「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 ・ 花岡信昭メールマガジン
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年)8月2日(土曜日)!)
通巻第2273号
中央アジアの水戦争が看過されている
資源リッチのカザフスタン、ウズベキスタンはウォーター・プア
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旧ソ連中央アジア五カ国は91年にそれぞれが独立し、資源リッチのカザフスタンがいきなり富裕国家の仲間入り、たとえば隣国キルギスから夥しい技術者の出稼ぎがある。キルギスは大学に恵まれていて海外からの留学も多い意外な一面がある。カザフスタンは、中国へのガスと石油を輸出し、おおいに外貨を稼いでいる。
さて問題は水である。
中央アジア一帯を流れるのは二つの大河である。アム・ダリア川は、ダジキスタンのパミール高原が水源で2400キロ。シル・ダリア川は、キルギスの天山山脈から2200キロ、それぞれがウズベキスタン、カザフスタンを通過し、トルクメニスタンをかすめてアラル海へ流れ込む。
水源のキルギスとタジキスタンは、ともに最貧国。
しかし水が豊かなので、ダムを建設し水力発電で電気を輸出するくらい。ところがダムの調節が悪いのか、ときおり洪水が起こり、下流域のカザフ、ウズベキスタンに被害が出る。この二つの川に周辺諸国は90%の水資源を依存している。
ウズベキスタンは綿花栽培で有名で世界の綿花の20%を占めるほか、農業灌漑で水は絶対的に必要、カザフは工業化、生活用水としても水が大量に必要であり、嘗てはソビエト帝国が調整したが、いまやモスクワにそれほどの政治的強制力は望むべくもない。水戦争の決着が当該地域では大きな政治争点となっている。
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♪(読者の声1) 貴誌2271号以下のご意見に対する論評です。
1)>吉田氏によると実際に日本政府あてで送られてきたハルノートは、米国政府の主張言分と日本政府の主張言分が併記されていたが、ハルノートとして一般に知られているものはその中の米国政府の主張言分だけを取り出したものだそうです<
意見:そうです、ではどうでしょうか。ハルノートの条件はソ連が作成したことが明らかになっています。
2)>「basis for negotiation」(交渉のベース)であり「definitive」(決定的な)ものではないと明記されていたそうです。
また外務省訳は、原文よりよりきつい内容に書き換えられていたそうです。<これもそうです、は困ります。3)>しかし、たとえそうであったとしても両見解を併記したのは譲歩の可能性を認めたということであるとして、それを盾にとって切り込むことができた筈です。
しかしこういった外交的センスが当時の外務省にもまた陸海軍にも欠けていたのではないのでしょうか。この外交的センスのなさが、またこのことを関係者を説得して理解させる能力と胆力のなさが、日本に大きな災厄を呼んだと思います<意見:日本人に責任を負わせる論法ですが、史実は違っています。米国の対日敵視は3年前の支那事変の莫大な援蒋行為から始まっており、ハルノートはその集大成でした。だから交渉の余地などあるわけが無く「後は軍の仕事だ」とハル国務長官が述べたと国務省のバランタインが記録しています。近衛首相のトップ会談も米国が断っています。
結論:太平洋戦争の米国の責任が明瞭なためにアレコレごまかしますが、マッカーサー自身が「日本の戦争は自衛戦争であった」と1951年に議会証言しています。(MARU)
♪(読者の声2) 2005年3月16日、島根県議会で初めて『竹島の日』を設定したその日。議場前で韓国抗議団が小指を切るポーズ、警官隊が大騒ぎ。テレビでは韓国小学校で子供たちが『独島は韓国のもの』と大合唱。街はデモ騒ぎ。その時、『戦争です、大変です。テレビつけて下さい』とソウルから東京のわが家に知人の公務員から電話が入り『戦争?どこが』『日本とです』『日本は戦争なんかしませんよ』『全土的に燃え上がっています』『あなたの国は李承晩ラインを勝手に引いて、日本の漁船を次々に拿捕して帰さなかったのよ。死者も出たのよ。国際裁判所で話し会おうと言っても拒否するし。日本の国旗を靴で踏んづけたり引き裂いたり燃やしたり。品格って考えたことないの?』今度も大使館に卵を投げつけ。まさに小中華。フォークランドのあの時のサッチャーが、思い浮かぶ。しかし、その時、咄嗟にこう言いました。『21世紀の戦場は会議場です--』。翌日、支持率低下に窮していた韓国大統領に『韓国どうした?』とブッシュにいさめられ『反日』興奮はぴたり止みました。(ナンジャイナ)。レーガンは双子の赤字を抱え両手に牛肉とオレンジをもち、日本に買えと迫ってきました。アメリカの売りは牛肉。6日訪韓のブッシュ。そして北京五輪開会式へお出ましです。『竹島の日』は毎年やってきます。今年なかったのは李大統領の訪日だったってわけ。観察も大切ですね。(神田ドリーム)
(宮崎正弘のコメント)ビジネス優先の李大統領ですが、あまり政治力はないようですね。歴代政権は、政局運営がまずくなると、すぐに反日カードにたよる。あれほど日本に世話になった金大中が、まさにそうでした。ノーベル平和賞って、最近偽善者に贈られることが多いですね。わが大江といい。。。
♪(読者の声3)7月31日に、米政府機関の地名委員会BGNが、竹島を韓国領との記述に変更しました。この出来事を、7月31日NHKの昼のニュースは、トップで詳細に伝えました。これに対する官房長官談話も報道しました(済みません。夜のNHKニュースは見ませんでした)。
8月1日の産経新聞は、この出来事を、内閣改造寄りも、大きな比重で伝えました。ところが、朝日新聞は、8月1日も、本日2日も、この事件を完全黙殺です。一行も伝えていません。
何故、朝日新聞はこの事件を闇に葬り去ろうとするのか?
