縄文塾通信 <8月号-4(331号)> 日本のアフリカ農業援助 (中村 忠之 ) | 日本のお姉さん

縄文塾通信 <8月号-4(331号)> 日本のアフリカ農業援助 (中村 忠之 )

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縄文塾通信 <8月号-4(331号)> 
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日本のアフリカ農業援助(2)    中村 忠之
■□ 赤い革命VS緑の革命
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米ソ二超大国による冷戦時代、ようやく独立を果たしたアフリカの貧困な国々に吹き荒れたのが、ソ連による赤化の嵐、いわゆる「赤い革命(the Red Revolution)」であった。一方それに対抗しようとして取上げられたのが、アメリカを盟主とする西側資本主義国サイドの作戦「緑の革命(the Green volution)」であった。共産主義国家では、資本家や地主を追放してすべての土地を没収し、個人の借金も資産もゼロにした上で、国有になった機関で働けば一定の生活を保証するという、富裕者層には過酷だが、貧者にとっては一見非常に魅力のある政策「赤い革命」によって、共産圏への囲い込みに奔走していた。一方資本主義国陣営の採ったのは、1950年代から60年代にかけて、アジアおよびアフリカにおける発展途上の国々の食料難を解決する救世主として華々しくデヴューした「緑の革命」という戦略であった。これは従来行なわれていた自然農法より、2倍の収量を上げるという近代農法の推進であった。そこにはおそらく、困った人たちの役に立ちたいという農業関連学者たちの純粋な善意もあっただろうが、実際には、この「緑の革命」という善意の仮面の裏には、タダでは転ばない資本家たちとそれを支援する国、特にアメリカのしたたかな戦略という、もうひとつ隠れた顔を持っていたのだ。それはまず第二次大戦終了後に不要となった爆薬製造のための窒素製造工場を、肥料工場に転換させるというものであった。結果としてこうした発展途上の国々は、平和産業に鞍替えした火薬工場再生のための又とないターゲットになったのである。当然ながら、そうした科学的肥料の効果を上げるためには、それに向く栽培品種が必要となる。すなわち種子と肥料という組み合わせが要求されることになった。導入された主な高収量品種としては、フィリピン・マニラの国際稲研究所(IRRI)で開発されたコメの新品種IR-8や、メキシコメキシコシティーの国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT)で開発されたメキシコ系半矮性品種群などであった。。 これらの多収性品種はいずれも──穂の長さは完全だが植物体全体の背が低い形質を持つ──半矮性と呼ばれるものである。 半矮性品種は倒伏しにくくなり、しかも施肥に応じた収量の増加と気候条件に左右されにくい安定生産が実現するというものである。ちなみに、CIMMYTで多収性品種の開発に努め緑の革命に大きく貢献したボーローグは、歴史上のどの人物よりも多くの命を救った人物として認められ、1970年にノーベル平和賞を受賞している。

