国際戦略コラム ・ 宮崎正弘の国際ニュース・早読み | 日本のお姉さん

国際戦略コラム ・ 宮崎正弘の国際ニュース・早読み

ようちゃん、おすすめ記事。↓*国際戦略コラム NO.3031 

黒海ポチ沖の活動
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黒海の情勢が緊迫しているようである。その検討。   Fより

コバケンさんによると、アメリカ第六艦隊のアーレイ・バーク級のミサイル駆逐艦「マクファウル」がグルジアの南側の港バトゥーミ
へ日曜日に入った。そして、この船がロシア軍の影響下にあるポチに向かっているようだ。この後にもアメリカの沿岸警備隊の船や、NATOの船が続々と黒海に入ってきている。NATOの船は合計10隻だそうだ。それに対抗するロシア艦隊の一団がアブハジアの首都スクミの沖合にいて、ポチにもロシアの揚陸艦一隻がいるという。NATOが本気でロシアに対応する気でいる。黒海はロシアの海であるとも言える海であるが、そこにNATOの艦船が18隻も集まり、ロシア艦船に圧力を掛けている。これに対して、ロシアのメドベージェフ大統領はグルジアに近い保養地のソチで陣頭指揮をとっているが、その強気の姿勢を変えていない。南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を承認したし、WTO加盟もしないなど、一貫して強気である。この強気は弱さを隠す隠れ蓑である。ロシア艦隊は弱いことを示している。これに対して、中国の胡錦濤国家主席は26日「中国国民は世界各国の国民と一緒に平和と共同繁栄の調和世界の建設に努力する」と述べ、ロシアに反対する姿勢を鮮明にした。この影響は大きくロシアに圧し掛かるはずである。また、黒海での艦隊同士の戦闘になったら、ロシア軍は大きな損害を受けることが確実である。ロシアはここでは、いったんグルシアのポチやその他の占領地域から退くことになると見る。さあ、どうなりますか??
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中国主席、国際協調外交の推進を強調(nikkei)
中国の胡錦濤国家主席は26日、ソウルで講演し「中国国民は世界各国の国民と一緒に平和と共同繁栄の調和世界の建設に努力する」と述べた。北京五輪を通じて国際社会での中国の存在感が高まり、欧米を中心に「中国脅威論」が広がりかねないことを念頭に、国際協調外交推進する方針を強調したものだ。中韓関係については経済協力の強化や貿易・投資拡大を訴えた。(ソウル支局)(10:41)
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ロシア、NATO艦船を監視=米駆逐艦もグルジア海域に827032分配信 時事通信
【モスクワ26日時事】ロシア軍のノゴビツィン参謀次長は26日、人道支援物資を運ぶため米軍など北大西洋条約機構(NATO)の艦船がグルジアを訪れていることに関連して、「NATOの艦船が人道支援だけに従事しているとは信じられない」と述べ、武器や軍需物資を運んでいないかどうかを監視していく考えを示した。インタファクス通信が伝えた 同次長は、25日の時点で黒海にいたNATO加盟国の艦船9隻に加え、さらに9隻が増派されるとの情報があるとし、「黒海でNATOの海軍力が増強されることには疑惑を持たざるを得ない」と警戒感を示した。一方、AFP通信によると、米国が派遣したミサイル駆逐艦など2隻は26日、最初の寄港先であるグルジア西部のバトゥーミを出港。在グルジア米大使館当局者は当初、「グルジア政府の要請で、人道支援物資をポチ港に運ぶ」としていたが、その後、「ポチに向かっているかどうかは確認できない」と語った。
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ロシア、南オセチアなど分離派の独立承認 大統領署名(nikkei)
【モスクワ=古川英治】ロシアのメドベージェフ大統領は26日、グルジアから分離独立を主張する南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を承認する大統領令に署名したと発表した。グルジアの領土保全の尊重を要求してきた欧米諸国との対立が決定的になる。ロシア軍は停戦合意後も自治地域を越えてグルジア領各地で占拠を続けており、緊張が一段と高まる恐れがある。メドベージェフ大統領はロシア南部のソチでプーチン首相ら政権幹部を集めた安全保障会議を開いた後、国営テレビを通じて南オセチアなどの独立承認を発表した。「グルジアが国際法に違反して武力行使をした」などと主張し、各国にも独立を承認するよう呼び掛けると発言した。ロシアは両自治地域と軍事協定を結び、ロシア軍の駐留を法的に固める狙いとの見方が出ている。 (20:36)
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BP、石油輸送を再開 グルジア経由のパイプライン(nikkei)
英BPは25日、グルジア経由でアゼルバイジャンとトルコの地中海側を結ぶBTCパイプラインによる石油輸送を20日ぶりに再開した。ただ、ロシア軍は停戦合意に反して石油などの輸出港である黒海沿岸ポチの占拠を継続。グルジア船を攻撃したロシアのミサイル艦が再び黒海に出動したとの報道もあり、グルジア経由の石油輸送を巡る情勢はなお不透明だ。BTCが停止したのは5日にトルコ区間で爆発が起きたことが原因だが、BPはロシア軍の攻撃を恐れ、12日からアゼルバイジャンと黒海沿岸のスプサを結ぶ別のパイプラインの石油輸送も止めている。こうした輸送網はロシアを通さず欧州までカスピ海産の石油を運ぶため、ロシアはグルジア侵攻で自国の影響外のエネルギー輸送を阻害る狙いとの見方もある。ロシア軍はアゼルバイジャンなどが石油・石油製品の輸出港として利用するポチの施設の占拠を続けている。24日にはアゼルバイジャンからの石油を輸送していた鉄道貨車がグルジア中部のゴリ近郊で爆発。同地域を占領していたロシア軍が地雷を敷設した疑いが出ている。(モスクワ=古川英治)(14:33)
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
     平成20年(2008年)8月27日(水曜日)
通巻第2298号  

