台湾の声 ・ 太田述正 有料メルマガ | 日本のお姉さん

台湾の声 ・ 太田述正 有料メルマガ

【ニュース】「中華」が「中国」に負けたと報道し、混乱する中華民国体制下の台湾メディア

中華人民共和国(中国)開かれている北京オリンピックの野球で、8月14日に台湾と日本が対戦した。このニュースを報道する際、台湾紙「自由時報」やテレビチャンネル「民視」は、台湾と日本の決戦を「台日大戦」という表現で報道した。一方、台湾紙「聯合報」、「中国時報」、テレビチャンネル「TVBS」、ラジオ「中国広播」など中華民国体制擁護派のメディアは、「中日大戦」という表現で報道するなど、台湾の自称を「中」とする復古調の報道が見られた。この用語に関して、馬英九政権の総統府では、前政権と変わらず「台日両国」という表現を使っており、「中日大戦」などの表現は、馬政権の政策方針をも上回る中国傾斜ぶりであった。翌8月15日、北京五輪野球で台湾は中国と対戦し、結局延長12回で台湾は中国にサヨナラ負けを喫した。このニュースを報道する際、やはり台湾紙「自由時報」やテレビチャンネル「民視」は、普通に「『台湾』が『中国』に敗れた」と報道したが、その他台湾メディアの多くは「『中華』が『中国』に敗れた」など、あくまで自国チームの呼称を「中華」に固執する報道姿勢を見せた。
ところで、馬総統は「一つの中国=中華民国」という持論を主張しているが、「中華」VS「中国」などという表現は馬総統の「一つの中国」政策に真っ向から対立するものである。中華人民共和国のことを「中国」と呼ぶことは、馬総統の「一つの中国=中華民国」政策に反している。馬総統の「中国」とは、台湾とシナ大陸を含む「中華民国」のことであり、中華人民共和国のことを呼ぶ場合は「中国」ではなく「中国大陸」や「大陸」と相手を矮小化して呼ばなければいけないことになっている。ただし、馬総統の「一つの中国=中華民国」は実際には妄想でしかなく、北京五輪は中華人民共和国は「中国」(China)、台湾は「中華台北」(ChineseTaipei)という名義で出場しているため、多くの台湾メディアは馬総統の政府政策に反して中国チームのことを「中国」と報道したのである。一方、「TVBS」は比較的馬総統の意思を理解しているようで、台湾と中国の対決を「台陸激戦」と呼び、「『中華』チームが『中国大陸』チームに負けた」と報道していた。中華民国体制下の台湾メディアは、自国と中国の呼称をめぐって支離滅裂であり、かくも混乱しているのであるが、皮肉にもさまざまな立場がメディアに反映され、台湾の「言論の自由」の存在を証明するものとなっている。
---------------------------------------------------------------
###MI##YA##ZA##KI##MA##SA##HI##RO######
【映像・再送】人体を蝕む中国の環境破壊!!

http://jp.youtube.com/watch?v=jJX-T22PJFo&feature=related
###MI##YA##ZA##KI##MA##SA##HI##RO######
-------------------------------------------------------
━─━─━─━─━[太田述正 有料メルマガ]━─━
太田述正コラム#2633<イラクの現状をどう見るべきか(続)>
1 始めに
先月14日付のコラム#2609「イラクの現状をどう見るべきか」で、イラクの治安情勢に関する悲観論と楽観論をご紹介し、自分は楽観論に与すると申し上げました。その後一ヶ月ちょっと経ちましたが、今や英米の主要メディアは楽観論一色と言っても過言ではありません。
では、楽観論が正しいとして、イラクという国はいかなる方向に向かおうとしているのでしょうか。

