【日経ビジネス リポート】 「『日本は智力繁栄しかない』の意味を噛み締めよ」
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【日経ビジネス リポート】 「『日本は智力繁栄しかない』の意味を噛み締めよ」~さらば工学部(10)
松下電工生産技術研究所・小畑外嗣所長に聞く 連載インタビューでこれまでに9人の識者が語った。言葉の端々から、工学部の教育と研究の強みが削がれようとしていることを読み取ることができた・・・ 。連載インタビューでこれまでに9人の識者が語った。言葉の端々から、工学部の教育と研究の強みが削がれようとしていることを読み取ることができた。では、日本は、この工学部の退潮を看過してもいいのか。日本から世界への輸出額は、2007年にドルベースで年間約7100億ドル。そのうち、一般機械、電気機器、輸送用機械、化学製品を含む工業製品の占める割合は実に75%に上る。日本の製造業を人材面でいかに支えるか、新たな戦略が求められる。 日本の各メーカーは、工学部衰退を喫緊の課題として既に動き出している。日経ビジネス誌8月18日号特集「さらば工学部 6・3・3・4年制を突き破れ」の連動インタビューシリーズの最終回では、松下電工生産技術研究所の小畑外嗣所長から、現役の技術者の視点で日本の大学工学部への注文を語ってもらった。工学部の学生が減り、工業高校が減っています。そうした現状に対して、心配する面と、心配しなくていい面があると考えています。
・「大学」「女性」の力の発揮という面で余裕がある。
心配でない面からお話ししましょう。 第1は、まだまだ日本において本来の意味で産官学のシナジー効果を発揮しようとする取り組みがなされていないことがあります。それくらい日本には余裕があると見ているのです。 ほかの国々、例えば、ドイツなどは進んでいます。大学の先生が、教員として教壇に立つのはもちろん、別の研究所で研究員をしていたり、さらにベンチャー企業の社長を務めていたりする。1人3役をやっているわけです。共産圏の中国で幹部が様々な役職を兼ねているのと意味合いは違って、ドイツの場合は、大学の教員らが社会への貢献で一歩踏み込んでいる。 私は精密工学会に所属しています。学会においては会員数が減ったことを嘆いて、そればかり議論している印象があります。私としては、会員数が「減った、増えた」と言う前に、もう少し学会の役割を認識したらどうですかと言っています。日本の工学のために役立つにはどうしたらいいか、教育振興や企業のパワーアップにいかにつなげるか。企画していないから減っていくのでしょう、と。「増やそう」ではなくて、「結果として増えた」というふうにしなければと思います。私は、「企画委員会を作りましょう」と言っているのです。ところが、学会はなかなか動きませんね。 日本において、学会の幹事をやっている大学教授、あるいは学会にもうひと踏ん張りしてほしい。日本の工学全体の力を発揮するためには、企業側も大学側ももう少しスクラムを組んでいかないといけません。
もう1つ、心配でない面は、日本が世界でも有数の男女同等レベルの教育水準を維持している国であるにもかかわらず、世界でもまれに見るほど、女性が教育を生かした専門の職業に就いていないということです。やはり、ここにも余裕があるんです。 国連開発計画(UNDP)のデータによると、女性の社会進出の度合いを示すGEM(ジェンダーエンパワーメント指数)は、直近では世界54位で、欧米は元より、アジア、中南米、アフリカなどの主要国と比較すると大きく劣後しています。 本当の意味で言えば、「ダイバーシティーマネジメント」は女性についてだけを言うのではありませんが、外国人労働者を増やすよりも先行して、女性を価値のあるポジションに就けていくことは必須です。今まで力が引き出されていないのですから。松下電工の畑中浩一社長が2010年には人材採用の40%を女性にしようと言うのは危機感の裏返しとも言えるでしょう。 皮肉にも、日本にとって、こうした余裕があることがポジティブな材料とも見られる。このままでは、宝の持ち腐れの状態になってしまう。 大学教育を受けていても社員を再教育する2020年以降にリーダーになる世代が、日本の将来を背負っています。 私が所長を務める、松下電工・生産技術研究所に入ってきた若い人たちは、最初の1年3カ月、みっちりと実習を行います。もう1回、一から学び直してもらうのです。図面書き、シミュレーションといった演算、統計学から、全部やり直しです。
