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国際戦略コラム

国際戦略コラム有料版 09.15   [サブプライム問題拡大と今後]
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有料版の記事サンプルです。サブプライムローン問題を深堀して検討しよう。   Fより

今回から有料版を発行するが、解析の方法は毎日、社会に影響があると思われる記事を、この10年くらいディスクに貯めている。その過去の記事を全文検索ツールを使って読み直して、その根本にある流れを見て解析する。勿論、過去歴史の教訓などにも触れる。第一回目は、サブプライム問題と今後の予測をしたい。サブプライム住宅ローンとは、米国の信用力の低い低所得者向けの住宅ローンで金利が高いので、住宅ローン全体の中では目立たない存在だったが、2000年ごろから住宅価格が上昇するにつれて利用者が増え、それまでは住宅ローン市場全体の10%以下だったのが、06年から07年にかけては13から15%を占めるまでに成長した。当初の金利は低めに設定し、数年後からは高金利になる仕組みなので、住宅価格の上昇で住宅の担保価値が上がれば、より低い金利のローンに切り替えることができたからだ。しかし、住宅価格が下落した2005年を境にして、返済延滞や債務不履行の問題が浮上し、金利が低い2~3年は問題が表面化しなかったが、2007年には表面化しだした。私Fが気がついたのは、2007/04/11nikkeiIMFがサブプライムの焦げ付きに注意を喚起した記事である。米国はノンリコール制度であるために、返済の原資とする財産(責任財産)の範囲に限定を加えた貸付方法であるために、債務不履行といっても、住宅から出て行けばいいだけである。このため、簡単に債務不履行ができ、ローンの焦げ付きが拡大している。このサブプライムローンも住宅ローン担保証券(RMBSもしくはMBS)の形で証券化され、さらにそれらが債務担保証券(CDO)の形に再証券化されて、金融商品として主に欧米の投資家、銀行、証券会社に販売されたために、欧米全体に波及している。仏金融大手BNPパリバが傘下ファンドを凍結したのが2007年8月であり、数日遅れて、米投資銀行大手ゴールドマン・サックス傘下のファンド2社も凍結した。2007年07月にFRB議長がサブプライム問題で金融機関の損失は12兆円になると発言している。そして、格付けもリスクがあるのにAAAなどと高ランクにされていた。格付け会社の報酬が、証券会社からの証券の格付けによっていたことで、甘くなったと弁明しているが、いかにいい加減な格付けをしていたかが問われ、2007年9月に米S&P社長が退任している。2007年9月にサブプライム大手の米アメリクエストが廃業している。このとき、その大量の債券を買ったのがシティである。また同月英ノーザン・ロック銀行で取り付け騒動が起こり、その後同行を国有化した。2007年09月にサブプライム債権の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディーマック)の買い取り枠を拡大することに米財務長官が前向きとしたが、その実施は2008年2月である。この処置が、その後の2公社の危機に繋がる。10月には米シティなど共同で10兆円規模のファンドを検討したが、世界的に資金を集めようとしたができず、12月には見送りをしている。12月には証券保障のモノラインであるアムバックが救済されたが、格付けが低下して、銀行の損失が拡大した。その後も住宅価格の下落が止まらずに、2008年3月にはオルトAやプライムローンなどにも返済延滞や債務不履行が広がり、その担保証券も急落し、2008年08月にメリルとシティはこの証券を買い戻している。ここでも損失が拡大した。2008年3月にはとうとう米証券大手ベアー・スターンズが危機になり、救済のためにJPモルガンが合併した。この損失を埋め合わせる資金供給をFRBは保証した。2008年09月には米財務省は住宅公社への公的資金注入を発表した。ここまでのサブプライムで世界での損失は118兆円に上るとIMF幹部は発言しているが、それだけでは終わらないようだ。今、リーマン・ブラザースの救済策を検討している。ここまでは住宅ローンとその証券化商品や関連会社の株に閉じたが、公社対象のデリバティブ(ほとんど金利スワップ)に波及することが確実になった。金利スワップとは、資金の支払いを相互に交換する取引であり、変動金利(短期間毎に変更)の債務を持つA社と、固定金利(金利一定)の債務を持つB社が、金利支払いを交換する取引である。この仕組みを使って、各社の住宅ローンを保証していたが、この業務を清算するという。しかし、JPモルガン、シティを筆頭とする米銀のデリバティブ契約残高はことし3月末で180兆ドルを超え、そのうち金利関連は80%、142兆ドルである。これが金利スワップ取引で、この固定金利への引受け手の大部分がファニーメイとフレディマックである。権利行使ができないような清算すると、ここでも大規模な損失が米銀だけではなくて、世界の銀行に降りかかることになる。もし10%の損失が出ると、それだけで米銀だけで14兆ドルにもなる。世界のデリバティブ取引は400兆ドルとも言われているので、その80%の10%程度で38兆ドル程度の損失が出てもおかしくない。金融市場でのデリバティブが縮小されて、米銀の儲けの柱の1つがなくなる。これで米銀は都合3つの柱がなくなることになる。1つ目が担保証券、2つ目がレバレッジを効かした利益の積み上げ、3つ目にデリバティブ取引である。どちらにしても、デリバティブ取引に波及してきたことで、金融混乱が拡大してきている。そして、取り返しのつかない方向に米国は向かっている。早めの公的資金投入をしないと、徐々に金融不安が世界に拡大しているように感じるがどうであろうか。世界恐慌に向かうように感じて、非常に不安である。
さあ、どうなりますか?
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米住宅公社対象の信用デリバティブ、前倒し清算で巨額損失も(nikkei)
【ニューヨーク=山下茂行】米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)を対象にした信用デリバティブ(金融派生商品)の前倒し清算に絡んで、世界の金融機関に巨額の損失が発生する可能性が出てきた。損失は数百億ドル規模にのぼるとの見方も浮上している。一部の日本の金融機関も取引しているとみられるが、実態は把握しきれず、実際の影響は不透明だ。業界団体の国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)は8日、公的管理の決定を受けた住宅公社の債券を対象とするクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)などを前倒しで清算すると決めた。(09:27)
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住宅公社債、2010年以降も保証 米財務省(nikkei)
【ワシントン=大隅隆】米財務省は11日、政府管理下に入った連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が発行する債券などに対する政府保証を2010年以降も継続すると明らかにした。政府の救済策を明確にし内外の投資家の信認を維持する狙い。
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