 米国民主党大会はなぜこう活気も熱気も感じられないのか
   グルジア侵攻に無策の政府に失望、絶望、それとも苛立ちからか。
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米民主党大会は本来なら熱気にあふれ、目の前にきた政権奪還に向けてもっと盛り上げるべきではないか。
第一にオバマ候補は副大統領候補にジョセフ・バイデンを選んだが、これがミスキャストのおそれが高い。バイデン上院議員は議会の大物だが、世渡りがうますぎで、これというキャラに欠ける。
第二にせっかくのチャンスなのに国防外交経済の政策提言になにひとつ活気刺激興奮が感じられない。冷血なのか、凡庸すぎるのか、オバマのブレーンはどういう集団なのだろう?

第三に仇敵ヒラリーが応援演説に駆けつけたが場内のあのシラケた空気はいったい何だろう? ヒラリー支持者の三分の一はオバマに入れないと明言しているうえ、全体の四分の一は、驚くべし。マケインに入れると放言している。通常、党大会前後は、当該党籍候補者が数ポイントはリードするはずである。ところが民主党大会が開催中であるにもかかわらず、世論調査は共和党のマケインの数ポイント優勢を示している。まことに奇妙である。ひょっとしてマケインが勝つ?
テレビ演説をみていても老齢な印象で力強さを感じないマケインが、元気にあふれるイメージだったオバマを逆戦するとすれば、現在進行中のグルジア、ついで泥沼のアフガン、イラクに加えてパキスタン情勢の不穏。イランの核武装、北朝鮮の米国の挑発(もっとも、核申告を元に戻したのは、胡錦涛の韓国訪問直後である)に、これじゃマケインでなくては米国は完全に駄目になると多くの国民が考えてのことかもしれない。 いずれにしても盛り上がりを決定的に欠いた米民主党大会は、すこし雰囲気がおかしい。      
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(読者の声1)貴誌2297号にあったコメント、「華国鋒元主席が病逝、まっとうな共産主義者はこれで皆無になった。共産党主流派は、キャピタリスト的商売人と利権取り次ぎ業者ばかり。」この題名の付け方は実にいい。現在の中国の党国体制の傾向をほとんど的確に言い表しています。前段の華国鋒。この方は毛沢東の遺児だったという話が伝わってきますが、宮崎さんはどのように判断していますか?もし、限りなく事実に近いとすると、これは現代版水滸伝の世界になるのか。華が主席になりインタビューがNHKで流されたことがありました。それを見たある戦前派の中国通の人が、さすが王者の風格があるとの感想を漏らしたのを聞いたことがあります。毛の遺児臆説を知っていたのかどうかはわかりません。妙に記憶に残り、その後に主流から外れても、忘れ難い存在になりました。わずかに漏れ聞く動静、最後は確か、現在の共産党は共産党ではないから辞めると言ったとかの報道。なるがゆえに、「まっとうな共産主義者はこれで皆無になった」という表現は見事です。そういえばトウ小平には煮ても焼いても喰えないふてぶてしさはあっても、華のような風格は感じられませんね。いずれ「キャピタリスト的商売人と利権取り次ぎ業者ばかり」による国家運営が行き詰まりに来て、新しい指導者が出てきたとき、日本の危機が本格化するのでは、と妄想します。それは華のような人物でしょうか?すると。妄想はこれくらいにして。序に、樋泉さんの周論。あれだけの中国通にしては、ちょっと食い足りない感じです。毛が牛馬のごとく徹底して周を使い、それに仕える心理分析の面で。得意分野の京劇から解明されると納得できるのですが。(SJ生)


(宮崎正弘のコメント)だから華国鋒には「華」がある?小生は華国鋒は、毛沢東の庶子と思っています。でなければ、あれほどの凡庸な人が、主席になれますか?

(読者の声2)貴誌通巻第2297号に日本とトルコとの友好関係について書いておられますが、この点に関して一つあまり語られることがないが忘れてはならない重要なことがあります。それは、第二次世界大戦末期枢軸国側の敗戦が濃厚となったとき連合国からの度重なる要請(実質的脅迫)にもかかわらず枢軸国に宣戦布告をせず中立を守ったことです。今、何気なく考えるとなんでもないことのように思えますが。これは大変なことです。戦争終結後連合国側からどんな嫌がらせをされるかわからない危険なことでした。当時のトルコの政府首脳にとって、まさに清水の舞台から跳び降りるほどの決断であったろうし、それを支持する国民の心があったのでしょう。
パール博士の判決にも匹敵するあるいは凌駕する人類全体が名誉とすべきことでしょう。ニーチェ風に言うなら「この国民をみよ」です。日本の歴史教科書に大書特筆すべきことです。国体の大義という観点で第二次世界大戦で「正義」を貫いたのは日本だけでした。
しかし人類普遍の原理という観点から「正義」を貫いたのは、トルコでした。断じて太平洋戦線で日本兵、ヨーロッパ戦線でドイツ兵の降伏兵を大量虐殺し、ドレスデン、東京、大阪、名古屋、あまつさえ広島、長崎で民間人大虐殺を行なった米国ではありません。 (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント)貴重な情報をありがとうございました。