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BusinessWeek】 デンマーク、「世界一の幸福国」に認定経済力と社会福祉の適正なバランスが確立しているとの評価
このほど、2つのランキング調査で、デンマークが「最も幸福度の高い国」に選ばれた。「昔ながらの静かで安定した国」というイメージから一変し、新たな国際的評価を受けてメディアに注目される国となっている・・・ 3年前にデンマーク人に幸福の秘訣は何かと尋ねたなら、唖然とした顔で見返されたに違いない。だが今同じ質問をしたら、またかというように笑って何らかの説明をしてくれるだろう。 世界で最も幸福な国民と見なされることには、多少とも慣れが必要なのだ。 強風が吹き荒れる欧州北岸に位置し、国民人口の約500万が同じ民族で単一民族国家に近いデンマークは、2006年以来、かなり内容の異なる2つの調査で、ともに世界で最も幸福度の高い国に選ばれている。こうした調査結果により、“自殺率の高い、古風な趣こそあるが寒々とした酪農品の輸出国”という時代遅れの世界的イメージは一変し、デンマークはグローバル時代に繁栄する、調和の取れた社会の模範国になった。 デンマークが新たに予想外の地位を得たことやメディアの大きな注目を浴びたことによって、ライフスタイルに関する国民的な議論がわき上がり、デンマーク人にとってより意義深い効果をもたらしている。 デンマーク政府観光局の観光情報サイト「ビジットデンマーク」の運営責任者を務めるドーテ・キーラリッチ氏は、「我が国がいかにバランスの取れた国かを再認識する機会となった」と語る。 2006年初頭のデンマークは、昔ながらの静かで安定した国というイメージだった。デンマークと言って思い浮かぶのは、世界一幸福な国ではなく、童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンやコペンハーゲンの有名な遊園地チボリ公園、あるいはシェイクスピアの「ハムレット」の舞台といったところだった。当時、観光産業は10年間衰退を続けており、その何カ月か前に国内紙が掲載したイスラム教の預言者ムハンマドを風刺した漫画が国際的な論争を巻き起こしていた。
・充実した社会的セーフティーネット
そんな中、同年7月、英レスター大学の研究者が様々な情報源から集めたデータを分析し、世界各国の国民の幸福度ランキングを発表した。医療、生活水準、及び基礎教育を受ける機会に関連した経済的要因が、国民の総体的な幸福感を決定づけていると報告書は結論づけている。医療費無料制度、世界最高水準の国民1人当たり国内総生産(GDP)、高い教育レベルなどの理由で、デンマークが第1位に選ばれた(BusinessWeek.comの記事を参照:2006年10月11日「Rating Countries for the Happiness Factor」)。 このニュースは瞬く間に拡がった。デンマーク第2の都市オーフスにあるオーフス大学で社会人類学を学ぶニールス・マーティニーさん(26歳)は、昨年学術調査でペルーに滞在していたが、ペルーでもレスター大学の調査の件は知れ渡っていた。マーティニーさんは笑いながら言う。「北欧人は堅苦しく生真面目と思われていたので、かなり意外だったようだ」。 この調査結果に当惑したのは外国人だけではない。デンマーク人も同様だった。「驚いている友人は多かった」と話すマーティニーさんは、自分自身の生活には至極満足しているものの、調査には何か誤りがあるに違いないと考えている。デンマーク人はほかの一部の国の人のようには、あまり自分の感情を表に出そうとしないのだと言う。
・経済力と社会福祉の適正なバランスを確立
だがこの調査結果は決して偶然ではなかった。この夏の初め、国際非営利調査機関「ワールド・バリューズ・サーベイ」(WVS、本部:スウェーデン・ストックホルム)が、全く異なる手法を用いて調査を実施、国民の幸福度が最も高い国はデンマークだと発表した。それによると、幸福度を測る最も確かな尺度となるのは、生き方の選択の自由、男女平等の推進、そしてマイノリティー(少数派)に対する寛容さだが、どの項目をとってもデンマークが1位だった。
デンマークの幸福度について、ほかの国が見逃しているは点は何だろうか?
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