太田述正氏の意見も読んでみよう。
戦争の時に、シンガポールで、チュウゴク系の市民が
殺されたのはチュウゴク系がマレーシアの独立を
阻むためにゲリラとなって、日本軍を苦しめたためだと
歴史の本で読みました。戦争のときはゲリラは、きちんと
始末しないと、日本軍がやられてしまいます。
チュウゴク系の市民は、マレー人を支配する
白人たちと手を組んで商売をしていたので、日本軍は
商売の敵だった。彼らはゲリラになってかなりの数の
日本兵を殺しました。チュウゴクのゲリラ兵たちは、
かなり手ごわい優秀なゲリラだったので、それだけ
日本軍の激しい攻撃を受けたのです。ゲリラは、普通の
服を着て一般の市民の中に潜んでいたので、ゲリラでは
ない一般市民もゲリラと思われて殺された場合もあった
はずですが、チュウゴク人は家族ぐるみ、親戚ぐるみで
一致して行動するので、全員、ゲリラと言えばゲリラ
だったのだと思います。チュウゴク人は東南アジアの
独立など望んでおらず、常に白人とともに行動していました。
シンガポールには、チュウゴク系でも、独立派で日本軍と
一緒に行動していた人もいます。シンガポールの
戦争記念館には、日本軍が来て不都合があったことなど
を記録して残しています。
アジアに日本人が旅行に行くと、しきりに日本軍が
侵略したとか虐殺したとか憎々しげに言ってくるのは
アジア人と言ってもチュウゴク系です。関係ないけど
個人的には、インドネシアで会ったチュウゴク系の
クリスチャンたちは、みんないい人たちだったので
好きです。自分たちの収入を使って孤児院を経営したり、
教会を中心として立派な福祉活動をしています。
チュウゴク人でも、クリスチャンと普通のチュウゴク人は
全然、性格や考え方が違います。
by日本のお姉さん
~~~~~~~~~~~~~
<皆さんとディスカッション>
<コバ>
集団的自衛権の容認を求める論文を公表した、田母神俊雄・航空幕僚長が更迭されました(
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081101-00000006-mai-pol
)が、太田さんは田母神氏をどのように評価しますか? 名古屋高裁での司法判断(空自の一部イラク活動違憲)に「そんなの関係ねえ」と芸能人のギャグを使ってコメントして批判されたり、今回は論文での「侵略戦争」の正当化などが批判されて更迭に至ったようです(真珠湾攻撃はルーズベルト大統領の仕掛けた罠にはまったせいとか、米国の怒りにふれたのかも?http://www.nytimes.com/2008/11/01/world/asia/01tokyo.html?hp
)。
マスコミでは否定的に報道されていますが、ウィキペディアを読むと、東大での講演(現職自衛官初!)で、「上が燃えないと組織は不燃物集積所になる」と太田さんみたいなことを言っているような…。田母神氏は善玉なのでしょうか?
<AY>
田母神俊雄航空幕僚長が更迭されましたね。
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008110102000086.html
田母神氏のお考えは、太田さんの日頃のご主張と重なる部分も多いと思うのですが、読者のみなさんも含め、どのようにお考えでしょうか。
論文はこちらで読めます。
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf
(11月2日アクセス。以下同じ)
<太田>
日本の主要紙の反応の採点から始めましょう。
・・・個人がどのような歴史認識を持とうが自由である。しかし、武装実力組織を指揮し、その発言が対外的にも責任を伴う立場にある自衛隊首脳が、政府見解に反する主張を論文という形で勝手に訴えるのは不見識極まりない。・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008110202000086
.
html
→非の打ち所がない。よって東京は100点。
・・・田母神氏の論文には、日本を「蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者だ」とするなど、かなり独断的な表現も多い。さらにそうした論文を公表すれば、インド洋での給油支援を継続するための新テロ対策特措法の国会審議などに影響が出るのは明らかである。政府の一員としてそうしたことに配慮が足りなかったことは反省すべきだろう。だが第一線で国の防衛の指揮に当たる空自トップを一編の論文やその歴史観を理由に、何の弁明の機会も与えぬまま更迭した政府の姿勢も極めて異常である。疑問だと言わざるを得ない。・・・
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/081102/crm0811020318002-n1.htm
→出だしは30点、「さらに」以下は60点、そして「だが」以下は0点、よって産経は全体的には30点。
・・・日中戦争については、「我が国は蒋介石により引きずり込まれた被害者」と主張している。だが、戦争全体を見れば、日本の侵略だったことは否定できない。日米戦争の開戦も「アメリカによって慎重に仕掛けられた罠(わな)」と決めつける。論文は、事実誤認や、歴史家の多くが採用していない見方が目立っており、粗雑な内容だ。もとより、歴史認識というものは、思想・信条の自由と通底する面があり、昭和戦争に関して、個々人がそれぞれ歴史認識を持つことは自由である。しかし、田母神氏は自衛隊の最高幹部という要職にあった。政府見解と相いれない論文を発表すれば重大な事態を招く、という認識がなかったのなら、その資質に大いに疑問がある。・・・
