新学習指導要領の解説書では韓国への配慮で「日本固有の領土」との表現は見送り:この「配慮」の目的は
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▼新学習指導要領の解説書では韓国への配慮で「日本固有の領土」との表現は見送り:この「配慮」の目的は?(国際情勢の分析と予測)
●禍根残す外交配慮 2008.7.14 産経新聞
せっかくの北海道でのサミットで北方領土問題を取り上げないとか、東シナ海のガス田を中国に掘られたままなすすべがないとか、この国の政府にはとかく驚かされることが多いが、今回も思いっきり驚かされた。それは教科書の竹島をめぐる記述についてである。文部科学省は14日発表した中学校の学習指導要領の解説書の改定版で、「竹島が我が国固有の領土」であることを明記することを断念した。「日韓関係をぎくしゃくさせてはいけない意図のあらわれ」(町村官房長官)だという。改定版では初めて竹島について触れられることになった。その際に問題になったのが「固有の領土」という文言をいれるかどうかであった。この話が韓国に伝わると、韓国政府も、議会もマスコミも「独島(竹島の韓国名)は韓国の固有の領土、日本が固有の領土というのは許せない」と声を張り上げた。その結果、政府部内では閣僚間の話し合いが行われ、解説書の内容は高度な政治判断の場と化し、結局、「固有の領土」の記述を見送ることになったのである。
韓国は竹島に警備部隊を駐留させ、電話線を引き、住所を確定し、ご丁寧に郵便番号まで作って、自国化を図っている。であればなおのこと、日本は固有の領土であることを主張して、争うべきなのである。現に日本は国際司法裁判所に提訴をすることを韓国に提案している。しかし、韓国は応じていない。その理由は「独島が韓国の領土であることは争うことのないほど自明」というのがその理由だ。しかし、日本にとっても「自国領であることは自明」であり、であればこそ、国際司法裁判所で争おうといっているのだ。同裁判所は当事国双方の提訴の同意がなければ、裁判を受け付けないので、裁判所の判断を得られないままである。提訴の同意をしないというのは、自国の主張に自信がないからだと思わざるを得ない。
改定版では北方領土に関して「北方領土が我が国の固有の領土であることなど、我が国の領域をめぐる問題にも着目させるようにすること」と書きながら、竹島に関しては「我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることなどにも触れ」とまるでよそごとである。領土、領空、領海、そして国民の生命、身体、財産を守れない政府は、もはや政府ではない。相手が主張したら、こっちも主張してこそ政府なのである。ある韓国人外交官が私にささやいた言葉を思い出す。「領土問題は一歩でも譲ったら、取り返しのないことになりますよ。日本は経験がないでしょうが」。かつて国を奪われた民族の声は、いまわれわれの胸に響く。産経新聞東京本社編集長 大野敏明)
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●【主張】竹島 明確に「日本領」と教えよ 2008.7.15 産経新聞
竹島に関する新学習指導要領の解説書の内容が公表された。日韓両国の領有権をめぐる争いを踏まえ、「北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせる」としている。だが、竹島が日本固有の領土であることがはっきりと書かれておらず、大いに不満が残る。
文部科学省は当初、竹島を「我が国固有の領土」と明記する方針だった。しかし、外務省や首相官邸と調整した結果、最終的には福田康夫首相の判断で、このような表現になったとされる。町村信孝官房長官は「日韓関係をできるだけぎくしゃくしないようにしたいとの意図の表れだ」と韓国側に配慮したことを認めた。領土問題は日本の主権にかかわる問題である。その指導のあり方を示す解説書に外交的配慮を加えたことは、日本の公教育の将来に禍根を残したといえる。韓国はこの日本政府の対応にも「深い失望と遺憾」の意を示し、駐日大使の召還を発表した。韓国側の不満は理解に苦しむ。解説書は教科書編集の参考とされる重要な資料である。最近の検定では、竹島について「日韓両国が領有権を主張」といった申請図書(白表紙本)の記述に意見が付き、日本の領土であるとする記述が少しずつ増えていた。今回の福田内閣の対応は、こうした検定方針とも矛盾している。
