国際戦略コラム「新冷戦での欧米対ロシア」
ようちゃん、おすすめ記事。↓国際戦略コラム 09.07
「新冷戦での欧米対ロシア」
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米国と欧州のロシア対応に差があるのと、ロシアが次の行動に出ている。その検討。
Fより
グルジア紛争では、ロシアが優勢で推移している。日本ではEUからの報道が多いために、欧米よりの見方になるがそれでもロシアの譲歩はほとんどない。この状況ではロシアからの天然ガスに依存していない米国しか、そのロシアに対抗できない。その米国はとうとうロシアが実効支配している西部の港湾都市ポチに米海軍第6艦隊の旗艦、マウント・ホイットニーが5日に入港した。プーチン首相が「なぜ人道的支援なのに最新のミサイルを搭載した艦船でなければならないのか」という言葉を受けて、ミサイルを搭載しない第6艦隊の旗艦をロシア軍の監視に送り込んだのだ。このマウント・ホイットニーは、第7艦隊の旗艦ブルー・リッジと同様に兵装はほとんどないが、その電波探索能力と衛星からのデータリンク能力が優れている。この収集した情報から作戦指揮を取ることができる。ロシア軍はこのマウント・ホイットニーの支援物資の積荷を検査するとも表明しているが、米軍は拒否している。マウント・ホイットニーの能力を見せたくないのでしょうね。それと不測の事態を招く可能性があり、ロシアも無理に積荷検査を強行しないようである。ロシア軍の弱点である海軍能力不足をNATO軍、特に米軍は衝いている。プーチン首相も「今に見ていろ」とは言うが現時点では、打つ手なしのようである。しかし、EUの緊急理事会ではロシアへの制裁を決めることができずに、今後の支援策を凍結しただけであり、反ロシア諸国とロシアの天然ガスに依存するドイツなどの親ロシア諸国に亀裂ができている。国際エネルギー機関(IEA)もEUの政策の不統一は「エネルギーの安全保障面のリスクになる」という報告書を欧州委員会に提出した。そして、EUはグルジアに停戦監視団を派遣する意向で今後、ロシアに提案するという。ロシアのメドベージェフ大統領は8月31日に、ロシア外交の5原則を表明した。
1.親露的な地域での特権的利益
2.ロシア国民の生命と尊厳を守ること、
3.外国でのロシア国民の生命の保護
4.外国でのロシア企業の利益の保護
5.ロシアは孤立を望まないので、国際法の尊重と多極世界の実現
というものである。ロシアの生存権範囲を認めろという。欧米圏拡大に対抗するロシア圏を設定している。ソ連帝国の復活を目指しているようにも取れる。しかし、ロシア経済は欧米の技術がないと立ち行かない状態であるから欧米にいつか屈服すると日本の評論家たちは言うが、自国民の熱狂で、そのような経済的な損よりナシュナリズムに突き動かされることを忘れている。戦前の日本がそうであった事実を忘れている。プーチンはヒットラーと同じように経済的な困難を克服して、次に国民が望むプライドの再興を目指しているのだ。どうして、プーチンの野心を読めないのか不思議である。それに比べて、欧州の政治家たちはおろおろしている。次はクリミア半島であるとフランスのクシュネル外相は警告している。このクリミア半島へのロシア軍の侵攻を防ぐ目的で、黒海にNATO軍は18隻もの海軍艦隊を派遣している。しかし、ロシアもクリミア半島が重要であると知っている。ウクライナのティモシェンコ首相を篭絡する手に出てきた。欧米派のユーシェンコ大統領を失脚させる手に出ている。欧米派と見られたティモシェンコ首相に大統領のポストを約束して親ロシア派にひっくり返している。もし、この篭絡が成功すると、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)加盟にも影響を与えそうだ。それに比べて、EUの動きは非常に鈍い。セルビアをEUに加盟する手続きに入るという動きはあるが、電光石火という動きではない。そして、欧米とロシアが対抗する状態で、中国の動きに注目が行くが、中国はロシアの要請にもかかわらず、中立の立場を取った。ここは米国の勝利であるが、ロシアは東方融和にくる。このため、親米国家である日本へも融和政策を取ってくる。日本は、米国の期待にもかかわらず、インド洋での給油支援も止めることが確実である。この事態で反米的な政策を取るべきではない。私は反対であるが、民主党が参議院で通した、混乱が続くアフガンへの派兵もやるしかないかもしれない。
そうでもしないと、ロシアの北方領土の返還を含む融和政策にも乗ることができなくなる。絶対に、ロシアの融和政策に日本は乗るしかない。エネルギー問題を当面、ある程度緩和することができる。欧米金融資本主義が崩壊して、次の経済体制を作るまで難しい経済局面を迎えている。この局面では、多極化が進み、日米同盟を堅持しながら、八方美人外交に徹するしかない。このためには、政治の混迷を早く脱してほしいですね。さあ、どうなりますか??
