続 米金融市場の因果応報 (田村秀男) 底知れぬ中国バブル崩壊の闇 (新世紀のビッグブラザー) | 日本のお姉さん

続 米金融市場の因果応報 (田村秀男) 底知れぬ中国バブル崩壊の闇 (新世紀のビッグブラザー)

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▼続 米金融市場の因果応報 (田村秀男)
かくまでも米金融市場は崩壊と紙一重の危機的状況にもかかわらず、ドルが強い。これは吉兆なのか大凶の前触れなのか。考えても見よ。なぜ資産家どもがドルから離れないのか。経済の観点では説明不能なのだ。金融は金融により解決できない。ロシアのグルジア侵攻でユーロの欧州は手も足も出ず小田原評定、CIAは息を吹き返し、嬉々として流した「金正日重体」説で、日本のみならず中国、韓国も右往左往。やはり決め手はワシントンにあると思わせるに十分だ。窮余の一策、マケイン候補は武闘派ウルトラウーマンを副大統領候補にしてタフなアメリカを求める本能に訴え、上昇気流に乗った。世界危機こそが米国を蘇らせるのか、それとも、愚かな狂態に駆り立てられ、結局は「核の平和」の崩壊にまで突き進むのか。
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▼底知れぬ中国バブル崩壊の闇 (新世紀のビッグブラザー)
上海総合株価指数の暴落は留まるところを知らず、2008年9月12日の終値は2,079ポイント。ピークの10月からの下落率は、ついに66%を突破しました。66%下落と書かれても実感が沸かないかも知れませんが、要は株価がピークの三分の一になったわけです。

『11日大陸株式市場:急落、上海総合2100P割れ
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0911&f=business_0911_020.shtml

11日の中国大陸株式市場で上海A株相場は急反落し、上海総合指数は前営業日終値比3.337%安の2078.981ポイントと節目の2100ポイントを割り込んでこの日の取引を終えた。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は10日、「インフレ圧力は過去数カ月間で明らかに弱まったが、再び強まる可能性も否定できず、引き締めを緩和することはない」と表明した。市場では、前日発表された8月のCPI上昇率が4.9%と事前予想を下回ったことで引き締め緩和への期待が強まっていただけに失望感が広がった。国内景気の先行き不透明感が根強い中、景気に敏感な銀行株が全面安となった。大手の物件値下げ観測が伝わった不動産株も急落。石油株も下げた。(中略)上海・深セン両市場を合わせた売買代金は394.59億元で、前営業日の420.45億元より減少した。』上海総合株価指数 11日の3.337%下落から一夜明け、12日は前営業日終値比0.033%高と小反発、と言うか超小反発しましたが、とにかく最近の中国株式市場は出来高が日々縮小しているのが気になります。要は、買い手の数が毎日減少していっているということです。ちなみに、バブル崩壊は買い手が消え失せても終わりません。バブル崩壊が終わり、株価が底値になるときは、買い手ではなく「売り手」がいなくなったときです。中国経済の問題はもちろん株式だけではありません。不動産のバブル崩壊も顕著になってきました。が、不動産バブルの崩壊開始は地域によりバラつきが生じますので、全中国の問題として認識されるのは来年になってからのような気が致します。ちなみに、現在の世界経済混乱の大元たるアメリカの不動産バブル崩壊も、やはり同じように地域により開始時期にバラつきが出ました。具体的に書くと、主要都市の中で最も早く不動産バブルが崩壊したワシントンは2006年5月に早くもピークアウトしたにも関わらず、ロスアンゼルスの不動産価格が下落開始したのは2007年10月のことでした。2007年10月と言えば、すでにサブプライムローン関連の金融危機が世界的に問題になっていましたが、ロスアンゼルスの不動産価格はその時期まで上がり続けたということです。 21世紀初頭の日本人の中国投資熱を煽った「戦犯」である日経新聞も、この情勢を受け、さすがに中国報道の姿勢を改め始めました。最近の日経新聞は、中国経済の負の部分に注目した「転機の中国」という特集を連載しています。ま、今の中国経済を見ると、「負の部分」以外は見当たらないんですけどね。

『日本経済新聞 2008年9月11日朝刊一面 「転機の中国 第1部 噴出す不安(2)」
「客だった千人の従業員が消えた。うちも終わりだ」中国の輸出の三割を担う広東省。有数の産業都市、東莞市で、小売店店主がため息をついた。近くの大型玩具工場が閉鎖されたためだ。1990年代、東莞市は玩具生産の拠点として急速に発展。ピーク時には玩具メーカーは約4000社にのぼった。それが今では約千社まで激減、工場が一夜にして撤退する「夜逃げの街」ともささやかれる。東莞市の1-6月の外資導入額は前年同期比14%減と初めてマイナスに転落した。今月1日、台湾株式市場を「鴻海ショック」が襲った。EMS世界最大手、鴻海精密工業の4-6月期の純利益が24%減と四半期決算で七年ぶりに減り、株価がストップ安となったためだ。鴻海はパソコン、携帯電話から米アップルの「iPod」まで電子機器の生産を受託、中国の工場で造り、世界に輸出する。2007年の輸出額は232億ドルと中国最大の輸出企業。広東省深セン市では約20万人を雇うが、業績急降下で雇用調整は不可避だ。(後略)』台湾の鴻海の苦境は、「中国で生産し、世界に輸出する」というビジネスモデルが、破綻の危機に瀕していることを示しています。ちなみに、上記日経の記事は(後略)の後も続くので、例により要旨をまとめてみましょう。

