抜群マーケティングで、モノが売れる時代に?(経産省、個人位置情報の配信へ旗振り )
ようちゃん、おすすめ記事。↓【ニュースを斬る】 日経
▼抜群マーケティングで、モノが売れる時代に?(経産省、個人位置情報の配信へ旗振り )
あなたが銀座のファッションビルを歩いていると、店内のショップのバーゲン情報が携帯電話に届く―――。 消費者の位置と関心を把握して、情報を送る「地理空間情報サービス」。
経済産業省は、現在では約4兆円のこのサービス市場が「5年後の2013年に約10兆円と2.5倍に拡大する」との将来ビジョンを7月にまとめた。 地理空間情報とは、2つの要件で構成される。まず、ビルの何階にいるかといった高さや何時にどこにいたかといった経過までも勘案した位置情報。もう1つが、その位置にある施設の情報。これは住所やビル名だけでなく、飲食店であれば、メニューや評判といった付帯データも含む。この2つを組み合わせることで、冒頭のように個人の嗜好に合わせた情報をタイムリーに提供することが可能になる。 IT(情報技術)の発展で、GPS(全地球測位システム)や携帯電話などで人の位置を把握しやすくなった。今後の実用化が見込まれる無線通信技術「WiMAX(ワイマックス)」など、位置を特定できるデバイスはさらなる普及が見込まれる。こうした人の移動履歴と、どこで何を購入したかなどの行動履歴を分析することで、消費者の購買パターンを浮かび上がらせることができる。企業はそれを活用して、より効果的なネット広告の展開やマーケティング精度の向上など、新たなビジネス機会の創出が期待できるというわけだ。 今、どの企業も「いつどこで何が売れたか」という消費行動の入手に力を注いでいる。”商品開発や販売促進に生かすためだ。これまでもPOS(販売時点情報管理)や個別インタビューといった方法はあった。しかし、POSでは全体の売れ行き動向は分かっても、個人客がどのような買い方をしているかは見えにくい。個別インタビューはきめ細かな調査ができるが、手間とコストがかかる。
・「匿名化」技術に期待
そこで、経産省は、位置や購買履歴といった行動情報を企業が手軽に活用できるようにIT環境の整備を目指す。そのために、地理空間情報の書き換えや検索がしやすいデータベース構築といった基盤の整備、官民の連携による地理空間情報の普及・啓蒙活動、衛星などで位置情報を有効活用する環境整備といった施策の必要性を掲げている。 既に携帯電話やカーナビゲーションシステム、パソコンなど情報を収集するツールは広がっている。にもかかわらず、こうした情報をマーケティングに活用する動きがあまり進んでいない。2008年1月に経産省が企業を対象に実施したアンケートによると49%が、地理空間情報を活用していないとしている。これには理由がある。 個人情報保護の“壁”だ。企業の情報収集活動に、もし顧客が「プライバシー侵害で不快」と感じたら、ビジネスに悪影響を及ぼしかねない。個人情報の取り扱いを意識する風潮は、2005年4月に個人情報保護法が施行されて以来、強まる一方にある。 そこで、経産省は氏名や生年月日といった個人を特定できる情報と、行動や嗜好などの個人から抽出できるマーケティングデータの切り離しを目論む。個人情報をマーケティングデータとして利用するためには、原則的に本人の承諾が必要になるために、携帯電話などを通じて入手できる情報は利用しづらかった。ITが普及して、紙の時代とは違う問題が出てきたというわけだ。 しかし、個人を特定できないように、技術的に「匿名化」できれば話は変わる。マスから個人の行動まできめ細かく分析できるインフラが整えば、マーケティングデータとして広く流通することになる。
・レストラン、鉄道での実験も視野に
