主導権はネオコン派へ(山麓)
ようちゃん、おすすめ記事。↓▼主導権はネオコン派へ(山麓)
8月19日の「パートナーシップの危機」というエントリーで、私はグルジア紛争について、対話である程度済むと思っていた認識を改めたことを書いた。それは、昨年、畔蒜泰助氏の分析から学んだ、米露をとく鍵となる「原子力ビジネスにおけるパートナーシップ」の危機によって考えを変えたのである。その畔蒜泰助氏のブログによれば、彼自身も次のように考えていたという。(ロイターに掲載された分析から引用)
・・・グルジア紛争の背景となっている米欧とロシアの関係について、欧州連合(EU)主要国は天然ガスの供給に関連しロシアと利害関係があるため、関係を悪化させることはできないと分析。そのうえで、欧州が米ロ対立の一定の抑止力になりうるとの期待を示す。一方、米国にとって、グルジア紛争はグルジアが仕掛けたとしても、立場上ロシアの軍事侵攻を非難せざるをえないと指摘。
ロシアは6日、イラン核問題をめぐる同国への新たな国連制裁を進めるかどうかについて、国連安全保障理事会5カ国とドイツの間で合意が成立していないとの考えを示した。関係6カ国の外務省高官は、7月19日に提案したイランのウラン濃縮停止に対する見返り案にイランが明確な回答を示さなかったことを受け、6日に国連制裁について電話協議した。畔蒜氏は、国連の制裁が機能しない場合、ロシアとの関係が重要になってくるとしたうえで「米ロの舌戦は強まるかもしれないが、徐々にイラン問題で協力関係を強めていく」との見方を示す。 (ロイター8/22)(引用以上)
ーーーー
だが、予想を裏切り、グルジア紛争の長期化が懸念される事態となった。畔蒜氏が示すその根拠は恐るべきものだ。以下引用する。
米政権の対ロ外交の主導権はネオコン派へ [2008年08月26日(火)] http://blog.canpan.info/abirutai/
・・・上記の米露原子力協定は、ライス・ゲーツらが主導してきたイラン核開発問題の解決に向けたの米露連携の象徴である。ブッシュ政権による同協定の議会申請凍結と機を一にして、チェイニー副大統領のグルジアなどへの訪問が発表されたのは偶然とは思えない。米ブッシュ政権内での対ロシア外交の主導権が、ライス・ゲーツらリアリスト派からネオコン派に移行しつつあると見て間違いない。なお、先に民主党のオバマ大統領候補の副大統領候補に選ばれたジョセフ・バイデン上院議員(現上院外交委員会委員長)も8月16-18日、グルジアを訪問。その直後に声明を発表し、「米露原子力協定が今議会で承認される可能性はなくなった」と明言していた。去る7月、モスクワを訪問した筆者は、元クリントン政権エネルギー省高官と会い、米露原子力協定の議会承認の可能性について質問していたが、同協定が議会で承認される上で、最大のキーパーソンがバイデン外交委員会委員長だった。一方、共和党のマケイン大統領候補もグルジアとサーカシビリ大統領とは緊密な関係にあり、サーカシビリ大統領自身、紛争勃発以来、マケイン候補と電話で一度ならず対話している事実を公言している。また、妻のシンディー女史も間もなくグルジアを訪問する予定という。(引用以上)
ーーーーーー
つまり、アメリカが宥和し、ロシアとともに核不拡散の世界でビジネスを成立させようと言う状況では全くなくなったのだ。共和党、民主党どちらに転んでも、ネオコンによるアメリカの覇権奪回が始まったのである。武器を売り、MDシステムを供与し、てこ入れする。リアリストが優勢と思われていた状況は変わった。やはり、機を見るに敏な北朝鮮の核施設無能力化の作業中断も、ここに根拠があったのではないか。長々と畔蒜氏のブログを引用させていただいたのは、ここから考えたいからである。では、欧米が結託して、ロシアを追い込んでいく、そのことが成功したらロシアは最終的に何をするだろうということだ。
畔蒜氏も上記のブログで「この様な米露関係の悪化は、今後のイラン・アフガニスタンを含む中東情勢の行方にも、確実に悪影響を及ぼす」と書いているが、私は最終的に追い詰められたロシアは米の”身内”を人質に取るのではないかと思っている。
