サッチャーさんのマネで切り抜けてほしい。
北野さんのブログの記事の紹介です。↓
★麻生さんと小沢さんにのぞむこと
~景気回復と財政再建は両立できるか?
全世界のRPE読者の皆様こんにちは!
いつもありがとうございます。
北野です。
麻生総理が誕生し、たくさんのおたよりが届いています。
その多くは「麻生さんと小沢さん、どっちがいいのでしょうか?」と
いうもの。
そんなことモスクワ在住の私にきかれても。。。
とはいえ、世界的・歴史的観点から今の日本を見ることはできま
す。
麻生さんにしろ小沢さんにしろ、ジレンマは二つの大問題をどう
するかでしょう。
二つの大問題とはつまり、
・景気をどうする?
(「アメリカは世界恐慌以来最悪の状況だ!」と叫んでいますが)
・財政赤字をどうする?
(「日本の財政が破たんするのは決定事項だ!」と榊原さんがい
っていますが)
非常に難しい大問題です。
▼景気は、放っておいたらよくならない
アメリカ経済の現状について、詳しく書く必要もないでしょう。
多くの専門家が「1929年の世界恐慌以降最大の危機だ!」と絶
叫しています。
全世界の国々があれこれ対策を打ち出している中、まったくなに
もしていないのが我が国日本。
ところで1929年。
資本主義の総本山アメリカも、なにもしなかったのです。
アメリカ経済は1920年代、空前の繁栄を謳歌していました。
アメリカ資本主義の黄金時代と呼ばれています。
ところが1929年10月、株価が大暴落しバブル崩壊。
一転して大恐慌の時代がはじまった。
フーバー大統領は、どうすることもできませんでした。
当時、資本主義といえば「古典派」。
古典派の信仰は「市場が自由であれば、すべてがうまくいく」とい
うもの。
ところが市場が自由でもちっともよくならない。
で、どうしたか。
ルーズベルト大統領が登場し、ケインズの考え方を取り入れます。
ケインズ理論の本質はなにか?
有効需要(消費と投資)が増えれば、国内総生産が増え、国民所
得も増える。
それなら、国が財政支出を増やして有効需要(消費と投資)を増
やせば、生産も所得も増えるではないか?
大事なのはここから。
国が1兆円ぶち込んで、1兆円の経済効果だったら意味がない。
ところが、ケインズ理論によると、ぶち込んだ金以上の効果がある
のです。
なぜか?
有効需要(消費と投資)が増えれば、商品を供給する側の生産が
当然増えるでしょう。
そして、生産する側の所得も増える。
生産者は同時に消費者でもあるから、所得が増えればその金を消
費したり投資したりする。
こうして、
国が支出を増やして有効需要(消費と投資)を増やすと→
生産・所得増→消費・投資増→また生産・所得増→また消費・投
資増→またまた生産・所得増→またまた消費・投資増→以下くりか
えしとなり、
延々と経済効果が波及していくことになる。
さて、ルーズベルトはケインズ理論にしたがい、「ニューディール政
策」を実施。
ダム(TVA)を作ったり、軍拡をしたり。
しかし、ケインズの有効性がはっきり確認されたのは、第2次大戦
勃発以降でした。
1941年12月8日、日本軍が真珠湾攻撃をした。
これでアメリカは参戦を決め、総力をあげて軍需生産に取り組むこ
とにします。
そしたらどうなったか?
完全雇用が達成されて、戦争中にもかかわらず好況になってしま
った。
ルーズベルトは戦争勃発までケインズの有効性に気がつかなか
った。
しかし、ヒトラーは知ってか知らずか、「アウトバーン」(高速道路)
建設や大軍拡を実行するなどし、有効需要をどんどん増加させて
いきました。
それで景気は良くなり、完全雇用が実現した。
ドイツ国民が独裁者ヒトラーを「神のごとく」あがめた理由がわかる
でしょう。
(なんといっても1922~23年、ドイツのインフレ率は1兆%(!)にた
っしていたのですから)
ここで私が言いたいのはなにか?
