漁業用燃料費の補てんは安易な発想。水産業界の流通改革に着手せよ! (大前研一) | 日本のお姉さん

漁業用燃料費の補てんは安易な発想。水産業界の流通改革に着手せよ! (大前研一)

▼ 漁業用燃料費の補てんは安易な発想。水産業界の流通改革に着手せよ! (大前研一)
●「原油高 → 燃料コスト高 → 補てんすべし」という発想はあまりにも安直だ
7月28日、政府・与党は新たな原油高対策として、漁業用燃料費の値上がり分の大半を事実上、直接的に補てんする方針を決定しました。補てんを含む緊急対策の総額は745億円。政府はこれまで価格補助政策は市場原理に反するとの立場でしたが、漁民の窮状に配慮して方針を変えたとのことです。先日、全国の漁業従業者の代表約3,000人が、政府・与党に対して燃料費の補てんなどを訴えるため、日比谷公園で全国漁民大会を開催しました。そこには漁業関連の陣笠議員が約100人も集まり、その中には「1兆円の補てんを確保する」という趣旨の発言した議員もいたようです。何とも現実離れした意見だと言わざるを得ませんが、そもそも、私はこうした集まり自体が「うそ臭い」という印象を持っています。
なぜなら、必ずしも全ての漁業従事者が本当の意味で「漁業に出ている」とは限らないからです。まず、日本の漁業の約半分は、漁港ではなく貨物港に届けられたもので成り立っているという事実を見落としては いけません。私たちが食べる魚の約半分は、漁業としてではなく貨物としての扱われているものであるということを認識すべきです。また、漁獲高について見てみると、約四分の一は「養殖」によるものです。養殖であれば燃料を使って漁業に「出ていく」わけではありませんから、今回の焦点となっている原油高による燃料費高騰の重大な影響を受けるとは考えにくいと思います。さらに、漁獲高の実態として次のようなことを知っておくべきです。それは、例えば漁獲高が大きいことで有名な青森の八戸漁港では、ロシア人が漁獲したものを洋上交換しているということです。また、日本海側で漁獲高が大きい鳥取・境港なども、北朝鮮の船と洋上交換しているのは間違いないと思います。そう考えなければ、日本海側全体ではなく、一部の漁港だけがその漁獲高を増やしているという理由を説明できないからです。結局、日本の漁民の中で「海」を漁場として本物の漁業を営む人の割合はどのくらいなのか、またその漁獲高がどのくらいになるのか、という点を把握していなければ今回の議論は意味がありません。漁民が窮状に瀕しているからといって、燃料の問題と考えてしまうのは短絡的だと言わざるを得ないと思います。