ただ、解説書は領土問題について「我が国が正当に主張している立場」に基づくべきだとも書いている。外務省のホームページによれば、竹島は日本の領土でありながら、韓国に不法占拠されている。解説書の竹島に関する表現は曖昧(あいまい)だが、学校では、この日本の立場を踏まえて指導すべきだ。竹島は江戸時代から日本の中継基地として利用され、明治38(1905)年の閣議決定と島根県告示で日本領に編入された。戦後の昭和27(1952)年、韓国の当時の李承晩政権が一方的に竹島を韓国領とする「李ライン」を設定した。サンフランシスコ講和条約の起草過程で、韓国は日本が放棄すべき領土に含めるよう要請したが、米国は竹島が日本の管轄下にあるとして拒否した。実際の社会科の授業では、こうした歴史的経緯を含め、竹島が歴史的にも法的にもまぎれもない日本領土であることをきちんと教える必要がある。それが公教育というものである。http://
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●学習指導解説書 「竹島」明記は遅いぐらいだ 2008年7月15日 読売社説
国の将来を担う子どもたちに、自国の領土や歴史についてきちんと教えていくことは、学校教育の重要な責務だろう。中学校社会科の新学習指導要領の解説書に、韓国が領有権を主張している竹島について、日本の領土であると教えるよう初めて盛り込まれた。竹島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土である。それが日本政府の立場だ。日本の領土として、北方4島は、指導要領や解説書に加え、地理と公民の中学教科書全14冊に書かれている。竹島も4冊に記述があり、今回、解説書に記載されたのは遅すぎたぐらいだ。解説書に入れる方針が報じられた後、韓国の李明博大統領は懸念を伝え、韓国国会も日本固有の領土と明記しないよう決議した。解説書では、「竹島は我が国固有の領土」という直接的な表現を避けている。「北方領土は我が国固有の領土」として的確に扱うよう求めたうえで、竹島も「北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせる」とした。その際、竹島は日韓間に主張の相違があることに触れるよう求めている。
韓国への配慮だろう。韓国政府は駐日大使を一時帰国させる方針を示すなど反発を強めているが、冷静な対応を求めたい。竹島は、遅くとも江戸時代初期の17世紀半ば以降、日本が領有権を確立し、1905年、閣議決定を経て島根県に編入された。ところが、サンフランシスコ講和条約が発効する直前の52年、当時の李承晩大統領が突然、日本海に「李承晩ライン」を設け、竹島を韓国領域内に入れて以降、不法占拠を続けている。韓国は、北朝鮮の核廃棄や拉致問題解決のため、密接に連携していかねばならない隣国である。だが、領土問題はもちろん、国民にどういう教育をするかは、国の主権にかかわる問題だ。外交上の配慮と、主権国家として歴史や領土を次世代に正しく伝えていくこととは、次元が異なる。 解説書は指導要領と異なり、法的拘束力がないが、出版社の教科書編集や授業の指針となるだけに、意義は小さくない。解説書の趣旨を踏まえ、出版社はわかりやすい記述を心掛け、教師もしっかり指導していかねばならない。竹島の領有権をめぐる問題の解決は難しい。だからこそ、国民が正しく理解し、国際社会に日本の立場を明確に主張していけるようにすることが大切だ。
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●独島問題で声高める軍当局、逆効果の懸念も 聯合通信 2008年7月28日
【ソウル28日聯合】日本が独島領有権を主張するたびに沈黙を守ってきた軍当局が、そうした慣行を破り年初から声を高く上げている。これまで独島防御訓練の事実は徹底して秘密にしてきたがその日程を外部に公開し、2008年国防白書に独島死守の意思を込めた表記を強化する方針を示した。領土守護の責務を負う韓国軍としては当然の立場表明と受け止められているが、一角では、軍が前面に出ることはむしろ独島を紛争地域化し、事態解決を複雑にする逆効果を招くのではとの指摘も上がっている。国防部の李相憙(イ・サンヒ)長官は21日の国会本会議緊急懸案質疑で、独島防御訓練を7月下旬と11月に行う計画だと日程を公開した。今年最初の訓練は31日に東海海上で行われる。海軍・空軍・海洋警察が合同で非軍事・軍事的脅威など多様な挑発類型に対応する野外演習で、3900トン級韓国型駆逐艦(KDX-1)「広開土王」、海洋警察艇、K-16戦闘機などが主に参加してきたが、ことしからは大邱基地で展開しているF-15K戦闘機も参加する計画だとされる。F-15Kは戦闘行動半径が1800キロメートルに及び、独島近海でも作戦可能な最新鋭戦闘機だ。任務範囲に独島哨戒も含まれている。海軍のある予備役将校によると、独島防御訓練は海上機動訓練を中心に展開されるという。
