頂門の一針(月曜日)
世論調査のトリック
━━━━━━━━━内田一ノ輔
福田内閣の改造が終わり、新聞各紙が一斉に内閣支持率の調査を行った。各紙の結果を、花岡信昭氏がメールマガジンでまとめたものを書かれていた。『内閣改造を国民はどう見たか。メディアの世論調査に不思議な現象があらわれた。内閣支持率が「横ばい」から最大で14.7ポイントの上昇まで、ばらばらなのだ。
各メディアの調査結果をまとめて見よう。カッコ内は前回調査との比較
である。
☆朝日 支持率24%(±0) 不支持率55%(-3)
☆毎日 支持率25%(+3) 不支持率52%(-2
)
☆読売 支持率41%(+14.7) 不支持率47%(-14.3)
☆日経・テレビ東京 支持率38%(+12 不支持率49%(-14)
☆産経・FNN 支持率29%(+7.6) 不支持率52%(-9.7)
☆共同通信 支持率31%(+4.7) 不支持率48%(-5.4)
こう並べると、上から2社ずつ、朝日・毎日、読売・日経、産経・共同 がほぼ同じ傾向を示している。これも奇妙な符合である。
朝日は横ばい、読売はなんと14・7ポイントの上昇だ。質問内容は朝日が 「福田内閣を支持しますか、支持しませんか」、読売が「福田改造内閣 を支持しますか、支持しませんか」とほとんど同じだ。
回答者はそれぞれの新聞のスタンスを敏感に読み取って答えたのだろう か。このあたり、世論調査のケーススタディーとして学術的な分析対象 ともなりそうだ。
総体的にみれば、支持率が下がったところはなく、不支持率は2ポイン トから14.3ポイント下がっている。不支持率が50%前後であることは共 通しており、その点からいえば、福田首相は安閑としてはいられない局 面に変わりはない。』
花岡氏は、「各紙の質問内容はほとんど同じだ」、「回答者はそれぞれ の新聞のスタンスを敏感に読み取って答えたのだろうか」。このあたり、世論調査のケーススタディーとして学術的な分析対象ともなりそうだ。と考察されている。
しかし、花岡氏の「各紙の質問内容はほとんど同じだ」は正しくないの ではないか。
*「福田内閣」を支持しますか、支持しませんか。
*「福田改造内閣」を支持しますか、支持しませんか。
質問に「改造」という文字が入るか入らないかの違いは大きいのです。
「福田内閣」とした場合は、昨年から続いてきた福田総理をリーダーと する、「死に体」内閣の評価が先行してしまうのです。また、福田総理 自体の評価と捉えやすい、または捉え易くするという含みが出てきてし
まうと思われる。
一方、「福田改造内閣」とした場合は、人気もあり、福田総理より評価 の高い麻生氏が幹事長となったことが明確に頭をよぎることとなり、 「福田内閣」とした場合より好印象を先行させるという、麻生効果が出 てくる、または麻生効果を引き出すことは容易に出来る。
花岡氏は、「回答者はそれぞれの新聞のスタンスを敏感に読み取って答 えたのだろうか」と疑問を呈しているが、新聞社のスタンスを敏感に読 み取ったのではなく、「新聞社が自らのスタンスを、または自らのスタ ンスに誘導させる」ような予断というトリックを仕掛けたとしたほうが むしろ正しいと言っても差し支えないのではないか。
人間というものは、自分が聞きたい答えを見つけ出したいと言う意識が 自然と備わっているそうである。この自分が聞きたい答えを、所属機関の聞きたい答と理解することや、いわゆる「社会の空気」だと置き換えると、導かれる答えの何かが見えてくる。
マイケル・クライトンは著書「恐怖の存在」でこう書いている。
『調査員には正確な質問以外は質問させないとし、ある調査グループに は「この質問に肯定的な答えの得られる確率は70%」、別の調査グルー プには「この質問に肯定的な答えの得られる確率は30%」だ。当然質問 内容はまつたく同じとするが、得られる結果は、「肯定的な答えが70%」となる。』
これらの傾向は、多くの学術研究においても同じであり、各種調査結果 の分析においてもと同様の結論を導きやすいそうである。多くの先入観 が、それに見合う結論を導いてしまうというトリックである。
それらを防止するため「二重盲検法」というものがあり、医薬や人間を 対象とする心理学、社会学や法医学などにも応用されている。
