「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 『台湾の声』 中国語の外来語の1割が日本からの“輸入”
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年)8月20日(水曜日)弐
通巻第2296号
((((( 速報 )))))
次期台湾駐日大使が内定
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台湾の次期駐日代表(駐日大使)に、馬英九の側近の一人で、選挙中は外交ブレーンとして活躍した馮寄台(元駐ドミニカ共和国大使)に内定した旨を発表した。馮寄台・次期代表は南京市が原籍の外省系だが、父親が外交官だったので、小、中学生時代に日本で五年間、生活した経験がある。当時、日本は中華民国と外交関係を保持していたので、麻布界隈が憑の想い出の場所(いま中国大使館となっているが、当時あの広大な敷地は台湾大使館だった)。その後、外交官として活躍するが、ハーバード大学では馬の先輩格。日常会話程度の日本語のほか、英語はもちろん、スペイン語を操る。昨年の馬英九訪日の際には付き添って来日した。憑次期代表は、外交官の傍ら中央通信社編集長をつとめたこともある。蛇足ながら、小生はこの人物と昨年六月と今年三月に台北で会っている。個人的な印象はといえば、大柄で物腰は柔らか。外交官経験者ゆえに人当たりがソフトで、総統選挙中は早くから馬陣営に駆けつけ、とくに海外メディア取材には同席した。馬当選翌日の海外メディアとの会見では舞台裏を仕切っていた。少年時代の麻布の体験を鮮明に覚えていて、ときおり片言の日本語が飛び出した。
(註 このニュースを20日午前3時段階でつたえているのは産経新聞のみ。台湾のメディアも、まだ報じていない。)
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♪(読者の声1)「鎌倉の教育を良くする会」第31回講演会が開かれます。
講師 富岡幸一郎氏(文芸評論家・関東学院大学文学部教授)
演題 躍動する生命の冒険を! 「日本人の再建」
内容 内村鑑三、鈴木大拙、折口信夫、川端康成、三島由紀夫等の言葉に出会えば、遥かな時空を超えた力として魂に響きます。日本人の魂がよみがえりますように。
日時 平成20年8月30日(土) 午後1時30分~4時
会場 鎌倉生涯学習センターホール(JR鎌倉駅東口徒歩3分、郵便局隣)
資料代 1000円(学生500円)
当日先着 250名 予約不要
連絡先 080-6603-5335 山内
主催 鎌倉の教育を良くする会 後援 鎌倉市教育委員会
今の危機とは、私達自身そして我が国の生命力の衰退です。他者への無関心、自分に対する無関心さえ進んでいます。大切な子供たちに元気がなく心配です。仏教や神道やキリスト教などを通して真実の霊性に目覚め躍動する生命を得て貴重なメッセージを発する人がいます。内村鑑三、鈴木大拙、折口信夫、また川端康成、三島由紀夫等、すぐれた思想家や文学者の言葉に出会えば、遥かな時空を超えた力として魂に響きます。豊かな生きる力として私達にスピリットを吹き込んでくれます。さて、敗戦・占領によって明治以降の近代国家日本は滅びたのでしょうか。日本人の魂はよみがえるのでしょうか。歴史の連続性と魂の断絶の問題について深く認識することこそ喫緊の課題です。
(宮崎正弘のコメント)春の小林秀雄、初夏の禅寺の講演会につぐ企画ですね。さすが、文化都市・鎌倉。イベントにも恵まれていますね。
♪(読者の声2)ふと思ったのですが、五輪開催中のテロは、もしかしたら中国政府がチベットを悪者にする為に仕組んだ自作自演のショーなのではないでしょうか?根拠として、警戒厳重で報道陣も多い北京ではなく、警備の薄い田舎で起こっていること。
次に犠牲者が少ないこと。五輪という世界的なスポーツの祭典なのにテロを行うチベットに対して後日制裁を加える、もしくはさらに弾圧する為の口実として利用するための芝居では? 自分は中国情勢とかは全く分かりませんが、素人目でそう感じました。(キリン)
