アジアの街角から☆ 医師不足解消の秘策
わたしの提言 ▽▼
☆ 医師不足解消の秘策 ――― 岡崎けい子さん
医師不足は、毎度おなじみ官僚の「なまけぐせ」が大きな原因である。旧厚生省は、昭和45年から昭和60年を目標に「人口10万人あたりの医師の数を150人」にすべく医科大学の定員を増やしてきた。
その結果、年間8000人の医師が毎年誕生するようになり、目標は昭和50年には達成された。ーーーすると今度は、将来医者が増えすぎるから減らそうと「医師の新規参入を10%削減する」ことを決めたのである。
その後も老人人口が増えるのは分かり切っているのに、平成9年には「医師数を制限する」閣議決定までもなされた。官僚の言うがままの政治家たちも大馬鹿であるが、国民が選挙で選んだのだから仕方がない。
最近になって、各地で医師不足が叫ばれるようになって慌てて厚生労働省は新たな「医師の需給に関する検討会:座長・矢崎義雄独立行政法人国立病院機構理事長」を設置した。しかし一人の医者が誕生するまでは最低でも7年はかかる。失政を回復する為に医科大学の定員を増やしても直ぐには間に合わない。
―― ≪本当に医者は不足しているのか?≫
現在でも、毎年8000人の医師が誕生している。数は十分なのである。しかし内容が問題なのだ。
昔は、女性医師が1割か2割であったのだが、今は医師試験の合格者の4割が女性なのである。ーーー女性は、医師になっても適齢期がくると結婚する。子
供を出産すれば、育児と主婦業に追われるので医師を辞めてしまうケースが多いのだ。
しかし「医者になって病気の人を救いたい」という初心を忘れているわけではない――――。だが、今のような、医師が長時間労働は当たり前、という風潮では尻込みせざるを得ない。
そこで私の提言は「女性医師を獲得せよ!」である。
つまり、結婚しても専業主婦にならないで医師を続けられる環境を整えてあげることが必要なのだ。ーーー特に産科では、赤ちゃんは時間を選ばずに生れてくる。つまり、もともと24時間体制をとっていなければいけないのである。
小児科にしても、子供の病気はほとんど深夜に発見される。病人は待ったなしの状態なのに、病院は「深夜ですから担当医がおりません」と答える。深夜でも、最低2人の医師がいなければ重病には対処できない。
受け入れる地域が本当に医者を欲しているのなら「わが町の特典」をつくって大盤振る舞いしたらどうだろう?
まず、24時間営業の保育所をもうけることが絶対条件である。
我が子の面倒もみずに他人の子供の病気をみる母親はいない。3交代制でも4交代制でもいいから、まず保母さんを確保すること。そして、医者と看護婦と保母さんには保育料は無料にする。
住宅も、公営住宅には優先して入れ、3LDKの家賃ぐらいは無料にしたらいい。『家賃がタダで保育所もタダなら、将来の子供のための貯金ができるな』と女は計算する。
住民が、一人当たり毎月500円のプレゼントをすれば、5万人の地方都市でも3千万の予算ができる。もちろん、働かない子供と老人からは徴収不可能だから、半額としても1500万円。
ーーーこれに自治体が補助をすれば、財源はすぐにできる。
自分たちの町に産婦人科がなくて、遠い隣町に行くバス代の1回の往復代より少ない。つまり、住民たちが、何でも実行力のない役所に任せている現実が問題なのだ。自分の問題として取り組まなければ、いつまでも解決はしない。
そして、せっかくやってきた医師をヨソ者扱いしていじめたり、有力者の選挙の時のネタにしないこと。地方にはびこるボスたちから、女性医師を守ってあげなければならない。これは日々の暮らしの中では重要なことである。
少々田舎でも自然が多く、素朴な人情があれば、女性はその土地に根付いていく。
―― ≪男女平等教育の弊害≫
あなたは男女が平等だと思っていますか? 私の答えは「ノー!」 男と女は生まれた時から不平等です。創造の神は、女性にだけ「出産」という重労働を押し付けているのだから――――。
出産は命がけの仕事であるのに、学校では出産は病気ではないと教えてきた。
とんでもない!3ヶ月も続く「つわり」の辛さ、食事も満足にできない、それでいて家事はこなさなければいけない、流産の危機、スポーツの禁止など、まさに「病気」である。
6ヶ月を過ぎればお腹が出ておしゃれな洋服は着られないし、今度は早産を心配する。ーーー精神的にも、10ヶ月にわたってつらい病気である。
やっと出産したら、出産後はホルモンの分泌量が急激に変化し、「うつ状態」になって精神的に元に復帰できないケースも多い。これを病気でないと教えた日教組の教師は、ほとんど男尊女卑思想の男たちである。
苦労して生んで育てて、思春期になったら「生んでくれなんて頼んでない!」と文句を言う。ーーー「親の恩」を教えない教育が間違っている。「男女は不平等で、女性は出産という大変な仕事があるのですから大切にしましょう」と男性教師が率先して教えないから、現在のような「産科軽視」になったのだ。
―― ≪訴訟社会の弊害≫
「家事もできるように、パート医者で働きたい」と思う女性医師資格保持者は訴訟も怖い。アメリカ並に何でも裁判となる現在の日本の医療に彼女たちは尻込みする。悪意のある医療ミスは大いに告発して、裁判で医師の未熟さをはっきりさせてやるのも大いに結構だが、やり過ぎもあるのではないか?
