台湾の声
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国民性と「恥」の文化
アンディ チャン
「日本人の恥だ」と言う言葉がある。その人の人格を否定する言葉である。日本人だって破廉恥なことをやるはずだが、殊に外国における日本人にとって日本人の恥という一種の道徳的水準が存在する。「台湾人の恥だ」と言う言葉はあるが、あまり聞かない。今回の陳水扁事件ではこれが聞こえた。しかし「中国人の恥だ」と言うのはない。中国人は恥を個人的なものとすり替えてしまうから、「中国人の恥」はない。オリンピックの口パク事件、花火ショーの偽造事件、年齢詐称などを「中国人の恥だ」という中国人はいなかった。つまり中国人は国の恥でも個人責任、他人事として矮小化してしまうのである。
●陳水扁事件は道徳の罪
台湾人には恥の水準はあっても普遍的なものではないらしい。陳水扁の違法蓄財は軽犯罪だが、人民の期待に背いた罪、人民を騙した罪がある。人民が台湾のために選挙資金を献金した、その金を選挙に使わないで国外に移したから怒っているのだ。国民党メディアが陳水扁を断罪しているのは個人の献金ではなく、政府の金を横領した「嫌疑」である。国民党は何が何でも陳水扁を監獄に入れたい、「台湾人が中国人の国である中華民国の総統になった」、中国人にとってはこれが陳水扁の罪なのである。選挙で余った金を海外の銀行口座に入れたのは犯罪ではない。正式に送金出来るのである。台湾では海外の銀行に口座を持っている人はたくさんいるし、海外に送金することもかなり自由だった。80年代は海外送金に一定額があったが、90年代になると経済が自由化されて多くの人は海外に財産を移す様になった。また、中国投資などで送金する必要もあったから正式に為替を組むことが出来たのである。違法送金とはマネーローンダリングのことで、正式に銀行を通じて送金しないことを指す。2000年代になって宋楚瑜の違法送金などいろいろな事件が起きてから政府は再び海外送金に厳格な検査をするようになり、多くの金持ちは政府の検査を避けるため違法ルートを頼るようになった。
●違法送金は中国人の特技である
台湾では竹聯幇と言う犯罪組織が大っぴらに違法送金をやっているから、調査するなら国民党の大物がやったボロがいくらでもでてくるはずだ。竹聯幇は中国だけでなく、ベトナム、日本、アメリカその他の国家でも「信用のある換金事業」をやっているという。竹聯幇は国民党の裏の政府とも言える。中国に投資している台湾人は殆どみんな竹聯幇の「お世話」になっているという。台湾から中国に送金することは許されているが、持ち出しは禁止されている。だから中国で儲けた金を台湾に送るのは竹聯幇に頼る。竹聯幇は中国の官僚とグルになって、かなり平気で人民元を台湾元にして手数料を稼ぐ。中国で入金すれば数日後に台湾で受取ることが出来る。噂によると日本企業でも竹聯幇のお世話になっているものが多いという。陳水扁の違法送金をしらべるなら竹聯幇の違法組織も調査しなければならない。台湾の大企業が中国で違法な金の出し入れをやっていることも調査せねばならない。それをやらないで陳水扁だけ検挙するのは、この事件が国民党の陰謀であると言う証拠である。
●陳水扁は「裏切り者の罪」
私の意見では、陳水扁の罪は道徳上の罪で、「李登輝も過去に違法送金をやった。証拠がたくさんある」と公開場面で述べたことである。これは非常識で卑劣な行いであり、正に「台湾人の恥」である。第一に、国民党の検察官が検挙したのは陳水扁の違法蓄財であり、李登輝の検挙ではない。李登輝を検挙したところで陳水扁の罪は軽くならない。第二に、国民党は過去八年間に何度も李登輝を調べたが、証拠が挙がらなかった。第三に、李登輝を検挙しても台湾人が分裂するだけ、蒋系中国人が喜ぶだけで、陳水扁にも台湾人にも利がない、つまり百害あって一利なしである。馬英九、?
