頂門の一針 | 日本のお姉さん

頂門の一針

小沢・民主、攻撃から守勢に
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平井 修一

米国ではオバマ・民主党支持がリーマンショックで急上昇したが、我が国では、あれれ、押せ押せムード、政権奪取モードの小沢・民主党が、自民党の「選挙より景気対策優先」、マスコミの「マルチ商法バッシング」でなんか勢いをそがれている印象だ。なんとなく攻撃から防御へ回ったような・・・

まあ、ど素人の感想だが、意外に傍目八目かもしれない。まことに一寸先は闇か。産経新聞は「小沢不動産」では不発だったが、「マルチ商法」については食い付きがよかったのだろうか、元気に記事を書いている。朝日のスクープのようだが・・・まあ、その経緯をネットで調べてみた。

●10月13日(月) 民主党スキャンダル発覚

民主党の前田雄吉衆院議員がマルチ商法業者から講演料や政治献金を受け取っていたと報道される。前田氏は小沢氏を支持する議員グループ「一新会」の事務局長をこの日辞任。

●10月14日(火)火は消えずに孤立無援に

14日、前田議員は「朝日新聞の朝刊に私の記事が書かれたことについて世間をお騒がせし深くお詫び申し上げます」と自らのサイトで陳謝。

<業界に厳しい言葉も述べており、決して擁護をしているわけではありませんし、全マルチ業者を肯定しているわけではありません。・・・しかしながら、確かに政治資金規正法上合法であっても、昨年11月に業務停止命令を受けた会社からの講演料をいただいておりました。
講演を行った時点では業務停止命令を受けていなかったとはいえ、今回の報道で業務停止を知り道義的に全額返金させていただきます>
火は消えなかった。
<小沢氏は14日夜にも都内の個人事務所に前田氏を呼び、約2時間にわたり事情を聴いた。前田氏によると小沢氏は「ほかに献金はないか」などとただし、いったんは「(今後の対応は)おまえの考えることだ」と指摘>(産経)

●10月15日(水)トカゲのしっぽ切りへ

<前田氏は15日夜、国会内で小沢氏と会談。記者団に、民主離党の方針を表明した。議員辞職はしない>(産経)
民主党の石井一副代表は15日、参院予算委員会での質問で、公明党とその支持母体の創価学会の関係を追及し、「政治と宗教」に関する集中審議の開催を要求した>(産経)
民主党は創価学会を明確に敵視した。

●10月16日(木)泣いてバショクを斬る

<民主党の小沢一郎代表は16日未明、党本部で緊急記者会見を開き、「前田氏から『国民や党の仲間に迷惑と心配をかけた。(次期衆院選での)公認を返上し、立候補はしない。党籍は離脱する』と報告を受け、了とした」と述べた>(産経)

●10月18日(土)創価学会が反撃へ

民主党の石井一副代表が平成15年、マルチ商法業者らでつくる政治団体など業界側から計450万円の献金を受けていたことが18日、分かった>(産経)・・・

さてさて、マスコミと国民は「マルチ商法」を大層嫌っているが、それがいかなるものかなんて小生も詳しく知らない。「インチキ商法」ぐらいに思っている。
マルチ商法業者らでつくる政治団体は「ネットワークビジネス推進連盟」(旧・流通ビジネス推進政治連盟)で、その母体は「社団法人日本訪問販売協会」のようだ。
協会正会員にはダスキン、アムウェイ(小生のクライアントだった)など立派な会社もあれば、新聞で問題視されるような「どんなものかなあ」という会社があるのも事実だが、それはどこの業界でも同じだろう。
いい法律・憲法を作っても、ザルになることはままある。日本における「元祖マルチ」と言われるAPOジャパンの幹部が小生の仲人さんだから、いろいろ聞いている。このテーマはまたお話したい。皆、リーマン
にそっくりな人々である。

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消費者庁設置関連法案は不成立か
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古澤 襄

