頂門の一針 | 日本のお姉さん

頂門の一針

ようちゃん、おすすめ記事。↓頂門の一針

「反応はすこぶるいい」
━━━━━━━━━━━岩見隆夫のコラム:「近聞遠見」

自民党首脳に、「年末・年始ですか、解散は」と問いかけると、「いや、もっと早いかもしれませんよ」とけむに巻くが、だれの視野にも<年内解散>が入ってきたことは間違いない。1日の内閣改造も臨時国会も、すべて迫る衆院選がらみで展開する。気になるのは風向きだ。自民党は逆風に悩み、民主党は追い風に意気込むが、どの程度のものか。

 東京23区内、下町の某小選挙区をのぞいた--。
自民党候補は官僚出身、60代のベテランA。選挙戦術が巧みでフットワ ークよく、前回、05年9月の衆院選では、民主党候補の倍以上の票を集 めた。菅義偉選対副委員長は、「Aさんは強い。彼が落ちるようなら、自民党は全滅だよ」と保証するほどだ。しかし、Aは、「こんどは大変だ。いままでと全然違う」と警戒的である。大変だ、はどの候補も口にするが、以前と違う空気を感じ取っているようでもあるのだ。

Aに挑む民主党候補は30代、外資系企業出身の女性区議B。連続当選で 練達の古顔と新人では、通常なら勝負にならない。しかし、今回は異変 が起きているらしい。

公認内定から約1年、毎朝、<駅頭>(駅前での街頭演説)を続けなが ら、地元を駆け回ってきた印象をBに聞いた。「反応はすこぶるいいんです。ひょっとしたら、なんて思ってしまう。マイク握ってると、信じられないような人に声を掛けられるんです。みなさん好意的で、『おれはAを応援してるよ。自民党だよ。だけど頑張れよな』なんて」

前回の衆院選。東京25の小選挙区のうち、民主党は菅直人代表代行(1 8区)だけ、公明党が太田昭宏代表(12区)、あとの23は自民党が独占、得票率はAがトップだった。さて、次回はどうなるか。
「自民党が7月に各選挙区の情勢調査をしたところ、勝てるのは石原伸 晃さん(8区)だけだったらしいのです。Aさんも小差で敗れると。だ から公にしていない」

とBは言う。もし調査どおりなら、前回と逆に民主党の首都制覇になる が、そう劇的とも思えない。だが、昨夏の参院選の悪夢が消えていない。東京選挙区定数5、民・公・民・自・無の順で、自民党は4位の1人当選だった。反応がすこぶるいい、とはどんなところで感じるのか、再びBに聞いた。

「1回駅頭をやると、激励メールが10通、20通とくるんです。ビラのは け方もすごくいいですね。ただ、いいといっても、計るものがないし、 Aさんのパワーが巨大なことも確かですが、風は確実にこちらに吹いて いる。保守的な土地柄で、『親はどこなの』とよく聞かれますが、両親とも地元出身なんで、その点も有利かな。Aさんは落下傘だから」

風のもとは。「年金、後期高齢者医療、無駄、ですか」 いずれも自民党がつくったものだ。敵失に助けられて、民主党は走って いるところがあるが、それでも有利は有利。この傾向は全国的に共通しているようだ。Aは最近、ある会合で、「情勢は楽観できないが、最後の1人になっても当選してくる」

と悲壮な決意を語ったという。一方のBは、「いつまでもバッティングセンターじゃなく、1度は球場に出ないと」と政権取りをにじませた。夏の甲子園高校野球とともに、衆院選も本番入りだ。
━━━━━━━━━━━━
地方公務員法に「抜け穴」
━━━━━━━━━━━━毛馬 一三
7億円超の「裏金」が見付かった大阪市は7月31日、関係職員351人を同 日付で処分した。平松邦夫市長は記者会見で、「処分は一つの節目とし て、失われた市民の信頼を回復するため、職員一丸となって取り組みた い」と述べ、頭を下げた。

平松市長は、今回の処分で「4度目の正直」となる裏金問題に何とか決 着を付けたい腹だったようだが、実は地方公務員法が「抜け穴」となり、今回の処分対象から外れた特別職や退職者が7人もいるなど、不始末を残した。地方公務員法4条2項によると、<法律に特別の定めがある場合を除く外、特別職に属する地方公務員には適用しない。>となっている。