2 カータードクトリン
ソ連のアフガニスタン侵攻が行われた1979年の翌年、1980年の1月に、カーター米大統領は、いわゆるカーター・ドクトリンを打ち出しました。
それは、石油の宝庫である「ペルシャ湾沿岸地域を支配しようとするいかなる外部勢力も米国の死活的利害に対する攻撃とみなされる」というものです。 カーターは1981年にはもはや大統領ではなくなりましたが、このドクトリンはいまだに生き続けています(注)。
(注)やはり1980年のことだが、11月と12月の二度にわたってにカーター政権は日本に自立を促した(コラム#30)。この対日政策もまた、いまだに生き続けていると私は考えている。属国日本の歴代政府は一貫して馬耳東風だが・・。このドクトリンに基づき、米国は1991年に、その前年にクウェートを併合したイラクを湾岸戦争で駆逐し、2003年には、このようなことが二度と繰り返されないためにイラクのフセイン政権を打倒した、と見ることができます。(以上、http://www.slate.com/id/2194255/   (6月26日アクセス)による。)

2 イラクはいかなる方向に向かおうとしているのか
(1)米国の傀儡国家
ガーディアンの論説は、米国がイラクと締結しようとしている地位協定(status of forces agreement。「条約」でないので米下院の同意がいらない)は、イラクに50箇所以上の米軍基地を確保し、イラクの空域を全面的に米国がコントロールし、米軍及び米軍と契約した民間軍事会社に治外法権を与え、イラク政府と協議することなくイラク全土で武力作戦を実施できる、という内容であり、イラクは米国の完全な傀儡国家(puppet status)になろうとしている、と指摘しています。これは、英国が第一次世界大戦中に占領したイラクに1930年に名目的な独立を与えて傀儡国家化したのと同じことだ、というのです。
 (以上、http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/jun/26/usforeignpolicy.usnationalsecurity   (6月26日アクセス)による。)

 (2)自立国家
米国によってフセイン政権が打倒されるまでのイラクは、フセインの独裁国家でした。いわば、イラク国民はフセインの奴隷であったわけです。もちろん、イラク国民は解放を希求していたのだけれど、彼らは、自分達の手では自らを解放できず、米国という第三者によって解放されるという屈辱を味わったことはご存じの通りです。
(クルド人についてはちょっと横に置いておくとして、)これでは、スンニ派であれシーア派であれ、新生イラク政府を、それが主権回復前であれ、主権回復後であれ、自分達の政府として積極的に支えようという気運が起きなかったのは当然だと言わなければなりません。
ニューヨークタイムスの論説は、このような認識を踏まえ、ここ数ヶ月イラクで起こっていることは、米軍の兵力増強(surge)の力も借りつつ、スンニ派の主要諸部族がそれぞれの居住地たる州でアルカーイダの影響力を排するとともに、マリキ(Nuri al-Maliki)首相とイラク軍によって代表されるところのシーア派の主流がバスラ、アマラ、及び(バグダッドの)サドルシティーを、サドル師のマーディ民兵と親イランの暗殺諸隊(pro-Iranian death squads)の手から解放する、という、イラクの真の意味での解放戦争であったとし、この解放戦争にほぼ勝利したことによって、イラクは自立国家としての礎を築くことができた、と指摘しています。
(以上、http://www.nytimes.com/2008/06/25/opinion/25friedman.html?hp=&pagewanted=print   (6月26日アクセス)による。)

3 コメント
仮に、イラク駐留米軍の地位協定が、上述のような内容で固まったとしても、それはイラクが旧安保条約下の日本と同じ姿になるというだけのことです。しかも、日本のように自ら十分な軍事力を持つことができたのにあえて持とうとしなかったケースとは異なり、イラクの場合は、十分な軍事力を持とうとしても現時点では持てないので米軍に依存せざるをえないということなのであって、イラクが日本と違って自立国家としての礎を築くに至ったとの判断が正しければ、傀儡国家の姿は一時的なものであって、日本のように傀儡国家が長期的に属国化するなんてことにはならない、と考えるべきでしょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<Pixy>
>私としては、分離独立しようとしている側に対し、母国側が非人道的行為をどれだけやったか、そしてその母国側と分離独立しようとしている側の相互の相対的自由・民主主義度が、分離独立しようとしている側をわれわれが支持、支援すべきか否かのメルクマールだと思っています。(コラム#2730。太田)一般的にはそのように判断せざるを得ない面もあるかもしれません。ただ、グルジアの方がロシアよりは相対的に自由・民主主義度でマシだからと言って、何かコトが起きた場合に、グルジア側の言い分を信用し、ロシアの言い分には耳を傾けない米・英の姿勢はいかがなものでしょうか。より成熟した民主主義国家となるようにグルジアを支援するということと、個々の問題において都合の悪い事実には目をつぶりグルジアに一方的に肩入れする、というのは別物だと思うんですけど。今回の紛争については、グルジアではなく「非自由・民主主義的なロシア」側の声明、行動の方が説得力があるように感じます。
>グルジア軍によるティンヴァリへの大攻勢の際、南オセチアの一般住民2,000人が殺されたとのロシア側の発表は著しい誇張であった可能性が高い(#2730。太田)Russians losing propaganda war
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7562611.stm
プロパガンダ戦はグルジアの勝利という上記BBC記事、面白かったです ブッシュも、プラハの春の時とは時代が違って云々と言ってた気がしますが、グルジア側はカラジッチ逮捕で最近クローズアップされた、スレブレニツァの虐殺などのタイムリーなネタを引き合いに出したりして、グルジア=被害者のイメージを喧伝して回ってます。

