【論説】トロイの木馬」シミュレーション by アンディ チャン
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【論説】トロイの木馬」シミュレーション
アンディ チャン
台湾統一の上策とは,戦わずして征服することである。中策とは「トロイ
の木馬」で短時間内に征服して台湾の産業を破壊しない。下策とはミサ
イルその他の攻撃で台湾に大きな破壊を及ぼすことである。
台湾が八ヶ所の空港乗り入れを解放したため、「トロイの木馬」で簡単に征服できる可能性が出てきた。台湾征服のあと、どのような政治効果、国際反応が起こるか、私なりにシミュレーションを行ってみたい。個人のシミュレーションだから意見もいろいろあるかもしれないが、このシミュレーションが台湾の識者に警告を与え、出来る限りの予防と準備を促すことが出来ればよいと願っている。
●「トロイの木馬」実施のシナリオ
まず、中国が台湾を征服すると言うことはアメリカと敵対行為に入ることであり、米国を始めとして世界各国の抗議が相継ぐことは中国も十分 にわかっているから簡単に「トロイの木馬」作戦を行うことはない。中 国が「トロイの木馬」を実施するには三つのシナリオがある。
(1)中国が台湾との和解協議や妥協を無視して戦争に突入する。政治的にあまり可能性はないが、政治、経済、その他の原因で中国政権が 危うくなった場合、台湾攻略で国内問題を逸らして安定を図る可能 性は否定できない。ことに「トロイの木馬」が簡単に達成できると わかれば軍部が軽はずみに動くかもしれない。この場合は台湾に侵 攻すれば台湾軍部と民間の抵抗が起こる。
(2)台湾の独立運動が激しくなって馬英九政権が危なくなり、国民党幹 部が中国の台湾攻撃を要請する、つまり呉三桂の故事を同じシナリ オで中国軍の侵攻を歓迎する。これなら台湾軍の反抗はなく、民間 人の反抗もあまり効果がない。中国軍が台湾を占拠したあとは嘗て の228事件と同じく、台湾人の大虐殺を実施する、ことに政治家や 経済界の掠奪と殺戮、財閥の掠奪などが行われるだろう。
(3)国民党政権と中国の協議で、平和統一を果たす合意が成立し、ある 「トロイの木馬」作戦で中国軍が台湾に進駐する。台湾人は完全 に意表を突かれて抵抗する気力もないまま統一される。この場合は 中華民国の同意の下で行われるから各国の抗議は完全に無力となる。
アメリカはこれまで「両側の平和解決」を主張してきたが、急速な 統一が起きても反対する機会すら与えられない。
●作戦綱領
「トロイの木馬」作戦は次のように簡単な箇条書きに出来る:
1.中国の空港で、旅客を空港ロビーに待たしたまま、兵隊と武器車両 などを満載した飛行機が八ヶ所の空港から出発して台湾側の空港には旅 客が無地に出発したと連絡する。台湾の八ヶ所の空港に殆ど同時に着陸 するように時間を合わせる。
2.着陸した旅客機がゲートに到着して、ゲートが開かれたときに、機 内の兵士は一斉に旅客機の非常口を開き、脱出シュートを使って外に出 る。非常口からの脱出は数分で終り、不意を突かれた整備人員を逮捕ま たは射殺する。空港を占拠した後は武器と車両を下ろして空港を占領す る。
3.空港内の旅客を制圧した後、軍用車両及び、空港にあった旅客また はタクシーなどの一般乗用車を接収して市内に進攻する。途中では高速 道路の車両を一切遮断して交通不能とする。また、搭載してきた戦車や 戦闘車両を使って付近の軍司令部に攻撃を開始する。台湾の軍施設は殆 ど外から来る攻撃に備えて海岸から外向きになっているので、内側から 攻撃すれば防御できない。
5.市内に侵攻した軍隊はすぐに政府、警察、軍部などを制圧する。その 頃を見計らって対岸から大量の上陸用舟艇が台湾に向けて出発する。同 時に台湾内部に潜んでいた中国人が内応して抵抗する可能性のある民衆 を逮捕する。
6.湾内部の抵抗が強いときはミサイル攻撃をする。
7.八ヶ所の空港攻撃で台湾全島は半日で征服できる。政府及び軍を征 服した後、民間の動きを監視し、反対者を逮捕して組織的な抵抗が出来 ないようにする。この時点で兵士による掠奪や殺戮が起きる。
8.国政府が台湾の占領を発表し、統一宣言をする。
●台湾関係法と米軍の動き
アメリカ政府はこれまで「台湾海峡両側が(二つの中国とはいわず)平 和裏に問題を解決することを望む」と主張している。不意を突かれて短 時間内に台湾を征服すれば平和裏に解決する声明など役に立たない。
台湾関係法はアメリカが台湾人民の安全を守る意思を明確にしている。
つまりサンフランシスコ条約において台湾の地位は未解決であった、だ から台湾がアメリカの暫定占領領土であり、台湾の帰属は最終的に台湾 人民が決めるという原則に変りはない。「トロイの木馬」はアメリカと敵対行為に入る事を意味するが、アメリカは台湾国内に侵入した部隊を追い出す能力はないから、この事態が起きれば最終的に台湾人の意思を聞くことができない。
アメリカの第7艦隊及び日本の米軍基地は中国の動きに注意を払ってい て、軍事行動の動きがあればすぐに警告と友の台湾防衛の行動に移るこ とが出来るはずだった。