彼らはこの事件が、日本のナショナリズムを刺激することを、恐れているのだと思います。裏を返すと、戦後60年、日本のナショナリズムの抑圧に努めてきた朝日新聞が、ナショナリズムの根絶は不可能であり、自分たちが、このままの姿勢をとり続けると、ナショナリズムの刃が自分たちに向けられることを、本気で恐れるようになったのだと思います。我々の朝日新聞攻撃がどれでだけ効果を発揮しているのかと思うこともありましたが、実際には、彼らに相当の恐怖を与えていることが推測されます。朝日新聞さん:ナショナリズムなど、恐れていないと言うなら、竹島問題を大きく報道してごらんなさい。韓国の領有支持の社説でもいいですよ。(IK生、柏)
(宮崎正弘のコメント)昨日の胡錦濤会見も、朝日は「中国経済の運営が困難に直面している」という重大な箇所をすっ飛ばして、「五輪間近、日本の2016年東京開催を祈る」という箇所だけを大書しています(小生は朝日を取っていないのでネットの記事だけですが。。。。)。
♪(読者の声4)貴誌 通巻第2270号(7月31日発行)「東京・大陸育ちの戦後派。」氏が(読者の声1)で池東旭氏の公開講座(18日)での発言の誤りの指摘がありました。
私も、他の明確な事実の錯誤に気づきました。意見の違いは、本人の自由ですが、誤ったことを事実として論を進めることは、問題です。
しかしこれは池氏自身の問題である以上に、池氏のような比較的客観的にものを見られる方でも、韓国に住んでいては日韓関係に関して、韓国に遍満するあまりにも多くの嘘情報の中で自然と信じ込まんでしまっていることの問題です。
たとえば講演の中で、大韓帝国皇帝の米国人顧問のスティーブンソン氏は、日本人が韓国にあてがった顧問であり、日本に有利な助言ばかりした。そのため、顧問を辞めてサンフランシスコに帰った後、二人の韓国人に殺されたといわれましたが、事実はかなり違います。
スティーブンソン氏は、帰米後サンフランシスコで発行されている新聞に大韓帝国皇帝顧問であったときのことを書き、その中で、韓国政界の腐敗を厳しく指摘したところ、その日の夕方、二人の韓国人が訪れ、その記事を訂正するように要求しました。
スティーブンソン氏が断ったところ、その場で拳銃で撃ち殺されました。このことを池先生に懇親会の席でお伝えしたところ、そうであったのかと納得されていました。韓国ではゆがめられたことが事実として教えられ信じ込まれているのでしょう。確認はしていませんが、スティーブンソン氏は、真心を込めて韓国の改革に尽力された方のようです。日本政府があてがい、日本政府の思惑で行動した人とは思えません。
この点も捻じ曲げられて伝えられているようです。
また平成17年に韓国で韓国人の研究者が皇帝から日韓併合してくれるようを日本国に依頼すべきかを下問された内閣の閣議の議事録が発見されました。これは、日韓併合が韓国の側からの依頼(より正確には懇願)によるものであることの確定的な証拠です。日本では小さくしか報道されませんでしたが、おそらく韓国では一般人には全く知らされていないことであろうと推察いたしておりました。
懇親会で池氏にうかがったところ初耳とのことでした。やはり、極一部の研究者の間だけでの秘め事になっているのでしょう。
1995年版の韓国の高校の国史の教科書を読んだところ、1922年から1932年までの朝鮮での米の生産量と収奪量が表になっていて、日本政府は収奪を目的として増産を韓国民に課し、増産された分がそっくりそのまま日本に収奪したように書かれていました。
