頂門の一針 | 日本のお姉さん

頂門の一針

ようちゃん、おすすめメイル・マガジン「頂門の一針」9月3日(水)
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清和会は静観の構え
━━━━━━━━━古澤 襄
自民党内の最大派閥で5人の総理大臣を出した清和会(町村派)は、後継総裁選びで派閥としての統一行動はとらない方向にある。本来なら安倍政権、福田政権で幹事長として内閣の屋台骨を支えた麻生太郎氏を一致して推すところだが、派内から小池百合子元防衛相も総裁候補として立候補する意欲があるという。森元首相、安倍元首相、福田首相は麻生支持だが、小泉元首相は経済財政政策を巡って麻生氏と違う立場にある。小泉改革以来の歳出減路線を貫くために中川秀直元幹事長や小池百合子氏に近い。下手をすると後継総裁の支持をめぐって清和会が分裂する危機がある。それを避けるためには派閥としての統一行動をとらずに自由投票にまかせるしかない。中川、小池氏らは小泉チルドレンを巻き込んだ小泉改革の継承路線を党内に訴え、麻生氏の対抗馬を立てることを狙っている。自民党の総裁選挙は、小泉路線からの転換を図り、大幅な財政出動で内需拡大を図る積極経済政策の麻生氏と、あくまで小泉改革路線を堅持する中川、小池氏ら”上げ潮派”との政策論争になる様相を示している。<自民党の麻生太郎幹事長は2日午前、福田康夫首相の退陣表明を受けた党役員会後の記者会見で「福田首相がやりたくてもやれなかったこと、(これから)やらねばならないことを実行していきたい」と述べ、党総裁選に立候補する考えを表明した。01年の総裁選から4回目の挑戦になる。小池百合子元防衛相も2日朝、出馬に意欲を示し、準備を始めた。総裁選日程は「22日投開票」を軸に調整が進む見通しだ。

 ◇「22日投開票」軸に調整
麻生氏は会見で「緊急経済対策を含めて首相と話をしてきた。(後継総裁を)受ける資格はあるかなというところだ」と述べた。小泉改革以来の歳出削減路線を転換し、大幅な財政出動で内需拡大を図る経済政策を中心に政権公約を練る方針だ。これに対し、経済財政政策を巡って麻生氏と対立する中川秀直元幹事長に近い小池氏は2日朝、東京都内の自宅前で記者団から総裁選出馬の考えを聞かれ、「(福田首相の退陣は)日本の危機そのもの。危機感をみんなと共有していきたいと思う」と語り、意欲を示した。福田首相(自民党総裁)は2日午前の自民党役員会で「ご迷惑をおかけするが、ご理解いただきたい。臨時国会では新しい総裁の下、反転攻勢をかけてほしい」とあいさつ。党総務会では「民主党の対応によっては、衆院の解散にならざるを得ない。私が辞めることで局面を変えるしかない」と語った。
首相は総裁選の日程などについて早急な調整を指示し、役員会は臼井日出男・総裁選管理委員長に一任した。21日が民主党代表選、23日が公明党大会と重なるため、22日投開票が有力になっている。実施方法は前回同様、党所属国会議員と都道府県代表による投票になるとみられる。総裁選を巡っては麻生、小池両氏の他に谷垣禎一国土交通相、石原伸晃元政調会長、野田聖子消費者行政担当相なども立候補が取りざたされており、行方は混とんとしている。このうち谷垣氏は2日午前、東京都内の自宅前で、「今はそういうことは考えていない」と慎重な姿勢を崩さなかった。野田氏は閣議後の会見で「仲間や先輩議員の意見を聞き、判断する。今は全く白紙」と述べた。また、与謝野馨経済財政担当相は、閣議後の会見で「総裁選出馬は一度も考えたことはない」と可能性を否定した。自民党内最大派閥、町村派の代表世話人を務める中川元幹事長は、国会近くの衆院赤坂議員宿舎で記者団に「安倍、福田と2代続けて(同派出身者が)こういうことになっているので、派閥が前面に出るのはよくない。とにかく静観だ」と述べた。ただ「小泉改革の継承者を出さないといけない」とも述べ、派閥横断で小池氏らを擁立する考えを示唆した。(毎日新聞)>
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特派員電が偏るわけ
━━━━━━━━━渡部亮次郎
<日本の大手マスコミが、いつもアメリカ大統領選挙で予想を大きく外す傾向があります。
第1に特派員の多くがNYタイムズなど北東部のリベラルな新聞の後追いが多いため、気づかない裡に民主党有利の記事を書いていることです。
第2に日本の特派員はワシントンやNYにいても、記者クラブというムラに住んでいて、独自取材が不得手。積極性がないのが致命傷ですね。もちろん産経の古森さんとか、例外もたくさんいますが。
第3は共和党との人脈が極端に薄いためです。まして特派員の多くの日本人が本質的に民主党リベラル支持派ですから、その分析が偏向しているのです>。(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成20(2008)年9月1日(月曜日)通巻第2303号)。