これとともに、国防部は年末に発刊する2008年国防白書に独島が韓国固有の領土だということを明白に知らしめる表現を多数用いる方針を示した。2006年の白書では全240ページのうち3カ所に表記するにとどまっていたが、ことしはこれをさらに増やす考えだ。毎年2回、定期的に実施されている独島防御訓練を含む軍の独島態勢部分も明記することを協議中だという。こうした軍当局の動きについて、軍研究機関のある専門家は「軍が領土守護の次元から国民に決然たる意思を示したもの」と評価しながらも、軍が独島問題の前面に出るべきではないと慎重な反応をみせている。現在のように海洋警察が前面にいるのであれば偶発的な事態にも警察レベルで事態収拾することが可能だが、軍の役割が強調された場合は、状況発生当初の段階から軍が動くことになる。これは軍事的緊張を誘発し紛争水域化を狙う日本の意図に沿うことになりかねないと主張した。http://
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●町村長官「特段の反応必要ない」 米政府、竹島『主権未確定』に変更で 産経新聞 2008.7.29
町村信孝官房長官は29日の記者会見で、米政府機関の地名委員会が竹島(韓国名・独島)の領有権を「韓国領」から「主権未確定」と変更したことについて、「米政府の一機関のやっていることに対し、いちいちコメントをしたり、特段の反応したりする必要はない」と述べた。また、韓国の韓昇洙首相が同日竹島を訪問したことに関しては「立場の違いは国によってあるが、双方が冷静に対処して日韓新時代を築くという基本的な考え方がある。こういう形で違いをあおる行動はあまり適切なものとは思わない」と述べ、韓国政府に冷静な対応を求めた。
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●「エリツィン大統領は4島返還を約束していた」 英亡命の元クレムリン番記者 7月26日 産経新聞
【ロンドン=木村正人】1997年から4年近くクレムリン番記者でプーチン政権を批判、その後、英国に亡命したロシア人女性ジャーナリスト、エレーナ・トレグボワさん(35)が産経新聞と会見し、97年11月にクラスノヤルスク郊外でボリス・エリツィン大統領が橋本龍太郎首相(いずれも故人)と会談した際、「あなたの求める島をすべて返そう」といったんは北方4島の全島返還を約束していたと証言した。当時、クレムリンの記者クラブに所属していたトレグボワさんがエリツィン大統領に同行していた側近から独自に取材した話によると、大統領は橋本首相との非公式会談で4島返還を約束。これに驚いたヤストルジェムスキー大統領報道官が同大統領の前でひざまずき、「大統領、止めてください。少し待ってください」と翻意を迫った。大統領は不服そうに「私はリュウ(同首相の愛称)に約束した。お前はそれを許さないのか。大いに不満だが、よし、分かった。向こうへ行け」と同報道官に対応を任せたという。この会談では結局「2000年までに平和条約を締結するよう全力を尽くす」との合意文書が作成され、「メガトン級の歴史的合意」と日本側の交渉団も驚いた。橋本首相はこのあとロシアのアジア太平洋経済協力会議(APEC)加盟を強力に後押しするなど、“ボリス・リュウ”の親密ぶりを強烈に印象付けた。エリツィン大統領時代はのびのび仕事をしていたトレグボワさんだが、プーチン大統領になって状況は一変。01年、政権批判記事でクレムリンの記者クラブを除名された。03年10月、ロシアで『番記者が見たクレムリン』を出版、この中でロシア連邦保安局(FSB)長官だったプーチン氏に誘われ、スシレストランで2人きりで会食したことなどを暴露した。翌11月には勤務先の日刊紙を解雇され、04年2月、自宅前で爆発が起き、「しゃべりすぎる奴は舌を切り落とされる」と脅されたこともあった。トレグボワさんは、かつての同僚でプーチン政権批判の急先鋒(せんぽう)だった著名ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさんが06年10月に射殺された後、亡命を決意。今年4月に英国への亡命が認められた。
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【私のコメント】
7月14日に文部省が発表した新学習指導要領の解説書では、初めて竹島問題が明記されたが、韓国への配慮で「日本固有の領土」との表現は見送られた。一方の韓国側では、日本の配慮は考慮されず、反日感情が高まっている。一見無意味に見える日本側のこの「配慮」の目的は何だろうか?
