警戒すべき日朝協議再開 (島田洋一)
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▼警戒すべき日朝協議再開 (島田洋一)
下記ニュースについて
日朝実務者協議が、8月11日、12日開催と決まったらしい。前回の協議からちょうど2ヶ月を空費したことになる。この遅れについて何の説明もない。福田政権がナメられている証拠だ(ナメられて当然だが)。今回も北は、拉致問題で「進展」があったかの外観を作り、アメリカによるテロ指定解除を促そうとの狙いをもっていよう。議会への通告から45日を経過する8月11日以降は、ブッシュ大統領の判断で、いつでも指定解除が可能になる。北は、日本が約束した万景峰号の再入港を早く実施せよ、でなければ「再調査」を実施しないと迫ってくるはずだ。そして、愚かにも、福田政権はそういう約束をしてしまっている。中山恭子拉致担当相は、納得できる「再調査」結果が出てくるまで、制裁解除はできないと述べているが、それは、福田政権が北に約束した内容とは異なる。「一旦約束したが、世論の反発が強く、日本政府としてはハードルを上げざるを得ない」と福田氏および外務省が北に対して言えるか。言えずに、何とか日本世論を誤魔化そうと姑息な手段に出てくる可能性の方が高いのではないか。斎木昭隆・六者協議主席代表は、「再調査の進め方について日本側から注文を付ける。それを北が受け入れれば、日本側も約束を実施する」という説明を繰り返している。中山恭子氏の発言と明らかに異なっている。「再調査」に日本の警察職員も関与させよといった「厳しい注文」を「激しいやりとりの結果」北に受け入れさせた、日本側も制裁解除に踏み込む環境が整った……、というあたりが外務省幹部が目指す落としどころだろう。断じて許してはならない話だ。背後にあるのは、例によって「合同調査委員会=合同もみ消し委員会」構想だと思われる。下記エントリを参照頂きたい。
・日朝当局による「合同もみ消し作業」が始まる
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・人道支援あわや北ペース 危うい前のめり制裁解除 6月の日朝協議(イザ!ニュース08/8/6 01:22更新)
6月の日朝実務者協議を受け、政府が「人道支援物資」の積み込みに限り、北朝鮮籍船舶の入港を認めると表明した問題で、外務省が北朝鮮側との協議結果として示した当初案に「人道支援関連物資」と「関連」の2文字が明記されていたことが5日、分かった。「関連」は、福田康夫首相や町村信孝官房長官、高村正彦外相らが出席した6月13日の首相官邸での協議で、建設機械や工業製品など軍事転用可能な物資や現金が含まれかねないとして省かれたが、日朝合意は危うく北朝鮮ペースのまま進むところだった。複数の日朝外交筋によると、6月11、12両日に北京で開かれた実務者協議で、北朝鮮のソン・イルホ朝日国交正常化交渉担当大使は拉致問題の再調査や「よど号」乗っ取り犯の身柄引き渡しへの協力などを提示。その上で「人道上の理由から制裁を解除し、人道支援関連物資の輸送を認めてほしい」と要請した。交渉に当たった外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長は最終的な判断は福田首相の決断が必要だとしてこれを持ち帰り、13日に官邸で首相に協議結果を報告した。その席で、初めて協議内容を知った町村長官や中山恭子首相補佐官(現拉致問題担当相)らが「『関連』という文言があると、何でも北朝鮮に輸送できることになる」と指摘。最終的に「対象物資はできるだけ絞るべきだという雰囲気になった」(関係者)といい、「関連」はとられた。ただ、日本政府が発表した「人道支援物資」にしても、何をもって人道支援物資と判断するかについての明確な基準やリストはなく、外務省は「申請があった際にきちんと詰める。政府として判断する」としているだけだ。ただでさえ、その点があいまいな上に、「関連」が入った場合には、「北朝鮮が欲しいものは事実上、何でも手にはいっただろう」(公安筋)という危うい局面だったといえる。また、北朝鮮が同日、朝鮮中央通信を通じて発表した日朝協議に関する報道文には「(日本は)人道支援関連物資輸送を目的とする北朝鮮国籍船舶の入港許可を行う」と「関連」は残ったままであり、今後の日朝交渉に何らかの影響が出る可能性もある。