今国会で消費者庁設置関連法案が成立するとみられていたが、時ならぬマルチ商法騒ぎのあおりを受けて成立が危ぶまれている。ことの起こりは野田聖子消費者行政担当相が12年前にマルチ業界擁護とみられる国会質問をしていたことが発覚した。
議事録には「一部の悪質な例ばかりが強調され、非常にうさんくさい業界であるというものがまん延すると、一生懸命頑張っている人のやる気をなくし、新たな産業をつぶしてしまう」と残っている。
これがマルチ業界寄りの発言とされて、消費者重視の麻生政権にあって消費者行政担当相に任命した麻生首相の責任を問う声もあがっている。
微妙なのはマルチ業界と縁が深い民主党で、業界から千数百万円の献金や講演料を受けたとされる前田雄吉衆院議員は離党し、次の総選挙では立候補しないことになった。前田氏は石井副代表や山岡国対委員長も業界から献金を受けたと洩らしている。
民主党が無関係なら鬼の首でも取った様に、野田消費者行政担当相の辞任要求や麻生首相の任命責任を追及したいところだが、ブーメランの様に民主党にも矢が戻ってくる。
選挙が近いから共産党や社民党は黙ってはおるまい。マスコミも批判するところが多くなってきた。

<マルチ商法(連鎖販売取引)業界擁護と受け取れる国会質問が問題視された野田聖子消費者行政担当相は17日、業者に購入してもらったパーティー券計16万円分の代金全額を返還する意向を示すとともに、辞任する考えがないことを重ねて強調した。政府は「説明責任は果たした」(河村建夫官房長官)と幕引きを図るつもりだ。
野田氏は1996年の国会審議で、マルチ商法の規制強化について質問した際、「一部の悪質な例ばかりが強調され、非常にうさんくさい業界であるというものがまん延すると、一生懸命頑張っている人のやる気をなくし、新たな産業をつぶしてしまう」とした一連の発言は、議事録に残っていることから、発覚は時間の問題と判断。
16日の参院予算委員会で与党議員からマルチ商法への所感を問われた際に「告白」した。17日の会見では、パーティー券代金の返還方針に加えて、質問との関連や政治献金の受け取りを否定した。
中山成彬氏に続き、知名度の高い野田氏が辞任に追い込まれれば、衆院選を控えた麻生政権には深刻なダメージとなる。与党は「大臣としてきちんと処置した」(自民党幹部)と沈静化を期待する。

しかし、麻生政権の「消費者重視」のイメージに傷がついたことは間違いない。マルチ商法業界との癒着が表面化した民主党が与党と一緒に、この問題で共産党などから攻撃されるのを避けるような動きに出れば、消費者庁設置関連法案の審議に影響を与える可能性もある。(東京新聞)>

<国会議員が国会で質問をする。それは国民から選ばれた議員の権利であり、重要な役割でもある。
国会議員は議院内で行った演説、討論について、院外で責任を問われないと憲法に保障されているのもこのためだ。
しかし、その権利を特定の業界や団体の利益擁護のために行使したとすれば、話は別だ。そこに資金提供などの「見返り」が介在すれば、収賄罪に問われる可能性がある。汚職である
1980年代の「撚糸(ねんし)工連事件」「リクルート事件」、90年代の「KSD疑惑」。金品を受け取って業界擁護の国会質問を行ったとして、与野党の議員が受託収賄罪で有罪となった過去の多くの事例をみれば明らかである。
にもかかわらず、またまた、そんな疑惑を招く国会質問である。
1人は民主党の前田雄吉衆院議員である。マルチ商法業界から千数百万円の献金や講演料を受け「(悪質な)キャッチセールスなどと一緒にされて業界は迷惑している」などと、業界を擁護する質問を繰り返していたと指摘されている。

もう1人は野田聖子消費者行政担当相である。12年前の国会質疑で「消費者ニーズにかなっている」などと、マルチ商法業界擁護とも受け取れる発言をしていた。その後、関係業者にパーティー券16万円分を購入してもらっていたことを明らかにした。
両氏とも献金やパーティー券購入と質問は「全く関係ない」と違法性を否定するが、それで納得する国民はいまい。
マルチ商法は販売組織に加入した消費者が次々に会員を増やしながら、商品販売を拡大していく商法だ。違法ではないが、特定商取引法の規制は受ける。勧誘や返品をめぐるトラブルが多発し、国民生活センターには毎年約2万件の苦情や相談が寄せられているという。
そんな問題の多い業界を擁護するような質問内容である。業界から頼まれての質問だったのではないか。献金やパーティー券購入の趣旨は何だったのか。疑惑や疑問がつきまとう。

疑惑を指摘された前田氏は離党し、次期衆院選への不出馬を表明した。選挙での民主党への悪影響を考えて「身を引いた」ということだろうが、それで幕引きを図ろうというのであれば、疑惑は一層深まる。
野田氏は「勉強不足だった」と、反省の言葉を述べたが、いまは消費者問題の担当相である。「軽率だった」で済まされる立場ではない。不明朗な関係はないと言うのなら、自らそれを証明するために説明責任を果たすべきである。
それでなくとも、業界や団体からの献金にはうさんくささがつきまとう。当事者の説明だけでなく、国会での事実関係の解明も求めたい。衆院解散でうやむやに終わらせるようでは、国民の政治不信はさらに募る。 (西日本新聞社説)>

