破綻したドル金融主導型モデル (田村秀男) | 日本のお姉さん

破綻したドル金融主導型モデル (田村秀男)

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▼破綻したドル金融主導型モデル (田村秀男)
・マネー狂乱(上)破綻したドル金融主導型モデル
google_ad_section_start  「口パク」や仮想花火で幕を開けた五輪の喧騒(けんそう)が終わったら、北京の街頭は真贋(しんがん)入り乱れた五輪関連グッズの余剰品であふれているというが、笑い飛ばすわけにいかない。モノはカネがあってこそ作り出せる。つまりもう一方の極にカネの大国・米国があるからモノとカネは拡大循環する。ところが米国の金融市場が住宅バブル崩壊で収縮し始めたから、モノへの需要が縮小する。高度成長を謳歌(おうか)してきたアジアの新興国とそれらに設備や部品を輸出してきた日本の景気が後退するのは、実はドル金融の業である。米国は世界標準、つまり「基軸通貨」ということで原油などの商品や製品をいくらでも買える特権を持つ。ドルを世界にむやみに垂れ流せば単なる紙切れになる。しかし、カネが米国に流れ込んでくれば、その分ドル需要が高まるので価値は下がらない。この仕掛けが米国の金融・証券市場であり、2002~2003年ごろから急速に膨張してきた。に外部から流入する資本は、戦後最大の株式暴落(ブラックマンデー)が起きた1987年当時でも国内総生産(GDP)の5%前後にすぎなかったが、20年後、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)危機が発生した2007年には15%に達した。この原動力になったのが、住宅ブームである。世界のカネを引きつけ、さらに住宅価格を押し上げ、個人消費を盛り上げた。それが中国など新興国、さらに日本の輸出を拡大させてきた。

住宅バブルのもうひとつの副産物が金融派生商品(デリバティブ)と呼ばれる市場である。住宅ローンは証券化されて売り買いが容易になったが、相場変動のリスクが発生する。このリスクの歯止め策としてデリバティブが急速に膨張し、米銀のデリバティブ資産は貸し出しなど通常の総資産の18倍にのぼる。主力の顧客が米住宅金融の本丸である連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)で、両機関はデリバティブで巨額の損失が表面化して経営危機に陥っている。原油や穀物の先物市場もデリバティブの一部で、その相場高騰も、住宅バブル崩壊に伴って余剰資金が殺到したためだ。まさしく「デリバティブは大量破壊兵器」(全米最大の投資家、W・バフェット氏)といえる。こうみると、現在の世界の経済困難は歴史上かつてなかった「ドル金融主導型モデル」の破綻(はたん)である。住宅バブルにより作り出された米国の消費市場もまたバブルであり、住宅バブル崩壊とともに縮小するのは当然の調整過程だ。日本や中国経済の立ち直りは米金融市場の安定回復にかかっているが、米金融主導の限界は明らかだ。自身の余剰資金を自国で使わず、金融市場に流してはバブルを助長し、その分、米国にモノを買ってもらう構造から脱するよう改革しなければならないという点では、日本も中国も同じ課題を抱えている。(編集委員 田村秀男)
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▼九月決算以降のアメリカ経済 (新世紀のビッグブラザー)
「日本は駄目になった!」「日本の何が駄目になったのですか?」「凶悪犯罪が増えている。子供が犠牲になる犯罪も増えている。もう日本はおしまいだ!」「OECDの統計によると、日本の治安は世界トップです。また、警察庁の統計データによると、凶悪犯罪数が年々減り続けており、
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/5184715.html
更に子供が犯罪の犠牲になるケースも減り続けています。
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/8923913.html
 ついでに言えば、少年犯罪についても、終戦十年後をピークに減り続けています。
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/6916990.html
あなたの言っている日本は、一体どこのパラレルワールドの日本ですか」「・・・・・・」あるいは、このような会話。
「日本経済は中国経済にビルトインされている。中国が破綻すれば、日本経済も崩壊する。だから、中国経済の危機を日本が救わなければ駄目だ!」「ビルトインされているとは、具体的に数値で言うと、幾らの金額なのでしょう?」「そんなこと知らん!メディアや評論家が、そう言っている!「長谷川慶太郎さんの最新刊『中国大乱を乗り切る 日本の針路』によれば、日本の対中投資の累積は三兆円だそうです。中国が崩壊して、三兆円の投資が無駄になった、つまりGDPのわずか0.6%の投資が無駄になっただけで、日本経済は崩壊するんですか。ふ~ん・・・」
「・・・・・・・」数値化(トヨタ用語で言うと『見える化』)することで、問題の正しい認識と、解決までの道筋を立てることができます。逆に数値化無しに、問題の解決はあり得ないとは言いませんが、相当難しいです。或いは何か不安な事を言われたときに、数値化して見れば、そもそもそれが本当に問題なのか、疑問に思えるケースも増えてくるはずです。例えばよく目にする「日本のメディアは、在日朝鮮人に支配されている!」という論調にしても、朴某という在日の記者が毎日佐賀支局に在籍している以上、在日朝鮮人がメディアに勤めているのは確かなのでしょう。ですが、メディアで働く人が何人で、その内何人が在日で、何人が帰化人で、それぞれ何割を占めているのか、という数値データを見たことがあるでしょうか? 見たことが無い以上「日本のメディアは、在日朝鮮人に支配されている!」が真実かどうかは「不明」「噂」であり、気にしても仕方がないことです。むしろ何故このような論調が叫ばれるのかを考えるべきでしょう。

