▼【正論】中国軍事専門家・平松茂雄 防衛戦略を領域重視に転換を | 日本のお姉さん

▼【正論】中国軍事専門家・平松茂雄 防衛戦略を領域重視に転換を

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▼【正論】中国軍事専門家・平松茂雄 防衛戦略を領域重視に転換を

≪沖縄戦の教訓と防衛改革≫

防衛省が来年度に見直す「防衛計画の大綱」で、陸上自衛隊が全国を5分割してそれぞれの地域を防衛する「方面総監部」制度を廃止し、指揮・命令系統を一元化する「陸上総隊」の創設を検討するとの報道があった。主に着上陸侵攻を想定した冷戦時代の体制を、テロやゲリラ攻撃などに備えて一体化し、機動力を高めるのが狙いという。 着上陸侵攻とは敵が上陸してくることだから、上陸される前に日本の海が侵略され、その上空は敵に侵犯されて、わが国は本州、北海道、四国、九州だけになっているばかりか、敵の空爆や艦砲攻撃を受けて破壊されている。簡単に言えば「本土決戦」だ。そのような事態はありうるのか。太平洋戦争を考えてみればいいだろう。戦争末期、軍部は天皇陛下の御在所を長野県松代の山中に移し、本土を焦土と化しても決戦し「玉砕」すると声高に叫んだ。当時筆者は国民学校4年で「軍国少年」だったから、いまでもはっきり覚えている。だが太平洋戦争は沖縄戦で終わり、「本土決戦」はなかった。英断である。沖縄の尊い犠牲で戦争は終わったのだ。沖縄戦のわが国にとっての意味はそこにあるのだが、沖縄戦で「集団自決」の命令があったのか、なかったのかが争われ、裁判にまでなっている。わが国にとって今一番大事なことは、沖縄戦を二度と繰り返してはならないということだ。陸上自衛隊が戦車や装甲車で国土を防衛するような事態があってはならない防衛体制を整えることだ。


 ≪守るべき領域を明確に≫


幸いなことに、わが国は広大な海に囲まれている。陸地の国土面積は小さいが、海域面積は陸地国土面積の約12倍、世界で第6位の広さである。わが国がそのように広大な海域を保有しているのは、その海域に多数の島嶼(とうしょ)が散在するからである。だがわが国政府の消極的な施策から、その海域を形成する基点となる北方領土はソ連・ロシア、竹島は韓国に不当に占拠されており、東シナ海では尖閣諸島の領有権および大陸棚の石油資源開発に関して中国・台湾との間でいつ紛争が起きてもおかしくない状態である。誠に遺憾なことは、こうした重要な現実に、政府もマスコミも、従って国民も、これまでほとんど無関心であったことだ。学校でもほとんど教えなかった。自衛隊も関心がなかった。筆者は自衛隊の学校や部隊での講義や講話で、できるだけこのことに触れ、「これがあなた方が守る領域ですよ」と話しているが、ある時「われわれの任務をこれだけはっきりと示していただいたのは先生が初めてです」といわれて、びっくりしたことがある。この数年来わが国で、にわかに日本は海洋国家、海洋民族とか言われるようになっている。だがわが国は海洋国家であり、日本人は海洋民族であろうか。日本は農耕社会であり、日本人は農耕民族である。日本は海に囲まれ、山の幸だけでなく海の幸にも恵まれて、魚を食べてきたというだけである。明治以来、海軍を作り、造船、海運が発展したといっても、日本人の民族性は何も変っていない。国連海洋法条約が締結され、世界が「海洋の時代」に入ったとき、わが国では魚の値段が高くなるというのが大方の関心事であったと筆者は記憶している。それは今でも大して変っていない。