●流通改革に着手して古い流通制度を壊すことが第一歩
燃料費対策が漁業の実態に合うかどうかという話の前に、私としては魚の値段が上がるというなら、別段対策をする必要もなく、そのまま市場メカニズムを働かせて、 魚の値段を上げてしまえば良いと考えています。というのは、漁業には流通改革をして改善できることが 山のようにあるのですが、短絡的に補てんという形をとってしまうと、古い流通制度が残ってしまい、流通改革が一向に進まないからです。漁業の流通問題として最も大きな課題は、漁港から私たち消費者に届くまでの流通中間マージンが大きすぎる点です。例えば、鯛の浜値は以前の1万円台の価格から今では1000円台にまで割り込んでいます。すなわち、漁民が受け取る金額は 1000円台ということです。しかし、これが私たち消費者の手元に届く頃には、4000円台の金額に跳ね上がっています。最終価格の約75%に当たる 3000円分は、漁港より外側にある流通マージンとして加算 されているというわけです。中国産のふぐなども同様に、漁港では1キロ1000円台で買えるものが、消費者の手元に届く頃には1キロ1万円ほどになっており流通中間マージンが大部分を占めている状態です。燃料費を補てんする前に、このような流通上の問題を解決するべきだと私は思います。流通改革を中心に漁業改革を行い、それでも燃料費が高いというならダイレクトに私たち消費者がそれを負担する仕組みにするべきです。
「あっちを上げたら、こっちもそっちも・・・」というように、燃料費とは本来関係がないような流通中間マージンも値上がりし、最終的に流通の最終地点にいる消費者が割を食うという構造そのものを作り変える必要があると思います。また安易な補てんなどは一切せずに流通改革を前提に考えれば、漁民も少しは工夫をして、直接的に一般消費者に魚を届ける方法などを模索し始めるのではないかと思います。実際、コメなどは流通改革の一環として産地直送などが盛んになってきているので、漁業においても不可能ではないと思います。ヨーロッパのように流通機構に問題はなく、本当に漁民が苦しい状況にあるというなら助けるべきだと思いますし、そうした事情があれば今回のような直接的な補てんも良いことだと思います。しかし、日本の漁業の現状から言えば、補てんの前に漁業全体の実態やその構造上の本質的な問題を見極め、その改善に着手すべきです。「原油高=燃料費の上昇」という表層上の現象のみを見て、「燃料費の補てん」という対処を施してしまっていては、結局古い制度は残ったままで、本質的な問題が解決されず、元の木阿弥状態です。表面に見える問題らしき事象に惑わされず、本質的な問題を見極めることの重要性は、いくら強調しても足らないほどです。問題解決の最も重要な基本ですから、ぜひ身につけてもらいたいと思います。
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ようちゃん。↓
★私たちが食べる魚の約半分は、漁業としてではなく 貨物としての扱われている。 また、漁獲高について見てみると、約四分の一は「養殖」に よるものです。漁獲高が大きいことで有名な青森の 八戸漁港では、ロシア人が漁獲したものを洋上交換している日本海側で漁獲高が大きい鳥取・境港なども、 北朝鮮の船と洋上交換している。鯛の浜値は1000円台 しかし、これが私たち消費者の手元に届く頃には、4000円台 になる。流通経路が長い。中国産のふぐなども同様に、漁港では1キロ1000円台 、消費者の手元に届く頃には1キロ1万円ほどに なっており 流通中間マージンが大部分。漁民も少しは工夫をして、直接的に一般消費者に魚を届ける 方法などをするべき時代に来てる。受身で他人任せは、首を絞める結果になる。・・・・昔のように、かぁちゃんに、町へ直売に行けとは言わないが・・・。地方都市では、直売市場を展開してる所も増えてる。
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▼見えてきた自殺大国日本の実相(2008年8月6日 ビデオニュース・ドットコム)ゲスト:清水康之氏(NPO法人ライフリンク代表)
日本人の自殺が一向に減らない。先月発表された自殺統計では、07年の自殺者の数が前年を上回り、過去2番目に多い3万3093人に達していたことが明らかになった。これで、日本の自殺者数は、10年連続で3万人を超えたことになる。06年に自殺対策基本法が制定され、政府も自殺問題に取り組み始めてはいるが、OECD加盟国中ハンガリーについで2位という日本の高い自殺率は、いまだに改善の兆しが見えない。NPO法人自殺対策支援センターライフリンクはこのほど、自殺者の遺族への聞き取り調査などをもとに、自殺に関する詳細なデータを分析した「自殺実態白書2008」を取りまとめて発表した。自殺者の実態調査は日本ではこれが初めてのものとなる。宮台真司と斎藤貴男の両キャスターが、白書の作成を通じて見えてきた日本の自殺者の実態とその原因となっている社会的な背景や予防策を清水氏と議論した。

・経済状況と自殺の密接な関係

斎藤:世界各国と比較した場合、日本の自殺にはどんな特徴があるのか。
 
清水:日本の場合98年から自殺者数が増えたといわれているが、もっと正確に言うと、自殺者が増えはじめたのは98年の3月だ。つまり、97年の決算期に当たる時期に自殺率は急増した。実は同じタイミングで、失業率も急上昇、倒産件数も増加している。97年に何が起きたかというと、山一證券や北海道拓殖銀行が破綻し、金融不安が一挙に広がり、貸し渋り、貸しはがしがひどくなった。失業率と倒産件数が上がったのに呼応するような形で、自殺率は98年の3月から上がり、そのままずっと高止まりしているのが実情だ。諸外国と比較して、経済的な要因・背景と相関関係が非常に強く見られるのが、日本の自殺の特徴だといえると思う。

