イスラエルからのニュース
2008年10月8日(水)
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*オルマート首相がロシアでメドベージェフ大統領と会談。
大統領は、イスラエルの安全に配慮すると約束したが、
イランとシリアへの高性能武器の売却を中止するとは明言し
なかった。(H,Y,P)
*労働党とカディマの連立交渉が中断。カディマが提示した
合意文書の内容が、口頭での合意内容と大幅に違ってい
ると、労働党関係者。交渉再開は10日になる見込み。
(H,Y,P)
*イスラエル銀行が公定歩合を4.25%から3.75%に緊急
切り下げすると発表。実施は10日から。株式市場は日曜
まで休みとなるが、株価下落に歯止めがかかると期待され
ている。(H,P)
*ヨム・キプール戦争の戦後調査委員会の内容が、35年
ぶりに公開。猛将で知られたダヤン氏が「戦場を離れ10年
も政治の世界にいたので、戦争の決断は無理」と証言して
いたことが判明した。(H)
*オルマート首相の側近として長年働いたザケン氏が、オル
マート首相は無実だと激白。現在は、オルマート首相との
連絡を禁止され自宅待機しているが、裁判では首相を
弁護する証言をする。(Y)
*約300人のエチオピア移民が、ユダヤ機関の運営する
移民受入れセンターの状況が悪いとして首相官邸前で
徹夜の抗議。(P,Y)
*ヨム・キプールを前に、治安部隊は全国的に厳戒態勢。
自治区も人道上必要な通行を除き、完全封鎖される。(Y)
*ガザの70人の実業家が、商品の引渡しを求めてイスラエ
ルの最高裁に提訴。ハマスのガザ制圧以来、商品が
アシドド港の倉庫に置かれたままになっており、莫大な
損失を受けているため。(Y)
*エルサレム近郊で「大祭司の息子」との銘がある棺の
破片と見られる石を発掘。第二神殿の崩壊直前のものと
見られている。(H)
2008年10月9日(木)ヨム・キプール(大贖罪日)
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*8日日没から始まる丸一日の断食日、ヨム・キプールは
ユダヤの祭日の中でも最も厳粛な日。世俗派のユダヤ人
でも大半が断食を守る。シナゴグでは民族的な罪を悔改める
祈りがささげられる。この日、神がそれに先立つ1年間の
行状をもとに裁きを下すとされる。(解説)
*大贖罪日に先立つ新年からの10日間は「畏れの日々」と
呼ばれ、人々は悔改めの日々を過ごす。敬虔な人は、それ
に先立つエルルの月の1ヶ月間も含め、計40日も悔い
改める。悔改めの重要課題は隣人との和解で、この期間に
友人に謝罪する人も多い。(解説)
*ヨム・キプールを機会に「謝罪」の投書コーナー。ただし
「カディマに投票した罪を悔改めます。もう二度とカディマに
投票する過ちは繰り返しません」など、皮肉を込めたもの
が多い。(Y)
*全国300箇所で、ヨム・キプールの意味を考える公開
フォーラム。2000年に当時のメルキオール離散担当相の
支持を受けて始まったこの催しは人気が高く、今年は
8万人が参加する見込み。(P)
2008年10月10日(金)
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*北部の古代都市アッコーで、大贖罪日の間にユダヤ人と
アラブ人の大きな騒乱事件があり、8人が負傷。アラブ人が
大贖罪日にユダヤ人地区を自動車で通過して挑発したのが
発端と見られている。(H,Y,P)
*アッコーでの騒乱事件は「ユダヤ人のアラブ人に対する
ポグロムだ」とアラブ政党のバラケイ議員が非難。一方、
右派議員らは「ユダヤ人に対するポグロム」だ等として、
警察に強い対応を求めた。(H,Y)
*ロシアの外務省高官が、高性能対空ミサイルのS-300
をイランとシリアに売却しないと示唆。(H,P)
*ハマスの高官が、エジプトを訪問し、パレスチナ統一政権の
構築について協議。ファタハはハマスとの連立政権構築に
は反対しており、ガザと西岸地区に分かれたパレスチナの
再統一への道は遠い。(Y,P)
*ガザに入り治療を行なおうとした、アラブ系市民を中心とす
る医師団を、国防軍が治安上の理由で阻止。医師団は、
国防軍が当初与えていた許可を取り消したとして非難し
ている。(Y,H,P)
*オルマート首相が「停戦が続けば、ハマスは国防軍兵士
を解放する気が無くなる」と語っていたことが判明。兵士
帰還の唯一の方法は、停戦を破って大規模な軍事的圧力
をかけることだと語った。(H)
*昨日、レバノンから北部国境に向かい未確認の飛行機が
飛来。国防軍機がスクランブル発進したところ、未確認機は
引き帰した。(P)
*ベドウィン人の国防軍入隊者が今年になって急増し、
300人に達する勢い。ベドウィン人の失業率が高まる一方
で、国防軍がベドウィン人兵士の教育や就職斡旋に力を
入れたためと見られている。(H)
*第二次大戦時のユダヤ人虐殺に教皇ピオ12世が沈黙を
守ったとの批判に、バチカンの新聞が反論。表立って声を
上げれば状況を悪化させるため、水面下でユダヤ人を救う
ために尽力したと論じた。(H)
[情報源略号表]
P=エルサレム・ポスト http://www.jpost.co.il/
H=ハアレツ http://www.haaretz.com/
