日本で起こっているデフレは所得線の角度の上昇や下降により生じる景気変動です。(株式日記と経済展望 | 日本のお姉さん

日本で起こっているデフレは所得線の角度の上昇や下降により生じる景気変動です。(株式日記と経済展望

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▼日本で起こっているデフレは所得線の角度の上昇や下降により生じる景気変動です。(株式日記と経済展望)
◆赤字国債考えず=定額減税財源で-福田首相 8月29日 時事通信
福田康夫首相は29日夜、政府・与党が2008年度内の実施を決めた低所得者向け定額減税を赤字国債発行で賄うことについて「もし(定額減税を)やるのであれば、そういう形で財源を手当てすることは考えていない」と述べた。定額減税導入のための補正予算編成が必要となった場合でも、赤字国債は発行せず、財政規律を堅持する考えを示したものだ。首相官邸で記者団の質問に答えた。また、「定額減税はばらまき型の対策」との批判が出ていることについては、「そうならないような工夫ができないか。これもわたしの注文だ」と述べた。

◆今の経済学がデフレに対応できない理由 2月29日 寺下真弘
今の経済学がデフレを解消できない理由。
1、不景気の内容の違いがわからない。
2、それに対応した経済政策を取っていない。
3、正しい政策。

1、今主流になっている経済学は、需要と供給の差で生じる景気循環と、資金量と生産量の差で生じるデフレやインフレの景気循環とを混同しています。そこにデフレがいつまで経っても解消できない理由があります。需要と供給の差で生じる景気循環は、所得線上を上下するような循環で表すことができます。消費量の減少が生産量を減らし所得を減退させ、生産量が増えれば所得が増えるというような循環です。貨幣価値が変わらず、貯蓄と投資の差を埋め合わせることにより、均衡を計るものです。これに対して今、日本で起こっているデフレ、あるいはバブルのようなインフレは、所得線の角度の上昇や下降により生じる景気変動です。それは貨幣価値の変動を伴います。それ故、このような角度の変動による経済現象に対して、需給の差による景気対策を行なっても意味のない場合があります。逆により悪くしていることもあるのです。現在の日本経済の失敗と混沌はこのことに集約されるでしょう。1929年のアメリカの経済恐慌や、1990年の日本のバブルの崩壊、現在のサブプライム問題も、金融資産や土地価格の下落により生じた資金減少による所得線の下降が原因です。所得線の角度が変わるのは、市場における資金量が著しく減少し、生産量との間に多きな差が生じ、しかもそれが急速に変化した場合です。日本のバブルの崩壊やサブプライム問題もこの角度の低下を生じさせる経済現象なのです。(市場から資金が流出する過程は、デフレ・インフレの一般理論の第2章参照
http://www.eonet.ne.jp/hitokotonusi )縦に資金量、横線に生産量を取り、通常の所得線を45度の線とする。このような状態から資金が大幅に急速に減少すると、生産量がそのままであるため、所得線の角度が低下することになります。所得線が45度以下に下がり、しかも貯蓄量以上に下がった線をデフレ線と呼ぶことにします。借金が貯蓄量以上に増えた場合、所得線が貯蓄量以下に下がることになります。
経済がこのような状態にある時、今主流であるケインズの経済学が通用しません。ケインズ経済学の前提は、先ず貯蓄が存在することです。そして所得線が正常な資金量と生産量が1対1の45度の時の経済状態を分析したものです。所得線の角度が下がったデフレの経済状態や所得線の角度が上がったインフレの経済状態を分析していないからです。(デフレ線とケインズの所得消費曲線の図参照)ケインズの分析したところは所得線が正常な状態で、貯蓄のある経済であり、主に需要と供給の差により変動する経済を主体にしています。それ故現在主流のケインズを応用した経済学は基本的なデフレやインフレに対する認識を欠如したものであるため、上滑りしたものになったり、根本的な解決策を提示できていないのです。このデフレ線が支配する経済では、貯蓄がないため、生産量の増加に対して有効需要が生まれず、乗数理論も役に立ちません。この間違った経済学が1929年のアメリカ大恐慌を世界に伝播させ世界大戦の要因を作り、また1990年の日本のバブル崩壊が、サブプライム問題を引き起こし、世界にデフレを広げようとしています。私達はここで正しい経済的認識をもち、世界を再び経済恐慌から立ち直らせなければなりません。経済学の間違っている根本は、需要供給により生じる景気の循環を、所得線の角度が下降する経済現象に応用するところにあります。資産価格の崩壊により市場から大幅に資金が奪われた恐慌には、それに対応した正しい経済政策を取る必要があるのです。
