▼「トイレの水を使いたい放題」の日本人に告ぐ(日経)
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【暮らしとエコロジーを考える“ゴミ捨て人生”にさようなら】
▼「トイレの水を使いたい放題」の日本人に告ぐ(日経)
「Peace&Eco」をテーマにした作品で国際的に知られるアートディレクター、グラフィックデザイナーの青葉益輝(あおば・ますてる)さんが、6月末に初エッセイ『心に「エコ」の木を植えよう』(求龍堂)を上梓した。本の表紙には、青葉さんの作品が載っている。トイレットペーパーの先端が緑の葉っぱになったイラストに、「LOVE ME LITTLE LOVE ME LONG」のキャッチコピー。よく目にする「紙を大切に使いましょう」という張り紙にはもはや何も感じないが、青葉さんのこの作品には心が動いた。メッセージがすっと心に入ってくる。声高に主張するのではなく、「LOVE ME LITTLE~」の雰囲気そのままに、語り口調は優しくユーモラス。水や電気の使い方、買い物の仕方、トイレの使い方、ゴミや食料廃棄の問題、さらに健康、幸せな暮らしまで、デザイナーならではの発想力で、どうすれば今の生活を変えていくことができるのかのヒントを満載している。 エッセイ発行を機に、青葉さんが40年のキャリアで一貫して訴え続けている「環境」と「平和」について存分に語っていただいた。
・美化ポスターがきっかけで、ゴミについて考えるように
「自分はエコロジストではない。20~30年前から考えていた生活マナーやヒントについて書いただけ」という青葉さん。なんといっても彼は、エコロジーの概念すらなかった1960年代から「ゴミとつき合っている」のだ。きっかけは、ふと目に止まった東京都清掃局の美化ポスター。そのセンスが気になって、自ら制作を申し出た。路上の水たまりに投げ捨てられた吸い殻の写真に「灰皿ではありません」というコピーをつけたポスターが話題になり、以来「公共広告の青葉」の呼び名が定着した。「都の美化運動のポスターを作っている青葉が、ゴミを無分別に捨てていると言われるのがいやで、それからは自分の生活だけはなんとかしようと変えてきた」と明かす。余分なモノは買わない、修理しながら使い続ける、ゴミの分別を徹底する、シャワーの出しっぱなしや電気のつけっぱなしもやめる…と、地道に取り組んできた。本書はそういった青葉さんの日常生活の集大成だ。青葉さんは1つの製品が生まれるまでに、どんな資源を使うのか、消費者にどんな使われ方をするのか、捨てる時はどうなるのかと、あらゆる点を検討することをモットーにしている。こうした視点なくして、これからの商品作りはあり得ない、長く使ってもらえるデザインをすることが、これからのデザイナーの使命だと語る。「デザイン」という言葉は「デ」と「サイン」に分かれる、と青葉さんは言う。「デ」は「考える」「設計する」という意味。モノづくりで言えば、資源、かかるコスト、価格、どうやって捨てるかなど、あらゆることを想定して考えるのが、「デ」の役目。それから、それに適した色や大きさを決めて形にするのが「サイン」だと言う。作る側も買う側も、とかく見た目の「サイン」ばかりに目が行く。買い物をする時も「サイン」を気にして買ってしまいがちだ。しかし、本当に重要なのは「デ」の部分だと青葉さんは指摘する。買い物は選挙と同じ「デ、デ、デ…を考えて、買い物をしましょう」と青葉さん。例えばなぜ、カボチャは全部同じ大きさでなければいけないのか。大きさや形が揃っている方が見た目はいいが、「デ」を重視すれば、形の悪いカボチャでもいいのではないか。買ってすぐ捨てるのに、なぜ過剰な包装をするのか。見た目にこだわるあまり綺麗な包装紙で包みたがるが、「デ」を考えれば過剰包装は不要なのではないか……。「買い物をしていて、こういう疑問を感じたら、店にハガキを送るといい」と青葉さんは言う。「買い物は選挙での投票行動と同じです。みんなが買わなければ、その商品は落選するし、支持すれば生き残る。消費者が世の中を変えていく可能性は十分にあります」「見かけだけの商品は、やがて消えていく。デザインに成功したものだけが生き残っていきます」。それは、生命体が証明しているという。植物も動物も、あらゆる生命は「長い時間をかけてデザインに成功したから生き延びた。人間も同じ。しかし、人間は地球のデザインを間違ってしまったのではないか。その結果が地球温暖化、環境破壊、紛争なのではないのか」と問いかける。エッセイのサブタイトルには「人類百億人時代を考える」と入っているが、この言葉にこそ、青葉さんの危機感が表れている。「日本は今、世界で最も豊かな国の1つと言われているが、世界中から何を手に入れたからでしょうか? 果たしてこのままでいいのでしょうか?」。資源が少ないと言いながら、世界中から集めてきた資源や食べ物を無駄に使い、無駄に廃棄している現実がある。本書では、トイレで使う水についても触れている。「日本女性が1回のトイレで使う水の使用量は世界一」と青葉さんは言う。実はトイレの水の使用量は、1回につき6リットルという国際基準があるという。ところが日本の標準型の便器では、1回に約8リットルを消費するそうだ。国際基準よりペットボトル1本分多い。「水の量は世界の約束、トイレの水マナーは世界の約束。日本人だけが“限りある水資源を使いたい放題”というのは、ワールドマナー違反です」
