地元の投書から・穏健と言われる日教組単組の実態(国を憂い、われとわが身を甘やかすの記)
地元の投書から・穏健と言われる日教組単組の実態(国を憂い、われとわが身を甘やかすの記)
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/743883/
中山前国交相の発言をきっかけに、再び日教組問題が注目を集めていますが、その中で少し気になる点があります。それは、日教組問題には二つの側面があるということが、なかなか理解されていないという点です。中山氏が指摘したような「一部過激な教員・単組(ノイジーマイノリティ)」による反日教育や性別無視教育の弊害だけでなく、穏健派とされる日教組単組による構造的で強固な教育現場支配、ひいては県政支配(国政への影響力行使)に対する認識が欠けているか、足りないように感じるのです。
例えば、「私の知人は組合員だが、反日ではなくむしろ保守的考えの持ち主だ」「○○県は組織率が高いが、ちゃんと国旗・国歌を尊重している」などの意見、主張がありますね。それは一面を見ればその通りでしょうが、はっきり言えば非常に甘い、皮相的な見方だと思います。その一見「まとも」に見える姿がすべてではありません。それを言えば、私が紙面とこのブログでたびたび指弾してきた山梨県教組も日教組の中では思想的には「穏健派」であり、「保守派」とされているのです。では、何が問題なのか。
月刊正論の11月号(※私の記事も出ているのでよかったら読んでください)に、私の同期の安藤慶太記者が「後退する教育改革 広島・是正指導から十年の驚愕実態 かつて校長を突き上げ、自殺に追いつめた同和教育・組合教育り〝尖兵〟たちが管理職となり教育行政を乗っ取ろうとしている」というやたらと長い題の記事を書いています。この中で重要な指摘があるので、一部引用します。
《北海道やかつての広島県のように文部科学省や県教委を頭から敵視し、何事も反対を唱え、ストライキや実力行使もちらつかせながら裏で妥協点を模索する激しい単組ばかりが目立ちがちだ。
しかし日教組は一枚岩ではない。こうした武闘派の多い地域とは対照的に、神奈川県や兵庫県など組織率が高く資金力も豊富な地域では暴力的な闘争体質は表だっては少ない。実力行使とは一線を引くため、国旗国歌をめぐる指導についても比較的従順だったりする。保護者が眉をひそめるような激しい闘争とは一線を引き、交渉の道具に使うのを好むのである。一見話し合い先決で協力的に見えるが、結局は癒着を図り、教育委員会の内部に潜り込み、組合に顔が利くことを利用しながら中から公教育を蝕んでいく地域も多いのである。(中略)
民主党の輿石東参院議員の選挙のための資金カンパが明るみに出た山梨県の県教組などは日教組のなかで最も穏健路線を取る単組だった。》
…そこで本日は、私のスクラップ帳から、国会図書館に通って一つひとつコピーして集めた山梨県の地元紙、山梨日々新聞に掲載された山梨県教組批判の投書20通分(もっとあるのですがイザの字数制限の関係で)を掲載したいと思います。これは、産経が山教組キャンペーンを開始したのに伴い、地元紙に寄せられた反響で、一部過去エントリで紹介したものと重複しますが、この際ご容赦を願います。外部から見れば「穏健派」の教組の内部ではどういうことが行われ、組合員である教員たちが実際どう感じているかがうかがえると思います。
「選挙カンパと称して先生方から一人一万円の選挙活動費を取り立て一人八十票のノルマを課していたことも多くの人が知っています。輿石氏後援会の『東明会』という名を使っていても、実際には組合の幹部が指示を出し、組合の本部でそれを集計しているという事実は消せません。(中略)力を背景に無理やり選挙活動に先生方を駆り立てるやり方は、『民主主義』とか『人権』という言葉とは対極にあるものです。また同時に県教委もこのようなことを放置していたという点では同罪です」(平成16年11月10日、甲斐市・読者)
「小学校教員の知人に早速確かめたが、学校単位で選挙資金集めが行われたのは事実であった。驚いたことに、選挙資金集めは知事選や県議選のような地方選挙でも恒例行事で、選挙がない時期には、「カンパ」と称する使途不明の資金集めもあるらしい。四十代のその知人は、今までに数十万円もの選挙資金を拠出させられたと話している。私は子供の通う学校のPTA総会で、『保護者名簿』を選挙活動のために校外に持ち出すのはやめてほしいとお願いしたことがある。校長も、山教組の元幹部とのことでこの願いは無視された」(16年11月12日、甲府市・大学講師)