角度が下降している時の経済状態(デフレスパイラル)生産量がそのままで資金だけが急速に大量になくなると、ハートランドの内部では、資金不足による消費減退から、激しい低価格競争が起こり、企業の生み出す付加価値に対して十分に価格を付けることができない状態になります。これは国内の全産業部門に及ぶことが特徴です。一部の産業部門や、生産物にだけ影響がでるものではありません。資金量が減って、生産物だけがギュウギュウ詰めの状態になるのです。水槽に資金という水が少なくなり、生産物という金魚がぎっしり詰まり、竜金や出目金などの高価なものが淘汰され、小さなわきんばかりが、少なくなった水量の中であふれ返り、酸素不足でアップアップしているのである。これがデフレの状態です。(水槽経済学1参照
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/ )アップアップしているのは、安定した経営を続けられるほどの運転資金が得られないためです。企業は拡大再生産に必要な利鞘を稼げないため、リストラなどの経費削減をせざる負えなくなります。これが所得減に結び付き、さらに税金の減収から、国、個人、企業の借金が増えていきます。これがデフレの経済の縮小の循環なのです。低価格品が市場を占有し利益率が低くなり、原価率が高くなるため、企業経営が不安定になり、多くの企業が倒産廃業をしていきます。そして国内には有効な投資先がなくなっていきます。
資金が生産量に比べて大幅に減少したハートランド内では、生産された生産物の付加価値に対して不当に価格を低く付けざる負えず、廉価販売をせざる負えなくなります。それ故各企業は販売量を増やし売上を確保しようとするため生産量を増やすことになります。
(
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/ デフレに内在する生産量増強システム)あるいは、製品に新たな機能や、工夫を施し生産コストを上げながらも、価格を維持又は下げて販売することになります。企業は低価格帯での販売競争により利鞘不足を招き、リストラから所得減による資金減少を再び招き、それが低価格品の生産増を招く事になります。このように資金が減少するにつれ、低価格品の生産量やコストが増え、利益率が低くなり、原価率が上がっていくのです。デフレではこのような現象が続き、資金減少のたびに、低価格品の生産量の増加や製造費用の増加が続き、実質GDPの成長率が常に名目GDPの成長率をうわまることになります。少し長くなりましたが、デフレ下の市場では、少なくなった資金の中で低価格の生産物がひしめき合っている状態なのです。そして貯蓄が無く、生産の割に売上が上がらず拡大再生産に必要な資金を得ることができない状態です。このような状態が長く続いているのです。こういった時ケインズ経済学を主体とした主に需要と供給の差による不景気対策をするとどうなるでしょうか。

1、低金利政策
景気対策の定番と言えるものです。これは主に貸し出し金利を低下させることにより、企業の生産を刺激することを狙ったものです。しかしデフレでは、既に市場に低価格品があふれ返っています。このような飽和状態にさらに生産物を供給することは至難の業であり、生産物を増やせば増やすほど付加価値に対する価格が低くなっていきます。しかも低金利は預金金利を下げるため、市場から消費資金を引き上げることになります。この現象、すなわち資金が減少し、生産量が増えるという現象は、デフレの現象に過ぎません。それ故低金利はデフレ下では、デフレを促進していることになります。日本がバブル崩壊後ずっと取ってきた低金利政策は、デフレ経済を促進していたのです。日本の現状は明らかにそれを証明しています。(
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/ 低金利はデフレに役立ったのか。参照)条件が変わった経済状態ではそれに応じた政策を取らねばなりません。それ故デフレでは、高金利にし、預金金利を増やし、生産量を抑えた方が理にかなった政策と言えます。デフレで大事なことは付加価値に対して価格を載せやすくする方策を取ることです。それがデフレにおける成長を促し所得線の角度を上昇させます。