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081101-OYT1T00763.htm
→前半は30点、「もとより」以下は、「重大な事態を招く、という認識があったのなら、その資質に問題はない」とでも言うのか? 0点。よって讀賣は全体的には15点。
・・・一部の右派言論人らが好んで使う、実証的データの乏しい歴史解釈や身勝手な主張がこれでもかと並ぶ。・・・制服組の人事については、政治家や内局の背広組幹部も関与しないのが慣習だった。この仕組みを抜本的に改めない限り、組織の健全さは保てないことを、今回の事件ははっきり示している。・・・http://www.asahi.com/paper/editorial.html
→前段は20点、「制服組の人事」以下は、完全な事実誤認で0点。よって朝日は全体的には10点。
どうしてこのような採点になるかですが、それは、私が次のように考えているからです。
一、田母神氏の戦前についての歴史認識は、9割方、私の認識と一致している。
(一致しないところもある。「日本はルーズベルトの仕掛けた罠にはまり真珠湾攻撃を決行することになる。」のところは当時の米国を買いかぶりすぎだし、「日本軍の軍紀が他国に比較して如何に厳正であったか」のところは、比較する相手が米軍や英軍であれば間違いだ。)
ただし、彼が、(一つを除いて)日本語に書かれた文献ばかりに拠っているのは、国際的にも訴えたいのであるとすれば不適切だし、日本語文献に関しても、「右」の著者や「右」の媒体に載ったものばかりに拠っており、しかも、歴史家の書いたものがほとんど挙げられていないのは、彼が国内だけに向けて訴えたかったとしても不適切だ。(黄文雄氏の書いたものについては、私は10数年前に何冊か目を通したことがあるが、典拠がついていたためしがないので、そもそもそんなものに拠るべきではない。)
二、他方、戦後についての歴史認識は誤りの方が多い。
「ロシアとの関係でも北方四島は60年以上不法に占拠されたままである」は、少なくともうち国後・択捉両島については誤りだ。
より深刻な誤りは、
「東京裁判は<アメリカが>あの戦争の責任を全て日本に押し付けようとしたものである。そしてそのマインドコントロールは戦後63年を経てもなお日本人を惑わせている。日本の軍は強くなると必ず暴走し他国を侵略する、だから自衛隊は出来るだけ動きにくいようにしておこうというものである。」という認識だ。
私がかねてより訴えてきたように、朝鮮戦争以降は米国は一貫して日本を再軍備させようとしてきたのであり、日本側が吉田ドクトリンを墨守して勝手に再軍備をしてこなかっただけのことだがらだ。
三、しかし、そんなことよりも何よりも、歴史家でもない、つまりは専門家でも何でもない田母神氏が、歴史認識で問題提起することにいかなる意味があるのか。いわんや、職を賭して問題提起するなど愚の骨頂ではないか。
四、職を賭するのであれば、少なくとも歴史認識の話などは控えて、軍事専門家として、「自衛隊は領域の警備も出来ない、集団的自衛権も行使出来ない、武器の使用も極めて制約が多い、また攻撃的兵器の保有も禁止されている。諸外国の軍と比べれば自衛隊は雁字搦めで身動きできないようになっている。」の部分にもっぱら焦点をあて、抽象論ではなく、どうしてそれらが自衛隊の行動や自衛隊
の維持に支障を及ぼすのかを具体的に論じる方がまっとうだった。
もっとも、この類の話は、既に過去からさんざん国会や論壇で議論されてきており、議論に屋上屋を架す感は否めない。
五、職を賭すのであれば、もっと他に訴えるべきことがあるだろう、と私は思う。
私は、「航空自衛隊の組織の内情は無茶苦茶なのが実状だ。そうした環境の下、空自はパワハラが数多く見受けられ、また陸海空の中でも最も業者との癒着がひどい組織だといえよう。」と『実名告発 防衛省』の37~38頁で記したところだ。
田母神氏は、これまで航空自衛隊の幹部として、とりわけ航空幕僚長として、この自分の足下の問題にどう取り組んできたのだろうか。
私が彼の立場だったら、航空自衛隊ひいては防衛省内で最大限この問題に取り組んだ上で、天下り制度の廃止等、航空自衛隊限りでは解決できない問題について、論文を書いて発表し、その上で自分を馘首するかどうか、防衛大臣に決断を迫ったことだろう。
六、結論的に言えば、田母神氏は、自衛官幹部全体に対する信頼を失墜せしめ、内局を制服・背広混成組織にすることに対する疑念を生ぜしめ、防衛省の組織改革の最大の眼目の実現を阻害しかねない愚行を犯した、究極のKYである、ということだ。
最後に付言しておく。
海上自衛隊で不祥事が続発しているのは、私見によれば、海上自衛隊が国際感覚が最も身についており、おかげでKYでないがゆえに、自衛隊がいかに国民から何の期待もされていないという異常な組織であるかを痛感しているため、論理必然的にその士気が弛緩しているためだ。
当然、海上幕僚長がKYであるはずがないので、田母神氏のようなことをしでかすようなことはまずありえない。
他方、航空自衛隊は「ハイテクオタク集団」(同37頁)であり、その限りにおいて士気は高い。田母神氏はそのような航空自衛隊を良くも悪くも象徴する人物だと考えればよいのだ。
では、陸上自衛隊は?
