アジアの街角から ☆ 日本の経済も大変、だけど 国の借金は完済する必要がない
私見時事論談 ―――― by hideおじさん
☆ 日本の経済も大変、だけど 2008/02/20
韓国経済のことをいうと「日本だって他人のことを
言えない」というご意見が出てくると思います。
確かに「そのとおり」です。「よその国にケチ
付けている場合じゃない」ともいえます。 「日本の財政赤字は危機的状況じゃないのか」と
いう意見も良く聞かれます。 日本も洒落にならないぐらい大変な状況、だという
ことを踏まえ、簡潔に日本の借金について考察し
ながら、どの点が韓国と違うのかを考えてみたい
と思います。 2005年6月末の日本国の借金=国債、借入金)が
GDP=国内総生産)の1.6倍=795兆円に
なったことから、「日本経済の崩壊」などという
報道が聞かれるようになってきました。 ただ、国の債務(借金)と個人の借金とを同じように
考えてはならないポイントがあることを知っておく
と、より明確に日本の現状が見えてくるかもしれ
ません。 ―― 1.完済する必要がない 「そんな馬鹿な」と思われるかもしれませんが、
ここが個人の借金と国の借金の違いです。
(但し、借入金の場合は当然完済する必要が
あります)基本的には国の借金というのは「国債」
というものが考えられます。この国債発行額を見て
「国民一人当り600万円、700万円返さなけ
ればならない」と言いますが、正確にいうとそう
とも言えないのです。 何故なら、国というのは人間と違って寿命が限られ
ていませんから、返済期限になったらその分、別に
借り換えて引き伸ばしていけばいいともいえます。
利子の支払いが可能であれば借り換えは可能です。 個人の場合はこのような自転車操業はできません。
但し、これはあくまで将来にツケを先送りしている
だけですから、根本的な解決ではありませんし、
未来永劫続くとはいえません。だから「問題だ」
ともいえます。 ここで、公債の残高ですが、2004年にGDP
比率100%と膨大になっていますが、利子費用に
ついてはGDP比率で1.7%と90年代より低下
しています。ですからまだ借り換えが可能、とも
いえます。 先に、「韓国では国の借金がGDP額の50%を
超えている」と述べました。GDPでは日本はそれに
勝る借金です。たしかに他人のことをいえる立場
ではありませんが、国力という点で考えると、
日本の借金はまだ余力のある借金といえ、韓国の
借金は目いっぱいの借金といえます。 また、その借金が国内で調達したものなのか、海外
から調達したものなのかを考えると、韓国の借金は、
無理に無理を重ねているといえるのです。 ―― 2.借金の額より中身が問題 債務には必ず資産があるといえます。例えば会社が
1億円の社債を発行するとそれは1億円の借金です
が、同時に1億円の現金が手に入ることになります
その借金をどのように使うかが重要であり、単に
借金が増えた、減ったで考えるだけでは間違いだ
思います。 国の借金であっても、そのお金が将来利益を生む
投資であった場合、1億円借金しても10億円借金
しても国民生活に有益な投資に使っていれば、単に
借金が多いというだけで問題視することはあり
ません。「良い借金」と「悪い借金」があることを
考えなければなりませんが、これからの高齢化社会に
必要な投資などであれば、まだしもましな今のうち
やっておくべきではないかと思います。 日本の場合、この借金の使われ方が「不透明」で
あったり「無駄な公共事業」そして、地方にもいえ
ることですが「安易な投資が失敗を生んだ」という
ことに問題があるのではないでしょうか。
ーーーここが、ちゃんと損益計算ができない役人
仕事と揶揄されるところでしょう。 韓国の場合、日本と同じような状況もありますが、
先に述べたとおり、莫大な借金を基にした為替
介入、いわゆる利益を生まない投資、に近いこと
がまかり通っているところに問題があると思います。 ―― 3.負担よりも再配分 「増税なんてふざけるな!」といいます。私も増税
より先にすることがあるだろうという考えですが、
