2008年1Qまでの日本経済と今後 前編(新世紀のビッグブラザーへ)
ようちゃん、おすすめ記事。↓
▼2008年1Qまでの日本経済と今後 前編(新世紀のビッグブラザーへ)
んん?ちょっと意外なほどの日本のGDP成長率の健全性が浮き彫りにされました。
例えば日経新聞は「2002年以降の日本の経済成長は、外需依存の高まり、つまり輸出依存だった」と繰り返し主張してきましたが、実際には純輸出のGDP成長率への貢献は、2005年までは大したことありません。純輸出がGDP成長率に大きく貢献したのは、実質的には07年のわずか一年間です。しかしその一年にしても、純輸出の成長率は個人消費(民間最終消費支出)には及んでいないわけです。日経は以前、「純輸出の成長率が、民間支出の成長率を上回った」と嬉しそうに書きたてましたが、これは2007年の民間支出を構成する民間住宅の異常な下落が主因である事は明らかです。そして2007年になぜ民間住宅が落ち込んだかと言えば、これは言うまでもなく耐震法改正の影響なわけですから、明らかにこの年に限定される異常値です。
つまり日経新聞は、
①2007年の純輸出の成長率は、個人消費の成長率に及んでいない
②個人消費に民間住宅、民間企業設備、それに民間在庫品増加を加えた民間需要で見ると、0.4%成長となってしまい、純輸出を下回る。(詳しくは情報ソース先参照のこと)が、これは明らかに法改正による民間住宅の異常な落ち込みが原因で、個人消費自体はそれなりに成長していた。にも関わらず、日本の成長は輸出、つまり外需によるもの。日本の個人消費はボロボロ。日本は輸出無しでは生きていけない!と、例の外需依存嘘話(日本の外需依存度は、主要国ではアメリカに次ぎ小さいにも関わらず、日本は外需依存!日本は外需依存!と主張する嘘話)と合わせ、日本経済は「外国(具体的には中国様)無しでは経済成長できない」というデマを振りまいていたわけですね。日経にしてみれば、とにかく中国様の都合が全てに優先しますので、
■日本が実は内需国家で、個人消費などの民間需要が世界で二番目にでかい国
■07年でさえ、個人消費の伸びは純輸出の伸びを上回っている
■円高は日本の国力を増強させると共に、日本人の購買力を高めて個人消費を益々拡大させる
■真の「外需依存国家」とは、外需依存度が36%にも及んでいる中国で(日本は15%程度)、中国こそが外国に頼らなければ生きていけない経済構造である
■08年Q1の日本のGDP成長率は、対前期比で1%、対前年比で4%にも達し、先進国の中では図抜けて高い
などの真実を日本人に知られるのは、都合が悪いわけです。今年の第一四半期の日本の経済成長率が良すぎたため、日経は現在「日銀予想によると」「内閣府予想によると」「業界アナリストによると」日本の第二四半期以降の経済成長率はボロボロです!キャンペーンを実施中です。どうでもいいけど、この日銀とか内閣府とか業界アナリストやらは、第一四半期の日本の(年換算)4%の成長率を正しく予想できたのでしょうね。誰かが、彼らの予想の正しさを検証をしたのでしょうか?などと意地悪な突込みを入れたくなります。
本日の日本経済話はここまで。(明日に続きます。)
一昨日、ネット上に「存在する存在」である集合知について書いたら、反響の多さにびっくりしました。実は、かくいう三橋貴明も、この集合知により産み出された存在だったりします。知っている人は知っているでしょうが、2chの韓国経済wktkスレッドの初期、わたしが「それより、本を書きたいんだよね~」と書き込みをしたことから、全てが始まりました。その直後から無数のアイデアや応援レスが書き込まれ、瞬く間に「まとめサイト」が誕生しました。それまでwktkスレをROMしていた人たちまでもが書き込みを始め、名無しさんがコテを名乗り始め、一種のコミュニティが形成されていきました。そのあまりの勢いに、わたしはネット上で渦巻く何かに吸い込まれる感触を覚えたのでした。あの時、ネット上に溢れていた存在は、間違いなく何らかのパワーでした。その後、色々と勉強していくうちに、わたしはあの種のパワーが、マーケティング用語で「集合知」と呼ばれている事を知ったのです。2chの一コテハン(お弟子さんに薦められるまでは、コテさえ持たない名無しでした)が本を執筆し、チャンネル桜に出演(二度も)し、SBSラジオで韓国経済を語り(何とか巧くいきました)、そしてもしかしたら来週日曜日には「サンプロ」に出演するかも知れないのです。これも全ては、単にわたしが集合知にアクセスする手段を持っていたおかげです。 この集合知へのアクセスこそ、真の意味での「情報化」、かつてアルビン・トフラーが唱えた「第三の波」なのではないかと、最近では考えていたりします。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
▼「ドル優位の時代は終わった」、米報告書(AFP)
7月25日 AFP】経済の基盤を輸出に頼るアジア各国では、米ドルの下落に伴う自国通貨の上昇で輸出競争力が低下するとの懸念が広がる一方、現在の米ドルは依然過大評価されているとする最新調査結果が発表された。米ワシントンD.C.(Washington D.C.)を拠点とするピーターソン国際経済研究所(Peterson Institute for International Economics)が発表した報告書「New estimates of fundamental equilibrium exchange rates(基礎的均衡為替レートに関する新たな考察)」によると、対米ドルで中国元は約30%、日本円は約20%、現在よりも実質的為替価値は高いとしている。