普通の行政官庁類似の、高度に管理された生活互助会だと思えばよい。
普通の行政官庁は仕事をしているフリをしている生活互助会であるのに対し、陸上自衛隊はバーチャルな仕事をしている生活互助会である、という違いがある
だけだ。 だから、陸上自衛隊のKYの程度も士気の程度も航空自衛隊と海上自衛隊の中間だと思えばよかろう。
<moshika>
≫歴史家でもない、つまりは専門家でも何でもない田母神氏が、歴史認識で問題提起することにいかなる意味があるのか。いわんや、職を賭して問題提起するなど愚の骨頂ではないか・・・結論的に言えば、田母神氏は、自衛官幹部全体に対する信頼を失墜せしめ、内局を制服・背広混成組織にすることに対する疑念を生ぜしめ、防衛省の組織改革の最大の眼目の実現を阻害しかねない愚行を犯した、
究極のKYである、ということだ。≪(コラム#2888。太田)
太田さんの御主張はもっともだと思います。
ただ、民主党の鳩山由紀夫幹事長は、田母神氏の歴史認識(戦後だけではなく)について批判されていますね。
「政府の一人ひとりが、本当にかつて犯したことに対する痛烈な反省の気持ちを持っているか、確かめなければいけない。」
http://www.asahi.com/politics/update/1101/TKY200811010194.html
私は、日本の構造を根本的に変革するには政権交代しかないと考えますが、上記の発言を見ると、一度の政権交代だけでは安全保障面における大きな変革は望めないように感じました。
<太田>
最後の点については、MSさんの投稿(後掲)もご覧いただきたいですが、旧日本軍が日中戦争から先の大戦にかけて、支那やシンガポールで国際法に違反する形で一般住民の殺傷をかなり広範に行ったことは否定できない事実であり、少なくともこのことについては、現在の日本人も「痛烈な反省の気持ちを持って」しかるべきでしょう。
また、そうすることで初めて、われわれは、米国による東京大空襲や原爆投下等やソ連による在満日本人一般住民への蛮行やシベリア抑留等を批判し、米国民やロシア国民に対して反省の気持ちを持つように求めることができるのではないでしょうか。
更に戦後に、毛沢東が数千万人にも及ぶ支那人を不慮の死に追いやったこと等についても、今度は中共国民に対してね。
ところで、田母神氏の歴史認識について言い忘れたことを補足しておきます。
「アメリカもコミンテルンに動かされていた。」
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf
というのは言い過ぎです。
スーザン・ジャコビー(Susan Jacoby)著'The Age of American Unreason'の書評の一節をご紹介します。
この本は、ガーディアンのコラムで詳しく言及され、また、ニューヨークタイムスとロサンゼルスタイムスの書評でも高く評価されており(コラム#2891(未公開)、2893(未執筆。未公開扱いとなろう)、信頼性は高いと考えられます。
「彼女<(ジャコビー)>は、1930年代と40年代においてソ連の共産主義を弁護したところの米国の謀られていた左翼人士達が、スターリンとその後継者達が残忍なまでに抑圧的な体制を取り仕切っていたことが明らかになり始めてからもなお弁護し続けたことに対し、彼らを叱責する。(彼女は同時に、これら人士達が米国の文化一般に及ぼした影響を、彼らの友人達と敵達が双方とも途方もなく誇張してきたことについても指摘している。)・・・」(http://www.salon.com/books/review/2008/02/15/susan_jacoby/
。11月3日アクセス)
この()内の「米国の文化一般」を「ローズベルト政権」に読み替えても、ジャコビーの指摘は成り立つ、というのが私の見解です。
昨日申し上げたこととだぶりますが、再度田母神氏批判を行っておきます。
2001年に拙著『防衛庁再生宣言』が上梓され、私のファンの手でこの本が自衛隊の広範な部隊に配布され、また、同年秋に私がコラムをインターネット上に書き始め、そして私が昨年マスコミに登場するようになり、と色々なことがありま
したが、この間、私の防衛庁時代に面識がなかった自衛隊の現役、OB中、私の主張に関してメールないし手紙でコンタクトしてきた人は、全部ひっくるめて片手の指で数えられるくらいです。
私が一貫して防衛省/自衛隊に密接に関わる発信を続けてきたことからすれば、一般の方々は不思議に思われるかもしれません。
私にはさほど不思議ではありませんが、さすがに、面識がなかった航空自衛隊関係者から私に対し、これまでコンタクトが皆無であることはちょっと気になっています。
少ないサンプルから結論へと飛躍するのはいかがなものかとお叱りを受けることは重々承知の上で申し上げますが、私はかねてより、これは陸上自衛隊や海上自衛隊と比べての航空自衛隊の知的荒廃とモラルの低さを示している、と思っているのです。
田母神氏のような行動に出る陸幕長や海幕長がいないのはそのためなのです。
田母神氏は、自分が所属している航空自衛隊、ひいては防衛省が山のように問題を抱えているというのに、これらの問題については、自分が当事者にして専門家であるにもかかわらず、目を反らして何もせず、その一方で、自分が直接どうすることもできない立場であるにもかかわらず、自分にとって不愉快な世間の動向については、受け売りの知識を並べ立てて公の場で批判し、その結果として防衛省が抱える諸問題の解決が一層困難になる虞れがあっても恬として恥じない、というのですから、彼の知的荒廃とモラルの低さは相当なものだ、とお思いになりませんか?
