ドバイでホテル火災(佐々木良昭) もう一つの自民党総裁選(2)(じじ放談)
ようちゃん、おすすめ記事。↓
▼ドバイでホテル火災(佐々木良昭)
ドバイも世界の他の国々の例にもれず、インフレが昂進しているようだ。その結果、外人労働者たちは、生活苦に追い込まれている。
当然のことながら、彼らは国の家族への送金も、思うようにできなくなっていよう。そうなると、どうしても不満がたまり、暴発する危険性が高まって来よう。不満が暴発しないとしても、仕事の上での手抜きが多くなり、事故が起こることは予測できよう。今年に入り、ドバイでは交通事故が原因で、200台の車が幹線道路で燃える、という事故があったし、工場地帯でも大爆発が起こり、工事現場やビルの火災も起こっている。今回のホテル火災も、そうした経緯のなかで、起こっているのではないか。ドバイはその意味では、危険な状態に突入している、と考えた方がいいのではないか。ショッピング、砂漠ツアーが売り物で、日本人観光客の間では、人気がある旅行先国の一つとなっているが、その裏に潜んでいる危険性を、考える必要がある、ということを警告しておきたい。
─…─…─…──…─…─…──……──…─
▼植民地支配、戦争の補償を求めるアラブ (佐々木良昭)
リビアのカダフィ大佐は、イタリアに対し植民地時代の、補償を求める交渉を進めていたが、最近になり、イタリア側はリビアへの投資という形での、補償を受け入れた。補償期間が長期に渡るものの、そのイタリアがリビアに対して補償行う、補償の額は決して小さいものではなかったと記憶する。今度はエジプトが、1967年に起こった第三次中東戦争時の、POW(戦争捕虜)に対する虐待と、その結果、死亡した兵士の遺族への、補償を求める訴訟を、イスラエルに対して起こしていくことになろう。そもそもこの訴訟は、イスラエルが昨年放送した、ドキュメンタリー・フイルムが原因であったということだ。ドキュメンタリー・フイルムは{揺さぶられる精神}というタイトルで、昨年3月に放映されたものだ。
このドキュメンタリー・フイルムによれば、250人のエジプト兵捕虜が、虐待などで殺されたということだ。逆のケースだが、パレスチナ自治政府も、同じようにアメリカ人殺害で、補償を要求されることになった。どうやら裁判、補償という手法が、これからの、アラブの新たな闘争手段になりそうだ。
─…─…─…──…─…─…──…──…─
▼もう一つの自民党総裁選(2)。中川秀直元幹事長は派閥に謀反を起こしてでも「小池百合子擁立」を貫けるか?(じじ放談)
自民党総裁選は各派閥が「合従連衡」の駆け引きを演じるだけではない。派閥内でも「誰を応援するか?」を巡って深刻な対立を惹起し派閥が分裂することもある。総裁選は「小泉圧勝」という想定外の出来事を惹起するだけでない。時として「総裁選に手を染め過ぎた」ために、その後の人生を狂わせる人間も生まれる。自民党最大派閥清和政策研究会(町村派)は、総裁選の推薦を巡り派閥内闘争が激化し、少数派が「除名又は派閥離脱」したことが2回あった。第1回目は、1991年の総裁選で、三塚博を派閥の候補とする主流派と他派閥の宮沢喜一を擁立する加藤六月一派との対立である。結果、加藤六月ほか数名が派閥を除名された。この中に、民主党国対委員長山岡賢二もいた。
2回目は、1998年の総裁選で、小泉純一郎を派閥の候補とする主流派と、これに反発する亀井静香、平沼赳夫ほかが対立、同年9月亀井グループは三塚派を離脱、漂泊生活への一歩を踏み出した。(以上、ウイキぺディアを参照)
