールし、例えば、朝日では、「反米」が、真の独立(すなわち愛国主義、民族主義)、核武装に目覚めないように中国、韓国などを利用した反日的な論調(東京裁判史観)で封じ込める。(例えば、靖国、慰安婦、南京、沖縄集団自決、天皇の戦争責任、原水禁運動・・・)

もし、「愛国」+「反米」の論調が出れば虎の尾を踏んだことになり、徹底的に弾圧される。そこまで意図どおりにコントロールしているのか、それとも占領下のマスコミが占領軍に許される範囲内で活動していたら、「特定の勢力」の影響を受けて、自然に論調を住み分けることになったのか、コントロールが効いたせいで徐々にそうなっただけなのかは不明ですが、いずれにせよ状況はそうなっている。

このような封じ込めによって、愛国的民族主義のエネルギーは、「反日的な」朝日新聞や、ケシカラン中韓による「靖国」、「南京」、「慰安婦」問題などに振り向けられ、浪費され本丸である米国からの自主独立、核武装などには至らないという巧妙な手口。
占領政策には洗脳の専門家がかかわっていたというから、あり得る方法だと思う。(もし私が対日工作機関なら、そう工作します。ついでに、周辺諸国では反日宣伝工作をすれば、占領下にある日本は反撃もできず、欧米に攻撃が向けられることはありません。欧米による植民地の分割統治のための古典的な1方法です。)

●洗脳を解くには:
私としては、「東京裁判史観」そのものに真っ向から反対した論陣を張るよりも、そういったマスコミの分析論(宣伝工作論)から攻めてみるのが「洗脳を解く」のには有効ではないかと思います。誰かちゃんとまとめて指摘して欲しい。成書があれば教えて欲しい。「閉ざされた言語空間(江藤淳)」の続編を望む。
 ホントかウソか知りませんが、日本の新しい首相は米軍の横田基地に連行され、ヘリから海面に吊るされて脅されるとかいうウワサさえある。たとえそれがウソであっても、現実に日本はそういう状況下にあるという認識が必要。(事実、米国のいいなりなら長期政権だが、都合が悪ければつぶされている)。

長年当たり前すぎて、米軍基地により占領下にあるという事実が忘れられ、占領下のマスコミは指摘もしない(できない)。
首相や議員を工作や謀略から守る特務機関がなく、対外宣伝工作機関がなく、自国が他国の軍隊に占領され、マスコミも政党も軍もすべて被支配下にありながら、なんで独立国かのような報道をするのか。

中国、韓国・朝鮮に流れる金なら、特殊組織、政治家など特定の利権構造はあるとしても、日本にも還流はする。しかし、米国に吸い取られる金(意図的な金利・為替の変動、投資資金、米国債など)はケタ違いに大きく、かつ帰ってこない。誰も指摘しないが、どっちが大きい問題か、単純な理屈。現に日本を占領している軍はどこか。
「中国が怖いよ」というが、チベットやウイグルとは異なり、米国の占領が解かれれば日本は自分で対応できること。しかし、現実には米中の封じ込めで日本の独立や核武装は無理。まあ、私が米国なら決して日本を解放したりはせず、手元においたまましゃぶり尽くします。(しゃぶりつくしたら中国に渡すか・・・?どうなるか?)
 日本人もあえて逆らってむごい目にあうよりも、気付かないふりをしているのがホントのところか。

●マスコミに期待すること:
マスコミの人間がこれを指摘しないどころか、問題意識すらないというのはいかがなものか。
リベラルなマスコミとやら、旧軍部や日本を貶めることが反体制のつもりらしいが、日本に贖罪意識を植え付け、二度と立ち上がれないようにするための反日工作、占領政策に乗せられているだけ。長いものに迎合していれば楽なものだ。米国(占領国)に対する軍事クーデターは無理でもマスコミのクーデターならできる。
一斉に自由な報道をしてしまえば取り締まりようがない。
日本の問題は、米軍の占領下で立ち上がれない状態に置かれていること。何を正義と思っているのか知らんが、噛みつく対象が間違っている。もし反体制を気取るなら、米国の困らない「ポーズの反米」でなく、米国が困る真の独立、核武装を唱えるべきだと思う。
(占領下のマスコミではできるはずがない。できるというなら核武装論くらいしてみて欲しい)
      (神戸H生)


(宮崎正弘のコメント)情報と謀略とは紙一重、インテリジェンス戦略のない日本の様を余すところなくえぐった御高論でした。
 マスコミは「ますゴミ」。
   ♪
『撃論ムック』の国際経済危機特集が発売になりました!
撃論ムック
「米中発・世界大恐慌」~日本は危機を回避できるか
http://www.amazon.co.jp/gp/product/477551279X

リーマン・ブラザーズの破産から一気に世界中に広まった金融パニック。株価は世界中で急降下し、多くの国で銀行の国有化が行われた。
その本質は何か? 来るべき世界大恐慌の引き金なのか?
ドル不安はパニックとなり、米国の金融支配は終わりを告げるのか?
グローバリズムを支えていた金融資本主義の崩壊は、何をもたらすのか? 
激変する世界情勢の中で、日本は危機を回避できるのか?

