「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」  | 日本のお姉さん

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 

どうして年収200万円しかない貧乏なアメリカ人が、無茶な

ローンを組んで家を持とうとするのか、理解しにくかったのだが、

アメリカ人は家を資産だと思っているかららしい。

2年間は、ローンの一部を少しだけ払う。

3年目に急にローンの額が上がるので、家賃どころか

利子さえも払えなくなって、あわてて家を出てカギを

銀行に渡すのだそうだ。家を返せば、家自体が資産なので

ローンを払わなくてもいいらしい。

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
    平成20年(2008年)10月8日(水曜日)
         通巻第2341号  

 アメリカ人に住宅の夢を与えつづけてきたファニー・メーの悲劇
  ウォール街と議会がファニー・メーを“ファニーな”会社に変身させた
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 1990年代、小生はラジオ短波で早朝番組を持っていた。ウォール街と繋ぎ、経済全般の分析から95年あたりまで市場の動きも米国のマネー・ラジオ局とお互いに解析していた。
 で、その番組が毎回の話題はファニー・メーの株価の動き。つまりファニー・メーがウォール街の基軸銘柄だったのである。

 日本人の資産は預金と生命保険など。株券、債権も付帯するが、住宅を財産の基軸とは見なさない。豪邸を持っていても相続税で持って行かれるくらいなら豪華マンションを借りて経費としたり、或いはホテル暮らしのほうが快適かも知れない。

 米国で住宅は「財産」である。個人資産の70%以上が住宅であり、だからアメリカ人は預金をあまり好まない。デパートやアウトレットへ行くと主要売り場のひとつはペンキ売りがとか家庭工具だ。

 この米国を目指してメキシコの国境を越えての不法移民も夥しいが、正当に手続きを踏んだ新移民が年間100万人内外はいるだろう。
この人たちも当然、家をほしがる。
 ローンを組むのは個人の信用と収入の裏付けが必要だが、
住宅投資信託やら、金融デリバティブの発達と競合により、たとえば一文無しでも家が買えた。
 最初は低利で、しかもその金利だけ支払えば家がもてた。25年ローンを組む日本とは大違いだ。

 
二年間、低金利だけ支払い続け、二年目から金利が上がる。返済が増える。しかし、基本的に住宅代金は一銭も支払っていないのである。
 ここに問題がある。

 三年目に金利さえ払えなくなり、しかも住宅価格が下がり続けていた。あわてて居住者は家を出る。
銀行へは鍵を返しに行くだけ。つまりその家は銀行が担保しており、
家をでた人にはローンの支払い義務がなくなる。
だからさっさと諦めて家をでる。空き家がどっと増える。SELLやVACANTの看板だらけの町が全米各地に出現した。

 ▲デリバティブ錬金術のインチキがばれた

 ファニー・メーは、消費者に住宅資金を貸し付けた銀行から、それを債券化して買い、そしてウォール街の投資家にその債権を売った。それによって銀行はもっと多くのひとたちにローンを貸し与えることができた。
 2004年から、このビジネスモデルが変化した。ダニエル・マッドは、そうして潮流の節目にときにファニーの社長になった。
 つまり銀行は債権をウォール街の投資家や機関投資家に直接売るとおどし、
議会は議会で福祉政策の重要性から「もっと、もっと低額所得者にもローンを拡大せよ」と要求した。
 ダニエルは嘆いた「誰も予測していなかった事態が到来した。なんぴとも考えられないシナリオを予言できる訳がなかった」とNYタイムズのインタビューに答えた。。

 「銀行が怪しげなローンを組んで、それを住宅希望者に組ませるわけだが、
いずれローンの借り手たちが返せなくなることは明らかだった。
ファニー・メーは不良債権の吹きだまり場と化した。
銀行は、直接投資家への物件をまとめて売り、投資集団やヘッジファンドは、これをREIT(住宅投資信託)などと称して転売し、ようするに住宅市場の三十倍程度のレバレッジによって、不良債権があたかも有料債権のように、世界中に流れ出した。