つまり、同法は地方公務員一般職すべてに適用されるが、特別職の地方 公務員については、法律に特別の定めがある場合を除き適用されないと いうことだ。となると特別職には、同法29条で懲戒処分としている<戒告、減給、停職または免職処分をすることが出来ない>ことになる。

まして一般職(現職)に限って適用する同法により、今年3月末で公務 員資格を失った退職者は当然、処分の対象外となるのである。この結果今回、地方公務員法の規定により、本来処分対象となる筈の経済局長(当時)が、その後副市長に就任したため、処分の対象から外れ、更に今年の4月まで裏金で備品の購入していた教育委員会の前教育長や元局長、元区長(局長級)5人の退職者も、処分の対象から遁れた恰好だ。

これに対して市民や民間から出ているのが前述の不満だ。関係者による と市長は、「逃げ得」ではないかと記者団の詰問に、「どの時期までの 退職した人を対象とするか議論があり、ある時期で区切りを付けるべき だった」と述べ、法の適用に違和感を覚えている印象だったという。

上場会社の役員に聞いたところ、「株主から請求があれば以前の役員ま で責任が問われるのは上場会社では常識だ。法律の不備がその結果を導 いたかもしれないが、民間とは大きな責任認識にギャップがある」と指 摘する。

また、ある商店主は「業績不振で喘いでいるのに、役所だけ法律に守ら れて免責されることにはムカつく。責任は特別職であろうが退職者であ ろうが、裏金に直接間接関与の事実があるのなら、市独自の処分規定を 作って対処すべきだ」という。

4度に亘る全庁調査の結果、悪弊裏金に何とかケジメをつけたかった平 松市長だが、まだ裏金隠匿の噂がある中、この免責対象者の処置に何ら かの目途をつけない限り、大阪市政への信頼は回復されそうにない。
(了)
━━━━━━━
話 の 福 袋
━━━━━━━
◎炭疽菌事件で訴追予定の科学者が自殺、治療研究の第一人者
【ワシントン=宮崎健雄】米ロサンゼルス・タイムズ紙などは1日、米 同時テロ直後の2001年秋、米議員事務所などに炭疽(たんそ)菌入りの封 書が送られ、5人が死亡した事件で、連邦捜査局(FBI)が近く訴追 する予定だった科学者が自殺したと報じた。この科学者は、メリーランド州フォート・デトリックの陸軍感染症医学研究所で勤務していたブルース・アイビンス氏(62)。7月29日、薬物の大量摂取で死亡した。アイビンス氏は炭疽菌治療研究の第一人者で、事件当時、FBIにも協力していた。捜査当局は、治療法の研究の一環として事件を起こしたとみているという。同研究所は、生物・化学兵器の研究施設として知られ、早くから複数の関係者が捜査対象となっていた。 8月2日11時10分配信 読売新聞

◎くいだおれ太郎 売却しない意向…貸し出し方式に 大阪 先月閉店した大阪・道頓堀の飲食店「くいだおれ」の看板人形「くいだ おれ太郎」について、同店の女将(おかみ)、柿木道子会長(67)は3 日、初めて太郎を売却しない意向を明らかにした。太郎の商標権をこのまま同店の経営陣が持ち、イベントなどに貸し出す方式を検討しており、来月にも正式に決める見通し。太郎の行く先に関心が集まっていたが、“くいだおれ”の看板を背負った活躍は今後も続きそうだ。同日、大阪・ミナミであった人気音楽バンドのイベントに、太郎と一緒に参加した柿木会長が「『くいだおれ』が太郎を持ったまま、いろんな挑戦をさせたいという(周囲の)声が多い」と話した。同店側はこれまで、今後も太郎を道頓堀に残したいとの意向は示していたが、売却先などの取り扱いについては「未定」としていた。8月4日0時30分配信 毎日新聞