筆者が注目するのは「総裁選の候補者擁立を巡って、ほぼ10年に1度の割合で謀反人が出るから、そろそろか?」という清和会の体質ではない。参議院選挙に大敗して幹事長を辞任した中川秀直の行動が異様なのだ。「目立ちたい」というあせりが見え見えなのだ。中川秀直は先般、中国共産党中央指導部の少数派「共青団閥」の招請により、個人的資格で中国を訪問した。「将来有望な議員を伴って訪中して欲しい」との中国側の要望に従い、小泉から「将来の総理候補」とおだてられた小池百合子を伴って訪中。「将来の総理候補の小池百合子さんです」と紹介した。「共産団閥と小池百合子」の顔つなぎ役を見事に果たした。さらに中川秀直は清和会(町村派)のメンバー30余名を集め「中川秀直を囲む勉強会」を立ち上げた。派閥の中に派閥を結成した(派中派)。清和会名誉顧問の森喜朗へのクーデター又は謀反という色合いが濃い。中川秀直の「派中派」という分裂策動に対し、森喜朗、小泉純一郎、町村信孝、安倍晋三らが警戒心を抱いたであろうことは推察するまでもない。なお、中川秀直は人権擁護法案の積極推進派で、かつ「外国人の移民を1000万人受け入れて多民族国家日本を建設する」と述べている。思想・信条から見ても、カネと女の疑惑がついて回る点から見ても、「清廉潔白」を旨とする清和会(町村派)の体質や伝統とはマッチしない。
9月4日付け日本経済新聞は「自民総裁選:候補選び、動けぬ派閥」と題する以下の記事を掲載した。(抜粋)
1.「4人も続いたんだから、今回はやはり気をつけよう」。町村派出身の小泉純一郎元首相は福田首相辞任表明後、同派最高顧問の森喜朗元首相にこう告げた。
2.森氏、安倍氏、町村官房長官、中川元幹事長ら同派幹部は2日の会合で、当面は派としての候補を推さずに静観する方針を確認した。
3.森喜朗元首相は3日、総裁選で町村派の小池百合子元防衛相の擁立の動きを見せる中川秀直元幹事長について、(同派)代表世話人の立場で(小池氏を)引っ張り出すのはやや問題がある」とくぎを刺した。(都内で記者団に)
4.中川氏は2日、記者団に「改革派から誰かを出さないといけない」と小池氏を念頭に麻生太郎幹事長の対抗馬擁立に強い意欲を示した。森氏はこの発言についても「わが派の代表(世話人)としての発言ではないな」と指摘。「改革派を立てるというなら、麻生は改革派じゃないのか」と苦言を呈した。
(以上から推察できるもの)
第1.派閥としては「総裁候補を出さない」という意味
4代続けて総裁・総理を送り出した清和会(町村派)としては、今回は「謹慎・蟄居する」という。だが、派閥の首領森喜朗としては「総裁選は派閥が一体となって対処すべき」という考えであるから「抜け駆けや謀反は許さない」という立場だ。清和会の最高指導者である森喜朗と小泉純一郎の総裁選に臨む方針は「麻生擁立で固まっている」様子であるから、これに反する分派活動は認めないということであろう。つまり、森と小泉の方針に逆らって中川秀直が「小池百合子擁立で走り回っている」ことに腹を立てているのだ。「派閥の統制がとれない」と怒っている。幹部がそれぞれの思惑で各総裁候補を応援すれば派閥は四分五裂するとの危機意識を持っている。かって森と小泉は、総裁選を巡る意見対立から派閥が分裂した現場を見てきた。その反省に立って「火は燃え上がる前に消さなければ大火となる」と先手を打っている。
第2.「中川秀直の心理と弁解」を読み解く
「派閥から総裁候補を出さない」件については合意した。しかし、総裁候補を応援しないという約束はしていない。何よりも、森最高顧問自身が「麻生擁立」を公言しているではないか。最高顧問が勝手に「麻生太郎を擁立する」と決め、それを清和会メンバーに押し付けるという非民主的やり方には納得できない。派閥は森・小泉の私物ではない。さらに、麻生太郎は「小泉路線の転換」を提唱している。わしは「小泉路線継承」を謳い、これに賛同する小池百合子を擁立して一戦交えたいと考えているだけだ。小泉純一郎は「今のところ態度を明らかにしない」といっているが、「小泉路線継承」を掲げる小池百合子を応援すべき立場ではないか。
第3.小池百合子が「推薦人20人確保」に苦労している背景
小池百合子が「派閥は運命共同体」という意見を文芸春秋で発表してから数か月。小池百合子は「実力者の中川秀直が後見人だから推薦人20人確保は簡単」と楽観していたのではないか。これほど派閥の締め付けが厳しく「推薦人20人確保」に苦労するとは想定していなかったはずだ。中川秀直元幹事長が、古賀・二階・山崎各派の会長と相談し「推薦人確保」に努めているが、成果は芳しくない。清和会最高顧問の森喜朗が各派会長に「小池百合子の総裁選立候補は清和会(町村派)とはいっさい関係がございません。この趣旨を御理解の上、適切に対処されんことを期待します」との文書を送付しているのかもしれぬ。派閥の意向に反した行動をとれば、所属する派閥だけでなく他の派閥からも「敬遠される」という構造ができている。不始末をしでかして組を破門されたヤクザは全国の暴力団に絶縁状が回覧される。ヤクザ社会では生きていけなくなる。自民党の派閥も似たような体質かもしれぬ。中小派閥側にも事情がある。最大派閥である清和会最高顧問森喜朗と喧嘩すれば、いつ何時「江戸の仇を長崎で」と仕返しされるかもしれぬ。「危ない橋は渡れない」と用心する。「触らぬ神に崇りなし」だ。