2009年度には、実証実験も計画している。家庭でのパソコンや携帯電話の利用、百貨店やレストランなどでの購買動向、鉄道やバスでの移動などさまざまな生活シーンから情報を収集。これを匿名化した形で、コンテンツ事業者や市場調査会社などの企業が利用することで、個人に合わせたお薦め情報の配信といったサービスの実現を目指すというものだ。 「新しいテクノロジーのマイナス面を克服して、プラス面を社会に還元したい」。経産省でIT戦略を担当する吉崎正弘・大臣官房審議官は言葉に力をこめる。 いうまでもなく、個人情報の保護は、生活の安全を確保するうえで重要だ。しかし、“行き過ぎた保護”は、企業のマーケティング活動を萎縮させ、経済成長を阻害する面があるのは確かだ。消費者の安全を担保しながら、利便性を高めようという経産省の狙い。果たしてそれは企業行動に火をつけるか。行動履歴を基にしたマーケティングや移動パターンを分析したターゲット広告など、企業が成熟消費を打破するヒントを見つけ出せば、地理空間情報の利用は勢いを増すことになる。
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【コンビニ棚から消費が見える】 日経
▼【1】独自の進化を遂げてきたコンビニ
忙しいビジネスパーソンにとって、なくなると困るものの1つがコンビニエンスストア(コンビニ)です。弁当にジュース、雑誌に日用品といった商品の購入から、公共料金の振り込みやATMの現金引き出しまで、それこそ、毎日お世話になっているビジネスパーソンも多いと思います。 特に猛暑が続く夏の時期は、冷房が効いたコンビニをオアシスとして愛用する人が増えます。夏も冬も快適な空間を提供してくれるコンビニがなくなったら困りませんか? 夜中に帰宅する人であれば、犯罪があった時の駆け込み寺としてコンビニを利用できます。物騒な世の中では、防犯の面でも役に立っています。みなさんはコンビニを何気なく利用していると思いますが、その「凄さ」を知っている人はほとんどいません。コンビニは、季節や天候、消費者の行動心理などを徹底的に分析して、商品の発注から陳列、販売方法まで、緻密なシステムで運営しています。そこには、まさに「この瞬間」のニーズに適した商品もあります。 そこで、この連載では、コンビニの高度なシステムを紹介するとともに、コンビニから得られる消費行動を解説していきたいと思います。 日本全国にお店があり、日本人の生活に密着しているコンビニは、約30年間かけて大きく成長しました。最新の商業統計(平成19年度版)によると、コンビニの市場規模(年間売上高)は、約6兆9000億円にもなります。店舗数は約4万3000店。デパートの市場規模が約7兆6000億円ですので、コンビニの市場規模の大きさがよく分かります。 元々コンビニというビジネスモデルは、30年ほど前に米国から日本に上陸してきました。コンビニは当初、生鮮品を扱わない単なるミニスーパーとしての位置づけでしかありませんでした。それが、「おにぎり」や「弁当」を取り扱ってみたり、深夜営業をしたりと、日本独自の進化を遂げてきました。コンビニは、試行錯誤を繰り返しながら、顧客のニーズに対応しながら進化してきたといえます。 コンビニの「凄さ」は、この変化に対応し続けてきた点にあります。店の近隣住民の変化、ニーズの変化に対応し続けてきたからこそ、ここまで大きな業態となったのです。
第1回の今回は、基本となるコンビニ独自の特徴を3つ紹介します。
1、コンビニは、固定客が80%もいる
あなたはどのぐらいの頻度でコンビニに行っていますか? コンビニに週1回以上通っていれば、あなたは立派な固定客です。 コンビニ1店舗あたりの平均客数は約900人。このお客さまの約80%が、週に1回以上コンビニに行く固定客です。がっちり固定客をつかんでいるわけです。 コンビニは小商圏で成り立つ業態です。ここでの小商圏とは、徒歩でいえば10分圏内です。「徒歩1分=80メートル」と考えると、店舗を中心に半径約800メートルの円内の住民がコンビニの対象客となります。 徒歩10分以内で行ける場所にコンビニがあるので、近隣住民は普段からコンビニに足を運ぶのです。 これらの固定客が買う商品も変化してきました。昔はコンビニでの売り上げの中心といえば、「酒」「たばこ」「雑誌」「加工食品」でしたが、近年は「おにぎり」「弁当」「冷たい麺」といった食品「中食(なかしょく)」となってきました。 