◎写楽の肉筆扇面画、ギリシャの美術館で発見
江戸時代の浮世絵版画の巨匠、東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)の 肉筆扇面画がギリシャ・コルフ島のアジア美術館に所蔵されていたこと が分かった。小林忠・学習院大教授ら国際学術調査団が真筆と鑑定した。歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」を題材にした役者絵で、浮世絵版画の世界から姿を消した直後の筆と見られる。写楽の肉筆作品は極めて少なく、謎の多い絵師の実像に迫る一級の手がかりとなる。
扇面画は端の一辺が17・4センチ。竹を素材とする中国製の「竹紙(ちくし)」を使ったと見られ、署名と花押がある。「忠臣蔵」2段目から、4代目松本幸四郎が演じる加古川本蔵と、松本米三郎による本蔵の娘、小浪(こなみ)を描いている。調査団によると、2人がこの父娘を演じた上演記録から、1795年(寛政7年)5月の舞台に基づく絵と推定される。写楽が役者絵などを発表した期間は約10か月で、同年初めには浮世絵版画の制作をやめているが、その後も肉筆画は描いていたことになる。真筆と判断した根拠について、小林教授らは、〈1〉役者の表情のとらえ方や繊細な彩色など、オリジナルな表現の質を備えている〈2〉通常、浮世絵に描かれない場面を取り上げており、場面の選び方がユニーク--などの点を挙げている。コルフ島のアジア美術館は、19世紀末から20世紀初めにかけて、ギリシャの外交官グレゴリオス・マノスがパリやウィーンで買い集めた日本などの美術・工芸コレクションを所蔵している。今回の扇面画もマノスの収集品。近年、同館のコレクションが日・英の研究者に知られるようになり、7月下旬、絵画・陶磁器などの調査団が訪れた。小林教授は「版画では役者の表情を強調し、奇をてらうイメージもある写楽だが、この肉筆画では抑制された筆致を見せている。彼の表現の本質や実像をとらえ直す上で、重要な作品となる」と話している。 8月4日3時8分配信 読売新聞

◎世界最小のヘビ発見=10センチ弱の新種、カリブ海の島で
カリブ海のバルバドス島で世界最小のヘビを発見し、新種に分類したと、米ペンシルベニア州立大の研究チームが4日付のニュージーランドの国際動物学誌ズータクサに発表した。長さは10センチ弱で、太さはスパゲティ並み。日本で雨の後によく見掛ける大きめのミミズより小さい。主にアリやシロアリの幼虫を餌にしているとみられるという。 (時事通信)

◎転倒事故で145人圧死 インド北部ヒンズー寺院
【コロンボ3日共同】インド北部ヒマチャルプラデシュ州にあるヒンズー教のナイナ・デビ寺院で3日、多数の信者が転倒する事故が発生し、145人が死亡した。大半が圧死したとみられる。PTI通信が伝えた。
インドメディアによると、数百人が死傷したとの情報もあり、死者数は さらに増える可能性がある。AP通信によると、死者のうち30人が子ども。40人以上が負傷して病院に運ばれた。転倒事故の原因は特定されていない。PTI通信によると、地元警察は山の頂上にある寺院に向かう山道沿いの鉄製の手すりが壊れたのが原因と説明した。寺院に入ろうと待っていた信者の間で、巨石が斜面を転がり落ちてくるとのうわさが広まり、逃げようとした信者が次々に転倒したとの報道もある。寺院は州都シムラの北西約160キロ。寺院では、9日間にわたるヒンズー教の行事が行われていた。信者は山のふもとから歩いて約1時間かけて寺院を目指すという。

◎テロ指定解除の8月11日で・・・ 古沢襄
北朝鮮に対する米国の「テロ支援国指定解除」は8月11日から発効する 運びだが、一方ではライス国務長官が示唆したように「11日からの発効 が延期される」可能性も消えていない。ここにきて韓国の聯合ニュースが北京とワシントンから注目すべき報道をしている。一つは米国務省のソン・キム6カ国協議担当特使が北京で北朝鮮側と予備折衝したが、「米国が提案した核計画申告内容の検証草案に対する反応はない」と悲観的な発言をしたことである。さらにワシントンからは、米国務省のヒル次官補が北朝鮮に拉致されたキム・ドンソク牧師問題を北朝鮮に正式に提起する考えを明らかにしたと伝えてきた。8月11日が目前にきているうえ、北朝鮮に譲歩に譲歩を重ねたヒル次官補の発言だけに、如何にも唐突な感じをうける。これが「11日からの発効が延期される」前兆なのか分からない。ただ聯合ニュースが丹念にこの情報を追いかけているのは、何かの心証を得ているのかもしれない。