田母神氏を見ていると、(歴史の見直しならぬ)憲法改正を口にしながら、(自民党ならぬ)公明党/創価学会と野合し、(防衛省内の構造的腐敗・退廃ならぬ)政官業の癒着構造には手をつけない、自民党の「タカ」派の政治屋の何人かの顔が彷彿としてきます。
<michisuzu>
政治に係るvisionにせよillusionにせよ
↑
私たちが政治に求めているのはきっとIllusionなのでしょうか?
求めても求められないって感じがしますね。
せめて年内の解散総選挙くらいはIllusionで無いことを願います。
<太田>
illusionとIllusionをひょっとして意識的に書き分けてます?
仮にそうだとして、ビスマルクの発言より、読み解きにくいよー。
<大阪の川にゃ>
MS様、
≫なぜ素直に怒りを投票行動にぶつけないのでしょうか?≪(MS様書き込み:太田述正コラム#2795)
≫あなたはどうか知りませんが、これだけ自民党に馬鹿にされていながら、自民党に権益を保護してもらっているわけでもないのに、依然自民党に票をいれようと考えているような人がいらっしゃるようですね。≪(同上)
そりゃ、日本の民主党の代表が小沢一郎なんですから。
太田氏:「米国があんた(小沢一郎)の数々の超弩級醜聞を独自に調べ上げ、あんたを脅迫した可能性が大だと思っている。これに加えて山田洋行の話もあったということだろう。これはたまらんと恐惶を来したあんたは自民党に泣きついて大連立話を持ちかけ、給油反対を取り下げる名分を得た上で、民主党代表の地位にとどまる、という一縷の可能性にかけた、と私はふんでいるんだ。どこまで行っても、小汚い野郎だ。」(小沢辞任:コラム#2159(2007.11.4) )
こんな小汚い男を首相にせよ、とは、ああもうびっくらこいたなあ、もう。
多くの有権者は自民党が好きで投票しているのではなくて、仕方なく投票しているのではないですか?もちろん党首以外にも問題があるでしょう。
愛国者である中学の同級生が、地元から民主党公認で衆院選挙に出て当選・落選を繰り返していますので、いつも衆院選では悩みます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E7%94%B0%E6%B2%BB
≫オバマの演説を聞いて涙を流している「人間」と(自民党に投票する人と)は、「えらい違い」とは思いませんか?≪(MS様書き込み:太田述正コラム#2795)
ということで米国の民主党と日本の民主党では、各トップに極めて著しい「えらい違い」があることは確かです。ここまで書いて、だんだん馬鹿馬鹿しくなってきました。
<MS>
大阪の川にゃ様、コメントありがとうございます。
個別の議員、政策を比較するより、おおざっぱな視点で考えられたらどうでしょうか? 私は次のような基準で投票行動を決めようと思っています。
1. 日本が保護国の地位から脱却できる可能性がより高い政党に投票する。
2. 世襲議員がより少ない政党に投票する。
3. ある政党が政権を維持して8年(衆議院の2期)に達したら、別の政党に投票する。
4. 公明党と組んでない政党に投票する。
(優先度順位順)
以上を踏まえて、川にゃさんの意見を批判させてください。
>そりゃ、日本の民主党の代表が小沢一郎なんですから。(中略) こんな小汚い男を首相にせよ、とは、ああもうびっくらこいたなあ、もう。
政権交代後、脛に傷のある男が、そのやり口を知り抜いている野党自民党から狙われる首相の座に就くとは私は思えません。wikipediaの民主党ネクスト・キャビネットの項目によると、小沢氏はネクスト首相候補のようですが、いざ政権奪取した段になったら、ひよって辞退するんじゃないでしょうか? そんな根性があったら、とっくに政権とれてますよ。
一方、公自政権を影で操っている可能性のある人物は、小沢氏なんかと比較にならないくらいの根性と生命力をもっていると思います。そういう妖怪のような特定の人物に力をもたせるような環境を許してはなりません。(基準4)
>多くの有権者は自民党が好きで投票しているのではなくて、仕方なく投票しているのではないですか?もちろん党首以外にも問題があるでしょう。
私の周りにもそういう意見の人はいます。しかし、この期に及んで自民党に投票するということは、これまでの自公政治にOKサインをだすことを意味します(基準3、ただし自民政権は2期8年どころではなく約50年ほとんど途切れずつづいてきたことに注意!)。
そんなことを続けてきたから、無能な世襲議員(自民党議員の半分)がいまだに生き残っているのです。(世襲議員の数: http://www.notnet.jp/data01 )
(基準2)
それに民主党政権がどれだけ無能であろうと、日本が安全保障・外交の基本を米国にまるなげしている(保護国である)以上、少なくとも日本の安全が急激に悪化することはありません。その上、今まで「吉田ドクトリン」というお題目で国民の目をごまかしつつ、自分たちの権益をむさぼることに終始してきた自民党が下野することで、日本が「吉田ドクトリン」とおさらばできる可能性が出てきます(基準1)。
(参考:太田コラム#1819 「吉田ドクトリンいまだ健在」
index.htmhttp://blog.ohtan.net/archives/50954049.html )
以上のように、現在の自公政権は私の4つの投票基準すべての点で、投票の対象ではありません。
