北朝鮮女スパイの切り札は“媚薬”(産経)
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▼北朝鮮女スパイの切り札は“媚薬”(産経)
韓国で脱北者に成りすまし、スパイ活動をしていたとして国家保安法違反の疑いで摘発された北朝鮮国家安全保衛部(秘密警察)所属の女工作員、元正花(ウォン・ジョンファ)被告(34)。1987年の大韓航空機爆破事件で逮捕された金賢姫元死刑囚以来の“大物女工作員”の摘発で、自らの肉体と秘薬を「武器」に、韓国軍将兵を手なずけた。摘発の直前には、北からのミッションを受けて日本にも潜入。スパイ映画さながらの工作活動は、韓国社会だけでなく日本の公安当局にも強い衝撃を与えた。
・15歳でスカウト
韓国紙などの情報を総合すると、元被告は北朝鮮北東部の都市、清津市生まれ。清津には工作機関が多数存在するとされ、かつて日本の領海に侵入してきた工作船の多くも、清津の港から出航している。元被告の父も工作員で、韓国への浸透作戦中に死亡。母と再婚した養父(63)も工作員で、今回の事件の摘発で、対南(韓国)潜入工作がバレて逮捕された。元被告は高等中学校在籍中の15歳のころ、特殊部隊にスカウトされる。工作員養成機関として知られる金星政治軍事大学(現在の金正日政治軍事大学)で訓練を受けたとされる。金賢姫元死刑囚や、昨年、覚醒剤所持で韓国当局に逮捕された安明進元工作員らもこの工作機関で訓練を受けた ところが、韓国派遣に備えた訓練中の92年、頭部を負傷して除隊となった。
・百貨店で万引の過去も
元被告は除隊になったこともあってか、やさぐれて平壌の楽園百貨店で万引をし、見つかって逮捕されたという。北朝鮮の百貨店は日本のデパートとは違って、物を買おうとすれば、品物を指さして「販売員同志」に伝票を書いてもらい、それをレジに持って行き領収証をもらい、それをまた販売員に渡してようやく品物をショーケースから出してくれるという、極めて面倒なシステムになっている。そもそも外国人や特権階級の人たちしか近づけない百貨店で、どのように万引をしたのかは不明だが、元被告の大胆さを象徴するエピソードといえる。さらに清津に戻って亜鉛5トンを盗んで“指名手配”され、中国と北朝鮮を転々として6年間、逃亡生活を送った。この大胆な行動や訓練経験が逆に保衛部の目に留まり、改めて工作員に抜擢(ばってき)されたという。
・軍人の抱き込み、大物亡命者の所在確認…
脱北者を装って中国に行き、すでに脱北していた北の住民ら約100人を本国に送還するなどの工作を行った。そして、韓国浸透。中国に結婚相手を探しにきた韓国人会社員と関係を持ち、「あなたの子供を妊娠した」と婚約を迫った。2001年10月、この男性と結婚し、韓国入りを果たす。
「私は脱北者です」自ら韓国の情報機関「国家情報院」に名乗り出て、ほかの脱北者と同じように韓国での生活を始めたが、“夫”とはすぐに離婚した。北からのミッションはスパイ映画をほうふつさせる。1997年に韓国に亡命した黄長●(=火へんに華)(ファン・ジャンヨプ)元朝鮮労働党書記の居場所の特定、韓国の対北朝鮮情報要因の暗殺、軍人の抱き込み…。実際、元被告は、結婚紹介所に「軍人希望」と登録し、複数の軍人と交際した。そうして得た情報を北に送っていたのだ。極めつけは、韓国の陸軍大尉(26)と性的関係を持ち、完全に落とし、軍の機密情報を入手。北に逐一情報が流されていた。
・3回来日…「重要情報を守れ」
元被告は、07~08年にかけて3回、来日していた。直近では今年5から7月だ。いずれも、仙台市などに滞在していたが、その目的は、「日本人男性との見合い」。元被告は「日本人と結婚し、日本で永住権を取り、その後、(抱き込みに成功した)陸軍大尉を日本に呼ぶつもりだった。大尉を朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)に加入させ、北朝鮮に送り込もうとした」と供述したという。ただ、「保衛部から『仙台に脱北者が多い』と指令を受け、重要情報を握った脱北者を探していた」とも供述しているといい、供述内容が二転三転していることから日本の公安当局は情報収集と確認作業を慎重に進めている。
・「人間のクズだ!」
北朝鮮の官製メディアは事件後、しばらく沈黙していたが、今月3日に祖国平和統一委員会報道官談話を引用し、「南朝鮮(韓国)の李明博(大統領)集団(政権)が女子スパイ事件なるものをデッチ上げて共和国(北朝鮮)との対決に躍起になっている」と、激しい批判を始めた。 注目すべきは談話で「問題の女子スパイとは、罪を犯して共和国と人民に背を向けて逃げた人間のクズであり、彼女の義理の父だという者も、共和国にいるとき無職で怠け者で人民に背を向けて逃げた人間のクズである」と、2人を自国の出身者と認めてしまった点にある。談話によると「女子スパイ」は、詐欺と窃盗行為で人民や国家の財産に相当な被害を出したといい、「6年の労働強化刑を宣告された」と、お尋ね者の過去は本人の供述と一致する。 大韓航空機爆破事件の金賢姫元死刑囚を「そんな奴、いない」とシラを切った一大キャンペーンとは大きな違いだ。
・カギを握る秘薬