最近の事例でいうと、出産時の多量の出血で妊婦が死亡した例があるが、民事はともかく、刑事裁判にまでかけられた。お腹を開けてみなければ分からず、開けて胎児を取り出すと大出血。年間200件の出産を手がけているこの医師は、初めてこの癒着胎盤という症例に遭遇した。
ーーー分娩以前にはその診断は不可能である。
もともと昔から出産時には思いもよらず多量の出血が伴うことが多くあった。
不可抗力の死亡だってある。何が起こるか判らないのが「出産」なのである。
ご遺族の気持は分かるが、まじめに対応した医師を刑事告訴して溜飲が下がったのであろうか?
医師法では、刑事裁判で罰金刑以上の刑が確定した場合医師免許剥奪となる。
困るのは結局妊婦なのである――――。
訴訟を避けてか、最近は形成外科、皮膚科、麻酔科の医者が増加しているのに対して、小児科、脳外科、産婦人科は減少している。
「割り箸事件」でも分かるように、報道と検察は医師の過失を誇張するが、そもそも親が、立ったまま4歳の子供に綿菓子を食べさせ、自分はよそ見していたことに端を発する。そのまま転んで、割り箸が脳に刺さっていると、現場を見ていない者は誰だって分からない。ーーー救急医療の範疇を越えている。
レントゲンは放射能を浴びるのだから幼児によいわけがない。百歩譲って医者がレントゲンを撮ったとしても、木製の箸は写らないのである――――。
自分の不幸を、誰かを罰することによって少しでも癒そうとする人間の増加とそれを後押しする「自称人権派」のマスコミがこの種の訴訟を増やしている。
自宅でこんなニュースを聞けば、産後の医師復帰に躊躇する女性医師が増えるのではないかと私は危惧している。
―― ≪助産婦を増やそう≫
助産婦を、医学校でもっと多く養成するべきだ。戦前はどこの地域にも数多くいた「産婆さん」が、戦後「助産婦」と名を変え、激減した。
日本を占領したGHQ公衆衛生福祉局(PHW)は、日本の医療を指導した。しかし、進駐軍アメリカは、当時は助産婦のいない国であり、高い能力をもっていた日本の産婆を理解することができなかった。
助産婦は費用が安い点と、同じ女性同士、話しやすいことで妊娠に対する不安や妊娠期の生活指導まで受けて、妊婦は大いに頼りとしたのである。それでも医師と比べて、さまざまな禁止行為が規定されており、厚生省の役人は医師を増やし助産婦を軽視した。
ところがアメリカでも、初産の女性たちが身近に指導を受けることを望み、助産婦が正式な職業として認知され、広がっていった。
アメリカが助産婦制度を始めると、何でもアメリカのいうことを聞く役人たちは、助産婦養成コースを医科大学に取り込み、増員を図っている。
日本はアメリカを見習って、呼び名も2002年に「助産婦」から「助産師」に変えた。
現在の日本では、助産師になろうとする者はまず看護婦資格を取得したのち、助産婦学校、短大の専攻科、看護大学の一部カリキュラムを修了し、国家試験に合格して免許がもらえる。
ーーー昔ながらの痒いところに手の届く「お産婆さん」は学校では育たない。
それでも見直されたことはいいことだ。
―― ≪主夫≫の勧め
会社に男性の産休を認めているところは少ないが、もしも奥さんがお産になったら、思い切って3ヶ月の産休を取ってみよう。
炊事、洗濯、買い物、掃除、赤ちゃんの世話、妻とのスキンシップなど、いつもは経験しないことをやってみると、意外な楽しみが見つかるかもしれない。
料理に目覚めて会社を辞め、レストランのオーナーシェフになった人もいる。
ーーー人間の能力は意外なところに潜んでいる。
この主夫の経験があると、妻が病気で寝込んでも自分で何でもできるからお互いが楽だ。
そして一番のメリットは、定年後ボケの襲来を遅らせることができる。公務員が定年後一番早くボケやすいのは、チャレンジ精神が抹殺されてしまうからである。
ーーー料理はボケ防止にとてもいい、という医師の話である。
世の男性諸氏よ、妻のお産は主夫経験の貴重なチャンスと心得るべきである。
80歳過ぎて妻に先立たれ、掃除も料理もできないので男ヤモメに蛆がわいている惨めな生活を送っている男性を多く見るので…。
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