一般にこの種の問題は、個別には似たような状況認識をしていても、どのような優先順位でもの事を考えるかで、全体像の認識が違い、選択結果が異なってきます。もし、差し支えなければどのような基準と優先順位で投票行動を考えられているか、お教えください。
>愛国者である中学の同級生が、地元から民主党公認で衆院選挙に出て当選・落選を繰り返していますので、いつも衆院選では悩みます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E7%94%B0%E6%B2%BB
せっかくそんないい人が出ているのに、どうして悩む必要があるのか、まったくわかりません。私だったら、自民党の対抗馬に共産党員しかでていなくても、(共産党が政権をとれる議員数を確保できる可能性はないので)そちらに投票しますよ! とにかく、自民党議員に国民の怒りの恐ろしさをすりこんでおかないといけません。今までそれがないから、国民はなめられっぱなしです。
>≫オバマの演説を聞いて涙を流している「人間」と(自民党に投票する人と)は、「えらい違い」とは思いませんか?≪(MS様書き込み:太田述正コラム#2795)ということで米国の民主党と日本の民主党では、各トップに極めて著しい「えらい違い」があることは確かです。ここまで書いて、だんだん馬鹿馬鹿しくなってきました。
かたや保護国の統治代理人候補と保護国住民、かたや世界一の超大国のトップ候補とその国家の主権者だから、「えらい違い」があるのは当然ですよね。しかし、保護住民といえども少なくとも人間ならば、怒ることぐらいはできますよね。とりあえず、もっと怒りましょう! 投票行動によって自公政権に制裁を加えるのです。
<太田>
お見事!
私が付け加える必要はなさそうです。
最後に面白かった記事をちょっとだけ。
まず、コラム#2876、2878のシリーズ(未公開)で取り上げたクレヴェルド(Martin van Creveld)の本、『戦争の文化』の中の引用の追加的紹介です。
「<イスラエルの元国防相>モシェ・ダヤン(Moshe Dayan。1915~81年)いわく、「戦争ほど血湧き肉躍る(exciting)ものはない」。そしてロバート・E・リー(Robert E. Lee。1807~70年。南北戦争の時の南側の猛将(太田))は、「戦争がこれほどもひどい(terrible)ものであることはよかった。さもなけ
ればわれわれは戦争を好きになりすぎるからだ」と言った。」(http://www.nytimes.com/2008/10/31/books/31book.html?_r=1&oref=slogin &
pagewanted=print。11月2日アクセス)
田母神氏、航空自衛隊の幹部学校あたりでこの本を翻訳させ、どこかから出版させるといったことでもやった方が、まだ生産的だったと思いますね。
次に、慶応義塾幼稚舎(小学校)長・加藤三明氏の発言です。
「幼稚舎の英語の授業は1年生から始まります。1~2年生は1クラス36人を2グループに分けて、「英語」と「情報」の授業を隔週で1回ずつ。ゲームなどで英語に「親しむ」ことから始めます。3年生になると、週1回の授業をネーティブ・スピーカーの先生と日本人の先生の2人で担当。4~6年生は1クラスを
3分割し、週2回になります。・・・英語は正規の成績評価の対象としていません。代わりに英語科の先生たちが、個々の児童の勉強ぶりを評したコメントを渡しています。英語にアレルギーを起こさせない工夫の一つです。・・・」(http://sankei.jp.msn.com/life/education/081101/edc0811010827002-n1.htm
。11月1日アクセス)
そんな及び腰のやり方なら、英語「教育」なんて止めちまえっての。
太田述正コラム#2893(2008.11.5)
<皆さんとディスカッション(続x297)>
<michisuzu>
「そりゃ、日本の民主党の代表が小沢一郎なんですから。
太田氏:「米国があんた(小沢一郎)の数々の超弩級醜聞を独自に調べ上げ、あんたを脅迫した可能性が大だと思っている。これに加えて山田洋行の話もあったということだろう。これはたまらんと恐惶を来したあんたは自民党に泣きついて大連立話を持ちかけ、給油反対を取り下げる名分を得た上で、民主党代表の地位にとどまる、という一縷の可能性にかけた、と私はふんでいるんだ。どこまで行っても、小汚い野郎だ。」(小沢辞任:コラム#2159(2007.11.4) )」(コラム#2891)
↑
これって私が頭の中で一人で妄想していた筋書きとあまりに同じなのでびっくりしました。
私はアメリカが田中角栄のロッキードとほぼ同じ構図の小沢山田洋行ラインを綿密に調べ上げてあまり米国に逆らうと《田中角栄と同じように逮捕されるぜって!》脅したのだ思っています。
そうでもないと、あの時期に福田さんに小沢さんが擦り寄る意味が見えません。
私は基本的に民主党を支持したアンチ自民ですが、最近思うことは、なんだか政策がむちゃくちゃ似てきて実質的にはもう自民と民主は合併しているように思えるのです。
私は民主党には消費税を今後も絶対上げずに徹底的に行財政改革、天下り廃止、随意契約の撤廃などをを断行してほしいと思うのですが。
なんだか民主党になってもほとんど自民党と変わりない政策を打ちそうで多少がっかりしています。
消費税を上げないという選択肢は本当に不可能なのでしょうか?