私は国内政治だけの記者をたった20年しかしなかった中途半端記者だったが、NHKというマスコミに居た事は間違いないので他人事(ひとごと)ではなく受け留めた。記者の途中で1977年11月に、福田赳夫内閣の改造で官房長官から外務大臣になった園田直(そのだ すなお)氏に求められて秘書官(政務担当)に就任した。その後も園田氏は外務大臣を次の大平正芳内閣、鈴木善幸内閣と3代に亘って勤めたので、私もそれなりに外務省に知己ができた。それとなく彼らの話を聞いていると「外国語に優れた外交官は外務事務次官にはなれない」というジンクスがあるということだ。その後の外務省人事では、これは外れもあったかもしれないが、その時までの説明によると、人間の頭脳は左脳と右脳があり、外国語を記憶するための脳を発達させると、総合判断力を磨く能力が落ちる。外国語を磨くと通訳には優れるが、外交官としての判断力とか洞察力、推理力、人事管理能力とかは二の次になってしまうから、省内ナムバー2として、官僚の頂点には立てない、と言う事だった。
NHKや民報、新聞各社も同様だと思うが、記者の採用試験の際、人事部は予め、将来の海外特派員候補として、外国語に優れた人材を採用する。ただし将来の海外特派員を保証はしない。知らん振りをしてまず地方の支局に一般取材記者として赴任させ、一般的な取材能力を磨かせる。数年後に一旦、東京本社に引き揚げた後、政治部なり経済部なり社会部などで仕上げをした後に、特派員として海外に派遣する。
ワシントンは政治と犯罪NYは国連と株と犯罪が分からなければ話にならないから、予め訓練は東京で受けてきたはずだが、すんなりとは行かない。発表物はこなせるけれども、役人や企業幹部はなかなか単独では取材に応じてはくれない。日本にいた時のように「朝駆け」や「夜回り」に応じてくれる役人や会社幹部は皆無。よほど親しくなれば昼食を共にしながら取材の応じてくれるが、そこまでなった時すでにほぼ3年の任期は終了。仕方ないから取材は発表物だけにとどめ、現地新聞早版の「翻訳」に集中しがちになる。ところが、対象とする新聞は日本でもよく名が通っているNYタイムズとかワシントンポストに偏ってしまう。それら各紙の社是が民主党支持なのだから日本への記事も民主党寄りになり、自然、共和党への人脈を築けなくなってしまうという構図なのだ。宮崎さんご指摘のように、記者クラブに籠もっているわけではない。
ワシントンに定年過ぎてもいる産経の古森義久氏とか10年以上もNYやワシントンにいたNHKの某氏らは特殊な理由があって長期滞在できているのであって一般的な例では無い。各社の外報部、外信部、国際部といった海外取材部にはアメリカ、モスクワ、北京、上海、パリ、ロンドン、中東など特派員希望者が日ごろ、横文字を縦にするだけの退屈を偲びながら虎視眈々と現任者の帰国を待っている。だとあっては現任者としては悠々と深い取材を続けてはいられないのだ。そういう事情に理解の無い評論家から批判されるたびに、各社の関係者は「何を言ってやがんだい」とニガ虫を潰していることだろう。関係者と宮崎さんの双方を知る私は苦笑するしかない。産経は中国総局長とソウル支局長をいずれも共同通信社からスカウトして長いこと勤めさせているが、後任希望者の鬱憤はどうやって捌いているのだろうか。序に触れるが、中国駐在の特派員たちが、自由な取材活動も、活発な中国共産党の批判もしないのは、田中角栄首相による国交回復以前にマスコミ各社が北京への特派員派遣を抜け駆けしようとしていたため中共に足元を見られ、全く不利な記者交換協定を結んでしまい、以後絶対に改定の応じてもらえないからである。マスコミ各社の自業自得、自縄自縛なのである。
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大阪の「教育非常事態宣言」
━━━━━━━━━━━━━毛馬 一三
大阪府の橋下徹知事が1日、「教育非常事態宣言」の発令を検討するという異例の意向を示した。全国に例のないことだけに大きな波紋を投げ掛けている。小学6年と中学3年を対象にした今回の全国学力テストで、大阪府の小中学校が都道府県別で小学校41番目、中学校45番目になるなど、前回テストに連続2回目の全国下位の低迷が、知事の決断を後押ししたものだ。「子供が笑う」を柱とする「大阪維新プログラム」構想をブチ上げたばかりの知事にとり、学力テスト低迷の最悪現実は、予想もしなかった事柄であり、それよりも何よりも「子供が笑う」構想が、真っ先に教育分野から崩れだし、橋下府政の挫折に繋がり兼ねない危機感も加味している。橋下知事はすぐさま動き出した。この緊急事態を改善するためには、所管する大阪府教育委員会の果たす役割が欠かせないと判断し、数次にわたって意見の調整に臨んだ。ところが当の府教育委員会は、
i)8月26日の会合で、改善の具体案を提示しなかった。知事は「何もビジョンが感じられない。教育委員会が機能を果たしていないのではないか」と不満をあらわにした。
i)さらに9月1日会合でも、市町村ごとの成績を公表するよう求める知事要請を拒否した。その際も知事は「府教委は都合が悪くなったら逃げる」と痛烈に批判している。
この事態が、知事に「教育非常事態宣言の発令」も辞さない意向を決断させたもので、今後成績の公表について、マスコミなどを通じて府民にも訴えていく方針を示すことに繋がっている。<産経新聞>
知事の切なる提案と要請をどうして頑なに府教委は拒否したのか。府教委の腹の内には、下記のような建前を拠りどころにしていると、関係者は指摘する。それは、<!)地方自治法第138条4、第180条5に基づき、地方公共団体に設置される行政委員会(教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員)は、 政治的中立性を確保する観点から、長の指揮監督を受けない。また、委員は、議会の同意等を経た上で選任される。