このほか、本書では生活の中での小さな「エコの工夫」を取り上げている。例えば、汚れた食器を洗う時、水を流しっぱなしにしない工夫や、「水の代わりに何度でも使える“バイオ砂”で洗うことはできないか」という提案。「ケーキ作りに使うゴムヘラで、皿についた汚れをこそげ取る道具を作ったらどうか」「生ゴミに載せて水を切る“文鎮”を作り、役所が配ったらどうか」など、実現しそうなアイデアも惜しみなく披露する。「どれも、あったら便利だと思いますよ。僕のアイデアはどんどん盗んでくれて結構。本当に商品化されたら、こんなに嬉しいことはありません」と青葉さん。実際に最近は「いかに少ない水で、きれいに皿を洗うか」に挑戦中で、その工夫をすること自体が楽しい、と青葉さんは笑う。しかし「ことさら“エコな生活”を強調する気はありません。当たり前のことをやっているだけだから。僕のやっていることを見て、みんなが気づいてくれればいい」エコの取り組みは「あなただけがやればいい」「私たちだけがやればいい」のではなく、「『いいルールなのだから世界に広げましょう』と、ワールドマナー、インターナショナルルールにしていくべきです」というのが青葉さんの持論だ。世界を視野に入れれば、「『自分1人くらい…』と思った時、『自分と同じ人間が10億いる』と考えられるようになる。『1滴の無駄が10億滴の無駄になる』と想像できるのです」戦前の貧しい時代を知り、かつ戦後の高度成長期も経験しているからこそ、「日本人は、一番いい状態を探して全世界に伝えていくことができるのではないか」と青葉さんは指摘する。反対に「日本人が今のような無駄遣いを続けていくと、それを中国が覚え、インドが覚え、アジア、アフリカの国の人々が覚え、ついに食べ物もエネルギーもなくなってしまうかもしれない」と警鐘を鳴らす。日本人は今、トイレの使い方のマナー、洗濯の仕方や乗り物の使い方、移動の仕方まで、今の生活全般を「正して」から、商品と一緒に「使い方」を輸出していくべきではないかという。
「みんなで上手に使い、みんなで豊かになることが、この本で一番言いたかったこと。エゴとケチは広がらないけれど、知恵は世界に広げることができる」と語る青葉さんの頭の中には、楽しそうなヒントがまだまだ詰まっているようだ。
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青葉益輝(あおば・ますてる)
1939年、東京生まれ。1962年より広告代理店勤務を経て、1970年にA&A青葉益輝広告制作室を設立。フジテレビジョン、東海銀行(現三菱東京UFJ銀行)、西友、コーセーなど数多くの企業広告・宣伝を手がける。平和と環境問題をテーマにしたポスター制作をライフワークとし、1979年より国内外で発表。直近では2007年12月の「AOBA SHOW」(環境と平和ポスター展)開催、2008年7月の洞爺湖サミットポスター展への出展、同8月の「ヒロシマ・アピールズ」のポスター制作など。2008年6月、初の著書となる『心に「エコ」の木を植えよう』を求龍堂より刊行。
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【渡邉美樹の「快刀乱麻」WEB版】
▼【1】仕事と俺とどちらを取るのか?(日経)
仕事が忙しく、深夜残業や休日出勤もしばしばです。大学時代からつき合っている彼がいますが、最近、「仕事と俺とどちらを取るのか?」と詰め寄られました。仕事に夢中になるあまり、二人でいる時間を取れない私にも落ち度はあると思います。仕事をセーブすべきでしょうか。
(弁護士、26歳、女性)
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うーん。男が弱くなっているのでしょうね。正直言って、話にならないと思いますよ。
失礼を承知ではっきり申し上げますが、あなたがおつき合いしている男性は、他人とつき合うということについて何か勘違いしているのではないでしょうか。「恋愛」イコール「自分の所有物になる」といった考えの持ち主のように見受けられます。人を愛するということは、自分の幸せはさておいても、相手の幸せを願うことだと私は考えています。そうであるならば、相手がやりたいことを一生懸命応援してあげて、見守ってあげるのが本当の愛情ではないでしょうか。
自分のために愛すると、相手を独占し、自分の思い通りに動かしたくなってしまうものです。しかし相手のために愛そうとするのであれば、相手の考えや気持ち、置かれている状況や立場を尊重できるはずです。仕事を一生懸命頑張っているあなたに対して、「仕事と俺とどちらを取るのか?」などといった台詞が出てくるとは、随分と器の小さな男なのではありませんか。これが私の率直な感想です。この言葉を聞く限り、相手の男性は、自分のために恋愛していて、あなたの気持ちや考えを思いやる人ではないようです。そんな人は男としてレベルが低いのだから、彼とは別れることを考えた方がいいと思いますよ。
確かに、もしかしたらあなたにも「落ち度はある」と言えるかもしれません。仕事に夢中になるあまり、二人でいる時間をあまり取れないと言っていますが、だとしたら、あなたも彼もお互いさまなのでしょう。「相手を独占したい」「自分にとって都合の良いように動いてほしい」といった考えは、別に男性に限らず、女性側も持っているものだと思います。しかし、本当に相手のことを愛していれば、「どうすればその人がもっと輝くだろうか」とか「どうしたら相手はもっと成長するだろうか」などといった視点に立つことができるわけです。双方がそうなった時にお互いに対するつまらない呪縛から離れて、自立した恋愛になっていくのだと思います。これが恋愛の本来あるべき姿でしょう。そうした理想の形を見失うから、いろいろな問題が起こってくるのです。ですから、あなたもその人を愛しているのであれば、「自分のために何をしてもらえるか」ではなく「相手のために何ができるのか」という視点を忘れないでください。そうした観点に立った時に、あなたが次に取るべき行動はおのずと見えてくるのではないかと思いますよ。
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A男としてレベルが低い。別れることを考えよう。日経ビジネスアソシエで連載中の「渡邉美樹の快答乱麻」では、みなさんの仕事や人生についての悩み質問を募集しています。ご応募はちらまで。