アンチコモンズの悲劇(池田信夫)
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▼アンチコモンズの悲劇(池田信夫)
者は"The Tragedy of the Anticommons"という有名な論文で、「知的財産権」が非生産的な役割を果たすことを指摘した。「コモンズの悲劇」というのは、漁場や山林のような共有地が過剰利用される問題だが、アンチコモンズは逆に共有地が過少利用される悲劇である。たとえばライン川は、神聖ローマ帝国の時代には欧州の主要な交通路だったが、帝国が崩壊すると、沿岸に「泥棒貴族」が出現して各地で領主権を主張し、数百の関所をつくって通行料を徴収したため、ライン川の通行は不可能になり、沿岸の商業も産業も衰退した。
特許や著作権も、このライン川の関所のような存在になりつつある。特に薬品業界では、一つの新薬を市場に出すには、多くの先行特許に使用料を払わなければならない。最近は遺伝子にまで特許が与えられるようになったため、画期的な新薬を開発しても、特許使用料が予想される利益を上回り、発売できないケースが増えた。このため図のように、製薬業界の研究開発費(折れ線)は増えているのに、新薬の数(棒グラフ)は減っている。こうしたアンチコモンズが国民生活に悪影響を与えている最大の例として著者があげるのが、電波である。ホワイトスペースは、泥棒貴族が領地を囲い込んで有効利用を阻害しているアンチコモンズの典型だ。Tom Hazlettは、これを「テレコモンズの悲劇」と呼んでいる。さらに最近、深刻な問題になっているのは、アンチコモンズを意図的に作り出すことをビジネスとするパテント・トロールだ。Blackberryを生産しているRIM社は、NTPというパテント・トロールに特許侵害訴訟を起され、2006年に6億ドルを払って和解した。NTPの特許は「無線機器でEメールを送信する」という広範囲なもので、同社は機材を何も生産していないが、欧米で数十の無線機器業者に対して訴訟を起している。
著者はアンチコモンズの対策として、安易に広範囲の特許を与える審査制度を改めるとともに、異議申し立てや再審査を容易にすることを提案している。また政府が公益のために特許や著作権を許諾させる強制実施(許諾)を広い範囲で発動し、多くの特許や著作権をプールする包括ライセンスを制度化すべきだ。知的財産戦略本部の「プロ・パテント」路線も最近ようやく軌道修正されたようだが、アメリカのアンチコモンズの失敗に1周遅れで追随するのは愚の骨頂だ。このままでは知的財産権は、ライン川の関所のようにIT産業を滅ぼすだろう。
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▼オリンピックは検閲突破のチャンス (池田信夫)
私はテレビはニュースしか見ないが、最近のニュースは半分ぐらい北京オリンピックで選手団がどうしたとか水着をどうするかというスポーツニュースで埋まっているので、ほとんど見ない。他の国のメディアもこんなものかと思っていたら、先週BBCの中国語ウェブサイトなどが北京のプレスセンターからアクセス不能になったと報じられた。その後、一部緩和されたようだが、依然として一部のサイトはつながらないようだ。特にBBCは連日この問題を報じ、チベットや法輪功に関連するサイトにアクセスできないと報じている。IOCは否定しているが、中国オリンピック委員会は検閲の事実を認めた。まさにこういう報道が、BBCのサイトが止められた原因だろう。それに比べてNHKは、この種のニュースにはまったくふれず、「翼賛報道」一色だ。これでは、かつてナチを宣伝したベルリン・オリンピックのようなことになりかねない。北京ではプロキシサーバの制限をはずしたため、一般家庭にもBBCやCNNなどのウェブサイトが見えるようになったらしい。NHKも中国語サイトがあるのだから、これを機に一般の中国人に、彼らの政府がどんな人権侵害をやっているか、報道してはどうか。それが本当の「国際情報発信」というものだろう。
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▼延べ、1000万人の読者に感謝!(佐藤守)