!)行政委員会は、その権限に属する事務の一部を、長と協議して、長の補助機関等に委任又は補助執行させることができる>ことになっているからである。<出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』>しかも上記!)に明記された「長の指揮監督を受けない」という条項を駆使して、「縄張り」を最大限確保するとともに、知事の発案によって条例改正などで職務分野への侵蝕を阻む根拠を、この事例によって知らしめるしたたかな計算が働いているのが真意だろうと、別の関係者も指摘する。だとすれば早い話、国の法律で担保された行政委員会の教育委員会に、知事を補助的に使うことはあっても、何をやり出すか分からない知事に教育行政を介入させないようにしたかったのが本音に近いようだ。さらには、府下市町村や労組との関係に軋轢を作らず、従来通りの親密関係を維持したいのも、腹の内に秘められた事実だという。
しかし、この知事排除の「縄張り根性」は、早くも府民の批判を受け始めた。知事が「教育委員会には最悪だと言いたい。これまで『大阪の教育は…』とさんざん言っておきながら、このザマは何なんだ」と府教委を厳しく批判したことに共感を寄せる府民からのメールが府庁に集中し出した。且つ「現場の教職員と教育委員会には、今までのやり方を抜本的に改めてもらわないと困る」と注文をつけた知事への府民の賛意は多い。こうした状況を受けてか、早速2日に府教委の対応に変化が生じた。同日府教委は知事と協議に出向き、府教委が一旦拒否していた「市町村に対してそれぞれの自治体の学力テストの結果を公表させないという方針」を変更、一転して要請する方針に切り替えたというのだ。勿論知事は理解を示している。子供の教育に関する府民の関心は高い。政治・経済で第二の都市の座を失ったと実感している府民は、せめて小中学校の学力が伝国最低レベルから脱却させ、子供たちの学力を向上させれば、大阪の将来は期待できるというのだ。「教育非常事態宣言」の発令があれば、府民は挙って喝采を送るだろ。そうなれば府教委の「縄張り根性」と「閉鎖性」も自然と解消され、子供たちの学力向上に繋げる知事とのタグマッチもいい方向に向かっていくのではないだろうか。
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