<太田>
不可能です。
いつ上げるか、というタイミングの問題だけです。
法人税にしても所得税にしても、グローバル化した時代に、日本だけ他の先進諸国とかけ離れた税率や累進度にするわけにはいきませんし、そもそも、日本の国債残高の対GDP比は先進諸国随一の高さであり、老齢化し人口が減少した日本の将来世代に、硬直化した財政と莫大な借金というツケを残すわけには行かないからです。
こういう話、ご自分でネットで調べてごらんなさい。
あなたは大変いい感覚をお持ちなのだから、もう少し、ネットで念入りに調べた上で、典拠付きで投稿するように心がけられたら良いのですがね・・。
<amida>
職を賭してやったものではなく、単なる懸賞論文に投稿し、最優秀賞に選ばれただけではないですか。
皆さん、もっと冷静に議論をする必要があります。具体的に田母神論文のどこがおかしいのか私にはわからない。学術論文を書いたわけでもなく、巷間に流通しているひどく歪曲された「歴史認識」に対して、一矢報いようと投稿しただけなのではないか。本人も確信犯ではなかったと言っておられると聞きます。 懸賞論文を募集した会社の社長さんの経歴思想的な傾向から見ると、この業界では普通の論旨であったと思います。 自衛隊のトップはどんなに日本や軍人を無責任に貶める誤った妄想幻想が国中に普及し害毒を流し続けていても、それに対して事実はこうだよ、と発言することさえできないこんな国はおかしいと思います。憲法擁護義務を主張するなら、言論の自由もまた憲法の最高の権利として
規定されていることを主張し擁護するべきではないでしょうか。
大体この国際法違反の「日本国憲法」がいまだに存在していること自体が詐欺師に騙され続けている日本人の哀れな姿を彷彿させる恥ずべき現実ではないでしょうか。
太田先生の意見も、日ごろの冷静さを欠く、極めて感情的なのは、やはり選挙目当てなのではないか、と邪推してしまいます。政権交代する気があるなら、中山大臣の日教組批判のどこがおかしい議論なのか、田母神論文のどこがどう間違っているのか、具体的な議論を展開され、加えて日教組や自治労に牛耳られている民主党の革命的な現状をただす必要があるのではないでしょうか。
政官業の癒着も、こんな無責任で感情的な人民裁判にしかつながらない革命運動のしっぽを引きずっている野党から我が国を守るのためには、やはり大目に見るべき必要悪なのだな、とかえって納得できました。ご意見をお聞きしたいものです。
<太田>
小沢批判も執拗に続けている私のどこが、(盲目的な民主党乗りの(?))選挙目当てなのか、こちらからお尋ねしたいところですね。
私の2度にわたる田母神氏批判でまだ、ご納得いただけないとは残念ですが、もう一度簡単に整理しましょう。
まず第一に、田母神氏がKYであるという点です。
(私は政府が歴史について公定解釈を打ち出すこと自体に反対ですが、その点はさておき、)政府見解に反する歴史解釈を、行政官で言えば本省局長クラスの政府高官である空幕僚長が公に(、しかもディスクレーマーさえつけずに)述べることは、職を賭することになる、というのは・・これまた好ましくないことですが・・常識です。実際、彼は幕僚長の職を即座に解かれてしまいました。
自分の歴史解釈を述べるために意識的に職を賭したとしても、職を賭す自覚がなかったとしても、どちらにせよ、田母神氏はひどいKYです。
こういうKY高級幹部自衛官出現の芽をあらかじめ摘むためにも、自衛官幹部を内局で課長や局長として勤務させて政策決定に関与させ、国会答弁の場にも立たせることで、彼らに political correctness 感覚を身につけてもらう必要があるのです。
ところが、田母神氏は、呆れるほどのKYぶりを世間に晒してしまい、ために、自衛官幹部の内局での上述のような形の勤務の実現を阻害する虞れが出てきました。
その責任は重大です。
(自分の歴史解釈を述べるために意識的に職を賭したとしても、やはり田母神氏はKYであると言うのは、「自衛隊は領域の警備も出来ない、集団的自衛権も行使出来ない、武器の使用も極めて制約が多い、また攻撃的兵器の保有も禁止されている。」(http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf )ことと、日本人の歴史認識とは直接何の関係もないのであって、彼は、単に自分の趣味としての歴史解釈を公にするために職を賭したことになるからだ。
というのは、領域警備任務を自衛隊に付与するための法律改正だって、(領域警備には前向きの)公明党さえ丸め込めば衆議院で3分の2の多数で再可決して通せたはずだし、その上で、集団的自衛権の政府解釈を、公明党を切り捨ててでも閣議で変更することだって不可能ではなかったはずだが、自民党は結局何もやらなかった。なお、攻撃的兵器の保有の禁止なんて、戦略核と本格空母保有の禁
止だけの話だから、当分の間、考える必要のないことだ。要するに、吉田ドクトリンに毒された自民党が、結党以来、一貫してやる気がないだけのことなのだ。)
第二に、田母神氏が与えられた権限に伴う責任を果たすことを怠ってきたという点です。