日本側の本音を解き明かすのに参考になるのは、保守系の読売新聞と産経新聞の論調である。読売新聞は、北朝鮮の核廃棄や拉致問題解決の為に日本は韓国の協力を必要としていると主張している。これに対し、産経新聞は韓国への配慮を不要と断言している。より部数の多い読売新聞の主張は、日本政府の行動を擁護するものであると言えるだろう。
しかし、北朝鮮と日本政府は旧帝国陸軍の人脈で深く繋がっているであろう事を考えに入れるならば、北朝鮮の核問題も拉致問題も日朝両国の合作劇であると想像され、その解決に韓国の協力など全く不要である。日本政府は表向きは韓国の協力を必要としているように装ったのだが、その目的はわかりにくい。
では、日本政府が新学習指導要領の解説書に竹島問題を明記したのは何が目的なのだろうか?これは、韓国の国民世論を刺激することが目的であると思われる。感情的になりやすい韓国世論に対処するため、韓国政府は駐日大使を帰国させる、韓国首相を竹島に派遣する、あるいは秘密にされてきた竹島近海での軍事演習の日程を公開する、といった対抗処置を取らざるを得なくなっている。韓国の国益を考えれば騒ぎ立てずに日本の行動を黙殺するのが最も有益なのだが、世論に押されてしまっているのだ。結果として竹島問題に国際的な注目が集まり、領土紛争として世界に認知されるという日本の目標が実現に近づきつつあると言える。
ただ、世論というのは熱しやすく冷めやすいものである。今は盛り上がっている韓国の反日感情も、何カ月か経てば元に戻っている可能性が高いだろう。だからこそ、日本政府は韓国世論をもっと興奮させるために二の矢、三の矢を放たねばならない。そして、韓国側の更なる対抗処置を引き出し、竹島問題での日韓両国の対立をエスカレートさせる必要がある。
7月26日の産経新聞では、故エリツィン・ロシア大統領が北方領土四島全ての返還を日本に約束したことが報道されている。この報道ではロシア側の高官が大統領に翻意を迫ったとされているが、実際には翻意を迫ったのは橋本首相だったのではないかと私は考えている。北方領土が全て日本に返還されるならば、韓国でも竹島を日本に返還すべきという考えが台頭し、その結果日韓関係が良好になって日本が衛星国として韓国を抱え込む羽目に陥る危険があるからだ。北方領土を早く返還したいロシア側に対して、日本は対韓関係を理由に返還の先延ばしを要請したのだと私は想像する。島根大学の内藤名誉教授や韓国に帰化した日本人である保坂祐二世宗大教授が竹島問題で韓国側を支持する発言を繰り返してきたのも、韓国が「竹島を日本に返還する」とか「日本の言うとおり、国際司法裁判所に行く」などと言い出さないようにするための日本政府による工作だったのではないかと私は考える。
今になってこの北方領土返還の約束が報道されるのは、北方領土返還が近づいていることの兆候ではないかと考えられる。もし北方領土返還が発表されると、北方領土問題が明記された新学習指導要領解説書は書き換えを迫られる。文部省は北方領土問題関連の記述を削除し、竹島関連の記述だけを残すことになるだろう。その時には、韓国が首相の竹島派遣や軍事演習などで対立を煽っていることを理由として、「竹島が日本固有の領土であるが韓国に不法占拠されている」と記述内容が強化されるのではないかと思われる。それは、韓国世論を刺激する二の矢、三の矢として有効に機能することだろう。日本政府は韓国世論を二段階に分けて刺激し反日感情をより煽る目的で、7月14日にはわざと「日本固有の領土」という表現を見送ったのだと私は想像する。