2、企業側を優遇する各種補助金等の成長戦略
これも生産者側を優遇し供給を促進するものです。1の場合と同じ理由で、生産量を増やしても売上がほとんど伸びず、また研究開発した新しい機能もそれに見合う利潤を得られず、返って借金が増えていく事になります。財源を確保し、補助金等の援助をしますので、借金が増える割に効果がありません。研究開発費、構造改革費、などは主に輸出関係の企業に回ることになり、内需が停滞しているため、自然に輸出促進策になります。本来のデフレである国内にほとんど恩恵をもたらしません。ここで特に言わなければならないのは、デフレ線は45度より角度が少ないので、生産量の増加の割に資金量が伸びないということです。これは生産に投下した資金量が、より少ない資金を生み出す事を意味しています。すなわち理論的に最初から生産側に投下した資金より少ない資金が増えることを意味し、投資効果がマイナスなのです。これはデフレ線の形状や水槽経済学のデフレの状態で視覚的に容易に分かるでしょう。このような始から無意味な経済政策を我々は容認してきたのです。(私も2千5年8月まで分かりませんでした。)研究開発費や構造改革資金が国内では空回りするのです。それ故これらの補助金を企業側ではなく、消費者側に投入することがデフレでは大事になります。ガソリン税を安くしたり、高速代金の値引きや消費税の引き下げ、年金の物価スライド制の廃止、などが有力な手法になります。デフレでは先ず資金を増やすことが、大事であり、それが付加価値に対する価格を引き上げ健全な成長を促すのです。資金増加に対応した生産増が所得線を引き上げます。(ブログ:日本の国富は減っている。生産量を増やすことは無意味参照)

3、赤字財政による公共投資
この投資も主に生産者や企業側に回ると解釈すると、やはり生産量の増加になるため、1、の場合と同じ理由で付加価値を増やしません。しかし公共投資の場合、ほとんど利益の出る投資はほぼやり尽くしたため、生産増の恩恵は端から考えられないでしょう。それ故赤字財政による雇用創造と考えた方が良いでしょう。公共投資は、直接企業の売上になるため、補助金や研究開発の援助に比べると効果の大きい物です。投資した金額はその分だけ所得を増やします。しかし非常に限定的で、えこひいきな投資になります。広く薄く行き渡らず、また社会資本の性質上、市場で循環するものではありません。デフレのような資金が不足している市場では、投資された産業や地域に人やお金、生産素材が集中し他の地域では、不足する事態が起こりがちです。それ故波及的効果が出てきません。貯蓄が十分にないため有効需要が出ず、乗数理論が働かないのです。そのため、借金をしてでも公共投資をした方が景気が回復するという常識が崩れているのです。日本はデフレにおいて何度もとった公共投資策により莫大な借金を背負い苦しんでいます。同じ金額を投資するのでも、資金を広く薄く消費者側に投入することが大事なのです。これが所得線の角度を引き上げる原動力になります。
デフレは乗数が働かないため財源を借金で確保し、それを生産者側へ投資をしても効果が薄くなります。デフレにおいて効果のある投資は、財源の要らない又は今までの負担分を減らした分を消費者側にする投資です。民間の負担減とハートランドの拡張が同時になされます。特に消費税の引き下げは、財源が必要なく、そして民間の負担分を減らし、資金を消費者側にいれる最もデフレにふさわしい政策です。またガソリン税の引き下げも今までの生産者側に投資していた物を消費者側に振り向けるのは、非常に良いデフレ解消策のひとつです。、高速代金の引き下げも、道路公団の繰り越し剰余金や利益準備金を使えばだれも損する事なく、引き下げることができるでしょう。また埋蔵金を借金返しに使うような愚を犯さず、消費者側の資金投入に使うことも大事な政策です。新聞紙上で、また、国会の議論で盛んに財源をどうするかを問題にしていますが、デフレでは、借金をして財源を確保するやり方は通用しません。これが今までのやり方では失敗してきた理由なのです。(後略)