中食が人気だという公開データはありませんが、私が過去、現在において、個人的にお手伝いをしているコンビニの数値を見ると、中食の売上構成比の平均は、約50.3%にもなります。約半分が中食なのです。 コンビニ1店舗あたりの平均年商は、約1億6000万円といわれています。それを考えると、約8000万円が1店舗あたりの中食年間売上になっています。 中食とは、家の中で食べる食品なので、購入頻度も高くなります。独身男性であればほぼ毎日コンビニで夕食を購入している人もいるのではないでしょうか。 このように、コンビニは「家の近くにあって弁当(中食)が売っている」ために、固定客が多いのです。
2、店内での平均滞在時間は5分以内
忙しいビジネスパーソンは、食事に時間をかけられない。夜中に帰宅することも多い。そうなると、コンビニが便利だ。何時に行っても棚には弁当がずらりと並んでいて、すぐに何を食べるか決められる。 さて、ここで質問です。あなたはいつもコンビニに何分ぐらい立ち寄っていますか。多くの方は、5分以内ではないでしょうか。これを裏付けるデータもあります。コンビニに入り、商品を選び、レジに行き精算する。この一連の消費行動の平均時間が5分以内である人がなんと80%もいるのです。 一般的なスーパーでの滞在時間が約20分と言われているので、コンビニ滞在時間がいかに短いかが分かると思います。
どうして5分以内で買い物が終わるのか。それは、コンビニに入る前から、ある程度、買う商品を決めているからです。一直線に欲しい商品がある場所まで行き、商品を手に取ってレジに並んで金を払って出て行ってしまうわけです。 この滞在時間は、時間によって変化します。最も短いのは朝です。出勤前にコンビニに寄る場合は、急いでいるため滞在時間が短くなります。正確なデータはありませんが、私の肌感覚では、約3分ぐらいではないでしょうか。出勤前にコンビニに入ったビジネスパーソンが店内で「何を買おうかな?」と悩んでいる様子はほとんど見たことがありません。 次に短いのが昼です。ビジネスパーソンは昼休みの時間が決まっていることがほとんどです。例えば、45分間の昼休みを最大限活用しようと考えると、ランチを選ぶための時間はかけられません。「弁当とお茶」といった買い物をするお客さまが大半です。 滞在時間が最長なのは夜。仕事帰りのビジネスパーソンは、夕食選びはもちろんのこと、雑誌を立ち読みしたり、ビールを選んだり、食後のデザートを選んだり、と様々な行動を取ります。なお、私の実体験では、ある男性客は、約1時間もコンビニに滞在していました。丁寧に雑誌を立ち読みし、玩具つきのお菓子を真剣に選んでいる客でした。 余談ですが、店内滞在時間の違いは客単価にも反映されています。滞在時間が長くなればなるほど、客単価は向上していくものです。詳しくは、次回以降にご説明します。
3、脅威の坪当たり売上高(生産性)
コンビニは、坪当たりの売上高が驚異的です。以下は業態別の坪当たりの年間売上高です(商業統計、平成19年から抜粋)。
業態 坪当たりの年間売上高
コンビニ 471万5818円
百貨店 398万4264円
食料品スーパー 291万850円
ドラッグストア 207万9224円
GMS(総合スーパー) 154万8928円
ホームセンター 94万53円
これを見ると、小売業としてコンビニは、最高値の一坪あたり売上高を誇っています。一般的に店舗面積が大きくなれば、「家賃」「光熱費」「建設費」などの経費がかかってくるものです。小さな店舗で高い売り上げ(高生産性)を出しているのが、コンビニ業態の凄さといえます。
冒頭に示したように、コンビニの歴史は顧客ニーズへの変化対応の歴史です。「コンビニの近くに住んでいるお客様にとって便利な店になろう」と努力を続けてきた結果が、このようなビジネスモデルとなり成長を続けてきたのでしょう。 次回以降は、コンビニの特徴を踏まえた上で、「コンビニの棚から、こんなこが分かる」というようなものについて説明させていただきたいと思います。楽しみに。