私がこれまで、防衛省批判をする際、旧防衛施設庁についてもそうでしたが、陸海空自衛隊をほとんど批判してこなかったのは、内局、具体的には内局キャリア官僚により大きな権限と責任があるからです。 しかし、その上層部を内局キャリアが占めていたところの旧防衛施設庁以上に、陸海空自衛隊、具体的にはその上級幹部にだってかなりの権限が与えられているのであって、その権限には当然ながら責任が伴います。
私は、かねてから、陸海空自衛隊の腐敗・堕落も内局に優るとも劣らないものがあると認識しており、とりわけ航空自衛隊については、パワハラの横行と業者との癒着が甚だしいと指摘しているところ、田母神氏が、かつての航空幕僚監部装備部長時代や、最近の航空総隊司令官や航空幕僚長時代に、これらの問題に真剣に取り組み、必要に応じて内局や自民党に働きかけた、といった話は全く聞こえてきません。
つまり、これまで彼は自分の権限に伴う責任を十分果たしてきていないにもかかわらず、極東裁判史観で「マインドコントロール」され、「誤った」歴史認識を植え付けられているとして、一般の日本国民にその覚醒を呼びかけたわけであり、全くお呼びじゃないよ、一体何を考えているのか、自らを省みて物を言え、ということです。
これでもまだ、ご納得いただけませんか?
反論がおありなら承りましょう。
最後に、面白かった記事の紹介です。
米ネバダ州の公認売春宿も、米国の不況のあおりを食って、軒並み稼ぎが大幅にダウンしているそうです。 関係ないけど、記事に登場する売春婦がいずれも年をくっているのにびっくりしました。
http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-na -
brothel4-2008nov04,0,5110978,print.story
(11月4日アクセス)
オバマのおばあさん(白人)が亡くなりました。
昔の二人のツーショットのとても良い写真が↓に載っていますよ。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7707497.stm
(同上)
太田述正コラム#2894(2008.11.5)
<皆さんとディスカッション(続x298)>
<OS>
太田先生の田母神幕僚長批判は私には今ひとつわかりません。
前幕僚長がKYなのはわかります。また、職務を十分果たさなかったことも太田先生のご指摘ですから、その通りだと思います(自分の意見としてそう思うのではなく、太田先生の方に札を入れるという意味です)。 しかし、知人としての予備知識は一旦棚上げにして、一国民の書いた文章として批判していただきたいのです。読者はそれを期待していると思います。
私も読みましたが、過去の戦争において日本を弁護する文としては、簡潔で良い文章だと思いました。英語で発表され、多くの外国の方に読んでいただき、英語で反論が貰えたら、有意義なdiscussionができると思います。
<太田>
田母神氏の歴史認識批判は(コラム#2888、2891で)ざっと既にやったところですが、KYでかつ無責任な人物(失礼)の「歴史認識」などに、なおご関心のある奇特な方がいらっしゃるのですね。
私自身の歴史認識は、『属国の防衛革命』の第1章で簡単にまとめられているので、ご覧いただければ幸いですが、田母神氏の「論文」(http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf
)を読むと、彼が米国による戦前の反日政策と戦後の日本属国化政策にわだかまりを持っていて、強い反米意識を抱いていることが分かります。
まさに、「日本人の潜在意識の中には、米国に対するはげしい怒りが残っている」(前掲拙著29頁)ことの一証左です。
田母神氏の場合、反米意識が顕在化したのは、私同様、日本が米国の属国であることを日々自覚させられる職場・・防衛省/自衛隊・・に彼が勤務してきたからでしょうね。
しかし、彼が属国化を米国のせいにしているところは、理由は繰り返しませんが、完全な事実誤認です。
このためだと思います。戦後、より正確には朝鮮戦争勃発時以降、についての氏の歴史認識に誤りが目立つのは。
どうして、氏がこんな基本的な事実誤認を犯したかですが、安全保障/防衛をめぐるぎりぎりの交渉・・実態は、属国が宗主国にゴネているだけですが・・の場から、自衛官幹部が閉め出されていて、米国のホンネに接したことがないのが原因でしょう。
こういう意味からも、自衛官幹部を内局で課長、局長として勤務させる必要があります。
なお、田母神問題をとりあげた以東乾氏のコラム
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081104/176177/
(11月5日アクセス)
によれば、田母神「論文」の英訳が既に存在し、インターネットで読むことができるようですよ。
伊東氏ならずとも、こんな「論文」が世界の人々の目に触れるなんて、恥ずかしい限りです。
なお、伊東氏のコラムは、田母神「論文」の典拠の付け方の不十分さ・・伊東氏に私が乗り移ったか?・・や文章の脇の甘さを指摘するとともに、田母神氏のKYぶりを糾弾したものであり、私と見解の異なるところは多々あるものの、その論調の冷静さに好感が持てました。
<じゅん>
≫田母神氏の戦前についての歴史認識は、9割方、私の認識と一致している。
≪(コラム#2888。太田)
とのことですが、論文の核心部分である「侵略国家であったか」という点に関しても、一致しているのでしょうか?