■□ 緑の革命の功罪
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緑の革命は確かに従来の2倍に達する収量を実現して、産業としての農業の大増産を達成したが、かつての支出不要の農業から、化学肥料・化学農薬の工業製品の投入という、大きな支出によって維持される性格の農業に変貌させたのである。また東南アジアの稲作地帯では、多収量の短稈品種が導入されることでそれまで農村で様々な生活必需品の素材として重要であった稲藁が使用に適さなくなり、農民にプラスチックなどの石油化学製品の購入を強いることになった。しかも購入した種子から、実ったものから翌年以降再利用出来ればまだよい。彼らが提供したF1(一代雑種)というハイブリッド種子は、安定した大きな収量を約束する代わりに、次年度は性能が落ちて使用出来ず、毎年同じF1種子を購入しなければならないというものである。また多収量を約束する均一品種は、必然的に病虫害に弱いところから、大量の農薬のお世話になる必要があった。結局増産の代償として、いままでほとんど不要だった種子・肥料・農薬などの一切合切、すべてにお金を支払う羽目に陥ることになってしまう、それが「緑の革命」というヤヌスのもう一つの顔だったのだ。かつてはその人種同様、多種多様の品種を持っていたインドやアフリカの農業は、またたくまにモノカルチャー(単一種耕作農業)」に変身させられてしまい、いままで人力以外に支出のなかった農業は、なにからなにまでお金のかかる農業に変身させられてしまったのである。たとえば、農地の改良によって水田が淡水魚などの繁殖地としての機能が劣化することで、副食類の自給力をそぐことになったことが指摘されている。そのため結果として、生産者である農民の多くはかえって生活の貧困を強いられるようになったとも言われている。その結果、すべてお金で解決するという仕組みが彼らを一層貧困に追い込み、結局土地を失ってしまうという悲劇を招来することになる。また緑の革命による生産は、高収穫の代わりに土壌から大量の栄養分が失われた。大量の地下水が使用されたため、表土塩害が発生した。さらなる問題点は、大量供給に対応する需要を用意しなかったために、その農業生産物の市場価格が暴落し、資金繰りの悪化した農家は、農地を手放さざるを得ない結果を招いた。化学肥料や化学農薬の購入のために農地を担保に借金をする農家もいたのである。いまこうした「緑の革命」の延長線上にあるのが、アメリカの先端技術である遺伝子操作作物である。遺伝子操作作物は、除草剤耐性や殺虫性のほか、乾燥に耐えしかも高塩分の土地でも収穫が約束されるという、魅力に富んだ性能を武器に、あらたな誘惑の触手を伸ばしている構図が見え隠れしている。もちろん高度な農業技術と豊富な資金を持った先進国ならまだいい。すべてに欠如した発展途上国には、それにふさわしい農法や品種があってもおかしくない。今後我々は、大規模農法を推進する対象と、零細で貧困な環境での農法とを峻別して行かねばならないだろう。しかもそれぞれの土地に古くから定着してきた栽培種が失われることにもなり、在来品種の保存も急務となったかつての多数の品種栽培は、遺伝資源の保全だけでなく、単一種の持つ収穫量では劣るものの、病虫害に対する抵抗性が強く、しかも気候的逆境にも強い。そのため特にアフリカでは、内乱や部族闘争、経済格差と取り残された農民、極度の干魃による砂漠化の進行など、失った代償はあまりに大きい。その点日本政府が今年のアフリカ開発会議において、特に食糧問題の解決に協力を推し進めるという姿勢を表明した異議は大きいと言わねばならない。(次回につづく)
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◎WTO決裂~印・米対立の背景  by はぐれ雲さん

☆ WTO決裂~印・米対立の背景 
インドとアメリカの対立でWTO閣僚会合は決裂した。インドには絶対に譲れない線がある。===アメリカの「発展途上国の農業・農民に対する認識」を改めさせなければアメリカとは妥協しない、という腹だろう。ーーーアメリカの認識は甘い。「インドだけが反対している」と思っていること自体、認識不足である。約11億5千万人の人口を抱えるインド、農村人口は7億5千万人、農民の約70%が2ヘクタール以下の零細農民、小作人も多い。インド政府は毎年、穀物の最低買取り価格を高めに設定、農民の収入を保護している。貧困問題・貧民問題はインドの最大の課題である。民主主義国家インドの宿命でもある。そして、農村・農民は、インドの民主主義を支える最大の有権者群である。21世紀に入り、インドで最も悲劇的であり、社会問題となったのは綿花農民の相次ぐ自殺であったといえる。綿花は伝統的な国際商品、国際市場価格に直接影響を受ける。歴史的にインドの代表的輸出農産品であり、綿花栽培に頼る農民は未だ多い。アメリカ主導の綿花の国際価格は大幅に下落、旱魃による不作が追い討ちをかけ、多くのインド綿花栽培農民が窮地に追い込まれ、自殺が多発した。ソニア・ガンジー氏も、政権を取ったばかりの国民会議派の責任者として度々自殺者多発地域に赴き、農民支援を約束した。その後、多くの農家が多収穫が見込まれる‘アメリカ産遺伝子組み換え種子’に切り替えたが、インドの土壌・気候に合わず、更に新種の種子の栽培方法も判らず=説明書も読めない農民が多い)大打撃を受け、再び自殺者が急増している。インドの綿花農民は、他の農作物に転作しようにも技術も資金力もない。自殺するしか為す術もない状況に追い込まれている。綿花の国際市況の低迷は、アメリカの綿花の価格にある。アメリカの農業補助金=輸出補助金が低価格に誘導している事は明らかであった。アメリカはインドの抗議に一切耳を貸さなかった。同様の抗議は、ブラジルやアフリカ諸国からも挙がっていた。最近、綿花の国際価格は上昇しているようだが、今後どうなるか不安要素も多い。