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総理!解散よりも何よりも
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前田 正晶

我が国の「内需の不足が景気後退(=recession)の重大な原因の1つである」ことは疑いの余地はないでしょう。19日朝も何処の局だったかも、出席者にそう言わせていました。アメリカもクリントン政権時代に我が国に執拗に内需振興を迫ったものでした。

だが、私は此処で「内需不足」とはそも如何なるものかをあらためて考えることにします。W社に私を誘ってくださった在日アメリカ紙パルプ業界最高の実力者にして優れた論客の野々山慶美氏が嘗てこう言われました。

「我が国の製紙産業は不思議な業界である。近代化を図って新マシンの導入を企画する際に、どれだけ輸出可能性があるかを新規投資決定の重要な要素に入れている」と。

私は賛成なのですが、こういう考え方をするのは何も製紙産業界だけではないのは明瞭です。古くは繊維産業、古くて新しいのが自動車産業、今では工作機械類、等々枚挙に暇はないでしょう。

これを別な角度から見れば、20世紀中と雖も新鋭の大型生産設備を導入すれば、容易に(小規模な)国内需要の枠を超える生産量となり、過剰設備を抱えることになるのです。そして、その安全弁を輸出に求めるという図式です。

この状態では、少しでも国内の需要が振るわないと過剰在庫を抱えることになり、結果として過当競争に陥り安売り合戦(=price war)を招来するのです。

しかし景気回復で需要も盛り上がりを見せれば「懲りない面々」は又此処で設備投資を計画して・・・という悪循環を繰り返してきました。私に言わせれば国内需要は十分にあるのです。だが、それが生産量に比例して伸びないだけです。

しかも、私の持論では20世紀中でも新規の生産設備は大型・高速で、それまで頼りにしてきた中古と比較すれば、格段に生産効率が優れています。

その結果、先ず内需がその生産規模に追いつくことなどあり得ない状況が続きました。要するに、内需がないのではなく、自分たちで生産能力が需要を超える量を生産していたのに過ぎないのです。

そこに、自国内の過剰生産設備に悩むアメリカが、紙パルプ業界の場合には「原料輸入だけではなく世界最高の品質であるアメリカ産の紙を輸入せよ」と迫り、最悪の時には“スーパー301条の適用までをちらつかせて脅してきました。自国と日本の市場の実態を全く弁えない不当な交渉でした。

紙パルプ業界以外にも国内での過剰設備を抱えるところは多く、それのみに止まらず輸出への依存度が極端に高いところや、止むなく生産拠点をアメリカ国内に設けてアメリカとの軋轢を避ける苦労をされた自動車産業もありました。

何れにせよ、アメリカでは四半期決算のような短期に実績を挙げなければならない経営手法を採ったために設備投資が遅れ、近代化が著しく遅れていました。

すなわち、アメリカでは予定通りに利益が挙がらなければ、新規投資はしません。だから、何時まで経っても信じられないような古く・遅く・小規模な生産設備に苦しんでいたのは事実です。国内需要も景気後退とともに不振に陥りました。

だからこそ、我が国にも内需振興と“世界最高の品質を誇る”アメリカ製品の輸入を迫ったのです。だが、その我が国では一定量以上の内需は確保されていたにも拘わらず、輸出を勘定に入れた生産設備能力を保持していては「内需不足」状況を脱することは不可能だったのです。輸出は"must"なのです。

今回のアメリカ発の100年に1度の大金融危機では、先ず外需が減り始めました。これでは内需にも悪影響が及ぶことを回避できないでしょう。

その兆しはすでに中小の下請け業界に見えてきたと報道され始め、倒産件数も右肩上がりです。

私は今政治家や政府にとって重要な課題は「内需の振興と言うよりも、現在の内需を如何にして維持するか」に最大限の努力をして貰うことだと言いたいのです。

しかも、先週まではドル安とは言え、未だ100円台に止まっていました。
だが、この程度の為替でも輸出の不振は避けられないでしょう。

麻生総理は矢張り解散よりも何よりも、国内の景気後退を如何に和らげるかに最大限の努力をして貰いたいのです。以上
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