目次
◎はじめに~この破局の後に何が見えるか~/西村幸祐
◎特別座談会「金融グローバリズムの崩壊と日本の未来」/西部邁+宮崎正弘+
藤井厳喜+三橋貴明+西村幸祐

◎総特集1 21世紀大恐慌は資本主義の崩壊か
Q&A基礎から分かる世界大恐慌/解説・三橋貴明
グローバル・マネーの大敗走/西部邁
金融9・11「以後」の世界~世界は弱肉強食の戦国時代に突入する~/藤井厳喜
 
欲望の箱舟はただ絶海を彷徨う~我々は金融の本質を知っているか~/東谷暁 
百年のアメリカ金融支配が終焉する~世界の底が抜けた!?~/力石幸一 
金融大恐慌が証明した小泉=竹中路線の大罪/丹羽春喜 
金融不安から見えた、アメリカの歪み/中野剛志

◎総特集2 経済ナショナリズムが日本を救う
ニヒリズムに落ちた市場原理主義~/井尻千男 
日出づる国の百年戦争/藤井厳喜 
日本が世界大恐慌を逃れる方法はあるか?/中野剛志
COLUMN
左巻きオタク森永卓郎を斬る/桜井誠
2008年金融危機年表でおさらい
◎特集 大恐慌時代を生き抜く知恵
超格差社会と昭和維新~大恐慌と格差社会の今、歴史を振り返る~/岩田温
裸の昭和大恐慌~エロ・テロ・ストのええじゃないか~/但馬オサム

◎総特集3 世界を呑み込む中国バブル崩壊
アメリカの「中国化」 中国の「アメリカ化」/西尾幹二 
逃げ遅れた中国経済に未来はない/宮崎正弘 
リーマン・ショックで韓国経済は破産する/三橋貴明 
世界金融不安の背後で進むロシアのユーラシア経済新秩序/畔蒜泰助 
崖っぷち中国が暴走を始める/石 平 
中国は一人では死なない。香港もシンガポールも台湾も呑み込まれる/黄文雄 
シナ人はやっぱりシナ人/中宮崇 
COLUMN
今さら聞けない金融・経済用語集
(オークラ出版 1200円)
 
         出陣学徒慰霊祭催行のお知らせ
         **************
 来たる11月16日(日曜日)、靖国神社におきまして出陣学徒慰霊祭が行われます。
出陣学徒慰霊祭とは、今を生きる若者が、先の大東亜戦争において、国家の為に散華なされた若き英霊の慰霊・顕彰を学生が行うという全国でも唯一の慰霊祭で、日本保守主義研究会が毎年催行させていただいております。
            記

・日時:平成20年11月16日(日)
・場所:靖国会館2階(靖国会館内遊就館隣)
・第一部 慰霊祭記念講演会 13:30~16:00(開場13:00)
 講師:富岡幸一郎先生(文藝評論家)
 演題:大東亜戦争下の思想と文藝
・第二部 出陣学徒慰霊祭 16:00~16:30(参集殿集合)
・参加費:社会人3000円 学生:無料 (玉串料込み)。当日参加できない方も玉串料は受け付けております。なお当日参加も受け付けますのでお誘い合わせの上、ご参列下さい。
 お問い合わせはinfo@wadachi.jp もしくは 03-3204-2535 まで。
・主催:日本保守主義研究会
●賛同人の先生方(敬称略) 井尻千男 板垣正 伊藤玲子 遠藤浩一 加瀬英明 小林幸子 
小堀桂一郎 佐伯啓思 佐藤守 佐藤博志 清水馨八郎 寺尾哲男 富岡幸一郎
頭山興助 中村粲 西尾幹二 西村幸祐 花岡信昭 長谷川三千子 福井雄三
藤井厳喜 藤岡信勝 宮崎正弘 山崎行太郎
恒例「憂国忌」が近づきました
宮崎正弘の三島由紀夫論 三部作!
『三島由紀夫の現場』、『三島由紀夫“以後”』(ともに並木書房)
 『三島由紀夫はいかにして日本回帰したか』(清流出版)
宮崎正弘の最新刊
 『中国がたくらむ台湾沖縄侵攻と日本支配』(KKベストセラーズ 1680円)
宮崎正弘のロングセラー
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
『トンデモ中国、真実は路地裏にあり』(阪急コミュニケーションズ)
               (全332ページ、写真多数、定価1680円)
『北京五輪後、中国はどうなる』(並木書房、1680円) 
『世界が仰天する中国人の野蛮』(黄文雄氏との共著。徳間書店、1575円)
『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
 ◎小誌の購読(無料)登録は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
 http://www.melma.com/backnumber_45206/
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2008 ◎転送自由。ただし転載は出典明示。