インドの綿花生産農家が何故このような状態に追い込まれたか…、理由は簡単・明瞭である。敢えて繰り返すが、綿花はインド農民にとって伝統的な輸出用農産物であり、転作はそう簡単ではない。他方、アメリカの綿花の輸出価格が安過ぎる。アメリカ産綿花は、大規模・機械化農法であり、昨今は,遺伝子組み換え種子使用で多収穫が可能になっている。当然、生産コストは圧倒的に低い。しかも、巨額な農業補助金=輸出補助金が供与されており、輸出価格は圧倒的に安くなる。いくらインドの人件費が安くても太刀打ちできる筈がない。アメリカの農民が悪い訳ではないが、政府農業補助金は余計である。アメリカの農業補助金に反発しているのはインドだけではない。綿花が主要輸出農産物である多くのアフリカ諸国の農民がインドと同じ状態にある。今回のWTO閣僚会議で、アメリカは農業補助金の減額を表明してWTO交渉に臨んだ。補助金減額は当然だろう。昨今の農産物価格高騰でアメリカの農民は巨額な利益を享受している。それでもアメリカ政府が農業補助金を撤廃できない理由は何か? 世界はそれをアメリカに問いかけている。アメリカの政治家にとり、アメリカの農民・農村は伝統的な絶対的安定票田であることも背景にあるだろうが、それ以上に絶対に口には出さぬが、‘食糧は武器’という政治的意図もあるだろう。

農業、特に穀物を支配すれば、世界を支配できる。農業国アメリカは、アメリカの農業を保護することにより、世界の農業に打撃を与え、農産物で世界をコントロールする基本戦略があったと疑わざるを得ない。結果論かも知れないが…。ーーー穀物メジャーはそう考えていただろう。
戦後、農業補助金付の安価なアメリカ産穀物が世界中に流れることにより、世界の農業は変質せざるを得なかった。安価なアメリカ産穀物=穀物市場価格に影響され、発展途上国の農民は最低収入を強いられ、穀物から商品作物への転換を余儀なくされた。いくら大型化・機械化しても、アメリカの価格には勝てない。穀物生産を断念し穀物輸入に依存するようになった。典型的な例はフィリッピンやインドネシア、エジプトだろう。国家食糧安保上、大問題である。最近の食糧価格高騰でその実態が鮮明に見えるようになり始めてきた。食糧不足というより、世界の農業構造の問題だろう。インドは自衛手段として、小麦・米の輸出規制を実施し国内価格安定化に必死である。幸いにして食料不足状態ではない。それ以上に、穀物高騰の原因はアメリカ=バイオエタノール)にあると強く非難している。「これ以上アメリカの好き勝手にさせない」という思いは強い筈である。インドの怒りは綿花ばかりではない。先日のブッシュ大統領の無知な発言。「インド人の穀物消費が増え始めたのが穀物価格高騰の一因」との発言に、インド人が激怒した。「アメリカ人は何も判っていない」「傲慢だ」と猛烈に抗議しアメリカに対する反感を露にした。ーーーそして印米原子力協力協定…。マンモハン・シン内閣信任決議が下院で採決された背景には、「協定はアメリカの介入を許すことになるのでは」というインド人の素朴な危惧があった。マンモハン・シン内閣が承認されたのは、国民会議派が「インドは決してアメリカの言いなりにはならない」「内政干渉はさせない」「独自路線を行く」と強い意思表明をした為だろう。

WTO閣僚会議では、その強い姿勢を具体的に示す必要があった筈である。WTOで、インドは激しくアメリカに噛み付いた。アメリカは「インドだけが問題」と思っているようだが、中国も同調、発展途上国もインドに同調している。インドは第3国のリーダー格として、絶対に妥協できない。少なくとも7億5千万人の農村・農民を守る責任がある。農村・農民はインド政治家の重要な票田であり、農民はインド民主主義を支える母体である。ーーーアメリカの誤算、それはインドを代表とする発展途上国の農業に関する無知からきているようだ。アメリカ産農産物供与・支援だけでは貧困問題は解決しない。重要なことは、発展途上国の農業の発展にある。世界の農産物・穀物の収穫が増えれば、アメリカにとり穀物輸出量が減り生産過剰になるかも知れないが、その時には穀物をバイオエタノール用の原料に切り替えればよい。最近の農産物の価格上昇で、世界各国各様、農業政策を見失っている感じもする。発展途上国の農業育成の絶好の機会だろう。アメリカの世界戦略は転換期にきている。アメリカ流発想法を打破する代表に‘大国’として認知されつつあるインドが台頭し始めたのは歓迎すべきことだろう。

日本…、農民は何人いるのだろうか?専業農家は30万人以下? 農業に携わらない農協職員の数のほうが多いともいわれている。そのコストの大半は日本の農民が負担している。国の農水予算の一部も補助金として流れている筈である。国民の税金である。日本は根本的に農業政策・食糧安保を見直すべきだろう。セーフガードのパーセント云々で悩む以前の大問題である。自民も民主も同じ穴の狢、同じ票田、そうであれば思い切った策が打てるだろうに…。農民票が減っても同じ穴の狢、農業改革には絶好の機会と思うのだが・・・日本の政治家にそんな意識はないようだが・・・
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◎遺伝子操作と品種改良   寺田 嘉信 Z(2回目の掲載です。)