▼抜群マーケティングで、モノが売れる時代に?(経産省、個人位置情報の配信へ旗振り )
あなたが銀座のファッションビルを歩いていると、店内のショップのバーゲン情報が携帯電話に届く―――。 消費者の位置と関心を把握して、情報を送る「地理空間情報サービス」。
経済産業省は、現在では約4兆円のこのサービス市場が「5年後の2013年に約10兆円と2.5倍に拡大する」との将来ビジョンを7月にまとめた。 地理空間情報とは、2つの要件で構成される。まず、ビルの何階にいるかといった高さや何時にどこにいたかといった経過までも勘案した位置情報。もう1つが、その位置にある施設の情報。これは住所やビル名だけでなく、飲食店であれば、メニューや評判といった付帯データも含む。この2つを組み合わせることで、冒頭のように個人の嗜好に合わせた情報をタイムリーに提供することが可能になる。 IT(情報技術)の発展で、GPS(全地球測位システム)や携帯電話などで人の位置を把握しやすくなった。今後の実用化が見込まれる無線通信技術「WiMAX(ワイマックス)」など、位置を特定できるデバイスはさらなる普及が見込まれる。こうした人の移動履歴と、どこで何を購入したかなどの行動履歴を分析することで、消費者の購買パターンを浮かび上がらせることができる。企業はそれを活用して、より効果的なネット広告の展開やマーケティング精度の向上など、新たなビジネス機会の創出が期待できるというわけだ。 今、どの企業も「いつどこで何が売れたか」という消費行動の入手に力を注いでいる。”商品開発や販売促進に生かすためだ。これまでもPOS(販売時点情報管理)や個別インタビューといった方法はあった。しかし、POSでは全体の売れ行き動向は分かっても、個人客がどのような買い方をしているかは見えにくい。個別インタビューはきめ細かな調査ができるが、手間とコストがかかる。
・「匿名化」技術に期待
そこで、経産省は、位置や購買履歴といった行動情報を企業が手軽に活用できるようにIT環境の整備を目指す。そのために、地理空間情報の書き換えや検索がしやすいデータベース構築といった基盤の整備、官民の連携による地理空間情報の普及・啓蒙活動、衛星などで位置情報を有効活用する環境整備といった施策の必要性を掲げている。 既に携帯電話やカーナビゲーションシステム、パソコンなど情報を収集するツールは広がっている。にもかかわらず、こうした情報をマーケティングに活用する動きがあまり進んでいない。2008年1月に経産省が企業を対象に実施したアンケートによると49%が、地理空間情報を活用していないとしている。これには理由がある。 個人情報保護の“壁”だ。企業の情報収集活動に、もし顧客が「プライバシー侵害で不快」と感じたら、ビジネスに悪影響を及ぼしかねない。個人情報の取り扱いを意識する風潮は、2005年4月に個人情報保護法が施行されて以来、強まる一方にある。 そこで、経産省は氏名や生年月日といった個人を特定できる情報と、行動や嗜好などの個人から抽出できるマーケティングデータの切り離しを目論む。個人情報をマーケティングデータとして利用するためには、原則的に本人の承諾が必要になるために、携帯電話などを通じて入手できる情報は利用しづらかった。ITが普及して、紙の時代とは違う問題が出てきたというわけだ。 しかし、個人を特定できないように、技術的に「匿名化」できれば話は変わる。マスから個人の行動まできめ細かく分析できるインフラが整えば、マーケティングデータとして広く流通することになる。
・レストラン、鉄道での実験も視野に