「(教員は)選挙があると自己の政治信条とは無関係に民主党(旧社会党)候補を応援することを強制される。具体的には1万円のカンパ、50人の個票集めなどである。もし、これを拒否すれば年度末の人事異動などで不利な目に遭うので組み合いには逆らえない。山教組出身者が県教委におり、山教組は彼らとともに人事権を握っている。これらは県内の教職員であれば、誰でも知っている公然の秘密である。(中略)彼らは常日ごろ、個人の人権やら民主主義を口にする。しかしながら、彼らが行っているのは組合という組織の圧力でもって個人の教職員の人権を弾圧すらしている」(16年11月13日、大月市・読者)
「隣家の教員に『組織内で改革の声が上がったり、見切りをつけて脱会する者がいないのか』と尋ねたが、末端の悲鳴は組合幹部には伝わらず、(山教組の)脱会希望者はノイローゼになるほどいじめ抜かれた上、管理職から『協調性がなく管理職に不向き』との烙印が押されるという答えが戻った」(16年11月23日、南アルプス市・読者)
「(輿石氏支援の)一万円のカンパも、私の勤務校では強制的に行われています。もし拒否したのなら、他の組合員(教員)から白い目で見られてしまいます。またそのカンパのお金も使途不明です。選挙となれば県民の皆さん周知の通り、個票集めや電話戦術、ビラ配りなどを強いられます。『私はこんなことをするために教員になったのではない』と叫びたくなります。輿石東議員が国政に出て、日本の教育、いえ『山梨の教育』は果たして変わったでしょうか。何も変わっていません」(16年12月1日、北杜市・教員)
「教師たちの授業軽視の姿勢には驚かされる。平日の昼間からゲームセンターや漫画喫茶に小中学生があふれるのは、一日あるいは半日休校となる教師の組合活動の日だ。この県の教職員組合は教育より選挙に熱心で、選挙運動に疲れた教師が次々と休暇を取り、選挙中にはわが子の学校は自習ばかりである」(16年12月8日、甲府市・転勤者)
「これまでにも何度か山教組をめぐって疑惑が持ち上がったことがありますが、すっきりと解決したことは記憶にありません。今回のカンパや選挙活動に対しては今度こそ真実を知りたいと思います。教師が一人ひとり自分の意見を持ち、それをきちんと言える職場であるのかどうか知りたいのです。このニュースは子供たちも知っています」(16年12月9日、甲府市・読者)
「本欄にも、また、さまざまな報道にも輿石東参議院議員の『組織ぐるみ選挙』の問題が取り上げられ、県教育委員会も『調査し、報告する』ことを政党の調査議員や報道各社にも約束したことと思います。それは『県民に対する約束でもある』と思います。私は小学校の教員をしています。『調査する』と言ってからもう何日もたちますが、現場の教職員には何も調査はきておりません。一体何をどのように調査しているのでしょうか。現場での選挙活動は四十年近くにも及んでおります。この間、票・カンパを『強制・半強制』しなかった選挙は、一つもありません。県教委も承知していたことと思います。なぜなら、そのことを指示していた教職員が、県教委に指導主事・管理主事として採用されているからです」(16年12月14日、南部町・高村基貴)
「内藤いづみ教育委員長が就任した記者会見の際、今問題になっている山教組問題に関し『調査は信頼できる結果でないと困る』と述べ、同時に山教組支部役員を歴任した曽根修一委員が内藤氏の後任の委員長職務代理に選ばれたことについて、『人柄や能力が素晴らしい方だと本音で思う。(山教組幹部出身は)判定基準としてマイナスにならなかった』と述べたと報道された。人柄や能力が素晴らしいことと、この時期本県教育界に重い課題となっている山教組問題の、ある意味では当事者でもあった人物について、何が判定基準でマイナスとならないのか、いささか理解に苦しむ」(16年12月31日、甲府市・読者)
「今回のことは山教組だけの問題ではない。現に県政連には校長会、教頭会も丸ごと入って多額のカンパを出している。山梨の教育界では、しばしば教育三者とか四者とか六者とかいった言い方がされ、PTAなどまでも巻き込んで教育一家が構成されているかのような実態がある。教委事務局や教育長や教育委員ですら仲間になる。県教育委員にも元組合役員だった方もいる。今回のことを違法というなら、そうした組織ぐるみの中であったからこそ行われたことであり、誰かを処分してもいけにえにするにすぎない。本来処分されるべきは、そうした組織ぐるみという在り方そのものなのである」(17年1月13日、三珠町・佐野公保57歳)
「一連の県政連と山教組の選挙活動の問題で心を痛めている教員の一人です。私も管理職の先生や山教組の先生方と輿石氏の選挙資金カンパや得票活動に協力してきましたが、新聞報道で初めてカンパの年間収入が千九百万円だと知りました。県政連と山教組県本部に、大勢の先生方が選挙カンパの収支報告をお願いしても政治活動にかかわる秘密を理由に全く知らされてこなかったからです。(中略)どう計算しても千九百万円は少なすぎます。現場の先生方は定期カンパの一千万円以上が毎年、不正に使われたのでは、と不信感を募らせ始めました」(17年1月16日、国中・教員)