スーパーに買い物に行く度、豆腐、納豆を購入するがラベルには「遺伝子組み換えでない」旨の表示記載がある。わが国の遺伝子操作に関する雰囲気は学会及び大企業の食品企業も殆どが有害説の空気に支配されている。遺伝子研究権威、ノーベル賞候補の筑波大学村上和雄名誉教授は有害説とは反対の立場と記憶しているが、如何せん有害説の空気支配は圧倒的である。これでは遺伝子組み換え植物食品は有害であるかの如く、一般消費者に対して予断を与えることになる。予断とは国語辞典によると、なりゆき・結果を前もって判断することとある。具体的な実例を示すと、かのロッキード事件が発覚して田中角栄元首相が逮捕され地裁による裁判が開始されたタイミングで判決の下される前に元最高裁長官経験者、藤林益三氏(7代目長官)岡原益男氏(8代目長官)のお二方が地裁の証拠と証拠の照合も出来ていない不検証な状態で田中角栄元首相を有罪であるかの如くコメントを新聞発表した。この件は司法最大の誤りであることにご当人達は気付かず近代裁判とは程遠い遠山の金さんと同等の専門バカ状態であるが、最高裁元長官の意向により大多数の国民は裁判が不十分な状態であるにも拘わらず当然有罪説を信じたものである。地裁の判事は有罪以外の判決を下せるものではない。左様に予断とは完全に一般消費者に遺伝子組み換え植物食品は有害であるかの如く、強力な刷り込みが行われている。
古来我が国では現場先行で品種改良が行われてきた。戦前、東北では冷害になると不作になるのが常識であったが品種改良のお陰で現在では冷害に耐えうる稲に改良され、こしひかり、あきたこまち等々、おいしい米にまで恵まれる様になった。種無しブドウなど品種改良は数え切れない位あり、品種改良による有害説などきいたことがない。アナログ的品種改良であるのに対し、デジタル的遺伝子組み換えであるとさえいえる。例えば大豆を何故遺伝子組み換え操作するのか、拙宅でも芝生の庭を家庭菜園に切り替え15年目であるがトマトの連作を15年間連作障害なしに年々豊作である。今年も直径12cmの超LLサイズトマトが160個収穫済である。大豆の話に戻ると、畝の端に枝豆(大豆)を植えるのであるが、完全有機栽培の為、当然無農薬でありトマトには何の虫害も無いが枝豆には30%位は虫の被害を受ける。虫害を最小限に抑制するには頻繁に農薬を散布する必要があるのである。「遺伝子組み換えでない」大豆とは大量に農薬を散布された代物であり、消費者は残留農薬の被害を受けているのである。虫害に強く収量も多く栽培期間も短く全てにおいて有効な大豆を栽培するのに必要なアナログ的品種改良では結果が出せなかった故にデジタル的遺伝子操作による品種改良が必要とされているのである。尚、有害説には確たる根拠は示されていない。倫理面での「遺伝子組み換え」に反対している団体もあるやに聞くが臓器移植に口を出すのが先ではなかろうか。25年位過去のことであるが、魚の焼き加減によるおこげ及びご飯のおこげ(炭化)は癌の原因元であるとする説が闊歩した時期があったが、現在ではおこげによる癌化等聴いたことがない。最近ではメタボリック症候群が専門医によると如何にも健康に有害であるかの説があるが、他の医者の説によると医学の全体を知らない専門医の説であり、メタボリック症の人間の方がデーター的にも長生きしていると言う説もある。説とはあくまでも仮説の世界であり決定的ではない。
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◎ファミマ、農業に参入      日刊工業新聞より
■□  収穫野菜を弁当・惣菜に活用

ファミマ、農業に参入-収穫野菜を弁当・惣菜に活用.ファミリーマートは農業に参入する方向で検討を始めた。同社は7月、伊藤忠商事と組んで清涼飲料の製造加工会社を設立し、生産機能を含む一貫体制を構築している。「食の安心・安全」へのニーズが高まる中、飲料水に次いで農業にも参入し、収穫した農産物を弁当や総菜などの材料として利用することを検討する。すでに小売業ではイトーヨーカ堂が農業参入を決めており、小売業が自前で農産物の生産体制を保有する傾向に弾みがつく可能性が浮上してきた。ファミリーマートは農業の展開について、農家や伊藤忠などと組み、全国に農業生産法人を設立する方法などを検討する。ただ、収穫した野菜を店頭で販売すると違い、弁当や総菜の材料として利用する割合が高くなると見られる。小売業が農業参入に関心を示すのは2012年度までに食品廃棄物のリサイクル率を45%まで高めなければならないことが背景にある。                **************************************************