2009年度には、実証実験も計画している。家庭でのパソコンや携帯電話の利用、百貨店やレストランなどでの購買動向、鉄道やバスでの移動などさまざまな生活シーンから情報を収集。これを匿名化した形で、コンテンツ事業者や市場調査会社などの企業が利用することで、個人に合わせたお薦め情報の配信といったサービスの実現を目指すというものだ。 「新しいテクノロジーのマイナス面を克服して、プラス面を社会に還元したい」。経産省でIT戦略を担当する吉崎正弘・大臣官房審議官は言葉に力をこめる。 いうまでもなく、個人情報の保護は、生活の安全を確保するうえで重要だ。しかし、“行き過ぎた保護”は、企業のマーケティング活動を萎縮させ、経済成長を阻害する面があるのは確かだ。消費者の安全を担保しながら、利便性を高めようという経産省の狙い。果たしてそれは企業行動に火をつけるか。行動履歴を基にしたマーケティングや移動パターンを分析したターゲット広告など、企業が成熟消費を打破するヒントを見つけ出せば、地理空間情報の利用は勢いを増すことになる。
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【コンビニ棚から消費が見える】 日経
▼【1】独自の進化を遂げてきたコンビニ
忙しいビジネスパーソンにとって、なくなると困るものの1つがコンビニエンスストア(コンビニ)です。弁当にジュース、雑誌に日用品といった商品の購入から、公共料金の振り込みやATMの現金引き出しまで、それこそ、毎日お世話になっているビジネスパーソンも多いと思います。 特に猛暑が続く夏の時期は、冷房が効いたコンビニをオアシスとして愛用する人が増えます。夏も冬も快適な空間を提供してくれるコンビニがなくなったら困りませんか? 夜中に帰宅する人であれば、犯罪があった時の駆け込み寺としてコンビニを利用できます。物騒な世の中では、防犯の面でも役に立っています。みなさんはコンビニを何気なく利用していると思いますが、その「凄さ」を知っている人はほとんどいません。コンビニは、季節や天候、消費者の行動心理などを徹底的に分析して、商品の発注から陳列、販売方法まで、緻密なシステムで運営しています。そこには、まさに「この瞬間」のニーズに適した商品もあります。 そこで、この連載では、コンビニの高度なシステムを紹介するとともに、コンビニから得られる消費行動を解説していきたいと思います。 日本全国にお店があり、日本人の生活に密着しているコンビニは、約30年間かけて大きく成長しました。最新の商業統計(平成19年度版)によると、コンビニの市場規模(年間売上高)は、約6兆9000億円にもなります。店舗数は約4万3000店。デパートの市場規模が約7兆6000億円ですので、コンビニの市場規模の大きさがよく分かります。 元々コンビニというビジネスモデルは、30年ほど前に米国から日本に上陸してきました。コンビニは当初、生鮮品を扱わない単なるミニスーパーとしての位置づけでしかありませんでした。それが、「おにぎり」や「弁当」を取り扱ってみたり、深夜営業をしたりと、日本独自の進化を遂げてきました。コンビニは、試行錯誤を繰り返しながら、顧客のニーズに対応しながら進化してきたといえます。 コンビニの「凄さ」は、この変化に対応し続けてきた点にあります。店の近隣住民の変化、ニーズの変化に対応し続けてきたからこそ、ここまで大きな業態となったのです。
第1回の今回は、基本となるコンビニ独自の特徴を3つ紹介します。
1、コンビニは、固定客が80%もいる
あなたはどのぐらいの頻度でコンビニに行っていますか? コンビニに週1回以上通っていれば、あなたは立派な固定客です。 コンビニ1店舗あたりの平均客数は約900人。このお客さまの約80%が、週に1回以上コンビニに行く固定客です。がっちり固定客をつかんでいるわけです。 コンビニは小商圏で成り立つ業態です。ここでの小商圏とは、徒歩でいえば10分圏内です。「徒歩1分=80メートル」と考えると、店舗を中心に半径約800メートルの円内の住民がコンビニの対象客となります。 徒歩10分以内で行ける場所にコンビニがあるので、近隣住民は普段からコンビニに足を運ぶのです。 これらの固定客が買う商品も変化してきました。昔はコンビニでの売り上げの中心といえば、「酒」「たばこ」「雑誌」「加工食品」でしたが、近年は「おにぎり」「弁当」「冷たい麺」といった食品「中食(なかしょく)」となってきました。 