イスラエルである。グルジアに武器を供与し続けてきたイスラエルだ。イランもシリアもロシアがそうするなら異存はあるまい。イランの統治者はイスラエルを消し去るというのがスローガンなのだから。そうならないために欧米、特にヨーロッパは何をする、或いはできるのだろう。そんながけっぷちに至る前に、賢明な手を打てればいいのだが。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★畔蒜泰助. あびるたいすけ:東京財団リサーチ・フェロー 【研究題目】 ユーラシア地政戦略環境に関する研究:ウクライナ政変に見る米欧露のパワーゲームのメカニズムと中央アジア新秩序形成の行方【現 職】 フリー・ジャーナリスト【略 歴】 1969年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。モスクワ国立国際関係大学国際関係学部修士課程修了。2005年4月より東京財団リサーチ・フェロー。国際政治、ロシア国内政治を専門とするジャーナリストとしても活動中。畔蒜泰助「『今のロシア』がわかる本」のススメ―日本人が知っておきたいロシア経済とその世界戦略」(三笠書房知的生きかた文庫、533円+税)がある。保険会社を辞めて自費でモスクワに留学し、政治学を学んだ彼のロシア観の根幹には、ジオポリティクスがある。本書もそれは貫かれていて、凡百のロシア本とは質を異にする。ユコス解体から、独ロのバルト海パイプライン、ウクライナのオレンジ革命、米ロの核燃料合弁会社構想を結ぶ赤い糸を手繰る鳥瞰図は、ロシアの地政学的戦略をよく捕らえていて圧巻と言えよう。ドレスナー銀行ロシア現地法人の社長で、独ロ間に建設する北海パイプライン会社の社長(会長はシュレーダー前首相)に就任したマティアス・ヴァーニッヒの記事など。又、かつて彼は東ドイツの諜報機関シュタージの一員で、当時東独にKGB部員として赴任していたプーチンと親しくなったことが暴露されていた。日経にもよく掲載記事を書いてる。是非一読を進めます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
▼露がICBM発射実験 米MD計画に対抗か(iza)
ロシア軍戦略ミサイル部隊は28日、ロシア北部のプレセツク基地で同日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「トーポリM」の発射実験を行い、極東カムチャツカ半島の標的に命中して成功させたとロシアメディアに発表した。同部隊は以前から予定されていた実験としている。しかしインタファクス通信によると、ミサイル防衛(MD)網を突破する特別な装備が備えられていたとされ、米国が東欧で推進するMD施設計画に対抗する狙いがあるとみられる。ロシアのメドベージェフ大統領はグルジア・南オセチア自治州などの独立を承認した26日、中東のテレビ局アルジャジーラのインタビューに答え、東欧での米MD施設には「軍事的手段を含めて対抗せざるを得ない」と警告していた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
▼カシュガルで2警官殺害か 中国、地元当局は否定(iza)
AP通信は28日、中国新疆ウイグル自治区カシュガルで27日に2人の警官が殺害され、7人が負傷する事件が起きたと伝えた。亡命ウイグル民族組織を束ねる「世界ウイグル会議」(ドイツ・ミュンヘン)の話として報じた。同自治区の公安当局は、共同通信の電話取材に「そうした事件はない」と否定した。事件が事実であれば、8月に入って新疆で4件目の警官らを狙った襲撃事件となる。APによると、カシュガル市の東約100キロにあるジャシ県の市民が、激しい銃撃音を聞いた。詳細は不明だが、公安当局者は、男女計8人のウイグル民族が関与し、男1人を拘束したとしている。カシュガル市内の病院で、刃物で刺された警官1人を含む6人の警官が治療を受けているという。同病院は取材に対し「何も答えることはできない」と話した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