「侵略国家」の定義は分かりませんが、仮に、「日本が侵略を行ったか」と言い換えれば、先の大戦は侵略だったのではないでしょうか。
戦後にできたものではありますが、「侵略の定義に関する決議」に照らしても、武力行使に対する反撃(=自衛戦争)でない以上は、侵略戦争だといえます。
辞書的な意味であっても、他国に侵入してその領土を奪い取っている以上、侵略だといえます。
たとえ追い込められて、自存自衛のために開戦したのであっても、アジア諸国を解放するためであっても、当時は一般的な行動だったとしても、侵略は侵略に変わりはないと思います。
田母神論文では、
もし日本が侵略国家であったというのならば、当時の列強といわれる国で侵略国家でなかった国はどこかと問いたい。・・・・・・日本だけが侵略国家だといわれる筋合いもない。
とありますが、
「当時の列強といわれる国で侵略国家でなかった国は無い」
「列強と同じく、日本“も”侵略国家だ」
ということではないでしょうか。
田母神氏のいうように「条約があったから侵略ではない」という理屈が通るなら、チベットへの人民解放軍の侵略も「条約があるから」という理由で正当化されそうですし、「追い込まれて開戦したから侵略ではない」のであれば、今経済制裁で圧力をかけられている北朝鮮が、ついに軍隊を日本に派遣してきても「追い込まれたから」という理由で正当化されそうです。
<太田>
ひょっとして兵頭門下生の方でしょうか。
最初に、戦後も含めた田母神氏の歴史認識全体については、私は全く同意いたしかねる、ということを念のために申し上げておきます。
さて、戦前についての、氏の見解、 「もし日本が侵略国家であったというのならば、当時の列強といわれる国で侵略国家でなかった国はどこかと問いたい。・・・・・・日本だけが侵略国家だといわれる筋合いもない。」は、その通りでしょう。
当時の米国は、一方的にふっかけた米西戦争でスペインから奪ったフィリピンを、原住民の意思を蹂躙して植民地にし(てまだ独立させていなかっ)た国でしたし、英国はアヘン戦争で支那から奪った香港を領有していた国でしたし、ロシア(ソ連)は清崩壊後の混乱に乗じて支那から外蒙古を奪って事実上領有していた国でしたからね。
そんなのすべて過去の話じゃないかって?
いや、ソ連については、田母神氏も言っているように、傀儡の中国共産党をつくった上に中国国民党に容共分子を浸透させて支那の侵略を図り、蒋介石が一族郎党の私利私欲を図るために国民党から容共分子を一掃するとともに国民党をファシスト政党化した後も、蒋介石に国共合作を飲ませることで支那間接侵略を続けるべく画策を続けました。
やがてソ連が国共合作に成功すると、ソ連による支那間接侵略に抵抗を続けていた「自由民主主義国」日本の影響力を支那から排除すべく、共産主義/ファシズム音痴で有色人種差別の米国と提携し、合作した国民党/共産党を手先に使って対日戦争・・日中戦争・・をしかけました。
まさにソ連こそ、当時のアジアにおける最も悪質なる侵略国家だったのです。
日本は、このソ連による間接侵略に応戦したけれど、対米開戦に追い込まれ、日中戦争は大東亜戦争へと拡大し、最終場面ではいよいよ黒幕だったソ連自身が対日戦に乗りだします。
結局、日中戦争-大東亜戦争は、ソ連の勝利、日本の敗北に終わり、支那はソ連の手中に帰することになります。
ところで、ここから先は私見です。
ソ連が戦後、米国の影響力を朝鮮半島から排除しようとして金日成に朝鮮戦争をしかけさせたのに対し、米国はこれに応戦し、一時北朝鮮を席巻するも、結局引き分けに終わりました。
私は、日中戦争-大東亜戦争-朝鮮戦争、は一つながりの戦争であったという認識を持っています。
日中戦争-大東亜戦争ではソ連側についた米国が、朝鮮戦争では日本の代理として戦ったという点が違うだけです。
日本も米国も、どちらも自分の領域防衛のために戦ったわけではありませんし、どちらも攻勢作戦を展開しました。
だからと言って、果たして日本や米国の行ったことは侵略だったでしょうか。
話が飛ぶようですが、米国の南北戦争で、北部側は北部諸州の領域防衛のために戦ったわけではありません。北部の指導者であったリンカーンは、南部諸州の黒人奴隷解放のために戦ったのです。果たしてそれは侵略戦争だったでしょうか。
また、NATOはコソボのアルバニア系住民がセルビア人による民族浄化に遭っているのを救うべくコソボに人道的介入を行いましたが、果たしてそれは侵略戦争だったのでしょうか。
私は、20世紀以降においては、形式的(法的)要件だけで侵略かどうかを論じても不毛だと思うのです。
人権や自由民主主義を守るための戦争であったかどうかが、より重要だと思うのです。
(以上、すべてコラム(一部未公開)で既に論じていることであり、いちいちコラム#は挙げない。)
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