「大人のお悩み教室」~ 第32回 将来のことを考えると不安 ~(石原壮一郎)
いつも、おもしろい石原壮一郎の『大人のお悩み教室』の
紹介です。by日本のお姉さん
1] 【大人力】の元祖&本家!石原壮一郎の『大人のお悩み
教室』~ 第32回 将来のことを考えると不安 ~
◎● プ ロ ロ ー グ
人生には、さまざまな悩みが付きもの。そして悩みには、さま
ざまな回答が存在します。仕事にまつわる定番の悩みに、
作家、タレント、スポーツ選手などは、どんな解決策を示して
くれているのか。見比べながら、自分なりの乗り越え方を
探ってみましょう。
□■ 第32回
~ 将来のことを考えると不安 ~
人生、一寸先は闇です。明日のこともよくわから
ないのに、自分が10年後、20年後にどうなっている
かなんて、まったくわかりません。確かに、あれこ
れ考えて不安がふくらみ過ぎるケースもあるかも。
生きていく上での宿命とも言える厄介な悩みとの、
健全で有意義なスタンスを見つけましょう。
まずは20歳の若者。性別は書いてありませんが、
「将来のこと、過去のこと、仕事のこと、自分のこ
とを考えると不安でたまらなく」なってしまうとか。
作家の村上春樹さんに「春樹さんはどう思われます
か? そして春樹さんは20歳のとき、どんな生活を
していましたか?」と問いかけています。
… … … … … … … … … … … … …
僕が20歳のころといえば、なんかけっこう不安で、何を
すればいいのかよくわからなくて、いらいらしていたよ
うな気がします。ガールフレンドともあまりうまくいか
なくなって、孤独な気持ちでいることが多かったですね。
でも人生にはそういう時期って確実に必要なんだという
風に、今では感じています。深くて暗い井戸の底に一人
でじっと座っているような時期がないと、人生に深みと
広がりが出てこないような気がします。心配しなくてい
いです。なんとかなりますから。えーっと、たぶん。
〈朝日新聞社『ひとつ、村上さんでやってみるか』より〉
若者にとっては、極めて頼もしいお言葉です。し
かし、20歳に限らず、たとえ40歳でも50歳でも、不
安になって落ち込んだときには「人生にはそういう
時期って確実に必要なんだ」と思ってしまう手はあ
るかも。
将来が不安になるのは、現状がうまくいってない
ときばかりとは限りません。「今年になって、仕事
もオンナも絶好調」という33歳の男性。しかし、い
いことが続くと、何か悪いことが起きるのではない
かと心配だとか。歌手の泉谷しげるさんは、こう答
えます。
… … … … … … … … … … … … …
オレだって、人気が出てきた時、追われる立場になった
ことがなかったから、エレ~困ったもんな。でも(中略)
ヤキモチ焼かれるポジションも悪くない。長く続かない
かもしれねえけど、とにかくアンタは今幸せなんだから、
細かいこと抜きに楽しめ! いいことなんて、長く続く
はずねえんだよ。だから新しい何かを求めることもでき
るんだ。違うか?(中略)幸せにテレたらダメだぞ。
〈徳間書店『アサヒ芸能』2007年4月19日号「泉谷しげ
るのバカヤロー人生相談」より)
この男性のように「絶好調」とまではいかなくて
も、先のことを心配して、今の幸せを楽しみ切れて
いないケースは多そうです。そのうち悪いことも起
きるでしょうけど、それはその時に対処するしかあ
りません。
「本当の意味での『負け犬』」で「毎日がただ何と
なく過ぎていくだけの日々を送っています」という
34歳の独身女性。どんなふうに将来への希望を持て
ばいいのか。作家の石田衣良さんのアドバイスは次
のとおり。
… … … … … … … … … … … … …
どんなに頑張っている人でも、毎日は、何となく過ぎて
いってしまうものです。(中略)本当に何年かに一度な
んだけど、今の状況を変えられるチャンスっていうのが、
来るんですよ。たとえば、自分の感性にピタッと来る男
性に出会うとか。「これは!」という、自分が打ち込め
るものを見つけられるとか、長い間続けてきたものが認
められるとか……。(中略)そのチャンスを自分で活か
すためには、ただ過ぎていく毎日の中で、どれだけ自分
を磨けるかにかかっています。この女性にも、日々の生
活を楽しんで、自分に自信を持ってほしいですね。〈講
談社『FraU』2005年3月8日号「世にも明るい人生相談
デラックス」より〉
これから先、自分がどうなるのか、どんなチャン
スが訪れるのか、それはまったくわかりません。今
の自分にできるのは、毎日をせいいっぱい生きるこ
とだけだし、それがチャンスを逃さない唯一の方法
と言えそうです。
将来に不安を覚えてマンションを購入した32歳の
女性。ところが、購入したとたん、失業や病気など
でローンが払えなくなったらどうしよう……という
不安にさいなまれているとか。作家の中村うさぎさ
んは「べつに病気になったわけでもなく、マンショ
ンのローンが払えなくなったわけでもないんですよ
ね?」と呆れつつ、こう励まします。
… … … … … … … … … … … … …
あなたはきっと、マンションなんか買わなくても、別の
ことで悩み続けているでしょうね。一番の不安材料はあ
なた自身なんですから。私なんて、マンション持ってる
あなたがうらやましいわ。だって不動産を抵当に、借金
できるもんね(笑)。だけど、ネガティブ思考のメリット
もあるのよ。いつも最悪の事態を考えているから、危機
管理はバッチリ。この際、そのネガティブ思考を極めて
は?〈集英社『COSMOPOLITAN』2002年12月1日号「『脱
・いい子』するための人生相談」より〉
さしあたっては、マンションを手放す可能性に備
えて、部屋をきれいに使うことを勧めています。と
ことん危機管理すれば「心配したほどの事態には案
外ならないもんです」とも。少なくとも、心配を超
えた不幸に見舞われることはないと言えるでしょう。
□■ 石原の結論!