もちろん台湾には李登輝嫌いがいて、李登輝を検挙すれば溜飲を下げる、つまり個人的な感情で李登輝を断罪する人もいる。陳水扁もその一人だが、それだからとて検察官やメディアが陳水扁を許すことはない。李登輝も同じことをやったと言えば、世間は陳水扁を「裏切り者」、「密告者(台湾語で報馬仔という)」、と呼んで軽蔑するだけである。台湾人を密告すれば台湾人が分裂する、これこそ国民党の思う壺、喜ぶのは蒋系中国人だけである。陳水扁は自分の違法蓄財を検挙されたのは、国民党が仕組んだ陰謀であると言うことがわかっていない。自分が検挙されたから慌てて同胞を検挙しても自分の罪が消えることはない。陳水扁はむしろ、自分の名誉が傷ついたから、憎らしい李登輝の名誉も傷つけてやると言う卑劣な魂胆なのだ。
●陳水扁の「シナ人根性」
陳水扁断罪は国民党の陰謀だが、法を犯したのなら法が裁くべきであり、同じような違法送金をした国民党の要員も検挙して調査しなければならない。台湾の司法は国民党の言いなりで公平とはいえないが、司法裁判は別として、陳水扁の犯した「同胞を裏切る言動」は人民が糾弾せねばならない。これは台湾人の恥である。なぜ陳水扁はこのような卑劣なことをしたのか?結論を言えば陳水扁は「シナ人」であり、台湾人ではないからだ。台湾人の大部分は「自分は断じてシナ人ではない」と思っている。だから陳水扁の言動は許されない。シナ人、チャンコロ(清国奴)は台湾では最大の侮蔑だが、陳水扁には台湾人としての矜持、誇りがない。つまり彼はこれまで李登輝と共に「二人の台湾人のホープ、指導者」だったが、検挙されて残るホープは李登輝となる。自分が台湾人の恥と罵られるのは仕方ないとしても憎らしい李登輝が残るのは我慢できないのである。他人も同罪に引きずり込む、まさに中国人のやることで、男の風上に置けない野郎、最低だ。陳水扁は台湾人と中国人の区別がつかないというより、彼は台湾人ではない。シナ人だから「台湾人の恥」を知らないのである。
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国際戦略コラム NO.3034
米金融不安の高まり
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米国金融不安が一段と鮮明になっている。その検討。 Fより
中国銀行が、ファニーとフレディ債の保有を29%減らした。米国のポールソン財務長官は救済があるとしていたが、救済法案が成立してから、一転して公的資金の投入を渋っている。これは、もし、公的資金を投入するなら、優先株の発行となり既存株主が大きな損失になることで、この既存株主である金融機関が大きな損失に繋がり、損失拡大になるためである。しかし、公的資金を投入しないと世界にばら撒かれた5兆ドルの公社債が売られて、暴落することになる。公社債が売られるとドル暴落に結びつくことになる。米国金融行政は難しい局面に立たされている。日本のバブル崩壊ではこのような債券の世界的なばら撒きがなかったことで、世界的な影響を考えることなく、公的資金を大量に投入できた。米国は世界的な影響を考える必要があり、その分難しいことになる。米国FRBや米財務省は、日本の茂木敏充金融相を呼びつけて、日本の銀行が、中国銀行のような公社債の保有を削減するようなことがないように指導をしてほしいと依頼された。その理由として、2公社の債券は安全であり、必要な場合は公的資金も投入するとしている。しかし、説明と違い、現時点でポールソン財務長官は公的資金投入を渋っている。もう1つ、つい最近、日本の三菱UFJ銀行が地方銀行を買収した。しかし、地方銀行は住宅ローンの行き詰まりでどこも苦しい。それを高値で買収し、しかも15%も米株主から吊り上げられている。この資金を確保するために新規の債券も発行している。
その後、リコーなども米国の企業を買収したが、まだ米国景気は底ではない。こう少し待てば、より低価格で買収できるはずである。
米銀行が企業への貸出しを渋っている。このため企業倒産に歯止めかからず、7月には5600件と急増している。そして、米企業倒産、住宅ローン焦げ付きで、4―6月期に計上した貸倒引当金が過去最大規模となる501億5100万ドルと前年同期の4.4倍に拡大した。そして、6月に実施した戻し減税の効果が、今後なくなり、消費が一層冷え込むことが見えている。この状態で11月に米大統領選挙になる。本来なら、オバマ民主党候補なのかもしれないが、グルシア問題で、マケイン共和党候補になる可能性も出てきている。この大統領選挙を控えて、あまり大胆な政策をブッシュ大統領は打てない。オバマが大統領になると、大きな政府政策になり、米国が内向きになり、経済も内向きになる。マケインになると小さな政府で、戦争経済になる。どちらにしても、米国は大変なことになる。そして、それまでの米景気は、現時点では消費者の購買と海外の新興国の販売でプラスになっているが、消費者の購買が落ち、敵対国になったロシアや五輪後の経済が低調な中国などの新興国の成長が止まり、米国経済も景気後退になる。そして、日本も同様に景気後退が益々、鮮明になってくることになる。さあ、どうなりますか??
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