摘発の一報を伝えた韓国のテレビニュースでは、元被告から押収された、ある錠剤が映し出されていた。「天宮百花」、英語名は「Queen’s Appeal」。ネーミングに加え、天女をイメージしたラベルのイラストも妖艶(ようえん)な雰囲気を醸し出す。媚薬…。北朝鮮ウオッチャーによれば、それは北朝鮮版バイアグラとしておなじみのクスリだという。韓国紙の報道によると、元被告は01年ごろから北朝鮮産品を輸入・販売する貿易会社を経営。天宮百花を1瓶4万ウォン(約3880円)で販売して工作資金に充てていたという。韓国軍将校や国家情報院のエージェントを抱き込む際にもこのクスリで気を引いていたという。この媚薬は、カプセル状の錠剤で、ふたを開けると表に朝鮮語、裏には英語で記された添付文書がある。「朝鮮保健省 シリア保健省 ジンバブエ保健省登録済み」とあり、登録番号もふられている。効能は「内分泌代謝と血液循環を促進し、神経活動を正常化し、男女の性機能を速い速度で高め、欲情を起こすようにし、老化を軽減させます」とあり、さらに「前立腺障害、耳鳴りの症状があるとき、そして、更年期の女性も良いでしょう」と効能は幅広い。製造元は朝鮮富強(プガン)製薬(平壌市普通江区)。関連企業とみられる朝鮮プガン貿易会社は、大量破壊兵器開発と関係が疑われるため、平成18年に日本政府の金融制裁の対象リスト企業に指定されている。製造元をみても、この媚薬が元被告に与えられた「スパイ7つ道具」のひとつのアイテムだったことが浮かび上がる。
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▼官僚絶句…首相退陣で霞ヶ関の本音(産経)
1日夜の福田康夫首相による突然の辞任表明は、内閣を支える東京・霞が関の官庁街にも大きな衝撃を与えた。「2代続けて首相が政権をほうり出すなんて…」と絶句する官僚たち。景気が停滞色を強める中で、緊急経済対策も実行を前に足踏みを強いられる。国民の目が自民党総裁選に出馬を目指す候補者に注がれるその裏で、「司令官」を失った日本経済は、静かに漂流を始めようとしている。1日午後8時過ぎ。ある経済官庁の幹部は、すでに役所から出ていた事務次官や官房長たちへの電話連絡に追われていた。 「福田首相が午後9時半から首相官邸で緊急会見を行うそうです。すぐに役所まで戻っていただけませんか」その隣では、首相が会見で語る内容を探り出そうと、政府各所に電話を入れる幹部たちの姿も。彼らは「まさか安倍晋三首相に続いて、辞任を表明することはないだろう」と不安な気持ちを安心させようとしていたが、その淡い期待はすぐに裏切られた。飄々とした表情で辞任理由を語る福田首相の姿をテレビでみながら、ある幹部は「経済対策とそれに関連する補正予算も止まる。いったい、どういうつもりなんだ」と半ばあきらめの表情をみせた。ただ、官僚たちの関心は自民党総裁選から、次第にその先にある総選挙に向かいつつある。「来年度予算が今年度内に成立することを前提に選挙日程を考えと、総選挙は早ければ10月後半になるのでは…」などとの見方も一部で広がっている。退陣表明により、内閣の面々も徐々に選挙モードに入りつつあるようだ。二階俊博経済産業相は3日朝、都内のホテルで行われた日本商工会議所などとの懇談会に出席。本来は大臣就任あいさつの意味も込めた儀礼的なものだが、二階経産相は総合経済対策に盛り込まれた中小企業対策などについて熱弁をふるった。会合は予定の1時間を30分もオーバーし、「聞く人が聞けば、明らかな総選挙への応援要請になっていた」(会合出席者)という。総選挙モードは、福田首相の下でなら粛々と行われたはずの道路特定財源の一般財源化にも影を投げかけている。8月末の平成21年度予算の概算要求で、国土交通省は前年度比14%増、2兆4079億円もの道路整備関係費を求めた。一般財源化されても、道路整備関係費が減らなければ、道路以外に回るお金は出てこない。それだけに財務省幹部は「道路整備関係費をどのくらい削ることができるが重要」とするが、「衆院議員は既に地元経済の活性化しか頭になく」(経済官庁幹部)削減額は小さくならざるを得ない情勢だ。また、来年度からの実施が求められている基礎年金の国庫負担割合引き上げ問題も混迷の度を深めている。財源として財務省が念頭に置いてきたのは、消費税率の引き上げだった。だが、自民党後継総裁、あるいは総選挙の結果によってその将来像は大きく変わってくる。財政再建を重視する与謝野馨経済財政担当相が首相になれば、税率引き上げ機運は加速する。しかし、積極財政出動を打ち出す構えの麻生太郎自民党幹事長が首相になれば、その機運は大きく後退する可能性が高い。財務省幹部は「税制抜本改革の実現は政治情勢次第だ」とあきらめ顔。国土交通省の若手官僚も「だれが首相になるかで、影響が出る」と読めない政治情勢にいらだちをみせる。こうした中で経産省幹部は、政界への影響力が強い経済界の重鎮と総選挙の情勢をめぐって意見交換し、「今度の総選挙で自民党の苦戦は必至」との見方で一致した。この重鎮は「自民、公明両党で過半数を取れれば、民主党が分裂して政界再編。取れなければ自民党が分裂して民主党中心の再編が行われる」と分析してみせたという。いずれにしろ、政治空白の長期化は避けられない。8月29日に各省が提出した平成21年度予算の概算要求は事実上のご破算となりそうで、下手をすれば越年予算の可能性さえ出てきた。官僚たちの夏は、嵐とともに空しく過ぎ去った。
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