■輸出の対GDP比は中国は約四割と、日本の二割(<<16%だろ!)を大きく上回る。中国は輸出主導で高成長を続けてきたのだ。(嗚呼!日経がこんな事を書くなんて!数字が微妙に違うけど)
■広東省の代表的輸出産業である繊維産業の輸出が1-7月期に前年同期比-31%と急減
■中国は世界に早く追いつきたくために自前の技術開発ではなく、外資から技術を導入する体質になった。中国にソニーやホンダのような研究開発型の新興企業が誕生しないのはそのため。今も高付加価値の製品や先端技術品を生産する工場の多くは外資系。
■この状況で労働集約型産業が勢いを失えば中国は失速しかねない。労働集約型産業からの脱皮無しでは中国の将来は無い。

まあ、今更ですが、日経が曲がりなりにも「数字」をベースに冷静に中国経済に関する報道を始めたのはいいことです。しかし国内の技術が未熟な状況で、中国は外需縮小、労働集約型の輸出産業の業績悪化、国内の労賃高騰、外資流入の縮小という災禍に見舞われているわけです。中国経済の本当の問題は、株式バブルや不動産バブルの崩壊ではなく、経済成長の肝であった製造業の崩壊、つまり実体経済の根幹が痛めつけられつつある点だと思います。とにかくあらゆる産業の中で、製造業こそが雇用を最も効率的に作り出します。中国の実体経済、製造業の苦境は、やがて来るであろう大失業者時代の明確な予兆なのです。「本当にヤバイ!中国経済」にも書きましたが、このまま失業率が上昇し、沿岸大都市に数百万人の失業者が溢れ、インフレーションが二桁に近いレベルに達していたとき、そのときこそ中国は正念場を迎えることになります。あとはただ、それが「いつか」という問題だけなのです。
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▼食品衛生と危機管理(佐藤守)
「三笠フーズ」による汚染米不正転売騒動は、今の日本の危機管理意識を良く表している。中国から輸入されたメタミドホス汚染ギョーザ事件が発覚して、国民は危機意識に目覚めそれも主婦が大半だが)、自己防衛を意識し始めたが、国の機関はそうでもなかったし、未だに曖昧である。ギョーザ事件解明に対する首相の意欲は欠如していたし、関係機関も中国に対しては腰が引けていた。最も、高級官僚や、政治家、大臣が、町のスーパーで安い「冷凍ギョーザ」を買って食べる機会なんぞありえないのだから、身に迫る危険を感じなかったからだとしても不思議ではない。しかしそれでは安心して国民は彼らに命を預けられない!今度の「三笠フーズ(大阪市北区)」事件がそれを浮き彫りにしているように思う。今朝の産経は一面トップで「給食や焼酎の原料」にも転用されていたとして「同社が販売した事故米の中国産もち米約700キロが、東京の給食大手『日清医療食品』から近畿2府4県の病院や高齢者福祉施設119箇所に納入され、多くが消費されていたことが11日、分かった。汚染の可能性がある米が食用に消費されたことが判明したのは始めて。一方、事故米が焼酎の原料に使われていたアサヒビールは同日、対象商品の販売を中止し、自主回収に乗り出した」と報じた。なぜかこの手のモラル欠如事件は近畿や九州地方で起きる!といった友人がいたが、今回もまさにそうで意味深長だが、“大阪商人”のモラル低下の原因は何だろう?何と無く「対馬事例」に共通するところがあるような気がするが、橋下知事には徹底的に調査して欲しいものである。産経はそれに並べて「7業者仲介米“洗浄”」と言うタイトルで、「三笠フーズから末端小売業者に至るまでに少なくとも7業者が仲介していた」ことを挙げ、「中には、ペーパー会社や伝票操作だけを行った業者も介在。複雑な流通システムを経ることで、事故米を正規米に転化させる“コメロンダリング(洗浄)”をしていたと見て、農林水産省などが調査を進めている」と書いたが、この手の“洗浄”手法は、北朝鮮や暴力団が偽札や麻薬などから得た不正資金を香港などで“洗浄”する手口にそっくりである。北朝鮮は米国の「テロ指定国家」から“解放”されない限り、資金締め付けで身動きが取れなくなっているから、日本中で何らかの資金獲得工作をしているのではないか?一説では、北京五輪に「美女軍団」を送れなかったのは資金難からだとか、今回の60周年記念パレードに正規軍が出なかったのは、油不足だからとか「金欠の噂」が絶えないが、確かにそれほどこの国は苦しいのであろう。