▼中国、イラク油田開発の請負契約に30億ドルで調印(ibtimes.com)
中国最大の石油会社中国石油天然ガス集団(CNPC)はイラク政府と、イラクアハダブ油田の開発を支援するこれまでの契約を改定して新たに30億ドルでの請負契約に調印した。在中国イラク大使館が28日発表した。契約内容は、2003年に米軍がイラク戦争を開始したために中止されたプロジェクトの復興が目的で、27日午後、中国高官とイラクシャハリスタニ石油相の間で調印された。改定された契約では、当初同油田での原油生産量日量9万バレルを予定していたものを日量11万バレルに増加、契約の有効期間は20年間に及ぶという。すでに中国は同油田で3年間原油生産を手掛けている。フセイン政権時代には、イラク政府は国連によるイラク石油産業への外資系企業の直接介入の制限を批難しており、1997年には中国国営企業である CNPCと石油採掘契約を結んでいた。当時12億ドルで調印した契約ではCNPC子会社が同油田で22年間にわたって原油生産に携わる権利が与えられていた。今回再交渉後に調印された契約は当時の契約額をはるかに上回る30億ドルとなった。今回調印した契約は請負方式となり、同油田での利益を共有するのではなく、作業に応じた金額が支払われることになるという。
今回の中国との契約により、フセイン政権時代の石油採掘契約が新イラク政権下で初めて日の目を見ることになる。イラク国内には1,150億バレル以上もの原油が埋蔵されているが、戦争や国連による制裁などにより同国原油産業は抑制されてきた。最近になってようやく治安が改善してきたのに伴い、イラクは同国原油生産量を現状の日量250万バレルから2008年末には300万バレル、2013年末には450万バレルにまで引き上げるために外資系企業の技術支援を募るようになってきている。CNPCの子会社で香港に上場する中国石油(ペトロチャイナ)株価は28日、0.23%上昇して13.09元となった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
8月19日の「パートナーシップの危機」というエントリーで、私はグルジア紛争について、対話である程度済むと思っていた認識を改めたことを書いた。それは、昨年、畔蒜泰助氏の分析から学んだ、米露をとく鍵となる「原子力ビジネスにおけるパートナーシップ」の危機によって考えを変えたのである。その畔蒜泰助氏のブログによれば、彼自身も次のように考えていたという。(ロイターに掲載された分析から引用)
・・・グルジア紛争の背景となっている米欧とロシアの関係について、欧州連合(EU)主要国は天然ガスの供給に関連しロシアと利害関係があるため、関係を悪化させることはできないと分析。そのうえで、欧州が米ロ対立の一定の抑止力になりうるとの期待を示す。一方、米国にとって、グルジア紛争はグルジアが仕掛けたとしても、立場上ロシアの軍事侵攻を非難せざるをえないと指摘。
ロシアは6日、イラン核問題をめぐる同国への新たな国連制裁を進めるかどうかについて、国連安全保障理事会5カ国とドイツの間で合意が成立していないとの考えを示した。関係6カ国の外務省高官は、7月19日に提案したイランのウラン濃縮停止に対する見返り案にイランが明確な回答を示さなかったことを受け、6日に国連制裁について電話協議した。畔蒜氏は、国連の制裁が機能しない場合、ロシアとの関係が重要になってくるとしたうえで「米ロの舌戦は強まるかもしれないが、徐々にイラン問題で協力関係を強めていく」との見方を示す。 (ロイター8/22)(引用以上)
ーーーー
だが、予想を裏切り、グルジア紛争の長期化が懸念される事態となった。畔蒜氏が示すその根拠は恐るべきものだ。以下引用する。
米政権の対ロ外交の主導権はネオコン派へ [2008年08月26日(火)] http://blog.canpan.info/abirutai/