これは、ある調査研究に際し、準備・実施・分析をするグループ間の、 一切のコミュニケーションを絶って行なわれるというものである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E9%87%8D%E7%9B%B2%E6%A4%9C%E6%B3%95
これらの手法や考え方は、その調査研究重要性に応じて行なわれる物で あるが、人間の心理や先入観の傾向と言う物を多少でも知った上でのア ンケート調査が行なわれれば、トリックを仕込むのは簡単なのである。
世論調査においては、同じ質問であっても、年齢、調査場所、時間で傾 向を変えられるものであり、聞き方ひとつで答えを誘導で出来るのであ る。
細かい質問内容や方法は調べていないが、花岡氏の書かれた範囲では 「改造」の有無がキーワードとなり、調査結果に大きな違いの出た原因 といえる。
これが、読売や日経の仕掛けたトリックなのかは判らないし、無意識の結果なのかも判らないが、何れにせよ「大したことではない」。アンケ ート結果で、世の中や政治が良くなる話でもないのだ。頭が変わらなけ れば何も変わらない。ただのお遊びでしかない。
━━━━━━━━
水死しないために
━━━━━━━━異邦人
毎年、夏になると、あちらこちらで水難事故が発生します。行楽である はずが事故に遭ってしまっては何にもなりません。水難事故の原因にはいろいろありますが、それぞれの原因態様を概観した上で対策をしていただく一助にして頂ければ幸甚です。
まず、海水浴や河川、プールなどで遊んでいるときに多いのが心臓麻痺 などによる突然死が挙げられます。この場合、そのほとんどが睡眠不足や過労といった体調の不良か、あるいは飲酒などが原因であると言われますので、「せっかく来たのだから」などと思わずに水に入るのは控えるべきでしょう。
また、体調が良いので水に入ろうとするのであれば、必ず念入りに準備 運動をし、手足などの体幹部から遠い部位から水を掛け、体を水に慣ら してからにすべき。河川での遊泳時に気をつけなければいけないのは「急な増水」と「流速が遅く見える場所」です。
急流であれば見た目でも危険に思うので、慎重になるのですが、瀞(と ろ)や淀み(よどみ)というものは気を緩めてしまいがちです。このような場所は川床などの状態によってさまざまな乱流が起きており、深みに引きずり込まれることになります。こういうのを昔の人は「河童に引かれる」などといったものです。最近では怪談話として水中の幽霊に足を引っ張られたとか言っているようですけれど。
急な増水についてですが、この場合、一番厄介なのは現場周辺では雨が降っていなかったり、時として雲一つ無かったりすることです。
とはいっても、その多くの場合、水に濁りやゴミなどが増水する遅くと も数分前には見られますので、そういった現象が見られたら直ちに川岸 から離れる必要があります。また、川岸などを良く見ると草の生え方が 異なる等洪水線が発見できますので、それを目安にしておくのも必要で す。
海水浴場の場合や磯釣りなどでの事故を見てみましょう。磯釣りの場合は満潮時の事前確認と、その際の退避経路を確認すること等が必要です。大きな獲物によって落水した場合でも落ち着いて行動すれば大事故になることは少ないです。
ただ、着衣落水は行動の制限を受けますから、慌てずに脱衣することと、クーラーボックスなどがあれば、必ずそれらの浮遊物に身を預けると良いです。中身が入ったクーラーボックスでも人間が掴まっても沈むことはありません。また、救命胴衣などの救命具を着用しておけば不時落水などによる事故死を防ぐことができます。
木綿製のズボンは足先を縛ってベルト部分を持って頭上から振り被って 水面に叩き付けるようにするとV字形の浮輪になります。空気が抜けて きたら、先の動作を繰り返すことで浮上していることができます。
海水浴場などで遊泳する際に注意することとしては、赤旗(遊泳禁止区 域表示)の外側には出ないのが鉄則です。まぁ確かに詰まりませんが、 安全という観点からは仕方がありません。
遊泳可能区域内であっても、潮の流れによって沖に流されてしまうこと もあります。こういった場合、慌てて岸に向かおうとしても岸からドン ドン離されてしまったりしますので、岸に対して「平行」に泳ぐと離岸 流から簡単に逃れることができます。