「山教組の政治資金問題が国会でも取り上げられた。中山成彬文科相は、この問題は明らかな違法行為であり、それ相応の処分が行われるべきであると答弁した。本欄でもいくつか指摘があったように、県教委の『処分』というのは単なる『注意』であり、懲戒処分は行われなかった。(中略)渦中の人物である輿石東国会議員も、自分とは関係のないことと平然としている。この問題は単に選挙資金のだけの問題ではない。特定の政治勢力による県政の支配であり、重大な県民への裏切り行為である」(17年2月5日、甲斐市・読者)
「自分の出世のために、人事権をかさに他の先生方からカンパと称して政治資金を巻き上げるなどという暴力団まがいのことに加担する教師に、まともな教育は行えないと思うのです。(中略)教師を政党の道具とすることは一刻も早くやめてほしいものです。そして先生方が不要な権力に気を使わず、平等に、自由に、子どもたちのために、力を合わせることのできる学校づくりを、私も応援したいと思います」(17年3月6日、甲斐市・読者)
「三人の子どもを連れ山梨に赴任して間もなく二年になる。学校教育に関してこんなに失望させられた任地は初めてである。(中略)不慣れな土地で多くの知人をつくろうと、皆が敬遠するPTA役員も引き受けたが、山教組主催の集会に動員をかけられ知らぬ間に、ある民主党議員の『支持者』にさせられていた。他県の友人に『冗談だろう』と笑われるようなPTA活動も経験した。学校を休校にしての組合主催の集会が公認され、教育より選挙が大切という教師たちは『子どもたちの学力伸張には全く無関心』な様子である」(17年3月9日、甲府市・会社員43歳)
「輿石東参院議員の選挙資金集めに関する疑惑は依然解消されていない。日がたつにつれ、より深刻さを増している。輿石氏は『コメントする立場にない』と逃げに徹し、有権者と正面から向き合っていない。県教育委員会の対応もぬるく、時とともに人々の関心が薄まることをひたすら待っているような気がする。輿石氏は疑惑が浮上した当初から政治団体・県政連との関係を否定してきた。だが、最近になって県政連からの寄付金の存在が明らかになった。今後、弁明の言い回しを大きく変えることだろう」(17年3月25日、甲府市・今津佑介21歳)
「山教組本部・支部の役職経験者が県教委の人事担当の教職員課長・管理主事になったり、管理職への登竜門であったり、退職後は各地の地教委の教育委員になっている。半面でカンパを拒否する者、組織ぐるみ選挙を批判する者は昇任、人事異動で差別し『もの言えば唇寒し山教組』の実態を生み出してきた。六人いる教育委員のうち、山教組出身者を含む四人の元教師がいる県教委では『生活慣習病』(内藤教育委員長)といわれる『ぐるみ選挙』の病根を断ち切ることは困難である」(17年4月8日、山梨市・松上芳雄79歳)
「(山教組定期大会で)全県の教職員を動員してのカンパ集めや集票活動は多くの教員が証言しており、県民周知の事実であるのに、いまだにそれを否定するとは驚くばかりである。日本の未来を担う子どもを教育するという立場にある者が、このような違法行為を正当化するなどということは絶対にあってはならないことである」(17年5月26日、甲府市の読者)
「ぜひ事実は事実として認め、『再発は組織を懸けて防ぐ』と率直に県民に約束したらどうでしょう。当人である輿石東参院議員は『委員長に聞けばいい、私が触れる必要はない』などと人ごとのように言い放つのではなく、自らの責任において対処すべきです」(17年6月7日、甲府市の読者)
「職組は選挙のためではなく、教員の身分や生活権のためにあるもので執行部は何か誤解か意図的な考えがあるのではないでしょうか。教育の現場にいる私たちは、選挙とか政治ではなく、教育の本旨を真剣に考え、子どもや親たちから信頼を取り戻すことや、全国的にみて低いと言われる教育レベルのアップを目指すことが命題ではないでしょうか。(中略)私たち一般教員は山教組の現状に信用も満足もいたしておりませんし、多くの教員は厳しい批判を持っています。(中略)輿石東参院議員の言動には度々閉口しております。教育の大先輩としておわびや責任の取り方を全く承知していないことは、上に立つ人としては不幸とさえ思えてなりません」(17年6月23日、甲府市・教員)
…教員や親など教育の現場からこんなに悲痛な訴えが寄せられているのに、これを問題だとも思わず、軽視する方がおかしいと私は思います。上に記した山梨県教組の実態は、産経のキャンペーンのあと、例年実施されていた半強制カンパが行われないなど一部は改善されましたが、それも、世の中の関心が薄れ、沈静化したと思えばまた復活するのでしょう。やはり日教組をこのまま放置してはおけないと思うのです。しかし、私も改めて読み返して、輿石氏の面の皮の厚さは相当なものだと感心しました。
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