◎法務省が裁判権放棄を指示 米兵事件処理で53年通達
日本に駐留する米兵の事件をめぐり、1953年に法務省刑事局が「実質的 に重要と認められる事件のみ裁判権を行使する」との通達を全国の地検 など関係当局に送付、事実上、裁判権を放棄するよう指示していたこと が4日までに、同省などが作成した複数の内部資料で分かった。法務省は地検に「慎重な配慮」を要請し、事件の処分を決める際は批判を受ける恐れのある裁判権不行使ではなく、起訴猶予とするよう命じていたことも判明。地検の問い合わせには日米地位協定に基づき、日本が第1次裁判権を行使できない「公務中の事件」の定義を広く解釈するよう回答していた。

日本側の裁判権放棄については日米両政府による53年の秘密合意が明ら かになっているが、合意を受けた具体的対応が分かったのは初。現在も 兵の交通事故など多くの事件が起訴されておらず、通達の効力は維持 されているとみられる。内部資料は、法務省刑事局と警察庁刑事局が54年から72年にかけて作成した「外国軍隊等に対する刑事裁判権関係」などの実務資料。日米関係研究者の新原昭治氏や共同通信が入手した。
2008/08/04 09:00 【共同通信】
危険水域、たったの31・5%
━━━━━━━━━━━━━平井 修一

さすが共同通信、一般紙が土日で寝転んでいるにも拘わらず、早々と2日 には世論調査を実施した。立派!

<改造内閣支持31%、やや回復 全国電話世論調査
共同通信社は福田康夫首相による内閣改造と自民党役員人事を受け1、 2両日、全国電話世論調査を実施した。改造内閣の支持率は31・5%で、 前回7月の調査から4・7ポイント上昇した。不支持率は48・1%で、前回より5.4ポイント低下した。重厚な布陣が一定の評価を得た格好だが、支持する政権の枠組みは「民主党中心」が前回より2・9ポイント増の48・2%と過半数に届く勢い。「自民党中心」は3・6ポイントアップしたものの、34・8%にとどまった。

政党支持率は前回、自民、民主両党が28.6%で並んだが、今回は民主党 30.2%、自民党28・7%と差がついた。次期臨時国会では、インド洋での海上自衛隊による給油活動延長が最大の焦点となるが、賛成は34%で、反対が52・4%と過半数を占めた。>

内閣改造するとご祝儀で40%ぐらいになるのが普通だと思うが、31.5% というのはずいぶん低い。国民は福田政権に対して期待できるものを感 じないのだろう。与党の求心力は高まらない。このままずるずる延命れば自民丸は総選挙という高波を乗り切れずに沈没するだろう。「麻生総理」は早まりそうだ。

競合する聖子と百合子
━━━━━━━━━━古澤 襄

日本で初の女性首相が誕生するとすれば、野田聖子首相といわれたのは 十年ほど前のことである。人気低迷状態にあった小渕恵三内閣で37歳で 郵政相に抜擢された。就任に際して小渕首相は「将来の女性首相候補」 と持ち上げたという。1960年9月3日生まれ、東京の雙葉学園高校を中退してアメリカのジョーンズヴィル・ハイスクールに入学、卒業して上智大学外国語学部を卒業したから英語はベラベラ。日本外国特派員協会の講演会で郵政民営化法案について問われ、「今後どうなるかは分からないが、ひとつだけ言えることがある、ミスター小泉はもはやダイナマイトではない(威力は低下している)」と英語で即答した。

「I don't know (if there will be political confusion) , but one thing I can tell is, Mr. Koizumi is no longer dynamite.」これには 約百人の記者団・特派員からどよめきと喝采を浴びている。

しかし小泉内閣で郵政民営化法案に反対、2005年総選挙では公認を得ら れずに刺客候補の佐藤ゆかりさんを送り込まれるなど苦労する。厚い支 持母体に支えられて佐藤ゆかりさんを退け5選したものの安倍内閣で復 党が認められるまで無所属。