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(私のコメント)
福田内閣は迫りつつある総選挙をにらんで景気対策を打つようですが、定額減税が目玉になっている。これは何もやらないよりはいいのですが、一回限りであり経済効果は限られている。大規模な公共投資もやらないよりはいいのですが赤字国債を発行しなければならず、国債の発行残高ばかりが増えてしまう。いずれもカンフル注射にしかならない。現在のデフレは個人消費が減っており、その原因は個人の給与所得が年々減っている事が原因だ。だから効果的な経済対策は消費に回るような経済対策を打つべきなのですが、どうしたら消費が伸びるような対策が良いのだろうか? それは減税であり特に消費税などの減税は有効だ。ところが財務省の官僚や政治家はそれを聞いただけで思考が停止してしまう。「株式日記」のホームページに書いてあるように今回の長引くデフレは消費税が原因になっている。あとは預貯金から株式や不動産に金が流れるような税制改正が必要だ。株や不動産が値上がりすれば、値上がりした一部が消費に回るからだ。ところが小泉・竹中内閣がやってきたことは、財政再建であり増税ばかりしてきた結果、増税分の消費が減って税収は落ち込んでしまい、250兆円も財政赤字を増やしてしまった。財務省の官僚は東大でマルクス経済学しか学んでいないから、デフレ経済のことが分からないのだ。
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◆小泉内閣が発行した国債が250兆円にも及び、小渕内閣時代の「世界一の借金王」の3倍は軽々と突破している。 2005年10月14日 株式日記

◆「小さな政府」だけでは危機的状況は乗り切れない
もうひとつの財政再建策であるはずの、経済を成長させて税の自然増収をはかるというほうの戦略はどうかというと、これまた小泉首相はいっさい拒否してきた。 財政がこれだけ悪化している現状では、公共事業拡大などの景気刺激策をとる余地は全くないとしてきたのである。小泉首相のこれまでの経済政策は、景気に関してはひたすら消極策に徹してきた。 小泉首相の頭の中には、「大きな政府」は諸悪の根源という発想が抜きがたくある。逆に大きな政府を小さくすることはすべて正しいと小泉首相は考えるから、「民でできることは民にまかせる」が聖なる大原則となる。 官は民ではできないこと、民では不都合なことだけをやればいいから、「小さな政府」にするのがいちばんいい。予算も、これまでの「大きな政府」の使いすぎをあらためるために、予算はすべてゼロ・シーリングで切りつめていって、財政規模をどんどん縮小していくのが正しいということになる。 だがその結果どうなったかというと、この通りのデフレ経済(経済の縮小再生産過程)になってしまったのである。
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(私のコメント)
なぜデフレ経済になるのかというとバブル崩壊で信用が収縮してしまって銀行貸し出しが減ってしまうことによる流動性資金が減ってしまうことだ。その減少分を埋めるために政府が公共投資などをして流動性を増やそうとするのですが、銀行の貸し渋りや化しはがしで流動性は減ってしまう。小泉内閣がしてきた経済対策とは輸出企業主導の景気対策であり、円高防止のために100兆円もの資金を使った。しかし為替は景気に中立要因であり円高でも輸入物価が下がることで輸入企業は儲かるはずだ。その分を国内消費を増やす対策に使っていれば景気は良い結果が残ったはずだ。輸出大企業はバブル期以上の経常利益を上げましたが、それが労働分配率の向上にはつならずかえって低下した。日銀の言うダム理論は破綻したのだ。小泉内閣の規制の緩和が非正規雇用を増やして賃金の低下をもたらして、デフレスパイラルの循環にはまり込んでしまった。
公明党の打ち出した「定額減税」は一時的には効果があっても長続きしないだろう。それよりかは小泉内閣が廃止したサラリーマン恒久減税を復活させればいいと思うし、消費税を一時的に景気が回復するまでゼロにすべきだ。財務省の役人が財源が無いと言うのなら公務員の給料をカットして充てればいいのだ。
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