最近の学校では水泳を教科としている場合でもプール等の平水(静水) における泳法(はっきり言えば競技水泳等)を教えるのみで「抜き手」 や「立ち泳ぎ」などはおろか遠泳や浮身を教えることがありません。
少なくとも競技水泳としてのものではない「平泳ぎ」を教える必要があ ります。その他にも着衣水泳および水中脱衣といった実践水泳術を身に 付けることが必要ですね。
━━━━━━━━━━━━
スターリンとシェワルナゼ
━━━━━━━━━━━━古澤 襄
非情な独裁者・スターリンの氏・素性・生い立ちを調べたことがある。
それが何と武力衝突しているグルジアのゴリで貧しい靴屋の息子として 生まれていた。ゴリは今やロシア軍機の激しい空爆を受けている。
スターリンの母親は農奴。靴屋のオヤジは酒乱という家庭でスターリン は、近くのユダヤ人がスターリンを哀れみ、本などを与えて勉強させた という。酒乱の父親が家出した後、スターリンはゴリの教会学校からト リビシ神学校に進んでいた。
グルジアは4世紀に遡るキリスト教国。グルジア人が83・8%を占めてい るが、グルジア正教徒が75%、イスラム教徒は11%に過ぎない。
スターリンはトリビシ神学校で優秀な生徒だったというから、社会主義 運動に急傾斜することがなかったら、ソ連時代にも平凡な少数民族の敬 虔なグルジア正教徒で生涯を終えていたかもしれない。
しかし、この時代にスターリンは社会主義運動へ積極的に参加、教師に 反抗的な態度を示すようになって、トリビシ神学校を放校された。その 行動は一直線で激しかった。
やがて党中央からも認められるようになるが、白系ロシア人が主流であ ったソ連において、格下の少数民族・グルジア人というコンプレックス につきまとわれている。
人一倍コンプレックスを強く感じるゆえ、スターリンは異常なまでの権 力欲、顕示欲の塊であり、その目的を達するためには全く手段を選ばな かった。
裏切り者を絶対に許さない不寛容さと、人間を殺すことをなんとも思 わない冷酷な性格の持ち主であり、粛清した政敵の写真を見て悦に入り ながら故郷のグルジアワインを愛飲していたという。(ウイキペデイア)
だとすればスターリンの性格は後天的なものなのかもしれない。クレム リンの権力者となった後に子供時代に面倒をみて貰った老ユダヤ人を呼 んで歓待した逸話が残っている。
グルジア出身の政治家でシェワルナゼがいる。ランチフティ地区ママティ村の生まれである。1985年にゴルバチョフ書記長が誕生するとソ連共産党中央委員会政治局員に抜擢されたが、ゴルバチョフとはお互いに地方党員時代からの旧知の仲であった。
ゴルバチョフの新思考外交推進役としてソ連外相に就任、ゴルバチョフ のペレストロイカでも片腕となった。ソ連崩壊後はグルジア共和国の大 統領。シェワルナゼはドイツ人に人気がある。外相時代にドイツ統一に 尽力した事が高く評価されていて「祖国統一の恩人」の一人ともいわれ ている。
今回のロシアとグルジアの武力衝突は、南オセチア自治州をめぐる両国 の対立が原因となった。南オセチアはグルジアの自治州だが、事実上は 独立状態でグルジア政府の権力は及んでいない。南オセチア共和国を自
称し、グルジアからの分離、ロシア連邦への加入を主張している。
住民はロシア連邦の北オセチアとグルジアの南オセチア自治州に住むオ セット人という山岳民族。両地方を合わせて60万人といわれている。独 自のオセット語を使い、ソ連時代から独立志向が強かった。
スキタイ、サルマタイ、アラン人などの古代の黒海北岸一帯で活動した イラン系民族の後裔と考えられている。
彼らは諸民族と混交を重ねていく中で、アス人と自称したオセット人の 先祖がハザールの解体後、カフカス山脈北麓の低地地帯に王国を形成し、カフカス先住諸民族の強い影響を受けた独自の文化を発展させた。(ウイキペデイア)
グルジアのロシア離れ、欧米接近に危機感を持つロシアが、独立志向が 強い南オセチア自治州に武力支援をして、これに危機感を持ったグルジ アが南オセチア自治州に武力介入したという複雑な様相を示している。