「国民の負担を考えろ」といわれると、その
「負担」という言葉には気をつけなければと思います。 基本的に私たちの税金は必ず誰かに渡されています。
=再配分)ですから国民全体では負担と受益は一致
しており、純負担(負担-受益=0)はゼロになるの
です。 ただ、個人によってプラスになっている人もいれば、
マイナスになっている人もいるので、自分は損して
いると感じる人が多くなれば、国に対する信頼が
薄くなり「誰かが得している」という不公平感が
高まってきます。ですから「再配分の公正さ」が
非常に重要になってくるはずです。----ここで
出てくるのが「ジニ係数」です。
「Gini(ジニ)係数からみた中国」 北欧は非常に高い税金ですが、再配分の公平さが確保
されているので不公平感がないといわれています。
単に増税といっても、既得権益を持っていると
ころを打破することと、公平さを明確にしなければ
日本国民の信頼を得ることはできないでしょう。 韓国においては財閥といわれる企業に経済が集中
しており、政府との癒着を考えると、既得権益を
打破するのに日本より非常に苦労するといえる
でしょう。 ―― 4.誰が借金を作り、誰が返すのか そもそも財政赤字というのは、「税金の先食い」
みたいなものですから、借金を先送りした人々の
税金を増やして返済させる、というのが正論です。
日本の財政赤字拡大の主たる原因のひとつが、
度重なる減税であるということを考えると、
その恩恵を被った人々にも責任があるといえます。 ーーーとなると、我々サラリーマンも政府だけを
責められるものではなくなってきます。
では「やっぱり増税か?」となりますが、 日本の家計金融資産は1400兆円と謂れ、その
70%以上が50代から70歳代の国民が抱えて
います。この部分にもメスを入れなければなら
ないのではないでしょうか? 不正蓄財とはいい
ませんが、裕福な人が多く税金を払うという、
システムの見直しも必要でしょう。 若者に国の借金すべてを押し付けることになっては、
さらに若者の日本離れが進むかもしれません。 以上、簡単に日本の借金について考えてみましたが、
ここで忘れてはならないポイントが、「日本の資産」
です。ここが韓国と日本の大きな違いになるの
ですが、報道で聞かれる「国民一人当たり
○百万円の借金」というのは「粗債務」と呼ばれ
るものです。欧米を含めて一般的には、この
粗債務で国の借金を判断しますが、本来ならば
その国が持っている資産と比較しないと、単純に
借金が多いとはいえないのです。 例えば、3千万円のマンションを購入した人がいる
として、3千万の借金がある。でもそのマンション
の価値が2千万円とすれば、純粋な借金は1千万円
ということになります。 日本の場合、金融資産は500兆円あるといわれて
います。また国が持っている不動産(国内外)を含め
ると700兆円もの資産があります。これはGDP
の1.4倍にもなります。莫大な財政赤字とはいっ
ても、まだ外国は日本を信用しているのです。 金融資産といっても元々は社会保険とか国民のお金
ですから、赤字に補填して良いとはいえませんが、
ただそれなりの資産を持っているということは理解
してよいでしょう。 韓国の場合は、国力の差、市場規模、その他何れを
とっても日本より下回っている状況からも、国と
して持っている資産というのは比べものになり
ません。その気になればある程度返せる見込みが
ある借金と、返すあてもない借金ではどちらが信用
されるのかは言わずもがなでしょう。 ただ、だからといって日本は安穏としていて良いと
いう状況ではありません。 いつかは成り立たなくなってしまいますし、借金も
返さなければ、天に唾するものです。莫大な借金が
あるのは事実で、これを削減していかないと外国
からの投資は減っていきますし、日本市場も魅力の
ないものになってしまいます。 そこのところを充分理解して、健全な日本を築く
責任は我々国民ひとりひとりにあるのではないで
しょうか。= この稿おわり =
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