・・・上記の米露原子力協定は、ライス・ゲーツらが主導してきたイラン核開発問題の解決に向けたの米露連携の象徴である。ブッシュ政権による同協定の議会申請凍結と機を一にして、チェイニー副大統領のグルジアなどへの訪問が発表されたのは偶然とは思えない。米ブッシュ政権内での対ロシア外交の主導権が、ライス・ゲーツらリアリスト派からネオコン派に移行しつつあると見て間違いない。なお、先に民主党のオバマ大統領候補の副大統領候補に選ばれたジョセフ・バイデン上院議員(現上院外交委員会委員長)も8月16-18日、グルジアを訪問。その直後に声明を発表し、「米露原子力協定が今議会で承認される可能性はなくなった」と明言していた。去る7月、モスクワを訪問した筆者は、元クリントン政権エネルギー省高官と会い、米露原子力協定の議会承認の可能性について質問していたが、同協定が議会で承認される上で、最大のキーパーソンがバイデン外交委員会委員長だった。一方、共和党のマケイン大統領候補もグルジアとサーカシビリ大統領とは緊密な関係にあり、サーカシビリ大統領自身、紛争勃発以来、マケイン候補と電話で一度ならず対話している事実を公言している。また、妻のシンディー女史も間もなくグルジアを訪問する予定という。(引用以上)
ーーーーーー
つまり、アメリカが宥和し、ロシアとともに核不拡散の世界でビジネスを成立させようと言う状況では全くなくなったのだ。共和党、民主党どちらに転んでも、ネオコンによるアメリカの覇権奪回が始まったのである。武器を売り、MDシステムを供与し、てこ入れする。リアリストが優勢と思われていた状況は変わった。やはり、機を見るに敏な北朝鮮の核施設無能力化の作業中断も、ここに根拠があったのではないか。長々と畔蒜氏のブログを引用させていただいたのは、ここから考えたいからである。では、欧米が結託して、ロシアを追い込んでいく、そのことが成功したらロシアは最終的に何をするだろうということだ。
畔蒜氏も上記のブログで「この様な米露関係の悪化は、今後のイラン・アフガニスタンを含む中東情勢の行方にも、確実に悪影響を及ぼす」と書いているが、私は最終的に追い詰められたロシアは米の”身内”を人質に取るのではないかと思っている。
イスラエルである。グルジアに武器を供与し続けてきたイスラエルだ。イランもシリアもロシアがそうするなら異存はあるまい。イランの統治者はイスラエルを消し去るというのがスローガンなのだから。そうならないために欧米、特にヨーロッパは何をする、或いはできるのだろう。そんながけっぷちに至る前に、賢明な手を打てればいいのだが。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★畔蒜泰助. あびるたいすけ:東京財団リサーチ・フェロー 【研究題目】 ユーラシア地政戦略環境に関する研究:ウクライナ政変に見る米欧露のパワーゲームのメカニズムと中央アジア新秩序形成の行方【現 職】 フリー・ジャーナリスト【略 歴】 1969年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。モスクワ国立国際関係大学国際関係学部修士課程修了。2005年4月より東京財団リサーチ・フェロー。国際政治、ロシア国内政治を専門とするジャーナリストとしても活動中。畔蒜泰助「『今のロシア』がわかる本」のススメ―日本人が知っておきたいロシア経済とその世界戦略」(三笠書房知的生きかた文庫、533円+税)がある。保険会社を辞めて自費でモスクワに留学し、政治学を学んだ彼のロシア観の根幹には、ジオポリティクスがある。本書もそれは貫かれていて、凡百のロシア本とは質を異にする。ユコス解体から、独ロのバルト海パイプライン、ウクライナのオレンジ革命、米ロの核燃料合弁会社構想を結ぶ赤い糸を手繰る鳥瞰図は、ロシアの地政学的戦略をよく捕らえていて圧巻と言えよう。ドレスナー銀行ロシア現地法人の社長で、独ロ間に建設する北海パイプライン会社の社長(会長はシュレーダー前首相)に就任したマティアス・ヴァーニッヒの記事など。又、かつて彼は東ドイツの諜報機関シュタージの一員で、当時東独にKGB部員として赴任していたプーチンと親しくなったことが暴露されていた。日経にもよく掲載記事を書いてる。是非一読を進めます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