それがウォール街の錬金術であり、腕利きのディーラーも経営者も、邦貨換算で数十億円ものボーナスを得ていた。ポールソン財務長官がゴールドマンサックス会長からブッシュ政権入りする直前に得たボーナスは500億円ともいわれる。

 こうした罠のような錬金術の嘘、その中心にあった不良債権のからくりがばれた。
 すぐにばれなかったのはCDS(クレジットデットスワップ)である。保険を掛けていたのだ。

 世界最大の保険会社(だった)AIG(アメリカン・インシュランス)には、そうしたジャンク債権が流れ込み、「あそこはゴミの集積場だ」と辛口のアナリストが嘆いた。
 しかし格付け機関は、怪しげな銀行やファンドの脆弱な本質を見抜けず、おろおろするばかりであった「(S&Pなどの格付け機関のランキングは投資の参考にならない)とベンバーナンキは発言するほどまでに信用力をなくした。

全米最大の保険企業AIGを指して、「あそこはジョーカーの集積場所」と密かに言われるような状況だった。
[AIGは何をやっているんだ。上はGEの真似をして多角化だけを経営戦略と考え、周りは茶坊主だけだ。AIGのIグリーンバーグ社長はまるで一貫性のない経営をつづけ、CDSだけで、600億ドルも抱え込んでいた]。
(この項、つづく)
    ○
   ♪
(((((((( 編集後記 ))))))))

●6日、都内のホテルで「高山正之さんの新刊を祝う会」が開催され大盛況だった。飛び入りで安部晋三元首相もかけつけ、保守系出版メディアの編集長クラスもずらり並ぶという雰囲気の会だった。なお、当日の模様は8日付け産経新聞社会面コラム「つどい」にカラー写真で特集される。
 小誌読者と高山ファンのために先行して詳報をお聞かせしたい。
 司会役は漫画家でエッセイストのさかもと未明さん。高山さんのこれまでの活躍がスライドで紹介された後、櫻井よしこさんからのメッセージが朗読された。
祝辞はまず渡部昇一(上智大学名誉教授)、金美齢(評論家)、安部晋三元首相、浜田麻記子(評論家、雑誌『ぺるそな』主宰)、日下公人(評論家)の各氏がつづいた。
その後、高山さん本人の謝辞、夫妻へ花束贈呈があり、石平、呉善花両氏がひとことづつ。「韓国と中国からの花束という演出ですか」と渡部教授が感心していた。乾杯の音頭は評論家の西尾幹二氏がとられた。『最近の高山さんのコラムは歴史家の目がある』とつけ加えられて乾杯。
●場内は華やかに盛大に、とくに和服姿の女性の参加が目を引く。
 歓談後、ふたたび祝辞が続いた。
 登壇者は産経新聞の住田良能社長、高山コラムを連載中の『週刊新潮』からは早川清編集長、政治評論家の屋山太郎、佐々淳行、『WILL』編集長の花田紀凱の各氏。引き続き産経新聞前北京特派員で帰国したばかりの福島香織記者とソウル特派員だった久保田るり子記者が高山さんの人となりを語った。
 さらに桜チャンネルの水島総社長、『テーミス』の伊藤寿男(元『月刊現代』編集長)、井尻千男・拓殖大学日本文化研究所所長らが祝辞を述べた。
 そこで高山さんが学んだ九段高校OBがずらり登壇して応援歌を合唱、中締めの挨拶は前田昭二・前田病院院長が行った。いよいよのクライマックスで三本締め。この音頭は『正論の会』代表の三輪和雄氏がつとめた。
 会場には他に作家の深田祐介氏、山谷えり子・参議院議員、評論家の三宅久之、笹幸恵、田原総一郎、加瀬英明ら多士済々の参加がみられた。
 ●というわけで、小生は二次会もおつきあい。翌日が早いので三次会はありませんでしたが。。。二次会では山際澄夫、藤岡信勝氏らが挨拶、フィナーレは政治評論家兼歌手の花岡信昭氏が浪花節調で、お得意の喉を自慢され、記念写真撮影後、散会した。
 というわけでした。
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