徒歩部隊だけが行進する様は、いかにも油を絶たれた「人力作戦」の象徴だが、美女軍団の方は海外に出るたびに「自由な空気」に目覚めた美女達が、北朝鮮の“実情”に不満を感じるのを防ぐためだともいうから必ずしも金だけが原因ではないらしいが。三笠フーズの汚染米転売先の福岡や佐賀の業者達は「事故米とは知らなかった」と弁明しているが、“確信犯”以外はきっと騙されたのであろう。産経抄子は1929年の「暗黒の木曜日」のニューヨーク株式市場大暴落時に、証券会社が数々の不正をしていたため、ルーズベルト大統領は後のケネディ大統領の父・ジョセフを証券取引委員会の委員長に任命した。彼自身もインサイダー取引で財を成した“前科者”だったからこの人事に反対が多かったのに対して、ルーズベルトが「狼を捕らえるために、オオカミを使う。彼なら取引のからくりを何でも知っている」と言い放ったことを例に挙げ、「・・・事故米混入の疑いが出て、焼酎、日本酒、せんべい、和菓子等、自社製品の撤去を余儀なくされた関係者の怒りは想像に余りある。▼巨額の利ざやを稼いでいた業者の強欲には勿論だが、不正を見抜けなかった農水省のずさんな検査にもあきれてしまう。最初に不正が見つかった「三笠フーズ」への検査は、過去5年間で計96回にも及ぶ。といっても、抜き打ちではなく、事前通告だったから、偽装を手助けしたようなものだ。▼「オオカミ」になれ、とは言わない。もともと、農水省にとっても、事故米は、保管にも、焼却にもコストがかかるやっかいもの。業者が喜んで引き取っていくのには、何か理由があるはずだ。こんな想像力が働いていれば、被害はもっと小さくて済んだのではないか」と結んだが全く同感である。ついでに付け加えるとすれば、官業界の癒着はなかったのか?その裏に、29面で大々的に取り上げられている三井住友銀行の「不正融資100億円焦げ付き事件」のような「裏」はなかったのか?とか、危機管理上のポイントがいくつか浮かぶが、それは今回は省略するとしても、少なくとも「フーズ」という看板を掲げた会社に「危険な事故米」を譲渡したところが私には理解できない。誰だって「フーズ」という看板を掲げている以上、「三笠」は食品業だと思い込む。だからそこからコメを仕入れる業者は当然安全な「食品」だと思うのは自然の成り行きだろう。工業製品に限定された「事故米」を、そんな「食品の看板」を掲げた会社にまる投げ?していた農水省の責任も問われなければなるまい。つまり、産経抄子が指摘したように「業者が喜んで引き取っていく裏」を調べなかった怠慢である。電化製品の回収だって、正規には回収代を払って破棄を依頼するのに、無料で持っていく「回収業者」が絶えないということ自体いかがわしいと思うのが庶民の感覚である。尤も、今ではフィルム会社が化粧品を生産することもあり、看板だけで判断するのは困難な時代だが、庶民とは違って役所は業務の実態を掴んでいる筈である。少なくとも「食」は安全第一、そんなところへ「危険な事故米」を引き受けさせる役所の感覚が疑われる。幸い?体調を崩した私は、このところ酒も焼酎も遠慮して過ごしたから“被害はなかった?”が、せんべいだけは大いに食した!入院中も流動食だったから安心?だったが、今後は大いに注意する必要があろう。といっても具体的な手段は何もないから役所と業者を信用する以外にない。とまれ、悪徳業者は論外だとしても、政治家はじめ役人までもが緊張感を欠いているようだし、危機管理意識と国民に対する責任感も欠如しているとしか思えない。もう少し公僕たる責任感が充実してさえいれば、こんなズサンな事件は起きなかったであろう。事前通告検査で、うまく騙しおおせたから三笠フーズは「カサにかかって」利ざや稼ぎに奔走したのだろうが、その原点に“癒着”がなかったとすれば「監督官庁が完全に舐められて」いたとしか考えられない。のうのうとTVに出て「頭を下げた」社長は獄門・遠島・曝し首ものである!こんなモラル欠如の業者に一旦「舐められ」ると、彼らは嵩にかかって増殖し始めるから、何事もはじめが肝心、最初にガツンと目を覚まさせる必要があるし、それが役所の仕事でもあろう。対馬問題も東シナ海問題も今のうちに断乎排除して「既成事実」を作らせないようにしなければならないから、次期総裁にはそこを十分に意識した候補者が選ばれ、是非とも危機管理意識とその能力が高い「強い政府」をつくってもらいたいと思う。