政府関係者の一人は「外務省との事前の打ち合わせでは、北朝鮮籍船舶の入港解禁など制裁解除を具体化させることまでは了承していなかったはずだ」と語る。一方、外務省幹部は「対北朝鮮外交など極めて重大な問題で、事務方が独走することはありえない。事前の打ち合わせでも、どこまで認めていいかなどはきちんと詰めている。最終的な判断は政治家の責任だ」と反論している。政府は対北朝鮮外交で「行動対行動」の原則を打ち出しており、「相手が小さな一歩を踏み出せば、こっちも小さな一歩を踏み出す」(高村正彦外相)として6月13日、北朝鮮への制裁措置の一部解除を表明した。だが今回、北朝鮮への輸送を認める人道支援物資に、発表直前まで「関連」の2文字が入っていたことが明らかになったことで、政府が一方的に「大きな一歩」を踏み出しかねない瀬戸際に立っていたことが浮き彫りとなった。北朝鮮は6月の日朝実務者協議で約束した拉致問題の再調査などについて、その後は「知らん顔」を決め込んでいる。「米国によるテロ支援国家指定解除の発効までは、じっと様子を見ているのだろう」(外務省筋)とみられる。このため、日本が表明した北朝鮮籍船舶の入港許可などはまだ実行には移されていないが、北朝鮮側が前向きな動きを見せれば、日本側も制裁解除の約束を実行せざるをえない。政府は今回の制裁解除について「全体のほんの一部にすぎない」(政府筋)と強調するが、「拉致被害者が北朝鮮の船で連れ去られたということもあり、北朝鮮籍船舶の入港は、拉致被害者やその家族には象徴的な意味がある」(拉致議連議員)と指摘される。特に貨客船「万景峰92」はこれまでも工作員への指令伝達や不正送金、輸出規制品の持ち出しなどの舞台となってきた経緯がある。2003年5月の米上院公聴会に出席した北朝鮮の元技師は「ミサイル部品の9割が日本から万景峰で運ばれた」と証言している。今回は首相官邸での最終協議で「人道支援関連物資」から「関連」が外されたものの、残されていた場合はどうだったか。現金や軍事転用可能な物資のほか「パワーショベルなど、特定政治家の利権がらみといわれる建設機械の輸出も行われただろう」(政府関係者)という。実際、日朝協議開催前に「有力政治家に呼ばれ、早く制裁を解除すべきだと説得された」(官邸筋)との証言もあり、政府は北朝鮮と国内の親北勢力の双方から揺さぶりをかけられている。ここで政府が対応をふらつかせ、北朝鮮ペースに乗せられて制裁解除を進めても、北朝鮮に経済的な余裕を与えるだけで、むしろ拉致問題の前進を阻害する結果になりかねない。
拉致被害者「救う会」の西岡力会長代行は「北朝鮮は外貨依存体質で、年間5億~10億ドルの外貨収入がないと体制を維持できない。これまでも北朝鮮が何らかの譲歩をするのは、金正日総書記の資金が止められそうになったときだ」と指摘し、厳格な法執行と制裁継続を求めている。(阿比留瑠比、尾崎良樹)
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▼北京五輪開会式、地対地ミサイルを防げるのか? (すがすが日記)
サミットは洞爺湖のような辺鄙な場所で行われるのが、当たり前になった。サミットにはアメリカ大統領を含む世界的VIPが一同に集まる。テロを避けるためには、一般市民社会とは隔離された場所でしかサミットは開催できなくなってしまった。
日本のような世界でもっとも安全な国ですら、サミットの開催地に洞爺湖を選ばざるをえないというのが、世界の現実だ。
ところが国内でテロが続発している中国で、しかも一般市民と同じ場所に、アメリカ大統領を含む世界のVIPが国家元首だけで90名以上、街中の同じ場所(北京鳥の巣スタジアム)・同じ時間に集結するという。安全保障の観点から、狂気の沙汰といっていいだろう。北京の街は戒厳令並の警備が行われるそうだ。一般市民のスタジアムへの入場も厳重にチェックされるのだろう。よってテロリストが鳥の巣会場に忍び込み、自爆テロを仕掛けのはなかなか困難なはずだ。しかし世の中には、人が一人で発射できるミサイルもある。私は軍事についてあまり詳しくない。しかしたとえば、100キロ離れたところから地対地ミサイルを鳥の巣スタジアムめがけて撃ち込んだ場合、その攻撃を防ぐことができるのだろうか?