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資源の対ロシア依存、EU最大の弱点 IEAが報告書(nikkei)
【アビニョン=下田敏】グルジア紛争に絡んだ欧州連合(EU)とロシアの関係悪化をふまえ、国際エネルギー機関(IEA)はEUの政策の不統一は「エネルギーの安全保障面のリスクになる」という報告書を欧州委員会に提出した。IEAの田中伸男事務局長は記者会見で、ロシアなどへの依存度の高さがEUにとって「最大の弱点」と指摘した。IEAの報告書はEUが石油や天然ガスの輸入量の3―4割をロシアに依存すると分析。加盟国が個別にエネルギー調達に動くことは「長期的にはEUの交渉力を損なう」と警告した。さらに「EU域内の生産量は減少傾向で、将来的には一段と輸入に頼るようになる」と予測、風力や太陽光などの新エネルギーの有効活用が重要になると指摘した。(15:04)
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米艦隊旗艦、グルジア着9月6日8時1分配信 産経新聞
【モスクワ=遠藤良介】グルジア紛争被災者への人道支援物資を積んだ米海軍第6艦隊の旗艦、マウント・ホイットニー(揚陸指揮艦)が5日、グルジア西部の港湾都市、ポチに入港した。ポチには停戦合意後もロシア軍部隊が駐留を続けており、紛争後の人道支援を目的に米艦船が同港に入ったのは初めて。4日に米国のチェイニー副大統領が首都トビリシを訪問したのに続き、ロシアを牽制(けんせい)した形だ。
ポチでは今も市中心部に通じる幹線道路沿いにロシア部隊が陣取っており、港での巡回も続けている。ロシア軍はポチ港に出入りする船舶の貨物検査を行うとも表明していた。これまでに米国の支援物資を運んだ海軍のイージス駆逐艦マクフォールなど2隻は約80キロ南方のバトゥーミに入港した。マウント・ホイットニーは毛布や粉ミルク、衛生用品など17トンを積載しているという。
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プーチン首相、NATOに対抗示唆 艦船の黒海派遣で(nikkei)
【モスクワ=坂井光】ロシアのプーチン首相は2日、欧州連合(EU)が1日に開いた首脳会議でロシアへの経済制裁見送りを決めたことについて「常識が勝利した。極端な判断は排除された」と評価した。ただ、北大西洋条約機構(NATO)が黒海に艦船を派遣していることについては「反応せざるを得ない。(内容については)そのときに分かる」と述べ、対抗策を取ることを示唆した。プーチン首相が訪問先のウズベキスタンで記者団に対し発言した。首相は「米国の艦船がグルジア沿岸で何をしているのか理解できない。なぜ人道的支援なのに最新のミサイルを搭載した艦船でなければならないのか」などと指摘し、米国への不信感を示した。 EUの声明についてはロシアの主要メディアも2日、一斉に「ロシア外交の勝利」(コメルサント)などと報じ、ロシアの強硬路線を正当化。エネルギーを武器に外交面で影響力を発揮している政府の
政策が奏功していると主張した。(07:00)
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EU、グルジア停戦監視団派遣で合意 ロシアに柔軟対応促す(nikkei)
【アビニョン(仏南部)=下田敏】欧州連合(EU)加盟国は6日に仏アビニョンで外相会合を開き、今月中にもグルジアに停戦監視団を派遣することで合意した。監視団は欧州安保協力機構(OSCE)と共同でロシアにグルジア領からの完全撤退を迫る。8日の仏サルコジ大統領らのロシア訪問をひかえ、EUは和平合意の履行に向けた柔軟な対応をロシアに求める構えだ。議長国フランスのクシュネル外相は「ロシアは和平合意を尊重すべきだ」と述べ、グルジア領からの完全撤退を重ねて要求した。監視団はロシアとの対立を避けるために文民で構成。当初は200人規模で、将来的には最大で300人規模に増える。6日の外相会合ではイタリアやポーランドが要員派遣を表明したもよう。EUは15日からの外相理事会で派遣を正式決定する。これに加え、仏外相は記者会見で「グルジアの復興支援が重要な課題だ」と語り、対グルジアの経済支援を検討する考えを表明した。紛争でインフラが大きな損害を被ったためで、経済的な援助で親欧米路線を間接的に支援する。(01:26)