自らを保守本流と自認し!)日本国憲法の精神!)自由民主党の原理原則に 基づく政治を主張する野田聖子さんだから、自民党を追放された衝撃は 想像を上回る。それだけに福田首相によって復党間もない身でありながら内閣の看板となる消費者相を任されて、心中深く期すものがあるだろう。

もともとが自民党の全盛時代に議員になった人ではない。1994年の総選 挙で初当選したが、自民党は野党に転落、細川政権時代は野党議員とし て活動してきた。小泉政権下の無所属といい”撃たれ強さ”が、いつの 間にか身に備わって「ぶれない政治家」に変身している。「将来の女性首相候補」という看板は、このところ小池百合子元防衛相の独り占めだった観がある。野田聖子さんが逆らったせいでもあるまいが、小泉元首相は”華のある女性議員”として小池百合子さんにご執心。

1952年7月15日生まれ、関西学院大学社会学部を中退して、カイロ大学 文学部社会学科を卒業しているから、英語とアラビア語には通暁してい る。帰国後、日本テレビやテレビ東京のキャスターで名を売り、1992年 の参院選挙で日本新党からでて当選。

野田聖子さんとほぼ同時期の政界入りだが、小池百合子さんは細川護熙、小沢一郎、二階俊博、小泉純一郎、といった”権力者・実力者”から重用され政党を渡り歩いてきた。「政界渡り鳥」と揶揄され、野田聖子さんの「ぶれない女性議員」とは対照的。

小泉時代の郵政総選挙では兵庫6区から東京10区に刺客候補として落下 傘降下して、無所属と民主党の対立候補を鎧袖一触退けた。夏の軽装化 キャンペーン「クール・ビズ」の旗振り役となり、日本で初の女性防衛 相になるなど話題にこと欠かない。

小泉・竹中改革路線から距離を置きだした福田首相に対して、小泉元首 相や中川秀直氏ら”上げ潮派”は、小池百合子官房長官を推す動きがあ ったという。内閣支持率をあげて、ポスト福田で小池株を高め、一気に 日本初の女性首相を狙う作戦だったのではないか。

福田首相が小池官房長官をとらずに野田消費者相を選んだために新聞や テレビでは”聖子株”が上昇気味だが、私は第2幕があると思っている。ポスト福田では麻生太郎幹事長が最有力になったのは間違いない。
しかし小泉・竹中改革路線を後退させないで、中川氏の上げ潮路線を進 めるために麻生氏の対抗馬として小池擁立論が遠からず出てきそうな気 がする。ヒラリー・クリントンの挫折のように日米で女性のトップになる道はまだ険しいとは思うが、トップランナーは小池百合子、セカンドランナーは野田聖子になるのではないか。

北京五輪報道に望むこと
━━━━━━━━━━━泉 幸男

先週、米国の下院は「中国よ、約束を守れ」という決議を 419 対 1 の 圧倒的多数で可決した。いまの中国は「ウソつき」だ、と言うとるので すな。オリンピック開催国に名乗りをあげたとき、中国は約束したじゃないか。平和の祭典のあいだ、開かれた国となり、人権を尊重し、言論の自由を確保し、平和的政治活動を許すと。たとえ、それを言ったほうも言われたほうも、本気にしてはいなかったとしても、約束は約束だ。

■ 歴史をもって鑑とする ■
そういう歴史的経緯があって北京開催が認められたことをきちんとかえ りみるのが、江沢民(こう・たくみん)同志の口癖“以史為鑑”「歴史 をもって鑑(かがみ)とする」の実践であるはずだが、江沢民同志の教えを守るのは米国だけだ。下院決議に先立ち7月29日にはブッシュ大統領が、魏京生(ぎ・きょうせい)さんら5人の民主活動家と会った。オリンピックの開会式に何としても来てもらいたいから、ブッシュ大統領のことを、いま北京政権は批判できない。この辺のタイミング選択とバランス感覚を、日本はどうして見習えないのか。和気藹々(わきあいあい)が座右の銘の首相ではムリと知りつつ、ため息が出る。