これには原油高騰で潤ったロシアにおいて、強気で大ロシア主義に突き 進むプーチン・ドクトリンがかいまみえる。白系ロシア人のプーチンを グルジア人のスターリンとシェワルナゼはどう見ているのだろうか。
━━━━━━━━━内田一ノ輔
福田内閣の改造が終わり、新聞各紙が一斉に内閣支持率の調査を行った。各紙の結果を、花岡信昭氏がメールマガジンでまとめたものを書かれていた。『内閣改造を国民はどう見たか。メディアの世論調査に不思議な現象があらわれた。内閣支持率が「横ばい」から最大で14.7ポイントの上昇まで、ばらばらなのだ。
各メディアの調査結果をまとめて見よう。カッコ内は前回調査との比較
である。
☆朝日 支持率24%(±0) 不支持率55%(-3)
☆毎日 支持率25%(+3) 不支持率52%(-2
)
☆読売 支持率41%(+14.7) 不支持率47%(-14.3)
☆日経・テレビ東京 支持率38%(+12 不支持率49%(-14)
☆産経・FNN 支持率29%(+7.6) 不支持率52%(-9.7)
☆共同通信 支持率31%(+4.7) 不支持率48%(-5.4)
こう並べると、上から2社ずつ、朝日・毎日、読売・日経、産経・共同 がほぼ同じ傾向を示している。これも奇妙な符合である。
朝日は横ばい、読売はなんと14・7ポイントの上昇だ。質問内容は朝日が 「福田内閣を支持しますか、支持しませんか」、読売が「福田改造内閣 を支持しますか、支持しませんか」とほとんど同じだ。
回答者はそれぞれの新聞のスタンスを敏感に読み取って答えたのだろう か。このあたり、世論調査のケーススタディーとして学術的な分析対象 ともなりそうだ。
総体的にみれば、支持率が下がったところはなく、不支持率は2ポイン トから14.3ポイント下がっている。不支持率が50%前後であることは共 通しており、その点からいえば、福田首相は安閑としてはいられない局 面に変わりはない。』
花岡氏は、「各紙の質問内容はほとんど同じだ」、「回答者はそれぞれ の新聞のスタンスを敏感に読み取って答えたのだろうか」。このあたり、世論調査のケーススタディーとして学術的な分析対象ともなりそうだ。と考察されている。
しかし、花岡氏の「各紙の質問内容はほとんど同じだ」は正しくないの ではないか。
*「福田内閣」を支持しますか、支持しませんか。
*「福田改造内閣」を支持しますか、支持しませんか。
質問に「改造」という文字が入るか入らないかの違いは大きいのです。
「福田内閣」とした場合は、昨年から続いてきた福田総理をリーダーと する、「死に体」内閣の評価が先行してしまうのです。また、福田総理 自体の評価と捉えやすい、または捉え易くするという含みが出てきてし
まうと思われる。
一方、「福田改造内閣」とした場合は、人気もあり、福田総理より評価 の高い麻生氏が幹事長となったことが明確に頭をよぎることとなり、 「福田内閣」とした場合より好印象を先行させるという、麻生効果が出 てくる、または麻生効果を引き出すことは容易に出来る。
花岡氏は、「回答者はそれぞれの新聞のスタンスを敏感に読み取って答 えたのだろうか」と疑問を呈しているが、新聞社のスタンスを敏感に読 み取ったのではなく、「新聞社が自らのスタンスを、または自らのスタ ンスに誘導させる」ような予断というトリックを仕掛けたとしたほうが むしろ正しいと言っても差し支えないのではないか。
人間というものは、自分が聞きたい答えを見つけ出したいと言う意識が 自然と備わっているそうである。この自分が聞きたい答えを、所属機関の聞きたい答と理解することや、いわゆる「社会の空気」だと置き換えると、導かれる答えの何かが見えてくる。
マイケル・クライトンは著書「恐怖の存在」でこう書いている。
『調査員には正確な質問以外は質問させないとし、ある調査グループに は「この質問に肯定的な答えの得られる確率は70%」、別の調査グルー プには「この質問に肯定的な答えの得られる確率は30%」だ。当然質問 内容はまつたく同じとするが、得られる結果は、「肯定的な答えが70%」となる。』
これらの傾向は、多くの学術研究においても同じであり、各種調査結果 の分析においてもと同様の結論を導きやすいそうである。多くの先入観 が、それに見合う結論を導いてしまうというトリックである。
それらを防止するため「二重盲検法」というものがあり、医薬や人間を 対象とする心理学、社会学や法医学などにも応用されている。