また、アジア各国通貨の対ドル為替レートが上昇すれば、貿易加重平均を中国元で20%以下、円については5%以下と、理想的な数値に抑えることができるとした。また、通貨引き上げの重要度が高いアジア通貨として、シンガポールドル、中国元、マレーシアリンギット、新台湾ドル、円を挙げている。報告書の作成に関わったのは、財務省高官と国際金融研究所(Institute of International Finance)の主席エコノミストを経験したウィリアム・クライン(William Cline)氏と、世界銀行(World Bank)および国際通貨基金(International Monetary Fund)での勤務経験を持つジョン・ウィリアムソン(John Williamson)氏。
報告書は「ユーロ、英ポンド、カナダドルなどの欧米先進国通貨に対するドル為替レートに比べ、対ドルのアジア通貨レートは過小評価され過ぎている」とし、「長期にわたった欧米主要3通貨に対するドル優位の時代は終わった」とまとめた。輸出主導型のアジア経済においては、一般的に自国通貨の上昇は、アジア圏内のライバル国との輸出競争で不利となり、経済成長の衰退を招く懸念材料と考えられている。最近の原油および食糧価格の急騰が招いたインフレ懸念が高まるなか、アジア各国の中央銀行は、自国為替レートの制御に苦慮していると専門家は指摘する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(■陳胡痒のコメント)で、この報告書を作成したシンクタンク=ピーターソン国際経済研究所ってのがどういうところかというと、クリントン政権の経済ブレーンだったシンクタンクで、民主党ネオ・リベラル派の政治的方向性を理論面からサポートする役割を果たしている。具体的に言えば、労組の支持を受ける民主党であるから、保護貿易主義の正しさと、ドル安路線を理論面から正当化することである。プラザ合意後のアメリカ政府・議会の執拗なドル安円高要求はピーターソン国際経済研究所の理論が元になっている。ピーターソン国際経済研究所のオーナーは中国政府も出資しているブラックストーングループの共同経営者であるピーター・G・ピーターソン氏だ。要するに、オバマ政権なんてものができたら、日本にとってはろくなことにならないということなんだ。日本は裏で手を握った米中に食い物にされかねない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
▼欧州で大人気のオバマだが、「世界の市民」をアメリカ人はどう思う?(苺畑)
中東訪問を終えた民主党大統領候補のバラク・オバマはヨーロッパの各地を周り、大勢の群衆を集めて演説を行い高い人気を呼んでいる。アメリカの大統領に立候補している人間が、何故ヨーロッパで選挙運動をやるのか不思議に思われる方も多いだろう。しかし今日のCNNのニュースを呼んでいて、なるほどと納得が行った。ーーーーー
(CNNはすぐリンクが消えるので全文転載)オバマ氏がマケイン氏に圧勝、英独仏での政治献金額で
米連邦選挙委員会は25日、今年の米大統領選に関連しドイツ、フランス、英国に住む米国人の政治献金で、民主党候補者指名を決めたオバマ上院議員がこれまで少なくとも100万ドル(約1億800万円)を集め、共和党のライバル、マケイン上院議員の少なくとも15万ドルに大きな差を付けていると報告した。AP通信が報じた。オバマ議員は先の中東・欧州諸国歴訪で、これら3カ国を訪ね、ベルリンでの演説では聴衆約20万人を集める人気を誇示した。英国に限っては、マケイン氏に寄金したのは63人だが、オバマ氏は約600人だったという。AP通信は、両議員への献金者を取材し、マケイン氏が劣勢なのは過去8年のブッシュ政権の政策への嫌気が大きいと指摘。欧州で損なわれた米国の印象の回復をオバマ氏に賭けている献金者が多いともしている。また、オバマ氏陣営がインターネットをふるに使って献金を募っているのに対し、マケイン氏陣営がこの対策でも後手を踏んでいる影響もあるとしている。ーーーーー
ところで、ここで注意して頂きたいのは、アメリカの政治家が外国人から献金を受け取ることはアメリカの選挙法で固く禁じられている。以前にもクリントン元大統領が中国系アメリカ市民から受け取ったとされていた献金が実はアメリカ市民を通した中国共産党からの献金だったことがバレてスキャンダルとなったことがあるのは、ここでも紹介した通り。であるから、ここでいうオバマへのヨーロッパからの献金というのは、ヨーロッパに在住するアメリカ市民からの献金という意味でなければならない。つまりオバマは生まれ育ったアメリカに住むより外国であるヨーロッパ諸国に住むことを好むアメリカ人から人気が高いということになる。これまでオバマは夫人のミッシェルと共に、何かと現在のアメリカの姿を嫌う姿勢を見せてきた。彼の言う「変化」とはアメリカをもっとヨーロッパのように変化させたいという意味なのだろう。
ヨーロッパからの献金が多く集まったと言ってオバマは喜んでばかりもいられないとカカシは思う。なぜかというと、アメリカ人は往々にしてヨーロッパに比べられるのを嫌うからである。特にフランスなんかと比べて「おふらんすではこうしてるざ~ます。それにひきかえアメリカは野蛮ざ~ます」とやたらにフランスを引き合いに出す人間は忌み嫌われること間違いなし。
フランス系移民の子孫でフランス語が堪能だった2004年の民主党候補ジョン・ケリーが、ヨーロッパで生まれ育ったテレーザ夫人と普段はフランス語で会話を交わしていると語り、ジョン・レ・ケリーなどとおちょくられて人気ががた落ちしたことは記憶に新しい。
アメリカ人の多くはヨーロッパ諸国は社会主義が行き過ぎだと感じている。アメリカをよりヨーロッパ風にしようなどという政策には脊髄反射を起こす人も少なくない。そういう文化のなかでオバマがヨーロッパに媚へつらうのはアメリカ市民にとっては決して面白くないことなのである。
オバマはアメリカの大統領としてアメリカの国益のために働こうというのか、それとも「世界の市民」であること優先させて、アメリカは二の次になるのか、ライバル候補のマケインはこの点について強く問いつめるべきである。