中食が人気だという公開データはありませんが、私が過去、現在において、個人的にお手伝いをしているコンビニの数値を見ると、中食の売上構成比の平均は、約50.3%にもなります。約半分が中食なのです。 コンビニ1店舗あたりの平均年商は、約1億6000万円といわれています。それを考えると、約8000万円が1店舗あたりの中食年間売上になっています。 中食とは、家の中で食べる食品なので、購入頻度も高くなります。独身男性であればほぼ毎日コンビニで夕食を購入している人もいるのではないでしょうか。 このように、コンビニは「家の近くにあって弁当(中食)が売っている」ために、固定客が多いのです。
2、店内での平均滞在時間は5分以内
忙しいビジネスパーソンは、食事に時間をかけられない。夜中に帰宅することも多い。そうなると、コンビニが便利だ。何時に行っても棚には弁当がずらりと並んでいて、すぐに何を食べるか決められる。 さて、ここで質問です。あなたはいつもコンビニに何分ぐらい立ち寄っていますか。多くの方は、5分以内ではないでしょうか。これを裏付けるデータもあります。コンビニに入り、商品を選び、レジに行き精算する。この一連の消費行動の平均時間が5分以内である人がなんと80%もいるのです。 一般的なスーパーでの滞在時間が約20分と言われているので、コンビニ滞在時間がいかに短いかが分かると思います。
どうして5分以内で買い物が終わるのか。それは、コンビニに入る前から、ある程度、買う商品を決めているからです。一直線に欲しい商品がある場所まで行き、商品を手に取ってレジに並んで金を払って出て行ってしまうわけです。 この滞在時間は、時間によって変化します。最も短いのは朝です。出勤前にコンビニに寄る場合は、急いでいるため滞在時間が短くなります。正確なデータはありませんが、私の肌感覚では、約3分ぐらいではないでしょうか。出勤前にコンビニに入ったビジネスパーソンが店内で「何を買おうかな?」と悩んでいる様子はほとんど見たことがありません。 次に短いのが昼です。ビジネスパーソンは昼休みの時間が決まっていることがほとんどです。例えば、45分間の昼休みを最大限活用しようと考えると、ランチを選ぶための時間はかけられません。「弁当とお茶」といった買い物をするお客さまが大半です。 滞在時間が最長なのは夜。仕事帰りのビジネスパーソンは、夕食選びはもちろんのこと、雑誌を立ち読みしたり、ビールを選んだり、食後のデザートを選んだり、と様々な行動を取ります。なお、私の実体験では、ある男性客は、約1時間もコンビニに滞在していました。丁寧に雑誌を立ち読みし、玩具つきのお菓子を真剣に選んでいる客でした。 余談ですが、店内滞在時間の違いは客単価にも反映されています。滞在時間が長くなればなるほど、客単価は向上していくものです。詳しくは、次回以降にご説明します。
3、脅威の坪当たり売上高(生産性)
コンビニは、坪当たりの売上高が驚異的です。以下は業態別の坪当たりの年間売上高です(商業統計、平成19年から抜粋)。
業態 坪当たりの年間売上高
コンビニ 471万5818円
百貨店 398万4264円
食料品スーパー 291万850円
ドラッグストア 207万9224円
GMS(総合スーパー) 154万8928円
ホームセンター 94万53円
これを見ると、小売業としてコンビニは、最高値の一坪あたり売上高を誇っています。一般的に店舗面積が大きくなれば、「家賃」「光熱費」「建設費」などの経費がかかってくるものです。小さな店舗で高い売り上げ(高生産性)を出しているのが、コンビニ業態の凄さといえます。
冒頭に示したように、コンビニの歴史は顧客ニーズへの変化対応の歴史です。「コンビニの近くに住んでいるお客様にとって便利な店になろう」と努力を続けてきた結果が、このようなビジネスモデルとなり成長を続けてきたのでしょう。 次回以降は、コンビニの特徴を踏まえた上で、「コンビニの棚から、こんなこが分かる」というようなものについて説明させていただきたいと思います。楽しみに。