7=アルツ7 http://www.israelnationalnews.com/
I=イスラエル・トゥデイ http://www.harvesttime.tv/israel_today/
Y=イディオット・アハロノット http://www.ynetnews.com/
( )内の記号が情報源。メディアにより掲載日が異なる場合もあり。
[転載・引用・再配布について]
教会活動等の非営利目的ならばOKです。ユダヤ人および
各宗教教派に批判的な文脈での引用はしないで下さい。
発行:「シオンとの架け橋」 http://www.zion-jpn.or.jp/
編集:石井田直二 naoji@zion-jpn.or.jp
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ユダヤ人は、旧約聖書の教えに従って生活していますが、
旧約聖書の教え全体は、いずれ定められた日に救い主が
来るということの預言です。ユダヤの歴史や、
世界の終りの預言も書かれています。
神さまはモーセに律法を与えて、それを守るように
言われましたが、その内容は、簡単にいえば、自分を
愛するように隣の人を愛し、神さまの教えを守りなさいと
いうものです。でも、そんな簡単なことが人間には
できないのです。ユダヤ人は良くも悪くも人類の代表として
選ばれた民族で、人間は神さまの教えを守れないという
証拠をユダヤ人は、実証してくれたわけです。
ユダヤ人の務めは、世界に神さまの存在を伝えることです。
そのために、予言者たちは、聖書を書き、人々は、それを
大事に伝えてきたのです。
イエス・キリストは、大勢の前で、聖書の預言にある
救い主は、自分のことだと大胆に宣言されました。
ユダヤ人はそれを認めず、ローマの総督を脅して、
罪の無いイエス・キリストを十字架にかけさせて殺しました。
でも、実は、それで、聖書の預言が完全に実現したのです。
聖書の預言どおり、三日目によみがえったイエス・キリストを
見て、一緒に食事をし、語り合い、奇跡を見た500人
以上の証人と、過去にイエス・キリストの行われた奇跡を
見たことのある男だけで5000人以上の群衆が、一気に
イエス・キリストを聖書の預言の救い主だったと信じだし、
ローマを恐れさせるほどになり、イエス・キリストの福音が
ローマから世界中に広まったのです。
その福音とは、神さまは、ご自分のひとり子を犠牲の羊の
ようにして、人類の罪を裁き、人類を罪の裁きから救うと
言う新しい約束です。
今日のユダヤ人(イスラエル人)は、まだ古い約束の世界に
生きているので、ヨム・キプール(大贖罪日)の日に、
罪の赦しを求める儀式を行っているのです。
実は、その罪の赦しの儀式は、罪の無い神さまのひとり子が
十字架の上で、父である神さまから裁かれた時に、終わって
いるのです。
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大贖罪日ヨム・キプール[だいしょくざいび Yom Kippur]
分類
(旧約)聖書に由来する、ユダヤ教のイベントです。
時期
太陽暦では9月か10月。
意味
ユダヤ暦第7月(ティシュリの月)の10日に行われる祭りです。ユダヤではついたちのロシュ・ハシャナからこのヨム・キプールまでを「悔恨の十日間」と呼び、自己反省の期間としています。
現代のイスラエルでもこの日には、自分の罪のゆるしを求めて終日断食して祈り続け、シナゴグで5回の礼拝が行われます。祭のあいだは労働が禁じられるため、すべての店が閉められ、公共交通機関は停止し、この日は国中が静まり返ります。化粧も入浴も洗顔も禁じられ、警察や病院でさえも(完全に休業にはできないでしょうが)業務を制限するとか。
もしあなたがイスラエルを旅行中にこの日になったら、何もできずどこへも移動できず、アラブ系市民の店でしか買い物も食事もできないことでしょう。(もっとも、イスラエル国内に住むアラブ系市民はかなり多いのですが。)
5回目の礼拝が終ると、人々は断食のあとの盛大な食卓を囲み、そして夜からスコット(仮庵の祭)のための庵を建てはじめるのです。
一般的にキリスト教でこの日が特に注目されることはほとんどないでしょう。キリスト教ではある特定の日に罪のあがないを祈り求めるということはしないからです。なぜなら過去の罪も将来の罪も、キリストの十字架によってあがなわれているからです。ただし、メシアニック・ジュー(メシアを信じるユダヤ人。彼らは自分を「クリスチャン」とは呼ばない)は、この祭に限らず旧約聖書のさだめを大事にしています。
聖書の言葉
- 第七の月の十日は贖罪日である。聖なる集会を開きなさい。あなたたちは苦行をし、燃やして主にささげる献げ物を携えなさい。この日にはいかなる仕事もしてはならない。この日は贖罪日であり、あなたたちの神、主の御前においてあなたたちのために罪の贖いの儀式を行う日である。
- レビ記23章27節~28節
- なぜなら、この日にあなたたちを清めるためにあがないの儀式が行われ、あなたたちのすべての罪責が主の御前に清められるからである。
- レビ記16章30節
- ヘブライ人への手紙の全体
- 新約聖書の「ヘブライ人への手紙」は全体が、ヨム・キプールの祭をベースとしてユダヤ教の祭儀にはるかにまさるキリストの救いを教えている。 http://www.nunochu.com/matsuri/kippur.html