 ≪敵の上陸後では遅すぎる≫


防衛大綱改定の詳細を筆者は知らないが、日本の防衛の基本は「日本の海」を守ることにあり、それには海域を守るだけでなく、その上空、なによりも世界第6位の海域の根拠となる島嶼、簡単に言えば離れ島の防衛である。ところがその海域を画定する上で重要な北方領土、竹島、尖閣諸島は隣国との間に、先にのべたように、簡単に解決できない政治問題があって、わが国の「海域」は現実には狭められている。とくに中国との間に難しい問題がある東シナ海には、たくさんの島嶼があるが、沖縄本島を除いて、それらの島嶼に自衛隊の実動部隊は駐屯していない。わが国がなさねばならない課題は、防衛戦略の根本的な転換である。着上陸侵略への対処という時代にそぐわない陸上部隊の改編だけでなく、陸上部隊の数を大幅に減らし、北海道中心の部隊配置を改めて、陸上部隊を離島に配備するとともに、小規模でも海上・航空の部隊と統合作戦できる機動力のある部隊を編成する必要がある。なによりも隣国に気兼ねすることなく、周辺海域とその上空を防衛する海上戦力と防空戦力の思い切った拡充を断行する決断が日本政府の喫緊の課題である。敵が上陸してきた時では遅いのだ。(ひらまつ しげお)


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領土保全は防衛の第一歩(佐藤守)

昨日はCNNでパキスタンのムシャラフ大統領の辞任会見を見ていた。1時間半に及ぶ長い会見で(途中寝てしまったが)苦渋の決断だったのだろう。外国メディアは特番を組んでいるのに、日本は五輪一色、見解の相違と関心の程度が良くわかる。最も、わがメディアは「地球の裏側だから・・・」と対岸の火事視しているのだろうが、インド洋では海自部隊が、クウェートでは空自輸送部隊が活動している「不安定の弧」の先端部分であり、その先には、アフガン、イラン、イラク、トルコ、アゼルバイジャン、そしてグルジアが続いている。パキスタンとインドに接して、中華人民共和国の「ウイグル自治区」があること、及びパキスタンもインドも「核保有国」、イランは準備中?であることを忘れているのではなかろうか?そんな「中心地」にあるパキスタンの離脱は、ブッシュが進めている今後のテロとの戦いに重大な影響を及ぼすこと必至であるが、ただでさえも不安定な「中東の火薬庫」は、引火爆発する危険性を秘めてきた。イランも「模擬衛星」を搭載した人工衛星発射実験に成功したし、欧米諸国は五輪どころの騒ぎではないだろう。ところで、会見中のムシャラフ氏の表情は暗かったが、提案した要求を全て否定された彼は、今後どこに住むのだろうか? 暗殺される危険性が高い以上、どこか安全な国に亡命するのだろうが、米国はどこまで責任を持つのか?大いに関心がある。他方グルジア問題だが、ロシアは「作戦を完了し撤退を開始した」とは言うものの、西側諸国は確認していないから、まだまだ交渉は難航するだろう。こんな時に決まって「国連」が関与しないことを、日本の「国連信奉主義者達」はどう思っているのだろうか?

それにしてもグルジア警察が「ピケ」を張った阻止線を、ロシア軍の装甲車が強行突破するシーンは迫力があったが、欧米諸国に悪印象を与えたことは間違いない。ソ連時代もそうだったが、最前線には質の悪い兵士(囚人部隊や少数民族)を送り、凶暴な略奪行為をするロシア軍の伝統は受け継がれているらしく、グルジアの避難民はこぞって恐怖と敵意を持っている。こんな規律が低い軍隊を、命令どおりに動かす力がロシア政府にあるのかどうか見ものである。