はっきりいってイスラム系テロリストは、作戦後、逃げることまで考えていない。作戦が成功させすれば死んでもいいと考えている。開会式にはブッシュ大統領が参加する。人民解放軍は、アメリカのアドバイスも受けながら、あらゆるシチュエーションを想定し、対策を考えていることだろう。しかしミサイルを撃ち込みさえすれば、死んでもかまわないと思っているテロリストの攻撃を本当に防御できるのだろうか?ウイグルの独立派は、アルカイーダともつながっているという。北京オリンピックという超スペシャルなタイミング用に、超スペシャルな武器を入手することは、そんなに難しくないだろう。そもそもアルカイーダは骨の髄までブッシュ大統領を憎んでいるはずだ。繰り返しになるが、サミットは洞爺湖のような場所で開催せざるをえない状況に、世界は追い込まれている。ところがテロが続出している中国国内で、しかも数万人の市民と一緒に90人もの国家元首が一同に会するという。テロはじゅうぶんすぎるほど予測できる話だ。テロを起こす集団は理由の如何を問わず当然悪い。しかしターゲットになるような場所に90人もの元首を集めるほう(中共)も同じくらいに悪いのではないか?
たいへん残念なことではある。しかし今回の北京オリンピック、どんな凄まじい惨劇が起こったとしても「それみたことか」といわれる。「それみたことか」はなにも中共だけではない。中国を開催地に選んだIOCも同罪だ。
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▼【澳門】意外なマカオ経済の好況、その果てには… (賭人の独り言)
・中共政府による新規カジノ抑制策、広東省政府による大陸観光客のマカオ訪問制限にもかかわらず、マカオ経済は大した影響を受けていない事が明らかとなった。
大方の減速予想を裏切った訳だが、外資の対マカオ投資熱がいまだ冷めていない現況では、マカオ経済の“限界点”はまだ見えていないようである。
・香港・明報の8月5日記事、「業界續看好 澳門樓市」より。
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マカオ政府の上半期報告によると、中共のカジノ開業許可制限や本土客の訪問制限によって賭博業だけでなく不動産業にも影響が出るという指摘が出ていた中、マカオ経済は対前年比で逆に上昇した。マカオ経済の主力である旅遊業の収益は対前年21.7%増、今年上半期のマカオ訪問客は延べ1,490万人(対前年18.1%増)、そのうち中国大陸からの訪問客が59%を占めている。特に賭卓(バカラ、大小、ブラックジャック、スタッド・ポーカー等の賭博卓)台数と一卓当たりの1日平均収益、そして賭博業そのものの収益が米国ラスベガスを越えた由。また香港不動産仲介大手・中原地産代理の関連会社である中原澳門地産代理によれば、「マカオ市民の平均月収が9千~1万パタカ(約13万5千円)と、4千パタカ(約5万4千円)だった2004年の2倍以上と香港のレベルに接近しており、購買力は伸びている。しかし香港に比べて不動産価格が低く、それが外資の不動産投資欲を引き付けている」
・以上の記述だけではマカオ経済の先行きに不安は無いように見えるし、長年マカオと付き合っている私にとっても嬉しい話ではある。しかし7/21の記事、
【レポート】マカオ流血デモから一年 で書いたように、マカオ市民の不満は依然解消されていないのである。
所得増でも追いつかない物価高騰、不動産価格の高騰や、賭博業従事者とそれ以外の労働者との間の所得格差の拡大、低賃金外国人労働者の増加、そして官僚の汚職が改善されない限り、昨年5月の流血メーデーと同じ騒乱が続くであろう。次に騒乱が予想されるのは10月1日の「国慶節」。昨年では各種労働組合連合体の「澳門博彩建築業聯合自由會」と「澳門職工聯盟」を中心としたマカオ市民約6,000人がデモを実行している。北京五輪が終わった後なので、余計に一波乱ありそうである。