「景気が悪い時、放っておくとどんどん悪くなる」
ということ。
そういえば、日本も90年代はじめ「景気はすぐ良くなる」なんて無
為無策で数年を過ごしました。
そのツケ、私たち国民は今も払わされています。
今世界経済は「世界恐慌以来の危機」に直面している。
フーバーさんやバブル崩壊後の日本のように、何もしなくていいは
ずがないのです。
麻生さんは「景気対策を最優先させる」といっていますが、当然で
しょう。
(「消費税は3年上げない」と宣言したことも評価できます。
不況時に増税すれば、消費がさらに落ち込む。
これは重病人にドロップキックをくらわせる最悪の政策といえるで
しょう。)
▼ケインズの限界
アメリカでケインズの有用性が理解され、ケインズ理論の全盛時
代がやってきました。
しかし、しばらくするとケインズの問題がはっきりわかってきます。
「景気が悪いとき、国が財政支出を増やして、橋や高速道路を作
れば景気はよくなる」
確かに事実なのですが、政治家にとってこんな簡単な方法はない。
結果、どんどん国家支出が増大していった。
それで、ケインズを政策の柱にした欧米諸国では、例外なく財政
赤字が問題になっていったのです。
歯止めがきかないんですね~。
日本でも官僚さん政治家さんの無駄使いが問題になっているで
しょう。
日本だけじゃないのです。
全世界どこでも同じ現象が起こっていた。
それで、アメリカとイギリスは80年代、古典派に回帰することにし
ました。
しかし、日本は80年代経済一人勝ちの時代。
「ジャパン アズ NO1」なんておだてられているので、今までの
政策を改める必要を感じなかった。
しかし90年にバブルが崩壊。
暗黒の10年に突入した。
日本政府は、過去と同様借金を増大させながらケインズ的政策
を繰り返していきます。
そして、いつの間にか日本は「世界最大の借金大国」と笑われる
ようになってしまった。
▼日本国は破産寸前
で、今の日本国の財政状況はどうなのでしょうか?
北野の最新刊
「隷属国家日本の岐路~今度は中国の天領になるのか?」
(詳細は→ http://tinyurl.com/6zcszc
)
から引用してみましょう。
【引用ここから▼】
< 「そうはいってもどうも納得いかない・・・」
こう考える人も多いでしょう。
それは、日本が破産寸前であることを理解していないからです。
最近、「日本は破産寸前だ!」という専門家が増えてきました。
実際のところどうなのでしょうか?
ところで、日本の財政事情にもっとも精通しているのは誰でしょうか?
そう、財務省の人ですよね?
財務省の中でも、上層部の人たちは、ことの深刻さをはっきり理解
しているはずです。
しかし、現役の人は怖くてホントのことを口に出来ない。
では、もう責任がない元財務省の人はどうでしょうか?
例えば、1997~99年に財務官を務め「ミスター円」といわれた榊原
さんならどうでしょう?
「ああ、『ミスター円さん』なら、日本の財政について誰よりもよく知っ
ているだろう」ということで、反論はないですね?
さて、榊原さんは日本の財政についてどう語っておられるのでしょう
か?
同氏の「経済の世界勢力図」(文藝春秋05年)を参考にしてみます。
まず、現状について。
「90年代に景気回復のために財政出動を繰り返した結果、99年か
らはGDP比の累積債務残高はイタリアを超え、G7諸国で最悪になっ
てしまいました。」
(経済の世界勢力図)
「05年末時点で日本政府と地方自治体を合わせた債務残高はお
よそ774兆円、対GDP比で170%に達する見通しとされます。」(同前)
「確かに数字は膨大ですが、どうして一向に破産しないのでしょう
か?」
この辺についても、理由が書かれています。
「現在、日本では家計の金融資産、つまり貯金や株、保険の積み
立てなどの貯蓄がおよそ1400兆円あります。その貯蓄のかなりの部
分、60%から70%ぐらいが銀行あるいは生命保険会社を通じて国債
の購入に振り向けられています。」(同前)
なるほど~、国民には1400兆円貯金がある。
そのうち774兆円を国に貸している。
よく「国民一人当たり何百万円の借金」といういいかたをしますね。
そうではなく、国民は債権者なわけです。
高い税金を払って、さらに国に金を貸す。
日本国民というのは、聖人の域に達しています。
ここで疑問が出てくるでしょう。
「じゃあ、国の借金が1400兆円を超えたところで、日本国は破産す
るのですね?」
おっしゃるとおり。
榊原さんは、「2020年までもたない」と断言しています。
「政府の公的債務残高は2010年にGDPの204%、2020年に287%、
2050年には718%になると結論しています。
日本の現在のGDPはおよそ500兆円ですから、287%なら1435兆円
となって、それだけで現在の個人の金融資産残高1400兆円を超え
てしまう計算になります。
つまり高齢化の影響という側面だけ見ても、日本の財政は2020年ま
ではもたないわけです。」(同前)
ちょっと待ってください。
元財務官に断言された日には、国民はどうすればいいのでしょうか?
国家破産を逃れる道はないのでしょうか?