■ 外国人記者のサイト閲覧も制限 ■
オリンピック開催にあたって、北京政権が約束したことの数々が軒並み 空手形(からてがた)だったとしても、さすがにオリンピック村のプレ スセンターのインターネット接続にまで露骨に規制が維持されようとは、これは想定外だった。プレスセンターに集まる2万人の外国人ジャーナリストたちは、チベット問題や天安門事件、民主化運動、台湾独立や法輪功の関連サイトを、いまだに見ることができない。プレスセンターがオープンした7月25日当初は、人権団体「アムネスティ・インターナショナル」やBBC中国語版、 Radio Free Asia などのサイトも見られなかったが、多方面からの抗議の末にこれらは8月1日になってようやく閲覧できるようになった。いじましい、というしかない。自由の国から来た2万人を、ほんのたまさか情報隔離したところで、北京政権は笑いものになりこそすれ何もトクをしないと思うが。オリンピックでは選手たちの活躍ぶりもさることながら、インターネットのサイト閲覧の制限状況を日々報道してもらえないものだろうか。

■ 紳士は鼻であしらわれ ■
国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長 (Jacques Rogge, ベルギー王国の伯爵)は、7月なかばに「外国人記者がつかうイ ンターネットに検閲は行われない」と言い切っていたのだが、このざま
である。プレスセンターのオープン後、多くのサイトが閲覧不可状態であることに対して、中国当局は当初「問題は個々のサイト側にあるのだろう。中国側では接続制限は行っていない」と、とぼけたことを言っていた。こういう見え透いた、その場しのぎにもならぬウソを言うところがまた、いじましい。7月30日になって中国当局は本性を顕わし、「オリンピック報道に不必要で、中国の法律に違反したサイトは、閲覧させないのである」と居直った。国際オリンピック委員会の抗議など鼻であしらう国で、紳士・淑女の祭典を開くのは、やはり時期尚早だったのだ。

■ 台湾の先住民族の踊り ■
8月8日の開会式には台湾の国会議員の曲者(くせもの)高金素梅さん 率いる 100名あまりの先住民族ダンサーたちの踊りが披露されることに なっている。たぶん、チベットやウイグルの踊りもあるのだろう。 どうせNHKやTBS、テレ朝などのアナウンサーたちは「中国の少数 民族の踊りです。待ちに待ったきょうの喜びを表現しています」みたい なことを言うのだ。想像しただけで、気が滅入る。台湾の先住民族は、けっして「中国の少数民族」ではないが、この辺のポイントをしっかりおさえた解説をやれるテレビ局が日本にあるだろうか。要注目だ。いっそのこと、“北京奥運会”は漢人の祭典だ! と、ホンネ丸出しでやってくれたほうが、気が楽だ。中国では2度とオリンピックはやっちゃいかんと、世界の人たちが気づくだろうから。

上海でも焼肉食べるのか
━━━━━━━━━━━渡部亮次郎

上海には4年ぐらい前にも行ったが焼肉屋には入らなかった。中国へ日本 食を食いに行く事は無いからだ。だが、情報によれば、このところ上海 市内には400あまりの日本料理店があり、そのうち焼肉専門店も年々増加 しているそうだ。中には人気があるため予約なしでは座れない店もあるほどとか。焼肉店の様子は日本と大差ないが、他の日本料理店に比べて中国人客も多いようである。味について言うならば日本とはかなりの「開き」。日本の「霜降り牛肉」のような上等な肉はあまり見られず、現在はまだ産地やグレードへのこだわりも少ないようだ。そもそも中国では「肉」といえば豚肉であり、牛肉の消費量は比較的少ない。例えば2004年の上海市都市住民の年間平均消費量は、豚肉18・4キロ、家禽(あひる)11・8キロに対して牛・羊肉は2・5キロである(「上海統計年鑑」)。年間国内生産量も豚肉4,702万トンに対し牛肉は676万トンで豚肉の1/7しかない(「中国統計年鑑」)。

ただ、「中国人は牛肉が嫌い」なわけではなく、従来は伝統的に食べる 習慣がなかったということである。最近では「火鍋」(中国風の寄せ鍋)料理のブームで、羊肉や牛肉の消費が飛躍的に高まっており、また焼肉を好む人も多くなっているというわけだ。中華料理には焼き網や鉄板で肉をあぶって食べるというスタイルはないことから、中国で焼肉といえば韓国式か日本式ということになる。現在、上海市内に韓式焼肉店は約300店、日式焼肉店は約50店ある。中国の牛肉の産地は、河南、河北、山東、吉林省など華北、東北地域に多い。牛肉の対象となる牛は「黄牛」といわれる農耕牛の系統や、水牛が多い。韓国式焼肉はタレの味で勝負し、日本のように肉そのものの品種やグレードにはうるさくないため、主にこうした肉を使用している。