これは、ある調査研究に際し、準備・実施・分析をするグループ間の、 一切のコミュニケーションを絶って行なわれるというものである。
http://
これらの手法や考え方は、その調査研究重要性に応じて行なわれる物で あるが、人間の心理や先入観の傾向と言う物を多少でも知った上でのア ンケート調査が行なわれれば、トリックを仕込むのは簡単なのである。
世論調査においては、同じ質問であっても、年齢、調査場所、時間で傾 向を変えられるものであり、聞き方ひとつで答えを誘導で出来るのであ る。
細かい質問内容や方法は調べていないが、花岡氏の書かれた範囲では 「改造」の有無がキーワードとなり、調査結果に大きな違いの出た原因 といえる。
これが、読売や日経の仕掛けたトリックなのかは判らないし、無意識の結果なのかも判らないが、何れにせよ「大したことではない」。アンケ ート結果で、世の中や政治が良くなる話でもないのだ。頭が変わらなけ れば何も変わらない。ただのお遊びでしかない。
━━━━━━━━
水死しないために
━━━━━━━━異邦人
毎年、夏になると、あちらこちらで水難事故が発生します。行楽である はずが事故に遭ってしまっては何にもなりません。水難事故の原因にはいろいろありますが、それぞれの原因態様を概観した上で対策をしていただく一助にして頂ければ幸甚です。
まず、海水浴や河川、プールなどで遊んでいるときに多いのが心臓麻痺 などによる突然死が挙げられます。この場合、そのほとんどが睡眠不足や過労といった体調の不良か、あるいは飲酒などが原因であると言われますので、「せっかく来たのだから」などと思わずに水に入るのは控えるべきでしょう。
また、体調が良いので水に入ろうとするのであれば、必ず念入りに準備 運動をし、手足などの体幹部から遠い部位から水を掛け、体を水に慣ら してからにすべき。河川での遊泳時に気をつけなければいけないのは「急な増水」と「流速が遅く見える場所」です。
急流であれば見た目でも危険に思うので、慎重になるのですが、瀞(と ろ)や淀み(よどみ)というものは気を緩めてしまいがちです。このような場所は川床などの状態によってさまざまな乱流が起きており、深みに引きずり込まれることになります。こういうのを昔の人は「河童に引かれる」などといったものです。最近では怪談話として水中の幽霊に足を引っ張られたとか言っているようですけれど。
急な増水についてですが、この場合、一番厄介なのは現場周辺では雨が降っていなかったり、時として雲一つ無かったりすることです。
とはいっても、その多くの場合、水に濁りやゴミなどが増水する遅くと も数分前には見られますので、そういった現象が見られたら直ちに川岸 から離れる必要があります。また、川岸などを良く見ると草の生え方が 異なる等洪水線が発見できますので、それを目安にしておくのも必要で す。
海水浴場の場合や磯釣りなどでの事故を見てみましょう。磯釣りの場合は満潮時の事前確認と、その際の退避経路を確認すること等が必要です。大きな獲物によって落水した場合でも落ち着いて行動すれば大事故になることは少ないです。
ただ、着衣落水は行動の制限を受けますから、慌てずに脱衣することと、クーラーボックスなどがあれば、必ずそれらの浮遊物に身を預けると良いです。中身が入ったクーラーボックスでも人間が掴まっても沈むことはありません。また、救命胴衣などの救命具を着用しておけば不時落水などによる事故死を防ぐことができます。
木綿製のズボンは足先を縛ってベルト部分を持って頭上から振り被って 水面に叩き付けるようにするとV字形の浮輪になります。空気が抜けて きたら、先の動作を繰り返すことで浮上していることができます。
海水浴場などで遊泳する際に注意することとしては、赤旗(遊泳禁止区 域表示)の外側には出ないのが鉄則です。まぁ確かに詰まりませんが、 安全という観点からは仕方がありません。
遊泳可能区域内であっても、潮の流れによって沖に流されてしまうこと もあります。こういった場合、慌てて岸に向かおうとしても岸からドン ドン離されてしまったりしますので、岸に対して「平行」に泳ぐと離岸 流から簡単に逃れることができます。