47歳の教師が、「ロシア人は敵だ。ロシア人は、グルジア人が親米だから滅ぼそうとしているのだろうが、強いグルジア人は絶対に屈しない」と産経の記者に語っているが、いくら口で叫んでも備えが無ければ滅ぼされるだけであることは歴史が証明している。メドベージェフ大統領は「ロシア国民を殺害して、罰せられずに逃げられるなどと考えるものは、決して許さない。再びこうした試みがなされたら、破壊的な応酬を受けるだろう」というメッセージを発したそうだが、流石に“強いロシア”を目指す大統領だけのことはあり「うらやましい」。日本で「日本国民を拉致し、領土を不法に占領して、罰せられずに逃げられるなどと考えるものは、決して許さない。再び日本国民に危害を加える試みがなされたら、破壊的な応酬を受けるだろう!」というメッセージを発した首相は独りもいないし、これからもいそうにない。バックになる「力」が無いからである。いや、かなり精強な組織があっても使い方も知らず、使う意思がないからであり、何かの一つ覚えのように「話し合いで解決できる」と無理に信じようとしているからである。勿論、本気で信じているとすれば私は異常だと思うのだが、そうしないとメディアや進歩的文化人に“嫌われる”と思っているからだろう。


今朝の「正論」欄に平松茂雄氏が「防衛戦略を領域重視に転換を」として、防衛省の防衛計画の大綱見直しで、陸自部隊の改変が予定されていることに鑑み、「陸上自衛隊が戦車や装甲車で国土を防衛するような事態があってはならない防衛体制を整えることだ」として、「本土決戦思想」を改め、「日本の海」を守る基本に戻るべきと提案している。大東亜戦争の敗因は、大まかに言えば「航空戦力」と「海軍戦力」の喪失により、制空、制海権を失ったからであり、その結果沖縄はじめ島嶼防衛の任についていた陸軍は玉砕を強いられた、といっても過言ではない。「日本防衛の基本は『日本の海』を守ることにあり、それには海域を守るだけでなく、その上空、何よりも世界第6位の海域の根拠となる島嶼、簡単に言えば離れ島の防衛である」「陸上部隊の数を大幅に減らし、北海道中心の部隊配置を改めて、陸上部隊を離島に配備するとともに、小規模でも海上・航空の部隊と統合作戦出来る機動力のある部隊を編成する必要がある。何よりも隣国に気兼ねすることなく、周辺海域とその上空を防衛する海上戦力と防空戦力の思い切った拡充を断行する決断が日本政府の喫緊の課題である。敵が上陸してきた時では遅いのだ」と平松氏は力説した。


グルジアは陸続きだったから、ロシア軍の戦車が侵攻してきてグルジア国土を蹂躙した。島国・日本の場合は、国内に潜伏する「外国勢力」の一斉蜂起や、それに賛同する親○○派などは、警察と陸軍部隊の対象であろうが、国土を侵略してくる戦力は、平松氏が言うとおり、空軍力と海軍力であろう。台湾防衛に関して台湾高官と侃々諤々の討論を重ねたのもそこにあった。沖縄勤務時代、各種の図上演習や実動演習を実施したが、「沖縄本島を除いて、それらの島嶼に自衛隊の実働部隊は駐屯していない(平松氏)」ので、戦力運用に苦労したものだが、島嶼防衛上戦力を発揮すべき空軍・海軍力の基盤の防衛には、やはり陸軍は必要である。平松氏は「陸上部隊の数を大幅に減らして」と書いたがそれは無用で、むしろ空自と海自の戦力を増強すべきである。現役、予備役を含めた総兵力と総人口の比率は、ロシアが14・8%、韓国が10・6%、中国、インドが0・2%、米国は0・8%だが、我が国は”中国並み”の0・2%にも満たない人的戦力である。平和国家日本では「軍拡」が不可能であるというのならば、少なくとも、陸自部隊を削減した分を海・空自に転用する、つまり、その昔陸自のナイキ部隊が空自に編成替えになったように、茶色の制服を「黒か空色に」着替えるほうが良い。ただでさえ、24万の制服組だけでこの国を守ることは困難なのだから・・・。防衛大綱見直しに当たって、新進気鋭の新防衛大臣には、領土保全は防衛の第一歩であるという認識を持って欲しいものである。

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