グルジアVSロシア ロシアの目的は (清谷信一) | 日本のお姉さん

グルジアVSロシア ロシアの目的は (清谷信一)

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▼グルジアVSロシア ロシアの目的は (清谷信一)
今回の紛争というか戦争でロシアはソ連時代から何も変わっていないと世界中に印象付けたでしょう。もっともその前の帝政ロシアからといってもいいでしょうが。  隣の国に乗り込んでしかもあれだけの兵力を周到に用意しておいて「平和維持部隊」というのは失笑です。手口がチェコやハンガリー、アフガンの時と大同小異です。国民性はそう簡単にかわるものではありません。 ロシアとしてみれば中央アジアでのプレゼンスを上げておきたいという思は強いのでしょう。何しろ10年後には黒海艦隊が根拠地から叩き出される運命にあります。またそう遠くない将来資源バブルがはじけるでしょうから、それまでに何とかこの地域と黒海での権益と影響力の増大をと考えているのでしょう。このまま黒海艦隊が10年後に追い出されれば、地中海への出口を失うことにもなります。そうなれば海軍の提督やらは失業するでしょうし、軍の中でも地位や政治力も低下するでしょう。もしかするとポチあたり占領しておいて黒海艦隊全部の移行は無理にしても、根拠地にしよと画策しているのかも知れません。しかしながら、今回の件は周辺諸国、ウクライナなどをより西側との関係強化に走らせるでしょう。しかもポーランドが米国のMD配備にどうしたら「お前の所は核の標的だ」と脅迫するれば尚更です。特に今回の件ではイスラム諸国特に中央アジアやトルコに対してネガティブな影響を与えたでしょう。特にトルコの現政権は宗教色が強いですから。今後トルコに対するロシア製兵器の売り込みが難しくなるでしょう。またイスラム系のテロがより苛烈になる可能性もあります。この介入が原因となってロシアの更なる地盤沈下が引き起る可能性もあります。また今後パイプラインやシベリア鉄道などに対するテロも懸念されます。シベリア鉄道を近代化して、欧州と極東を一週間程度で貨物を送れるようにするという計画があり、これに我が国も一口乗るようです。まあ、いくら頑張っても人口も減り、少子化が進むロシアがかつてのソ連並の大国になることは不可能なんですが。ロシア人はそれを認めたくはないのでしょう。極東での人口は激減してそこに中国人が入り込んでいるわけです。勝手に定住して農地を耕したり、商売したりしている。中央アジアで悶着起こす暇と金があるからシベリアへの中国の浸透に対する対策に本腰を入れべきでしょう。しかも中国はSu-27のコピーをつくったり、エンジンの技術をウクライナから仕入れたりしてり、近い将来兵器産業では中国がロシアのライバルになるのは目に見えております。ロシアと領土問題を抱えている我々も過去にロシアが何をしたか、また彼らの行動様式、思考様式を意識する必要があるでしょう。相手も自分たちと同じお人好しと勘違いしていては交渉は進みません。

*ウクライナとロシアの対立 (清谷信一)
http://kiyotani.at.webry.info/200807/article_14.html
現在黒海艦隊はクリミア半島を根城にしているわけですが、ウクライナはソ連崩壊後、黒海艦隊の駐留を2017年までは継続するという条約を結んでいます。ところがウクライナは2017年以降、黒海艦隊をキックアウトすると公言しています。となると黒海艦隊はホームレスになるのか、ということになります。それとも黒海艦隊を分割して欧州方面や極東に配備するのでしょうか。いずれにしてもあのエリアでロシアのプレゼンスがさがることは確かでしょう。もう一つ関連した記事があります。ロシアはウクライナがロシア製戦闘機のジェットエンジンの整備技術を中国に売り渡していると非難しております。ウクライナにソ連時代からジェットエンジンの整備工場があり、これが中国にエンジンのオーバーホールの技術を売っていると。まあ、ありそうな話です。ロシアが仮想的たる戦闘機を売りつけているのはエンジンをロシアでオーバーホールしているわけで、これが「人質」なっているわけです。しかもエンジンを売りつけると延々とそのメンテで利益がありがります。中国が整備の技術を身につけ、更にはエンジンの製造まで行うようになるとロシアにとっては安全保障の面からも、また防衛航空宇宙産業の利益の面からも看過出来る話ではありません。恐らく近い将来ウクライナとロシアとの関係は結構険悪になるのではないでしょうか。特に原油など資源バブルがはじけたあとにそうなるのではないでしょうか。ロシアのみならず、これは我が国の安全保障に関しても由々しき問題です。ウクライナは中国の旅客機や輸送機の開発にも協力しています。我が国もウクライナ航空産業の中国への協力の状況を把握し、またできればこれを妨害するような方策をとるべきです。この件に関してはロシアと何らかの協力をしても宜しいのではないでしょうか。まあ外務省には無理でしょうけど。
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▼アメリカを怒らせたらなあ…とのことです(笑)(今日の覚え書き)
未だ継続中の2つの戦争と、グルジアでの戦いが外交政策議論を支配し、金融危機と家計の経済的不安が国内政策議論を支配する中、アメリカ大統領選挙が選挙が行われる今年、国際経済政策への注意はいつもよりも一層散漫になっている。 僅かな注意も特定の貿易協定に集中しており、広範な国際戦略問題には向けられていない。 自由市場に対する政府の信頼が益々危うくなっている時に、次期政権は、長期的に最も影響の大きな経済政策の選択を、下さなければならなくなりそうだ。 現在の地域的経済力の配分は、ほんの10年前にも予測出来なかったものだ。 発展途上国の台頭、世界的生産高と世界的経済成長に占める割合の増加は、恐らく量的サプライズではあるが、質的サプライズではない。 質的サプライズはこれだ。
ほぼ全ての先進工業国は不況にあるか、不況を目の前にしており、世界経済の勢いの殆どが、国民の生活水準向上よりも、資産蓄積と地政学的勢力の増強を目指した経済戦略を押し進める、独裁主義的政府の国からもたらされていることだ。 今では家計消費は対GDP比40%を切った中国は、最も極端な例だ(平時としては記録的)。 しかし同様の傾向は、アジア各地、ロシア、その他の産油国でも確認出来る。先進工業国の景気減速前ですら、新興諸国から主要工業国への著しい資本流入といった、驚くべき特徴が世界経済に見られた。 石油価格の上昇は、地政学的および経済的影響をもたらしている。 この一年間の石油価格値上りで、OPEC加盟国には一週間で、$100億以上の追加収入が生み出された。 アジアの輸出国や産油国は、莫大な資産を蓄積し、年間約$1兆もの資産を増やしていた。 これらの変化は、ほぼあらゆる国際経済問題に影響を与えている。