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欧州議会、ロシア向け経済支援を凍結へ 09年予算(nikkei)
【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)の欧州議会はグルジア紛争に絡んで、2009年のEU予算でロシア向けの経済支援を凍結する方向で調整に入った。議会の予算委員会が今月中にも対ロ支援の凍結を決議する可能性がある。欧州議会はロシアにグルジアの領土保全を尊重するよう求めており、完全撤退を迫るには政治的な圧力を高める必要があるという意見が優勢だ。 EUは近隣諸国の支援策で、ロシア向けに年間で約6000万ユーロ(約94億円)の援助金を拠出している。欧州議会の予算委では「金額は大きくないが、強い政治的メッセージになる」との提案が出されており、今月末にかけて審議が本格的に進むとみられる。 (07:00)
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ウクライナ政権、大統領派が離脱表明 ロシアが首相派に接近(nikkei)
【モスクワ=坂井光】ウクライナの親欧米派の2党からなる連立内閣が動揺している。グルジア紛争を受けてロシアを非難する決議案にティモシェンコ首相率いる政党が反対したことなどを受けて、ユーシェンコ大統領率いる党が3日、連立離脱を表明した。大統領と首相との権力争いが激化していることが背景だが、ロシアはこれにつけ入る格好で首相陣営に接近している。連立が崩壊すれば、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)加盟にも影響を与えそうだ。連立離脱の方針を表明した大統領率いる「われらのウクライナ」は議会の規定に従い連立相手である「ティモシェンコ連合」と協議し、10日以内に離脱か連立維持かを正式に決める。大統領は3日、「連立維持ができなければ新たな連立を作らねばならない。それもできないなら議会を解散する」と述べた。 (00:45)
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【グルジア紛争】露大統領が「外交5原則」EU首脳会議前にけん制、強気姿勢9月1日9時25分配信 産経新聞
【モスクワ=遠藤良介】ロシアのメドベージェフ大統領は8月31日、国内テレビ局とのインタビューで「ロシアには特権的利益を有する地域がある」などと述べ、グルジアに侵攻を続ける自国の行動を正当化した。グルジア紛争をめぐる欧州連合(EU)緊急首脳会議が1日、ロシアに対する制裁の是非を検討するのを前に、ロシアとして一歩も引かない強気の姿勢を示した形だ。メドベージェフ氏はインタビューで「ロシアには外交の5原則がある」と表明。「親露的な地域での特権的利益」に加え、「ロシア国民の生命と尊厳を守ること」をそれに挙げた。「ロシア国民」はその居場所とは関係なく、「外国でのロシア企業の利益」も保護対象に含まれるという。 ロシアは8月8日、「自国民保護」を名目にグルジアに侵攻、同国内の親露派地域であるアブハジア自治共和国と南オセチア自治州の独立を承認し、国際社会の非難を浴びている。こうした行動の正当化は諸外国にロシアの帝国主義的野心を想起させ、とりわけロシア系住民を多く抱える旧ソ連構成国で強い懸念を呼ぶのが必至だ。メドベージェフ氏は両地域の独立承認を「最終的な決定である」として取り下げる考えのないことも強調し、両地域には経済のみならず軍事的支援も行って「同盟関係」を築くと述べた。「外交5原則」の1つとして、大統領は「ロシアは孤立を望まない」ことを挙げながら、「侵略を行う者は報復を受けることを理解しなければならない」とし、必要な場合には外国への制裁措置を辞さない考えを示した。「原則」は他に、国際法の尊重と多極世界の実現を挙げた。