やがて訪れる「将来」に備えて、いろいろ計画を
立てたり、目標に向かって努力したりすることは、
もちろん大切です。しかし、将来に備えることと、
将来のことを考えて不安になることとは、ぜんぜん
別の行為。まだ来ていない将来に縛られて、目の前
の今日を楽しめないのは、明らかに本末転倒です。
ビクビクしながら過ごしたところで、リスクが減る
わけではなく、むしろ困った状態の将来を引き寄せ
る可能性が高まるだけでしょう。
どうやら将来への不安をふくらませる最大のメリ
ットは、現在の不安から目をそらしてしまえること。
悪いほうに心配すればするほど、意味のある行為を
している気になれます。「今やるべきこと」を突き
詰めて考えたり、漫然とした日々を過ごしている後
ろめたさを感じたりする必要もありません。
そんなありがたいメリットの誘惑に溺れずに、ま
ずは「今やるべきこと」に全力を尽くすのが、大人
としての踏ん張りどころだし、「将来の不安」とい
う魔物に押しつぶされない効果的な対抗策。ま、そ
うはいっても完全に払拭するのは困難ですが、かく
なる上は、ヤル気をかき立てるために利用してしま
いましょう。不安とハサミは使いようです。
━━━━━━━◆Pickup「大人のお悩み教室」━━━
■ 上司とうまくいかない
http://c.filesend.to/plans/otona/otona060131.html
お悩み教室、連載第1回目のテーマは「上司」。サラリー
マンと して生きて行くと決めた人にとっては、切っても
切ることが 出来ない永遠のテーマ?!
■ 学歴に引け目を感じている
http://c.filesend.to/plans/otona/otona061128.html
学歴がらみのコンプレックスの問題は、根が深くて
場合によって はかなり深刻。いろんなアドバイスの
向こうに楽な背負い方を 浮かび上がらせてみよう
■ 人と接するのが苦手である
http://c.filesend.to/plans/otona/otona060926.html
他人との円滑なコミュニケーションは不可欠。しかし
誰もが上手に人間関係を築けるわけではない。この深刻で
切実な お悩みの解決方法はあるのか?!
━━━━━━━◆石原壮一郎の新刊案内━━━━━━
■ ちょい大人力検定(河出書房新社)
http://www.amazon.co.jp/dp/430961650X
■ 大人の合コン力検定(ソフトバンククリエイティブ)
http://www.amazon.co.jp/dp/4797346507
■ 30女という病――アエラを読んでしまう私の悲劇(講談社)
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━━━━━━━◆石原壮一郎プロフィール ━━━━━
1963年三重県生まれ。コラムニスト。雑誌編集者を経て、
1993年に『大人養成講座』(扶桑社サブカルPBで復刊!)
でデビュー。 以来、大人モノの元祖&本家として日本の
大人シーンを牽引している。5~6年前から人生相談本や
記事の収集&分類に没頭している。個人サイト「大人マガ
ジン( http://www.otonaryoku.jp/ )」でも大人ワールドを
展開中!!
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日本のお姉さんの意見。↓
たまに心配になるのは、正常です。
常に心配していて生活に害が出ているのなら病気かも
しれない。長い時間をかけて手をゴシゴシ洗っている人を
みると潔癖症を少し通り越してるかもしれないと思う。
足もゴシゴシ洗い過ぎると、角質が傷ついて
よけい水虫になると、昨日観たテレビ番組の中で
皮膚科の医者が言っていた。
以前、車を買った夜に、ローンを本当に返せるのか
心配になって一睡もできず、朝、一番に店に電話して
断ったことがある。その後、直ぐに他に気に入った車を
買ったが、その夜は、不安がなかった。
結局、最初の車は気に入ってなかったのだ。
そんなこともあるという話でした。
会社の女の子は、結婚式の日取りが決まってからも、
ずっと結婚に不安で、結婚を止めようか、どうしようかクヨクヨと
悩んでいたが、それは、結婚前でナーバスになっているだけ。
会社の女子みんなで説得した。無事に結婚式をあげて
今は、かわいい子供ができて、結婚してよかったと言っています。
あんまり心配しない人がどんどんカードを使ったり、家族や友人
から金を借りて全然、返さないのよね。世の中には、
少しは心配した方がいいと思うような人もいます。