新戦車の値段は本当に7億円か。 (清谷信一) | 日本のお姉さん

新戦車の値段は本当に7億円か。 (清谷信一)

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▼新戦車の値段は本当に7億円か。 (清谷信一)
 さて、もうそろそろ防衛省の来年度予算案がでてくる季節となりました。防衛白書の公開も今年は遅れていますが、メディア向けには月内にリリースされる予定だそうです。以前このブログで新戦車に関する記事を、新戦車公開直後に書きました。本来新戦車に関してこのブログで書くのは同業の皆様の営業妨害にならないように、月刊誌で紹介されてからと思っていたのですが、産経新聞など一般メディアで「新戦車の値段は7億円」という誤解を招く報道があったから、それを正すために書いたわけです。

TK-X 公開
 
http://tb.bblog.biglobe.ne.jp/ap/tb/ef0b8c57c2
TK-X の問題点について
 
http://tb.bblog.biglobe.ne.jp/ap/tb/256aede409

ところがその後取材を受けたりすると「新戦車って7億円ですよね。随分と安いですね」という話を振られたりします。既に「7億円」が一人歩きをしているようです。繰り返しますが、記者会見で軍事評論家宇垣大成氏が技本の新戦車開発室長、大内1佐に値段を質したときに大内1佐は個人的な意見と断った上で「7億円ぐらいに収まると嬉しい」といったニュアンスで発言したわけです。これはその場にいたメディア関係者なら皆聞いていたはずです。つまり防衛省の公式見解で新戦車は7億円になります、とアナウンスしたわけでもありません。大新聞の記者ともあろうものが随分と胡乱な記事を書くものです。ハッキリ言えば捏造に限りなく近いです。仮に新聞は文字数が限られているので、というエクスキューズを使うならば何故ネット版で修正されていなかったのでしょうか。会見の後、ぼくは大内1佐にその7億円の根拠を尋ねたら「あの数字はあくまで、最大に量産効果が出たときにその値段になればいいな、という願望です」というお話をしていました。ところが「7億円」が一人歩きしてしまい、以後大内1佐は大変困惑しているという話を聞きました。本人もトンだ迷惑でしょう。仮に量産効果が出る頃に7億円になるとしても、初期ロットはずいぶんと高くなるでしょうから、「技本が嘘をついた」なんて罵倒されかねません。そもそもいまだ開発も未だ終わらず、調達数も未定です。調達数も100輛なのか、600輛もつくるのかではまったく値段は異なってきます。因みに新戦車は74式の後継という情報が流れていますが、大内1佐によると新戦車は74式及び90式両方の後継ということでした。次期中期防では戦車の数が600輛から減らされる可能性があります。しかも財務省と防衛省で機動戦闘車は戦車か否かの神学論争をやっておりますが、財務省が勝つとこれまたMBTは減らされることになります。かつてぼくが内局に取材した際に彼らは既存の戦車は改良しません、といっておりました。これは軍事研究に書いております。ですが、最近は90式はネットワーク機能を付加させるための近代を行うと言っているそうです。軍事的な合理性からみれば既存の戦車の近代化は当たり前の話です。そうでないと90式や74式が新戦車に全て置き換わるまで長い期間(74,90式の調達と同様なら20余年)陸自戦車隊のネットワーク化は完成しないことになります。そのころには新戦車のC4IRはとっくに旧式化しておりますが。しかも内地の74式から新戦車に換えていくと最後に北海道の部隊がネットワーク化から取り残されることになります。が、財務省を説得するためにあえて既存の戦車は改良せずと言っていたのでしょう。ですが財務省からは「既存の戦車が改造可能?なら今まだあなた方が新戦車開発の根拠としていた既存戦車の改造が出来ないというのは嘘だったのね、なら新戦車はいらないね」と揚げ足を取られる可能性もあります。まあいままできちんとした説明を避けてきたツケがこれから回ってくるでしょう。新戦車の生産は200輛、あるいは100輛で終わるかも知れません。そういう可能性もあります。