FRB政策は実は単純ーー続 原油、穀物価格下落の真相 (田村秀男) | 日本のお姉さん

FRB政策は実は単純ーー続 原油、穀物価格下落の真相 (田村秀男)

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▼FRB政策は実は単純ーー続 原油、穀物価格下落の真相 (田村秀男)
原油、穀物価格下落の真相」については、少し専門的過ぎた内容だったかなと思っていましたが、グラフをざっと見ればわかるように、実は単純なこと しかFRBはしていません。水準の高い読者から鋭い質問がありましたので、回答とともに紹介します。
読者の質問:グラフの07年3月辺りの説明が無いですね。
答:その頃、FRBはインフレ警戒の引き締めをしていたことをグラフが示しています。サブプライム危機の伏線でもあります。
質問2:FRBの資金供給は不良債権よりも商品相場に流れた失政だった、ではないですか。

答:過剰に刷られたドルが商品相場に流れたわけです。不良債権というよりも、金融機関不安への対策として、ドル札を刷るしか打つ手はありません。商品相場に流れたのは本文で説明した通りですが、この「失政」以外、NO WAY OUTですね。通常、FRBは過剰に膨大なドル札を市場に流した後は、すみやかに資金を市場から吸い上げるオペレーションに転じるわけですが、とにかく綱渡りのオペレーションであることをこれらのグラフは示しています。金融政策とは、今や金利政策ではなく、量的緩急政策であり、実は単純なことなのです。それを世間に知られてしまうと、中央銀行としての神秘性も権威もなくなるから、だれも、このようなグラフを説明しようとしませんし、経済学者も指摘しません。日銀を含め世界の中央銀行ももったいぶって複雑な思考の上に複雑高度な政策を実行しているように思われがちですが、そうではな いのです。(と言うと、バーナンキ議長ら高度な識見を持ったエコノミストやその流れを汲む日銀や大学教授からしかられそうですが、小生の見方が間違いなら、そう指摘して欲しいところです。そもそもこんなグラフをつくるエコノミストは世界にだれもいません。したがって、一介の新聞記者でしかない小生としては、専門家の批判を聞いてみたいところですが、グラフは正直ですね)
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ようちゃん。↓
★FRB政策は、どれ位ドル札を 印刷して市中にばら撒くか?というドル札の分量のさじ加減だと言うことです。わが日本も日銀札を沢山印刷すれば良いのです。不況など直ぐに回復します。
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▼原油、穀物価格下落の真相 (田村秀男)
国際政治経済学入門75 SANKEI EXPRESS 9月7日付けから
どこまでも高騰を続けるかと思われていた原油や穀物の国際商品価格がここへきて急落する局面が目立つようになった。この下落基調はこのまま定着するだろうか。この疑問に答える場合、まず商品相場が昨年前半までの上昇基調になぜ8月以降拍車がかかったか、その理由を明らかにしなければならない。当時、市場関係者は口をそろえた。中国、インドなど新興国需要の高まりが主な原因だと。そこに米低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)危機が8月に勃発し、急落する株式や不動産市場を目の前に行き場を失った余剰資金が原油や穀物の先物市場に殺到したからだ、という説明が一般的だった。日本経済新聞では限られた資源供給に対して需要が急増しているという意味で「市場による警告」と市場原理至上主義を肯定していた。「経済学は需要と供給の関係さえわかれば鸚鵡でもわかる」と米国を代表する経済学者のサミュエルソン教授はかつて語ったことがあるが、現代の経済は「余剰マネー」という要素が需給関係に大きく影響する。IT(情報技術)の利用とグローバル経済のネットワーク化により、すべての資産が証券化されて金融商品となり、金融証券市場が膨張している。巨額のマネーが自由自在に動き回り、それが集中豪雨的に商品相場に殺到すれば、商品相場は急騰する。中国など新興国需要が増加しているのはその通りだが、実物の需要が短期間で2倍、3倍になったわけではなく、長期的なトレンドである。この長期見通しに基づく短期的な大幅な価格変動を「市場による警告」と断じてしまえば、思考はそこで停止する。価格急騰は実は金融現象である。グラフは米連邦準備制度理事会(FRB)の銀行への資金供給量と国際商品指数の推移を比較している。その結果、明らかになったことは、FRBがドル資金を一挙にそれまでの三倍以上に供給したサブプライム危機後、商品相場高騰に拍車がかかった。資金供給はその後も金融機関の経営危機が起きて金融市場が動揺するたびに増え続けた。ことし3月の米証券大手、ベアスターンズの経営破綻時にも前月より2倍資金供給を増やした。横ばいになりかけていた商品価格は再び急上昇し始めた。
FRBからドル資金の供給を受けた金融機関はそれを運用するために証券に投資、融資する。そのカネはこうして回りはじめるが、最後にカネを手にした機関や個人はそれを高い利回りで運用しようとする。その投資先が原油や穀物先物、または商品指数先物といった金融派生商品(デリバティブ)という証券化商品である。こうして商品相場が高騰して行く。つまり、金融市場危機対策としてFRBがドル札を一挙に刷り増して市場に注入したことが、商品高騰の原因だということを、このグラフは示している。「新興国からの需要増」というのは価格高騰を意図的に合理化した単なる後付けの理屈に過ぎない。仮に、新興国の需要増、あるいは市場による警告というなら、価格が一転して急落する理由を説明できない。グラフをもう一度みて見よう。ことし6月、FRBは一転して資金供給を4割減らした。FRBは余剰資金を金融市場から吸い上げた。翌月には米連邦住宅抵当金融公社2社の経営不安が表面化したため、FRBは資金供給を再び増やしたが、FRBによる量的引き締めは8月も続いている。商品相場6月をピークに急落し始めた。商品投機熱が冷めはじめたのは、原油や穀物への実需が景気後退の影響で減るとの見方が強くなったことも背景に挙げられる。また米議会で商品先物市場への規制論議が高まったことや、米監視機関が不正な投機行為について監視体制を強めたことも影響しただろう。だが、きっかけをつくったのはやはりFRBの資金供給の姿勢変化である。つまり、原油などの価格変動はこの1年間をみる限り、金融現象であり、純粋な市場の需給によるとは言えない。では原油や穀物の相場は今後、下がり続けるだろうか。答はFRBの資金供給次第ということになる。FRBがこのまま、市場への資金供給を絞り込む政策を続けるなら、投資機関や年金基金、個人など投資家は商品市場から資金を引き揚げるか、商品再投資に熱中することはなくなるだろう。だが、大手金融機関の経営不安が再び表面化し、FRBが市場不安沈静化のために量的引き締めを中断し、巨額の資金を連続的に市場に注入しなければならなくなったとき、商品相場が再び高騰する可能性は否定できない。
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