<SATO>
--三浦半島行きですか--
太田さん、三浦半島に出かけられたなら、太田さんの許容性を見込んで、素晴らしいアニメを紹介します。「ヨコハマ買い出し紀行」というマンガ-アニメですが、彼(作者)が、どれほど、その場所を愛しているか、ということが本当に了解できます。海の匂いから、地上の匂いの違いまで、いかに人間が繊細に弁別しうるのかという、良いお手本です。その上で、人間が、いかに地球を愛しうるのかという、もっとも根源的な問題にまで敷衍していくことが、このアニメに込められた作者の願いでもあるでしょう。是非一度、鉄腕アトムに感激したことがあるなら、ご覧下さい。ついでに紹介してしまいますが、押井守さんのアニメもご覧になって下さい。彼のさまよっている迷宮の意味を、私たちは言語に-思想として-表現すべき時を迎えているのだと思います。彼が無意識に突きつけている問題は、世界史的な問いであると、私は理解しています。アングロ・アメリカン的なものが、いかに世界を支配しようとする意志の衝動に駆られているかを問い直す重荷を、私たちは背負っているのではないでしょうか。いささか、突飛な申し出をしてしまった気もしますが、太田さんの基本的な度量は、理解していただけると、勝手に考えています。

<太田>「ヨコハマ買い出し紀行」については、全く知りませんでした。さっそく、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%82%B3%E3%83%8F%E3%83%9E%E8%B2%B7%E3%81%84%E5%87%BA%E3%81%97%E7%B4%80%E8%A1%8C を斜め読みしてみました。実に詳細な記述であり、ほとんど作品を何本か鑑賞したのに匹敵すると思われる感銘を覚えました。そこに出てくる地名の中に、私がかつて車でよく出かけた場所や現在住んでいる場所の付近や私の役所時代と関わりの深い場所等が登場したせいもあったと思います。私も随分長く生きてきたな、とちょっぴり感慨にふけった次第です。押井守については、彼の作品であるアニメ映画「イノセンス」についてのTV予告編を目にした程度ですが、wikipediaを斜め読みしてみました。彼は、ほとんど私と同世代の人間なのですね。残念ながら、詳細ではあったものの、ウィキの記述だけでは、押井の世界の具体的なイメージが湧きませんでした。私は20代でフィクションを鑑賞するのを止めてしまったことを今、激しく後悔しています。映画にはたまに行くのですが、歴史や文明論への関心から見に行くというセコイ鑑賞の仕方をしてきました。後悔しているのなら、さぞかしフィクション鑑賞三昧の生活を今しているのだろうって?
そんな時間の余裕はありません。昨年春から現在にかけて、私は、なまなかなフィクションの域をはるかに超え
る・・皆さんの想像を絶する・・体験に晒され続けていることもあり、コラムを書き散らしつつ生きていくだけで手一杯なのが現実なのです。話が変わりますが、このところ、パソコンで作業をしながら、ユーチューブの音楽を聴くのが習慣になっています。 時々掘り出し物にぶちあたるのですが、今再度聞いている、編曲が素晴らしい「シェルブールの雨傘」をご紹介しておきます。
http://jp.youtube.com/watch?v=L51Dm2EnXgk&feature=related
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━