しかし中国の空挺部隊が旅客機を使って台湾に着陸して内部から征服を すればアメリカは事前に察知することが出来ない。空挺部隊が内乱を起 してからアメリカが軍事行動を起すのは至難である。そこでアメリカは 政治的に解決を図ることになるだろう。ブッシュが胡錦濤に厳重抗議を 申し込み、中国軍の即時撤退を要求する。そして外交人員は直ちに中国 側と交渉を開始する。このことは時間が長引くということで、台湾国内 の動乱、殺戮を止める手立ては皆無である。
●米国の政治牽制
米国が「トロイの木馬」行動を察知した時点でアメリカ大統領は直ちに 厳重抗議を申し込み、第7艦隊は戦闘態勢(General Station)に入るだ ろう。中国海軍の舟艇は台湾海峡の中間線を越えることは出来ないし、 ミサイル攻撃も直ちに中止出来る。
こうして台湾に上陸した中国軍は孤立して自力で活動し、殲滅されるか 降参するか、睨み合いをしながら国民党幹部と話し合いを続ける。しか し補給線がないので物資は現地調達しかなく、台湾の民間と話し合いに 入るか、殺戮を繰り返して暴力で物資を調達することになる。でも台湾 は物資が豊富だから侵入した軍隊が飢えることはないだろう。政治交渉 が長引くほど中国側に有利となる。
中国はアメリカの抗議に対し、「われわれは平和裏に解決した」、「台湾は中国の一部であり、他国の干渉は許されない」と開き直るだろう。
アメリカに出来ることは、直ちに海峡の封鎖(エンバルゴ)を実施し、中国の輸出入を禁止し、各国もアメリカに同調して中国軍の即時撤兵と 台湾人民の安全を保護すると声明することだ。
国連軍の発動を提議する可能性があるが、中国が国連で否決権を持つ限 り国連軍の発動はない。日本軍の戦闘参与は第9条によって禁止されて いる。つまり軍事行動はアメリカに限られると見てよい。
アメリカは武器方面では中国軍に勝っているが、イラクとアフガニスタ ン、北朝鮮などの諸問題を抱えているので実力行使の余裕はない。
台湾有事に際して、日本は日米安保条約に基づいて米軍の支援を行うが、米国の「名誉ある撤退」を図る政治的解決のほかはない。中国はアメリカの困難をよく調べているので、政治交渉は引き伸ばし戦術で台湾を長期占領したまま人民の抵抗をなくしてしまい、台湾は滅びる。
●台湾人の抵抗
台湾が攻撃され「トロイの木馬」で占領された後に台湾人が決起する可 能性はかなり薄いと思う。理由はいくつかある。まず、このような事態 に備えて民間組織の危機対応の基本準備ができていないこと、武力がな いこと、全島の連絡をとる方法がないこと、指導者がいないことなどで ある。
台湾人は団結力がないし、中国軍が台湾人の有力者を集めて集団処刑す れば残りは烏合の衆である。毛沢東の言うとおり、「一人の指導者を殺せば村人は降参する」のである。
このシナリオを台湾にいる友人に電話したところ、「いいじゃないか。王永慶のような大金持ちもオレみたいな貧乏人もみんな平等に殺される。台湾か亡国するか、しないか、オレには関係ないことさ」と嘯いた。冗談半分としても、彼のような金の亡者の台湾人がたくさんいるのは間違いない。海外台湾人が台湾の将来を憂慮しても国内の民衆は無感覚で国を守る意思がないなら、台湾は滅びるしかない。
このシミュレーションは台湾の識者がこの事態に備えて対抗策を講じる よう警告するためである。台湾人が中国の征服に徹底抗戦をする決心が なければアメリカは助けてくれない。台湾だけでなく、アメリカや日本 の識者も「トロイの木馬」を真剣に考慮してもらいたいと願っている。
「トロイの木馬」の恐ろしさは短時間内に台湾征服が出来て、アメリカ は手出しが出来ないことである。このシミュレーションを読めば中国の 政治家や軍人が興味を持つのは当然、殆ど戦わずして台湾を征服できる と確信するだろう。中国人は既に似たようなシミュレーションをしてい
るはずだ。
アメリカはこれまで台湾問題の平和解決など意味のないことばかり述べ てきたが、この際アメリカも台湾問題をアイマイにせず、明確な解決に 向けて努力すべきである。
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【ニュース】総統府が「駐台大使」を再び「駐華大使」に変更
「台湾の声」
台湾総統府は、6月5日のプレスリリースで台湾に駐在する外国大使を従来の「駐台大使」という表現から「駐華大使」に変更したが、世論の反発を受け、6月10日のプレスリリースでは再び「駐台大使館」という表現に戻され、以来、「駐台」や「台日両国」など台北政府の国家の略称を「台」とする表現が維持されていた。
しかし、7月16日の総統府プレスリリースで、マーシャル諸島共和国新任駐台特命全権大使のことを「馬紹爾群島共和國新任駐華特命全權大使」と表記し、「駐華大使」という表現を再復活させた。
「駐華大使」という表現は、中華人民共和国(中国)に駐在する大使を呼ぶ表現とまったく同じであり、日本語では「駐中国大使」や「在中国大使」に相当する。日本の宮本雄二「駐華大使」(=駐中国大使)はもちろん中華人民共和国の北京に駐在している。