・地域の特性の解明には、さらなるデータ開示が必要

宮台:警察署別自殺者数のリストを見て思ったのは、青森や福岡県筑紫野、愛知県豊田もだが、工業団地があるところが目立つということだ。
 
清水:特に被雇用者の自殺が多かった所轄がどこなのかを見てみると、工業団地や大手の自動車や化学薬品の工場がある地域が軒並み上位にきている。
 
斎藤:工業団地があるということは、その地域の中に大企業があって、その下請け、孫請けで形成されるピラミッド構造があるということか。
 
清水:今回の白書で、自殺者の職業が自営者なのか、被雇用者なのか、無職者なのかということまでは分類ができた。しかし、自殺した被雇用者の方が正社員なのか、派遣社員なのか、契約社員なのかパートなのかまでは、今回警察庁が厚労省を経由して研究者に提供したデータには含まれていない。実際にはそれらのデータは存在するので、それを見ることができれば、ピラミッド構造と自殺との因果関係がもっとよく見えてくるはずだ。我々はまだ、調査は不十分だと思っている。

・実態の解明により、地域での自殺防止対策の実施へ一歩前進

清水:我々は地区町村ですぐに対策に生かしてもらえるよう、警察署別のデータを分けて市区町村別に示した。特徴的なデータをいくつかあげると、埼玉県さいたま市浦和では20代から60代までの無職者の女性の自殺者が非常に多いという特徴がある。日本全体で考えると、男性の自殺者と女性の自殺者の比率は3対1で、圧倒的に男性の割合が多く、女性は低い。さいたま市浦和は、全国的な傾向とは異なる特徴を示していることがわかる。あるいは、大阪市の西区は自営者の自殺が多いという特徴があり、愛知県豊田市では、男性の20代から50代までの被雇用者が非常に多い。単にそれぞれの所轄で何人が亡くなっているかだけでなくて、亡くなった方たちがどういう職業で、どういう年代でどういう要因だったのかを見ていくと、その地域の特性が見えてくる。さいたま市浦和では無職者の女性の自殺率が高いとわかったわけだが、その地域で自殺対策を立てるときに、行政の窓口で無職者の女性と接する機会が多い場所はどこかということを考えれば、無職者の女性に情報を提供できるようになる。あるいは、無職者の女性と接する機会のある相談機関や専門機関はどこなのかをあぶり出し、リスクを抱えている人たちに困った場合は相談をするよう呼びかけることができる。つまり、誰がどのような要因で亡くなっているのかがわかれば、支援をピンポイントでハイリスク者の人たちに提供できるようになる。そうなれば、地域の自殺対策は大きく変わるはずだ。
 
宮台:不十分であるとしても、ここまで実態が明らかになったことは相当の進歩だと思う。実態がわかれば窓口を特定しやすくなるということもあるし、やはり大事なのは因果関係だ。どうしてその地域では自殺が多いのかという因果関係を分析する際に、非常に有力な手がかりを得られる。
 
清水:詳しい情報が出てこなければ、地域では対策を立てようがない。顔が見えずターゲットをしぼることができない状態で、地域で自殺対策を取るようにという指示をしても、できることは啓発活動だけになってしまう。2年前、基本法の成立によって官民が連帯してそれぞれの地域で対策を行うという枠組みができた。しかし、いろいろなことがやれるしくみはできたが、中身は何をやっていいのかわからない状況だった。今回実態と地域の特性、自殺に追い込まれるプロセスが明らかになったことによって、初めて基本法の意味が出てくるのではないかと考えている。今回実態がわかってきたことによって、それぞれの地域で誰がどういうことをすれば良いのか、どの部署がどの部署と連携して何をすればよいのか、誰をターゲットにするのかがようやくはっきりした。自殺防止対策を実施に移すことができる段階にきたと感じている。
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★自殺者対策はキメ細かく、地方によって特色がある事が判明した事は重要な進展です。<1、埼玉県さいたま市浦和では20代から60代までの無職者の女性の自殺者が非常に多いという特徴がある。2、大阪市の西区は自営者の自殺が多いという特徴があり、3、愛知県豊田市では、男性の20代から50代までの被雇用者が非常に多い。4、日本全体で考えると、男性の自殺者と女性の自殺者の比率は3対1で、圧倒的に男性の割合が多く、女性は低い。>ピンポイントで自殺防止対策を地域ごとの個別に重点対策が建てられる。年に3万人を超える人々が十年も連続してるのです。その間30万人を超える人々が10年間で、地方都市が丸ごと、1つ消えることになるのです。 子化対策や外国人移民労働者問題ばかりが、取り上げられるのは片手落ちです。
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