日本のメディアにしても政治家にしても、この数値化という作業を全く行わないことこそが、最大の問題だと思います。よく日本の政治は戦略が無い、と言いますが、物事を数値化して考えないのだから、戦略など無くて当たり前です。その点、韓国の方が、李明博氏の「747(7%成長!国民所得40,000ドル!世界七大強国入り)」公約などを見ていると、数値化をきちんと行っているように思えます。(公約が実現するかどうかは、別の話ですよ)。韓国のメディアも、数値データに基づいた記事が多いですよね。少なくとも日本よりは。恐らくこれはIMF以降の韓国が、アメリカの影響をまともに受けていることと関係があるのだと思います。アメリカの政治家やメディア、シンクタンク、それに各社のCEOたちは、それは見事に数値化を行います。但し、アメリカの一般人を見ていると、決してリテラシーが高いとはいえません。(神学的な問題で、進化論を真面目に否定したりします)が、アメリカの場合は、数値化が得意なエリート(政治家など)たちが、常に自国の国益を優先して考えるために、一般人のリテラシーが低くてもあまり問題にならないわけです。ところがエリートが存在せず、一般人と政治家、メディア業界に勤める人々の知性のレベルが均一な日本の場合、上層部(政治家、メディア)が数値化をしないことで、一般人が甚だしい迷惑を被るわけです。これを何とかするには、一般の日本人のリテラシーを高めるしかないのではないか、というのが、そもそもの(ヤバ韓執筆前の)わたしの結論でした。
前置きが長くなりました。(ここまでで前置き!)

『米住宅、低迷続く 価格指数、4四半期連続マイナス
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080827AT2M2604826082008.html
米国の住宅市場の不振が続いている。6月までの官民双方の統計で都市部を中心に値下がりに歯止めがかからない状況が明らかとなり、7月の一戸建て住宅販売は市場予想を下回る結果となった。米国経済の最大の懸念材料である住宅市場の回復が遠のけば、金融機関の不良債権と住宅の在庫が膨らみ、貸し渋りに拍車がかかる悪循環も収まりそうにない。米連邦住宅公社監督局(OFHEO)が26日発表した4―6月の住宅価格指数は季節調整済みの前期比で1.4%下がった。下落幅は過去最大(1.7%)となった1―3月よりもやや縮小したものの、4四半期連続のマイナスとなった。今の方式で調査を始めた1991年以来、ほぼ一貫して右肩上がりで推移してきた指数が1年間も下がり続けるのは初めての局面だ。(後略)』

数字データで見ると、アメリカの不動産バブル崩壊は留まるところを知りません。更に本日の日経朝刊には、「ドル崩壊!」でも取り上げたS&Pケース・シラー指数の六月版が載っていました。今年の六月のS&Pケース・シラー指数は、主要十都市ベースで、前年同月比で17・0%の下落となってしまったとのことです。これは1987年以来、過去最大の値下がりとなります。パーセンテージで書くと実感が沸かないかも知れませんが、例えば四千万円で購入したマンションが、翌年には3320万円に値下がりしてしまったようなものです。自分がその立場に置かれたと思うと、きっと死にたくなる瞬間があるでしょう。ここで問題にしたいのは、実体経済が悪化しているにも関わらず、九月決算のレパトリ(ドルのアメリカへの還流)により、ドル高傾向が続いている点です。(本日は若干ドル安になりましたが)レパトリにより、米ドルに一種のバブルが生じている気がするわけです。つまり、アジア通貨危機時のタイなどで問題視された「通貨」と「実体経済」間の歪みが、アメリカに生じているように思えてならないのです。バブルである以上、九月決算が終了した途端に、GSEやFRBの問題と関係なく、一気にドルが下落する場面を迎えるのではないかと危惧しています。その上、第二のベアスターンズと噂されるリーマンが、こんな状況では・・・・。

『MBS格下げで最大4690億ドル売却の可能性=リーマン
http://jp.reuters.com/article/domesticFunds/idJPnJT824046120080825
 リーマン・ブラザーズは25日、トリプルA格付けのモーゲージ担保証券(MBS)の格下げで、資産運用担当者らは、最大4690億ドルの売却を迫られる可能性があるとの見方を明らかにした。(後略)』

アメリカ経済関連で大きな数値を見慣れていわたしも、さすがに仰け反りました。4690億ドルって、日本円にして50兆円! こんな天文学的な金額のMBS(モーゲージ担保証券)が売却されたら、証券化市場は完璧に崩壊します。と言うか、それ以前に買い手がいなくて値がつかない気がします。何と言いますか、ここまで来ると証券化手法などの「金融工学」は、殆ど詐欺スレスレのようも思えてきます。何が「高度な金融工学が駆使され」ですか・・・。 しかし、これらの問題もアメリカの企業やメディアが、きちんと「数値化」をしてくれるからこそ、実体がつかめるわけです。と、心寒い中、何とか無理やりにまとめてみました。
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