かつて上海の日本式焼肉店も、中華料理や韓国料理と同じ牛肉を使用し ていたが、近年になって、霜降りの「黒毛和牛」を使用しているという 宣伝文句で差別化をはかる店が次々と現れた。中には、「神戸牛」や 「松阪牛」を出すという店もある。ただし、日本は中国から狂牛病発生国に指定され、中国への牛肉の輸出は禁止されている。従って、もし「神戸牛」や「松阪牛」という日本産の牛肉が出回っているとすれば、それは通常ルートで入ってきた商品ではない。

中国で食べることのできる「黒毛和牛」には大きく2つのルートがある。1つは「オーストラリア産」で、もう1つは「中国産」である。 2004年中国の牛肉輸入は、オーストラリアからが最も多く、2,147トン (生鮮・冷蔵・冷凍、骨付き・骨なし合計、以下同)であった。次いで ニュージーランド825トン、ブラジル422トンの順である。米国からは41 トンで、2002年の8,422トンから著しく減少している(「税関統計」)。
オーストラリア産牛肉の中には、黒毛牛の血統のものがあり、それらの うち上質のものが「黒毛和牛」として日本式焼肉店で出されている。
一方、中国産の黒毛牛の流通ルートが確立されたのは、つい最近のこと である。2005年8月に日中合弁で遼寧省に設立された大連兼松雪龍食品有限公司は、瓦房店市(大連郊外)の「雪龍牧場」で黒毛和牛の血統を肥育し、併設の食肉センターで加工し、中国各地に販売している。肥育技術は、鹿児島県の業者が指導している。現在牧場には約1万頭肥育されており、2年後には1万5,000頭に増加する予定である。

懐が豊かになると本物(日本産)を食べたくなるのは何処でも同じ。2006年4月、上海市出入境検験検疫局は市内の食品会社や卸売市場の検査を行い、日本、米国、カナダから密輸された牛肉2トン余りを押収した。このニュースが5月10日付けの新聞で一斉に報道され、狂牛病発生地域からの牛肉密輸に対し警告が発せられる形となった。この摘発報道を受けて、日本式焼肉店でもフリーペーパーに載せる広告から「黒毛和牛」や「神戸牛」などといった表記を減らし、「黒毛牛」という表記にとどめるものが増えたそうだ。2008年でも魚の底に日本から牛肉を密輸しようとした事件が北海道で摘発されている。反面、国内生産も本格化しそうだ。

税関統計によれば、2002年に9,000頭、2003年に4万1,000頭、2004年に6 万9,000頭と、この3年間で約12万頭の種牛がオーストラリアから輸入さ れた。遼寧省には「雪龍黒牛」のほかに、オーストラリアから導入したアンガス牛(イギリス原産の黒毛牛)を大規模に飼育している「大連華牧集団」もあり、焼肉用牛肉の一大生育地が形成されつつある。また「焼肉文化」は地方都市にも徐々に波及しようとしている。大分県で建設業を経営する深田栄次さんは、2002年に単身で湖北省の荊州市に乗り込み、牧場経営を始めた。今後、中国でも焼肉を食べる時代が来るだろうと見込んで、研修生受け容れなどで縁のあった荊州市に投資をした。現在、黒毛アンガス牛を約200頭肥育しており、省都の武漢市に焼肉店を開く準備中をしている。

魚が中心の日本料理は、地方都市に浸透しにくいのに対し、焼肉は中国 人社会に比較的簡単に受け入れられやすいらしい。羊肉しゃぶしゃぶの 「火鍋」料理がここ5年の間に中国で急速に拡大したように、日式焼肉が 中国全土に拡大することも十分に考えられる。焼肉が普及すれば、それを中心としてロースター、炭、タレ、サイドメニューなどの分野でのビジネスチャンスも発生する。また、日本からの牛肉の輸入が解禁されれば本物の「黒毛和牛」も流通することになり、富裕層を中心に顧客層の幅、数も更に増加するとみられ、今後の展開が注目されよう。