(宮!)正弘のコメント)テロそれ自体が演出という可能性は薄いでしょう。しかし、「テロリストの拠点を急襲し、銃撃戦の末にテロリスト数人を逮捕した」とか、「イスラム過激派のアジトからサブマシンガンを押収した」とかの官製情報は操作されている可能性、大です。チベット党書記も、新彊ウィグルの党書記も漢族、公安幹部も武装警察の幹部も漢族。中央への誇示、マスコミへの自己宣伝など動機はいろいろと考えられます。嘘を嘘で固めるのが共産党であり、嘘の報告で出世するのが、共産党幹部の体質であるとすれば、株式市場のインサイダー取引と同様なところがあります。写真とか、目撃証拠のない情報を鵜呑みにしない方がいいでしょう。
♪(読者の声3)貴紙2295号に書かれた「北京五輪の総括」。最後の一節にこうあります。
「なによりもメインスタジアムが象徴しているではないか。あれは(中国共産党が)庶民をこれからも鳥かごに閉じこめておきますよ、というメッセージでもある」云々。痛烈で卓抜な批評に脱帽です。ただ「籠の鳥でも知恵ある鳥は」、ほんのわずかでも出てくるのでしょうが、細心の注意をしないと自滅するのが通例でもあります。(SJ生)
(宮崎正弘のコメント)嘗てトウ小平のライバルだった陳雲がとなえた「鳥かご経済論」を思い出したのでした。
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・『台湾の声』
【明解要解】中国語を支える日本語2008.8.20 07:58 産経新聞
■外来語の1割が日本からの“輸入”
「中華人民共和国 共産党一党独裁政権 高級幹部指導社会主義市場経済-という中国語は中華以外すべて日本製(語)なのをご存じですか」-。東京都台東区の中国語講師、劉美香さん(51)からこんなお便りをいただいた。産経新聞の「朝の詩」と「産経抄」を教材に毎日、音読と書き写しで日本語を磨くという劉さん、「明治時代の日本人が、欧米の学問を漢字で翻訳してくれたから、当時の中国は世界を理解できた。平仮名や片仮名に翻訳されていたら今ごろ、中国はどうなっていたでしょうね」。(特集部 押田雅治)
中国語には約1万語の外来語があり、その大半が「仏陀(ぶっだ)」や「菩薩(ぼさつ)」「葡萄(ぶどう)」「琵琶」などインドやイランなど、西域から入った言葉といわれている。その残り1割、1000語余が清朝末期以降、日本から取り入れた言葉で、社会科学や自然科学などの学術用語の約7割が、英語やドイツ語などから翻訳した和製漢語といわれている(『現代漢語中的日語“外来語”問題』・王彬彬著)。
日本語導入のきっかけは、欧米列強によって亡国の危機感に襲われていた清朝の志士たちの「日本に学べ」の精神だった。王氏は「われわれが使っている西洋の概念は基本的に日本人がわれわれに代わって翻訳してくれたものだ。中国と西洋の間には、永遠に日本が横たわっている」(同著)と指摘。日中戦争が始まる1937年までの40年間に、留学生だけでも延べ6万人が来日。明治維新を経て近代化を急ぐ日本で西欧を学び、そして和製漢語を取り入れたのである。本来、漢字だけで成立する中国語が外来語を取り入れる場合、「電視機」=テレビや「電氷箱」=冷蔵庫などの意訳型と、「可口可楽」=コカ・コーラなど音訳型の2つに大別される。当時の日本が欧州の言葉を日本語に翻訳する場合はほとんどが意訳だったため、和製漢語でも、漢字本来の意味を踏まえて翻訳した「哲学」や「宗教」などは中国人にも理解しやすかったようだ。ただ、中には「経済」のように、本来の意味と異なり、混乱した言葉もあった。元になった中国の古語「経世済民」は、「世の中を治め、人民の苦しみを救う」という政治を意味する言葉だったため、中国人が考えた「計学」や「資生学」などと共存した時期もあったという。劉さんは「不倫や電話詐欺など“悪い言葉”や癌(がん)などの医学用語も含め、日本語はいまなお、中国語に大きな影響を与えています。漢字は中国で生まれましたが、その漢字を生かした和製漢語のおかげで中国は世界を知り、学ぶことができたのです。この事実を多くの日本、そして中国の人に知ってもらいたい」と話している。
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