他方、グルジアのトケシェラシビリ外相は同日、滞在先のトルコで「ロシアはグルジアへの軍事介入によって欧州の国境線を引き直そうとした」と述べ、EUが「他国でロシアが同様の行動をとらないよう、可能な限りの手段」を取るよう求めた。ロイター通信などが伝えた。グルジア紛争をめぐっては、EU内でも東欧やバルト諸国が対露制裁を含む厳しい措置を求めているのに対し、ドイツやフランスなど西欧主要国にはロシアを孤立させることへの懸念が強い。こうした温度差を抱える中、EUの緊急首脳会議がどこまで団結を保ち、対露外交の方針を打ち出せるかが注目される。
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グルジア問題でロシアを支持も非難もできない中国のジレンマ2008年08月29日 22:51
【8月29日 AFP】ロシアと欧米の対立を招いたグルジア問題で、中国がロシア支持に回ることはないだろう。その一方で、ロシアとの関
係悪化も避けたい中国は、不支持を公言することもできない。これが、大方の政治問題専門家らの見方だ。 ロシアは南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を承認するという強硬手段に出た。しかし、これまでのところ、中国の反応は概して抑制的だ。グルジア情勢への懸念を示しはしたが、ロシアと欧米各国の舌戦が益々激しさを増すなかで、どちらの側に付くかは明言を避けている。しかし、中国が公式にロシアを支持することはないだろう。ロシアの行為は、中国が主張してきた国家主権と領土の保全に反するものだからだ。香港のポール・ハリス嶺南大学教授は、「中国の本音は(ロシアが南オセチアなどの独立を承認したことは)受け入れがたいはずだ」と語る。新疆ウイグル自治区などで分離独立問題を抱え、台湾問題では「一つの中国」を主張する中国がロシアの行為を支持すれば、自国の独立派の主張にもお墨付きを与えることになってしまうからだ。グルジア情勢をめぐる国連安全保障理事会決議の文言を決定する会合では、中国はロシアに同調してきた。しかし、グルジア問題自体に対する姿勢については、中国は沈黙を守っている。決議が採択されるとすれば中国がどちらの側に付くかについては、専門家の見方も分かれる。しかし、水面下の交渉で決議の採択までには至らないというのが専門家の大方の予想となっている。
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グルジア問題「ロシアの役割支持」 上海協力機構が首脳会議(nikkei)
【ドゥシャンベ=坂井光】上海協力機構は28日の首脳会議で「ドゥシャンベ声明」を採択した。声明はグルジア紛争で引き起こされた「緊張状態に対する懸念」を表明したものの、「(グルジアなどが含まれるカフカス)地域におけるロシアの積極的な役割を支持する」と明記した。ただし、ロシアによるグルジア領の南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立承認には言及しなかった。米国による東欧へのMD配備については「戦略兵器の均衡や核不拡散などのためにならない」と批判した。 (20:18)
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次の標的はクリミア半島」 仏外相が警告(IZA)
フランスのクシュネル外相は27日、仏ラジオとの会見で、グルジア領アブハジア自治州と南オセチア自治共和国の独立を承認したロシアが今後、ウクライナ南部のクリミア半島や、モルドバの沿ドニエストル地方など、旧ソ連構成諸国のロシア系住民居住地域を次なる標的としてくる危険があると警告した。外相は、「ウクライナが8月13日に黒海でのロシア艦隊の動きを制限する行動に出たことでロシア・グルジア紛争に間接的に関与した」と述べ、ロシアが黒海の要所であるクリミア半島を重視していると示唆した。(パリ 山口昌子)
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