昨年9月に、ブログランキングへの「PING送信」が出来なくなり、結局これが原因でブログのデザインを消去してしまい、漸く復活したのだが、その間はしばらく「白青反転画面」だったことがあった。読者の方々から色々ご指導を受けたが、原因は私のデザイン修正時の操作ミスで、「リニューアル」出来た時にはカウンターもすべてゼロになった。9月27日のことである。この時カウンターは「6078000」を示していたから、ゼロ発進して以降の数字「3927577」を加えると、「10005577」となるから、このブログを立ち上げた2005年5月12日から約3年3ヶ月経った昨日の8月1日で1000万ヒットしたことになる。個人的に気ままに書きなぐっている「日記」に過ぎないが、これほど多くの方々が読んでいてくださると思うと、責任を痛感する。コメントの中には色々示唆に富むものも多く、紹介された情報にも、貴重なものがあるのが有難い。そこで早速ご紹介しておきたいが、昨日のコメント欄に紹介されていた、竹島問題に取り組む日本青年会議所島根ブロック協議会のサイトは実に興味深い。是非ご覧下さるように改めてご紹介しておきたい。
<社団法人日本青年会議所中国地区島根ブロック協議会が不器用ではありますが小さな試みをしております。http://
そこで早速「福田改造内閣」についてだが、いつもの事ながら「防衛大臣」の扱い方がいかにも「軽々しい」。産経によると、福田総理は「谷垣起用を考えたが、拒否されたため、国交相に横滑りになった。このあおりを受け、他の閣僚ポストもコロコロと入れ替わった」とある。国家の安全を担当する「防衛相」の地位とはその程度なのである。麻生氏が“沈み行く自民党”の幹事長を引き受けたのはいささか理解に苦しむが、選挙で「自民惨敗」の責任を取らされる「スケープゴート」でなければいいのだが・・・。中山恭子氏が拉致担当大臣として入閣したことを、当然のことながら家族会などは喜んでいるようだが、9・17で冷たい対応をした時の官房長官が福田氏であったことを考えると、彼女もまた「スケープゴート」ではないのか?それとも、国民運動にまで拡大して、今やそのパワーを無視できなくなった「拉致被害者救出運動」を意識し、この運動に協力している多くの国民を次回選挙の「票田」と考えたのかも・・・私は「政治評論家」ではないから、27面の“専門家”たちの意見を掲げておきたい。まず、元参院議員:平野貞夫氏。「党四役が問題。麻生太郎氏はおっちょこちょいなところがある。保利耕輔氏は頑固で柔軟性にかける。笹川尭氏は調整能力がない。つまり、まとめ役がいない。注目すべきは公明。女性閣僚は支持者の人気が高いので離脱が難しくなるが、斉藤鉄夫氏が入閣した。公明は、何かあればすぐに政権離脱してニュートラルになれる格好となったといえるだろう」党四役がこれじゃ先は思いやられる。小泉元総理が「自民党をぶっ壊す」と言ったとおりになりそうである。公明党は「斉藤環境大臣」に何時でも「環境悪化に対応できるよう」救命具をつけて差し出したのか?最も公明党のご本体も、元最高幹部たちからの“叛乱”攻撃を受けていてガタガタしているようだから、沈む船に何時までも乗っている気はないのだろう。もう一人ジャーナリストの上杉隆氏「派閥の領袖クラスを満遍なく引っ張ってきて配置している。党四役も古い体質の政治家で、国民にとっては古色蒼然に磨きがかかったような組閣。支持率を下げるとしか思えない。保利耕輔氏や野田聖子氏の郵政造反組も起用しており、『脱小泉内閣』として構造改革路線からの転換を強めることになるだろう」「古色蒼然に磨きをかける」とどうなるのか知らないが、彼も党四役を評価していない。一度離党した野田氏を閣僚に入れたことが何を意味するか?私こそが・・・と思っていた、他の個性が強い?女性陣の意見が聞きたいものである。何度も書くが、8日に北京五輪が始まる。胡錦濤主席は、外国記者団を人民公会堂に招いて異例ともいうべき会見をし、藁に縋ってでも五輪を成功させたいという意欲をにじませた。当然である。しかし、「五輪後に中国経済は極めて厳しい挑戦と重大な試練に直面する」ことも認めた。これまた異例であろう。今回の組閣で唯一評価できることは、そんな“大乱”が予想されている五輪後ではなく、「五輪前に実施した」事である。おそらく今回の時期をはずせば、異常事態が連続して発生して、内閣改造どころではなかったであろう、と思われる。今日の産経「主張」欄が、「一丸で危機を乗り切れ」「保守カラーの鮮明化に期待」するとして、「外交政策で自由主義を掲げる麻生氏により、保守カラーが鮮明になることを期待したい。こうした政策の違いを如何に調整するか。国益実現のために両者の協力が不可欠だ」と書いた。「まとめ役がいない党四役」に代わって麻生氏に期待しているようだが、さて、権力の中心に食い込んだ麻生氏の秘策は何か?大いに期待したいところだが・・・
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