第一次世界大戦が終了して徴兵されていた多くの農民が農業に復し、戦争中に増大していた食料品の需要も低下し(戦争中には戦線までの運送中に多くの食料が失われる)世界中で農産物の価格が下落し、スタインベックの「怒りの葡萄」の世界が現出しました。日本政府は朝鮮で米を収奪してどうしたのでしょうか。農業不況に苦しむ朝鮮の農民を救うため、当時ソウルでの市場価格の倍であった大阪堂島での米相場に3割の補助金をつけて、朝鮮の農民から米を日本政府が買い上げたのです。これが、収奪の実態です。
また、1995年版では朝鮮総督府が朝鮮の土地の所有情況を調査して、40%の土地を接収したとかかれていました。後の版では40%という数字は削除されましたが、接収したという記述は残りました。これもまたとんでもない嘘です。こういった狂気の中に住みながら、池氏くらい冷めていることは、非常に難しいと思います。ではそういう人たちとどう接するのか、これは日本人に課された課題です。(ST生、神奈川)
(編集部から)以下の書き込みがありました。
「京城帝国大学は朝鮮人法文学部は387名・医学部237名の卒業生が出ています。沖縄切り離してもよいのではないでしょうか?アメリカも中共の今後を見て決めるのでしょうが「独立」日本の負担も軽くなります。日本がそれなりの軍事力を維持できれば在日中国・韓国人も?」。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年)8月2日(土曜日)参
通巻第2272号
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胡錦濤の経済危機認識は「物価抑制」と「成長鈍化」
2016年東京五輪開催には「幸運を祈る」とリップサービス
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いよいよ五輪開幕まであと六日。
8月1日には胡錦濤国家主席が人民大会堂に米紙ウォールストリート・ジャーナルなど海外25のメディアを招いて記者会見した。
日本のメディアは「2016年、東京の幸運を祈る」とリップサービスのことしか報じなかったが、じつは「中国経済の現状は大きな挑戦と困難に直面している」との認識を示唆したものとして注目される。
同時に今後の経済失速の懼れについて、胡錦濤は、「あらゆる政策手段を講じて経済成長の維持とインフレ抑制を追求する」
と述べた。物価統制を念頭にしているのは、温家宝首相の経済路線と軌を一にしている。胡主席は「高成長の主力だった輸出の鈍化と経済の減速」を認め、「改革開放政策をさらに深化させたい」とした。
一方、「北京五輪には誠意をもって対応しており、五輪に政治的に反対する動きなどは五輪の精神や全世界の人々の共通の願いに反している。世界には様々な問題や見方があるが、五輪の政治化はこうした問題の解決にならない」などと一方的な指摘。チベット問題や中国の人権問題に絡めた北京五輪反対の論調を強く牽制した。
あちこちでのヴィザ制限、取材制限、ネット閉鎖など報道の自由に対しての質問には回答がなかった。
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最優秀国内政治分析メルマガを紹介します!
