馬英九総統が繰り返して主張している尖閣=中華民国領土論はすでに破綻している。
【論説】日米安保条約を容認する馬英九総統の
「尖閣=中華民国領土」という謬論
メルマガ「日台共栄」編集長 柚原 正敬
9月19日、台湾の馬英九総統が日本人記者団を前に、持論で
ある尖閣諸島の中華民国領土論をぶち上げた上で、「日台
双方が主権問題を棚上げし、共同開発や資源を共有することが
双方の利益となる」との考えを示した。
この記者会見では「日米安保条約は東アジアの平和の重要な
支え」と、同条約を容認する姿勢を改めて表明し、「日台の安全
保障上の協力も推進する考えにも変化はないと強調した」(
共同通信)という。
しかし、馬英九総統が繰り返して主張している尖閣=中華民国
領土論はすでに破綻している。
なぜなら、日米安保条約を
容認しているからだ。
尖閣諸島は明治28年(1895年)1月に日本が主権を宣言して以来、
沖縄県に属していた。
大東亜戦争後、昭和27年(1952年)4月28日に発効した
サンフランシスコ講和条約の第3条に謳う
「南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む)」に
含まれていたことで、アメリカの信託統治領となる。
この条約で日本が放棄した領土
は「台湾及び澎湖諸島」であり、
そこに尖閣諸島は含まれていな
かったのである。
そして日本は、昭和35年(1960年)に日米安保条約を締結した。
その第5条には「日本国の施政の下にある領域」とあり、
アメリカ国務院は2004年3月、「日米安保条約は日本管轄下の
領土に適用されるとしており、
そのため第5条は尖閣群島にも
適用される」と述べて、
尖閣諸島が日本の領土である
ことを明らかにした。
つまり、中華民国が尖閣諸島の領有権を主張した1970年9月には、
尖閣諸島はアメリカの信託統治領だったが、
昭和47年(1972年)5月、
アメリカとの沖縄返還協定に
よって沖縄とともに尖閣諸島が
日本に返還され、
日米安保条約の対象領土、
すなわち
「日本国の施政の下にある領域」
となり、それ以来、領土的変更は
ない。
その日米安保条約を馬英九総統は容認しているのだ。
日米安保条約を容認しながら、尖閣諸島を中華民国の領土だ
と主張するのは大きな矛盾であり、謬論もはなはだしい
成立しない主張なのである。
もちろん、明治28年(1895年)5月発効の下関条約において
日本は清国より台湾及び澎湖諸島の割譲を受けたが、
すでに述べたように、日本はその年の1月に尖閣諸島の
主権を宣言しているのだから、下関条約の対象領土で
なかったことも明白なことだ。
その他にも、尖閣諸島が中華民国の領土でないことは
中華民国自身の地図帳などからもすでに証明されている。
馬英九総統は面子にこだわらず、歴史的にも国際法的にも
成立しない尖閣諸島=中華民国領土論の誤謬を潔く認め、
実効支配しているわけでもない尖閣諸島の主権棚上げ論を
取り下げるべきだろう。そうすれば、日台関係がさらに前進
することはまちがいない。
日台漁業交渉の活路も開けてくるだろう。
『台湾の声』 http://www.emaga.com/info/3407.html
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