我々の金融問題に先行した過剰を煽った大きな要素の一つは、このような余剰金によって生み出された圧力だった。 輸出主導型の経済成長戦略を押し進める国からの、輸入品の大量流入に関する懸念が、現在先進諸国で目撃されている、保護主義的反動の大きな原因である。 今では、気候変動への意味のある対策努力には、中国などの新興市場の協力を促す枠組が求められている、と認識されている。 今では決まり文句になってしまったが、経済協力に対する国際機関のアプローチは、新興市場の経済的影響力の上昇と、G7諸国の支配力の低下を考慮に入れて、徹底的に見直されなければならない。これは正しいことである。 これまでに実施された措置(1990年代のG20設立と、国連金融機関における議決権調整)は、不十分かもしれないが、価値あるものだ。 しかし問題は、誰が交渉テーブルにつくか、ということよりも遥かに根深い。

この数十年間、意見の相違はあったものの、国際経済政策協議の背後には共通する前提が、つまり経済統合の強化、市場機構の拡大、そして全ての国のより迅速な成長、という前提があった。 企業は競争するが、国家が全ての国益にかなう、より強力な経済を作り上げる為に協力する、という前提だったのである。この前提が未だに有効かどうか、もはや明らかではない。 国家は益々市民の生活水準ではなく、相対的な経済的地位に気を取られるようになっている。 今では戦略的なカードや弱点が、経済政策議論では大きな意味を持っている。 それと同時に、この10年間の世界的経済成長の基本的な原動力、つまり最後の望みの輸入国としてのアメリカと置き換わるものがなんなのか、わからなくなってしまった。 世界的成長はアメリカの経済成長に依存しており、これはアメリカの消費者に依存してきたし、アメリカの消費者は株式の、そしてより最近では不動産の、資産価格上昇に依存してきた。 受託価格が下落し、金融システムが危険にさらされ、アメリカの消費者支出は減少している。

アメリカはもう、世界の需要の源の立場に留まることは出来ない。そう、輸入に焦点を置き、他国に輸出主導の経済成長を可能とした、ドル安によるアメリカの経済成長は、過去のものになってしまった。既にヨーロッパと日本は不況に入っているか、それに非常に近付いている。 現在の国際政策議論は、不協和音を奏でている。アメリカの貯蓄を増やして、経常赤字を減らせとのお説ご尤もだが、これをもたらすプロセスは、アメリカの外国製品に対する需要を減らすことを意味するのだ。 対抗策が実施されなければ、それは雇用に圧力をかけ、他国の生産高増加にも負担をかけるだろう。 反対に、他の政策変更を行わないドル高の見返りは、アメリカの輸入品に対する需要を押し上げるだろうが、これは国内で生産された製品への需要をらし、不況を高める代償を要するだろう。これらの問題は、しばらく解消されないだろう。 今現在、皆の最優先事項にはならないかもしれない。 しかし次期政権の成功は、方法だけではなく、最終的な目標に関する意見の相違が深まっている時に、より広い政策課題に関して、より様々な国際的経済関係者に対応する能力にかかっている。
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