第4.中川秀直は「派閥をとるか?女(小池)をとるか?」の岐路に立っている。
森喜朗の圧力に屈して派閥の意向に従うならば、「総裁選出馬」への断念を小池百合子に宣告しなければならない。さんざん「女を褒めて持ち上げ、その気にさせ」ておきながら、「事情により方針変更」と言い聞かせることになるから女(小池)は激怒する。「今さら、何をいうのです。ここで、総裁選出馬を断念すれば、天下の笑い物ですよ。とんでもない。ばかばかしい。」と取りつくしまがないほど荒れ狂う。女たらしの中川秀直であるから、女を怒らせたらこれを鎮めるのが如何に困難であるかは熟知している。覚せい剤常習の女に警察情報を伝えた嫌疑を国会で追及され、官房長官就任3か月で辞任に追い込まれたこともある。「人はカネと女で身を持ち崩す」という。中川秀直の場合は、「カネも女も」であるから始末が悪い。いつ何時、スキャンダルが暴露されるかもしれぬ。本人も「バレたら仕方がない。ツイテいなかったと諦めるしかない」と考えているのかもしれぬ。仮に、中川秀直が初志貫徹、森喜朗に謀反を起こしたとする。この場合、中川秀直は「代表世話人を辞任するよう」勧告される。これを拒否すると、次第に清和会での居心地が悪くなる。「派閥を捨て、女(小池)をとった」という評判が立つ。中川秀直と小池百合子は清和会を離脱せざるをえなくなる。この時、中川秀直と小池百合子が同伴できるかどうかは不明だ。喧嘩別れするかもしれぬ。
第5.小泉チルドレンは、なぜ「小池百合子の推薦人」とならないのか?
前回の総裁選で「小泉チルドレン」の相当数が、小池百合子を押し立てて「小泉再登板」のムシロ旗を掲げた。だが、小泉純一郎に「その意思はない」と一蹴され、尻切れトンボに終わった。という経過を見ると、小泉チルドレン各位が「小池百合子の推薦人に集結」しても不思議ではない。だが、山は動かない。小泉チルドレンは前回衆議選では僥倖で当選した。地盤も看板もない。総裁選どころではない。選挙で頭は一杯であろう。「小池百合子の応援団に登録」すれば、総選挙の公認や比例の順位で不利益な扱いを受けるかもしれぬ。「危ない橋は渡れない」という自己保存の本能が蘇っているのかもしれぬ。
(まとめ)
小池百合子が「推薦議員20人」を確保できた場合、中川秀直は選挙の総指揮をとらざるをえない。つまり、清和会に弓を引くことになる。中川秀直は「清和会代表世話人を辞任する」可能性が高い。小池百合子が派閥の強力な締め付けで「推薦議員20人を確保できず、総裁選出馬を断念せざるをえなくなった場合、中川秀直と小池百合子の縁が切れる。筆者の個人的感想をいえば、小池百合子は総裁選に出馬して「場を賑やかにしてもらいたい」と思う。与謝野や石原は真面目すぎる。公開討論を聞いていても面白くないのではないか。総裁選の演説が「大学の授業」では困る。祭り、政(まつりごと)、祀りというのは「賑やかで楽しいもの」であるべきだろう。米国の大統領選挙は長丁場であるが、米国民は「楽しみながら、各候補の政権構想を理解する」のではなかろうか。若干、「ショー的要素」がある方がよい。与謝野や石原が敵役では場が盛り上がらない。やはり「小池百合子の元気で賑やか」という資質は余人に代え難いものだ。派閥の締め付けで小池百合子陣営が「20人に若干名不足する」ようであれば、鳩山邦夫麻生選対責任者がウラから塩を送るべきではないか。今回の総裁選は「勝ち負け」よりも、楽しく賑やかに政策を訴えることに重点をおくべきである。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~