最近の学校では水泳を教科としている場合でもプール等の平水(静水) における泳法(はっきり言えば競技水泳等)を教えるのみで「抜き手」 や「立ち泳ぎ」などはおろか遠泳や浮身を教えることがありません。
少なくとも競技水泳としてのものではない「平泳ぎ」を教える必要があ ります。その他にも着衣水泳および水中脱衣といった実践水泳術を身に 付けることが必要ですね。
━━━━━━━━━━━━
スターリンとシェワルナゼ
━━━━━━━━━━━━古澤 襄
非情な独裁者・スターリンの氏・素性・生い立ちを調べたことがある。
それが何と武力衝突しているグルジアのゴリで貧しい靴屋の息子として 生まれていた。ゴリは今やロシア軍機の激しい空爆を受けている。
スターリンの母親は農奴。靴屋のオヤジは酒乱という家庭でスターリン は、近くのユダヤ人がスターリンを哀れみ、本などを与えて勉強させた という。酒乱の父親が家出した後、スターリンはゴリの教会学校からト リビシ神学校に進んでいた。
グルジアは4世紀に遡るキリスト教国。グルジア人が83・8%を占めてい るが、グルジア正教徒が75%、イスラム教徒は11%に過ぎない。
スターリンはトリビシ神学校で優秀な生徒だったというから、社会主義 運動に急傾斜することがなかったら、ソ連時代にも平凡な少数民族の敬 虔なグルジア正教徒で生涯を終えていたかもしれない。
しかし、この時代にスターリンは社会主義運動へ積極的に参加、教師に 反抗的な態度を示すようになって、トリビシ神学校を放校された。その 行動は一直線で激しかった。
やがて党中央からも認められるようになるが、白系ロシア人が主流であ ったソ連において、格下の少数民族・グルジア人というコンプレックス につきまとわれている。
人一倍コンプレックスを強く感じるゆえ、スターリンは異常なまでの権 力欲、顕示欲の塊であり、その目的を達するためには全く手段を選ばな かった。
裏切り者を絶対に許さない不寛容さと、人間を殺すことをなんとも思 わない冷酷な性格の持ち主であり、粛清した政敵の写真を見て悦に入り ながら故郷のグルジアワインを愛飲していたという。(ウイキペデイア)
だとすればスターリンの性格は後天的なものなのかもしれない。クレム リンの権力者となった後に子供時代に面倒をみて貰った老ユダヤ人を呼 んで歓待した逸話が残っている。
グルジア出身の政治家でシェワルナゼがいる。ランチフティ地区ママティ村の生まれである。1985年にゴルバチョフ書記長が誕生するとソ連共産党中央委員会政治局員に抜擢されたが、ゴルバチョフとはお互いに地方党員時代からの旧知の仲であった。
ゴルバチョフの新思考外交推進役としてソ連外相に就任、ゴルバチョフ のペレストロイカでも片腕となった。ソ連崩壊後はグルジア共和国の大 統領。シェワルナゼはドイツ人に人気がある。外相時代にドイツ統一に 尽力した事が高く評価されていて「祖国統一の恩人」の一人ともいわれ ている。
今回のロシアとグルジアの武力衝突は、南オセチア自治州をめぐる両国 の対立が原因となった。南オセチアはグルジアの自治州だが、事実上は 独立状態でグルジア政府の権力は及んでいない。南オセチア共和国を自
称し、グルジアからの分離、ロシア連邦への加入を主張している。
住民はロシア連邦の北オセチアとグルジアの南オセチア自治州に住むオ セット人という山岳民族。両地方を合わせて60万人といわれている。独 自のオセット語を使い、ソ連時代から独立志向が強かった。
スキタイ、サルマタイ、アラン人などの古代の黒海北岸一帯で活動した イラン系民族の後裔と考えられている。
彼らは諸民族と混交を重ねていく中で、アス人と自称したオセット人の 先祖がハザールの解体後、カフカス山脈北麓の低地地帯に王国を形成し、カフカス先住諸民族の強い影響を受けた独自の文化を発展させた。(ウイキペデイア)
グルジアのロシア離れ、欧米接近に危機感を持つロシアが、独立志向が 強い南オセチア自治州に武力支援をして、これに危機感を持ったグルジ アが南オセチア自治州に武力介入したという複雑な様相を示している。
これには原油高騰で潤ったロシアにおいて、強気で大ロシア主義に突き 進むプーチン・ドクトリンがかいまみえる。白系ロシア人のプーチンを グルジア人のスターリンとシェワルナゼはどう見ているのだろうか。