「実際に起きるのはもう少し先、おそらく7、8年先になるであろうと
私が予想していることはすでに書きました。
問題は、「日本経済は政府の財政赤字を今後も支えていけるか」で
はなくて、「支えきれなくなるときがいつ来るか」ということなのです。」
どうですか皆さん。
これが、日本の財政事情を知り尽くした元財務官の言葉。
日本もいいかげんケインズ・ケインズ・公共事業・公共事業といって
いられない背景がご理解いただけたでしょう。>
【引用ここまで▲】
どうですか、皆さん。
元財務官榊原さんは、「日本国が破産するのは確実だ!」と断言し
ているのです。
ここでひとつの結論に達します。
「景気対策最優先」は当たり前だが、「ケインズ」(=赤字国債発行に
よる公共事業など)は、もう使えない。
さあ、現在日本が抱えている大問題が二つ明らかになりました。
1、アメリカが世界恐慌以来の危機に直面している今、日本は景気
対策をどうするのか?
2、日本は国家破産にむけまっしぐらに進んでいるが、これをどうす
るか?
この二つをどう両立させるのか?
▼財政再建と景気回復を同時に果たせる道はあるのか?
あります。
80年代のサッチャー改革が参考になるでしょう。
アメリカ大統領諮問委員H・フィギー・Jrさんの名著
「1995年合衆国破産」( http://tinyurl.com/7ufqg
)から引用して
みましょう。
まず、サッチャーさんが首相になったとき、イギリス経済はどうだっ
たのか。
<1976年、英国政府はIMF(国際通貨基金)に対して、債務の元
利返済のための援助を申請した。
かつて栄華を誇った王国にとって、これは耐え難い屈辱であった。>
お~まいがっ!
「日の沈まない国」が借金の利子を払うためにIMFから金を借りる?
エリザベス女王も悔しかったでしょう。
しかし、そこに救い主が登場します。
<1979年に、英国民はマーガレット・サッチャーを選出し、経済負
担の軽減への希望を託した。>
で、サッチャーさんは「ケインズ」をしたのでしょうか?
<サッチャー首相の政治綱領では、
財政面での保守倹約主義、
減税、
公共部門の削減
に重点が置かれた。>(同上)
どうです?
日本政府がこれまでやってきたこととは、正反対でしょう?
1、財政面での保守倹約主義
日本政府は逆に借金をジャンジャン増やしている
2、減税
日本政府は、自分たちの無駄遣いを棚に上げ「財政再建のため
に増税やむなし」などと非人道的な主張をしている
3、公共部門の削減
掛声ばかりで、一向に進まない。
おそらく本気で取り組む気はない。
さて、サッチャー改革の結果どうなったか?
<その行動によって、181億ドルの財政赤字は、59億ドルの黒
字に転じた。
サッチャーは黒字分を477億ドルの国家債務の返済に充当し、
1979年にGDP比で51%あった債務を1990年までに27%に減少さ
せている。
この見事な政治手腕が英国を救ったことは疑いの余地はない。>
(同上)
「財政はよくなっても景気はどうなったんですか!?」
こういう質問が出るでしょう。
<それにもまして、サッチャー首相は英国をふたたび前進させた
のだ。
1983年から1990年にかけて、GDPの実質成長率は1973年から
1982年までの期間の2倍に伸びた。
また、一人あたりのGDPの実質成長率は先進諸国の平均値を
4分の1上回っている。
1980年代前半に11%前後を記録していた失業率も1990年には
6%に低下している。
1984年から1990年にかけて、英国は300万人の雇用を創出して
いるが、ヨーロッパの他の大国を大きく上回る数字である。
1980年代に英国以上の労働生産を上げている国は、日本をおい
て他にない。>(同上)
どうです?
サッチャーさんは財政を再建しながら、景気も回復させたのです。
今の日本の政治家さんはどうですか?
「景気回復か?」それとも「財政再建か?」
とあたかも二者択一しかないかのごとし。
これは自ら、「私には知恵がありません」と暴露しているのと同
じこと。
▼麻生さんと小沢さんにのぞむこと
ここまで読まれた皆さんは、私の言いたいことがおわかりでしょ
う。別に麻生さんでも小沢さんでもいいんです。
どっちでも正しい政策をしてくれればそれでいい。
正しい政策とは、「財政再建と景気回復」を両立させる政策のこ
とであり、そのモデルは「サッチャーさんの政策」にある。
民主党は、自民党に勝ちたいのなら、
「民主党は絶対増税をしません!」
を公約にするべきです。
ついでに、「日本を世界最大の借金国家にした自民党は、それ
でも足りず、消費税を倍増させようとしていますが。。。」
というまえがきも付け加えればいい。
さらに、民主党は「インド洋の給油活動」に反対しているでしょう。
日本には世界最強の同盟国がいるのに、わざわざ関係をぶち
こわそうとしている。
愚かです。
小沢さんはアメリカに、「民主党が勝てば、給油活動は継続しま
すよ」とこっそり伝えるべきです。
そうすれば、アメリカも邪魔しなくなるでしょう。
今回は駆け足で見てきましたが、「なぜ大減税すると日本経済
は復活するのか」の詳細は↓↓↓をご一読ください。
すべてがわかります。(おわり)(以下は本の宣伝なのでカット)
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