▼露がICBM発射実験 米MD計画に対抗か(iza)
ロシア軍戦略ミサイル部隊は28日、ロシア北部のプレセツク基地で同日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「トーポリM」の発射実験を行い、極東カムチャツカ半島の標的に命中して成功させたとロシアメディアに発表した。同部隊は以前から予定されていた実験としている。しかしインタファクス通信によると、ミサイル防衛(MD)網を突破する特別な装備が備えられていたとされ、米国が東欧で推進するMD施設計画に対抗する狙いがあるとみられる。ロシアのメドベージェフ大統領はグルジア・南オセチア自治州などの独立を承認した26日、中東のテレビ局アルジャジーラのインタビューに答え、東欧での米MD施設には「軍事的手段を含めて対抗せざるを得ない」と警告していた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
▼カシュガルで2警官殺害か 中国、地元当局は否定(iza)
AP通信は28日、中国新疆ウイグル自治区カシュガルで27日に2人の警官が殺害され、7人が負傷する事件が起きたと伝えた。亡命ウイグル民族組織を束ねる「世界ウイグル会議」(ドイツ・ミュンヘン)の話として報じた。同自治区の公安当局は、共同通信の電話取材に「そうした事件はない」と否定した。事件が事実であれば、8月に入って新疆で4件目の警官らを狙った襲撃事件となる。APによると、カシュガル市の東約100キロにあるジャシ県の市民が、激しい銃撃音を聞いた。詳細は不明だが、公安当局者は、男女計8人のウイグル民族が関与し、男1人を拘束したとしている。カシュガル市内の病院で、刃物で刺された警官1人を含む6人の警官が治療を受けているという。同病院は取材に対し「何も答えることはできない」と話した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
▼中国、イラク油田開発の請負契約に30億ドルで調印(ibtimes.com)
中国最大の石油会社中国石油天然ガス集団(CNPC)はイラク政府と、イラクアハダブ油田の開発を支援するこれまでの契約を改定して新たに30億ドルでの請負契約に調印した。在中国イラク大使館が28日発表した。契約内容は、2003年に米軍がイラク戦争を開始したために中止されたプロジェクトの復興が目的で、27日午後、中国高官とイラクシャハリスタニ石油相の間で調印された。改定された契約では、当初同油田での原油生産量日量9万バレルを予定していたものを日量11万バレルに増加、契約の有効期間は20年間に及ぶという。すでに中国は同油田で3年間原油生産を手掛けている。フセイン政権時代には、イラク政府は国連によるイラク石油産業への外資系企業の直接介入の制限を批難しており、1997年には中国国営企業である CNPCと石油採掘契約を結んでいた。当時12億ドルで調印した契約ではCNPC子会社が同油田で22年間にわたって原油生産に携わる権利が与えられていた。今回再交渉後に調印された契約は当時の契約額をはるかに上回る30億ドルとなった。今回調印した契約は請負方式となり、同油田での利益を共有するのではなく、作業に応じた金額が支払われることになるという。
今回の中国との契約により、フセイン政権時代の石油採掘契約が新イラク政権下で初めて日の目を見ることになる。イラク国内には1,150億バレル以上もの原油が埋蔵されているが、戦争や国連による制裁などにより同国原油産業は抑制されてきた。最近になってようやく治安が改善してきたのに伴い、イラクは同国原油生産量を現状の日量250万バレルから2008年末には300万バレル、2013年末には450万バレルにまで引き上げるために外資系企業の技術支援を募るようになってきている。CNPCの子会社で香港に上場する中国石油(ペトロチャイナ)株価は28日、0.23%上昇して13.09元となった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~