下記です。
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★★花岡信昭メールマガジン★★603号[2008・8・2]
<<平時なら「実力派ぞろい」なのだが>>
福田改造内閣と党役員人事は「永田町的」感覚からすれば、なかなかの布陣である。実力派、政策通をごそっと並べた。そういってはなんだが、首を傾げたくなる人は1人もいない。福田首相は巧みに周到に、この人事を練り上げたといっていい。だが、そういう感覚が一般には通用しにくいところが、福田政権の苦境を象徴している。「平時」であれば、相当の評価が与えられていい布陣なのだが、さて、これで起死回生の政権浮揚効果は出るか。
党四役の顔ぶれは重厚そのものといっていい。麻生太郎氏は「結党以来の危機にある自民党」を救う役割を担うとして、「政敵・福田」の誘いに乗った。国民的人気は福田首相をはるかに上回る。「ドロ舟とともに沈みかねない」という周辺の懸念を承知のうえで、「男気」を示して見せた。笹川尭総務会長、保利耕輔政調会長、古賀誠選挙対策委員長を加えた四役は、いまの自民党で考えられる最強といってもいい顔ぶれである。保利氏は入閣した野田聖子氏とともに郵政造反・復党組だ。党と内閣に造反組を起用することで、福田首相は郵政解散以来の党内の亀裂に終止符を打った。追い込まれての改造であっただけに、「小幅に終わるのではないか」という観測も強かった。だが、フタを開けてみたら、閣僚17人のうち留任は4人だけである。これほどの「大幅改造」になるとは大方は予測していなかったのではないか。
消費税増税の必要性を強調する財政再建派の筆頭、与謝野馨氏を経済財政相に起用した。上げ潮派の中川秀直氏が入閣を果たせなかったのは、町村信孝官房長官との関係と、やはり過去の醜聞が響いた。これによって福田政権の財政経済政策は変わるのかどうか。たばこ増税の急速な盛り上がりなどによって消費税論議を先送りした福田首相だが、与謝野氏主導の政策転換が行われるのかどうか。そこが不透明な要素として残る。町村氏の留任は、福田首相にとっては不本意だったに違いない。だが、町村、中川、谷川秀善(参院)3氏の代表幹事制をとっている町村派(そういう呼称になっているが、正式には「町村中川谷川派」ということになる)は、事実上、中川氏が仕切っている。そこへ町村氏が派閥復帰すれば、町村、中川両氏の確執に火がつき、派閥分裂の危機を招きかねない。
鈴木恒夫文部科学相は悲願の入閣だ。毎日新聞出身。当選6回だが、選挙にあまり強くない。麻生氏が強力に推したのではないか。
保岡興治法相、二階俊博経産相、伊吹文明財務相ら実力派が並ぶ。林芳正防衛相、茂木敏充金融行革担当相らは政策通として知られ、中山恭子拉致問題・少子化担当相の入閣は「家族会」などには強力な援軍を得たものとして映るだろう。公明党は国土交通相に固執せず、環境相に甘んじた。不祥事で追及されることの多い国土交通相を「捨てて」、軽量ポストを受け入れたわけだ。そこに、公明党のイメージダウン回避の思惑と、福田政権との微妙な距離感が浮かぶ。さあ、この改造によって、福田政権は浮揚するのかどうか。改造のチャンスを逸してきて、追い込まれた挙句の改造だが、出来上がりぶりは、正直言って、これほどの陣容になるとは思わなかった。それが最大の「サプライズ」である。
<<朝刊で「麻生幹事長」を当てたのは>>
政治記者時代を振り返ると、人事の取材が最も難しかった。企業でもそうだが、政治はまさに人事がすべてという側面がある。政治メディアは、人事となると、異様なまでの力を入れる。で、改造が行われる直前の1日朝刊で、各紙はどんな見出しを取ったか。(いずれも東京発行最終版)
・朝日 麻生氏に幹事長打診 町村長官留任の方向
・毎日 きょう大幅改造 町村長官は留任
・読売 内閣きょう改造 町村長官留任へ
・産経 「麻生幹事長」打診 町村長官留任へ
・日経 首相、きょう内閣改造 町村官房長官留任へ
・東京 首相きょう内閣改造 公明「1増」打診に難色
「麻生幹事長」にさわっていたのは、朝日と産経である。この両紙の勝利ということになる。人事の前打ち原稿では、「へ」をつけるかどうかで悩むことになる。「留任」と断定する自信がなければ「へ」あるいは「も」「か」をつける。「の方向」「の線」というのもある。
締め切り直前で、デスクの「へかもか、なしか」といった怒声が飛び交ったものだ。そういう見方で各紙をながめると、それぞれの政治取材の現場のぎりぎりと胃が痛くなるような思いが伝わってくる。
朝刊の次は夕刊の勝負だ。産経は東京で夕刊を廃止してしまったが、夕刊にどこまで予想閣僚リストを入れることができるかで、政治部の力量が問われることになる。かなり昔、ということにしておこう。ときの首相にえらく強い先輩がいた。その首相は私邸からあちこち電話して組閣の骨格を練り上げていった。その先輩は私邸に出入り自由の身だったが、さすがに、首相が電話している部屋からは遠ざけられた。だが、親しい秘書が次々に耳打ちしてくれる。「いま○○に電話している。ポストは△△らしい」当時は携帯電話などなかったから、その先輩は台所に入り込んで、そこの電話を使って社に速報した。夕刊ではほぼ全閣僚をぴたりと当てて、圧勝した。古きよき時代には、そういうことも可能だった。夕刊で朝日は二階氏を総務会長留任としてしまった。四役の表を入れたので、この読み違いがいちだんと目立つことになる。ことほどさように、人事記事は難しい。(了)」
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