そもそも値段に関しては陸幕や装備経理課のマターですから、あのお披露目の段階で技本の人間がが迂闊に「値段はこうなります」と、断言できないのは当たり前の話です。防衛省記者クラブ会員企業の記者ならば知っていて当然なんですが。しかも近年資源高騰によって鉄鋼やチタンなどの素材もかなり値上がりしています。これまた価格を押し上げる原因となります。新戦車が量産されるころには更に値上がりしている可能性もあります。そういう要素もあるわけです。もっとも新戦車の量産が開始されるころには資源バブルがはじけて値下がりしていると可能性もありますが。そもそも3.5世代の戦車はC4IRなどエレクトロニクスの占める割合が増えているわけで、その分第3世代の戦車より割高になるのが一般的です。ところが、それが前の戦車よりも何割も安くなります、既存の戦車の改造よりお得です、というのは疑って然るべきでしょう。例えば国産鰻を使った鰻丼が1000円としましょう。そこで国産鰻丼500円!という店がれば疑うのが当たり前でしょう。
今までの10分の一の値段の装甲やサーマルーメージャーやFCSを開発採用するとか、部品点数が半分になったとか、量産は中国で行うとか(!)驚くような技術革新やコスト削減方法を採用したのであれば別ですが。「我が日本の圧倒的な工業力を持ってすれば不可能はない」と信じるのはご自由ですが、前の戦争もそういう根拠なき愛国心を発揮したためにボロ負けしたわけです。我々は歴史に学ぶべきです。是非とも国会議員、ことに野党のセンセイ方には防衛予算に関して身のある議論を国会で行って欲しいものです。ですが、衆議院センセイ方はすでに選挙で頭が一杯かもしれません。
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▼太田誠一氏の「政治団体事務所」は隣の家だった(池田信夫)
きょうは朝から新聞・テレビが12社も自宅に来て驚いた。なんとうちの大家さん(中里浩氏)が太田誠一氏の農相秘書官で、その自宅(わが家の隣)が太田氏の政治団体の事務所だったというのだ。右の写真の奥に私の借りているテラスハウスがある。棟続きだが、壁で遮断されているので、私は隣の家に入ったことはない。太田氏側は「活動の主たる担当者である秘書官の自宅を事務所とした」と説明しているそうだ。しかし私は隣に7年間住んでいるが、この家で政治活動が行なわれている形跡(ポスターなど)を見たことがない。そもそも家族以外の人がこの家に出入りしたのを一度も見たことがない。政治資金収支報告書によると、この政治団体は2005~6年に2300万円余りの経費を計上し、その内訳は事務所費が550万円、備品・消耗品費が800万円、人件費が1000万円ということになっている。しかし家賃は払っていないというのだから、人の出入りがまったくない家の「事務所費」とは何に使われたのだろうか。「備品・消耗品」として太田氏側は「事務用品の購入費やガソリン代」と説明しているようだが、大家さんがマイカー以外に選挙活動用の車を使っていた形跡はない。通信費というのも、この政治団体の電話連絡先が議員会館になっているのだから、発生するはずがない。人件費を「会の政治活動に要した人件費」と説明したようだが、秘書報酬以外に出しているとすれば(家族以外に誰もいないので)奥さんを雇用したことになっているのだろうか。しかし彼女はごく普通の専業主婦として、昼間は買い物などをしており、政治活動しているのを見たことはない。そもそも大家さんが議員秘書だったというのが驚きだ。園芸が好きで、よく週末には庭いじりをしており、あいさつしていたから、普通のサラリーマンだと思っていた。週末というのは、選挙区回りなどで秘書がいちばん忙しいときだから、これもおかしい。彼の秘書官としての勤務実態があったのかどうかも調べたほうがいいと思う。以上はオンカメラで5~6社に話したので、きょうのニュースやワイドショーなどに出るだろう。必要なら、国会で証言してもいい。私の印象では、中里秘書官の自宅が「幽霊事務所」だったことは間違いない。
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